USPTO Issued Interim Guidance on Patent Subject Matter Eligibility | 2014/12/16 December 22, 2014 Tatsuo YABE |
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筆者注:
2014年12月16日にAlice v. CLS Bank最高裁判決(2014年6月)を考慮にいれた101条審査ガイドラインが公表された。 先般3月に公表された審査ガイドラインとの違いは、自然ベースの生成物(nature-based product)がクレームに含まれている場合のMayoテスト(Two-Partテスト)のSTEP2Aの判断が異なるという点である(詳細は以下を参照)。 即ち、STEP2Aにおいて自然ベースの生成物(nature-based product)が自然の生成物(product of nature)とmarkedly different characteristicsがないと判断される場合にはクレームは自然の生成物という101条保護例外のカテゴリー(product of nature exception)に属すると判断される。 そしてSTEP2Bにおいて他の構成要素との組み合わせでクレームが全体として例外カテゴリーを顕著に超えたものか否か(significantly more than the exception)を判断する。 PTOは誠しなやかに、”markedly different” と “significantly more than”なる日本語に訳すと違いを説明しにくい用語を使用している。 筆者のStudy グループのメンバーとディスカッションしたところ”markedly different”は特定の要件に関する顕著な相違点を言っており、”significantly”の方はクレーム全体として「遥かに!」というより壮大な違いを意図しているということでした。
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尚、単一のクレームに自然の生成物を含むと共に他の例外カテゴリーに属する構成要素を規定している場合もある。その場合には例外カテゴリーに属する構成要素のそれぞれに対してMayoテストを実施する必要がある。 但し、クレームが例外カテゴリーを含むものの、クレーム全体として明らかに例外カテゴリーを超えていると判断される場合には101条判断は不要であると記載されている(以下101条審査の促進の箇所を参照されたい)。 今後暫く、PTOの審査官が101条審査に過敏になり、理不尽な101条拒絶をしてきた場合の反論としてThe
rejected claim is not an attempt to tie up use of the (judicial
exception)!!という表現を入れるのは有効かもしれません。
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さらに本ガイドラインを過去の最高裁事件6件(Diamont v.Chakrabarty事件、AMP v. Myriad事件、Diamond v. Diehr事件、Parker v. Flook事件、Mayo v. Prometheus事件、Alice v. CLS Bank事件)に適用し、今回のガイドラインと合衆国最高裁判決との整合性を示している(以下Example 1 〜 Example 6を参照されたい)。 勿論、最高裁判決が先にありきなので今回の101条審査ガイドラインがそれらと整合性を合わせないわけにはいかない。 PTOも苦労したと考えます。
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本審査ガイドラインの概要:
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2014年3月4日、USPTOは先般の最高裁判決(2013年Myriad最高裁判決、2012年Mayo v. Prometheus最高裁判決に鑑みて、特に自然法則、自然現象を、あるいは、自然に存在するものを構成要素とするクレームに対する101条の特許保護適格性に対する審査ガイドラインを公表した。 2014年6月30日、USPTOはAlice v. CLS Bank最高裁判決に鑑みAbstract Ideaを含む出願クレームに関する審査官に対する審査ガイドラインを公表した。 それと同時に関係者各団体・各位に意見を求めた。
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2014年12月16日、今回発表されたガイドラインは関係者より寄せられた意見を考慮し、Alice以前の最高裁判決及びAlice最高裁判決も考慮にそれらと整合性を持たすべく作成された。 尚、本審査ガイドラインに法的効力はない。 本審査ガイドラインは2014年12月16日より施行され、出願日に関係なく米国特許出願審査に適用される。
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尚、今回の審査ガイドラインは2014年3月4日の101条審査ガイドラインを破棄し優先する。 しかし、基本的な考え方は3月4日のガイドラインと類似しており、Mayoテストと称し、2−パートアナリシス(Two-Part
Analysis)を適用している。 即ち、Step 1においてクレームが101条で規定する4つのカテゴリー(process, machine,
manufacture or composition)に属するかを判断し、Step 2Aにおいてクレームが特許保護例外のカテゴリー(a law of nature, a natural phenomenon, or an abstract
idea “judicially recognized exceptions”)を対象としているかを判断し、YESの場合にはStep 2Bで「他の構成要素によってクレームが全体として特許保護例外を顕著にこえたものか(“significantly more than that the judicial exception”)?」が判断される。
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注記としてクレームに自然ベースの生成物(nature-based product)が含まれるときには、Step 2Aにおいてクレームが自然の生成物(directed to a “product of nature”)を対象としているか否かを判断する。 即ち、クレームで規定された自然ベースの生成物(nature-based product)が自然の生成物(product of nature)と比べてmarkedly different
characteristics based on structure, function and/or propertiesを備えているか否かで判断する。 Markedly different
characteristicsが存在しないと判断されると、Step 2Aでクレームは「自然の生成物(product of nature)」という例外カテゴリー(product of nature exception)に属すると判断される。 そして、その(Step
2AでYES)場合にはStep 2Bに移行し、Mayoテストの「他の構成要素との組み合わせでクレームが全体として “significantly more than the judicial exception?”」か否かを判断する。
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クレームが自然ベースの生成物のみを規定している場合に、それがmarkedly different characteristicsを備えていると判断される場合(Step 2AでNO)には101条保護適格性を備えると判断されStep 2Bは不要である。
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但し、74622中央コラム2に記載されているように、Step 2Aにおいて、判例法により説示された101条保護適格性を得ない例外カテゴリー(judicially recognized
exceptions:以下「101条の例外カテゴリー」と称する)の単一のカテゴリーに明白に属するという場合は少なく、寧ろ複数のカテゴリーに属するように解釈される場合が多いので、その場合には以下、「クレームが複数の101条例外カテゴリーを規定している場合」を参照されたい。
クレームが自然ベースの生成物を含むと理解される場合にのみStep 2Aにおいてmarkedly different
characteristicsテストを採用する。 同テストは、クレームされた自然ベースの生成物と自然界に存在する自然の生成物或いは自然界に存在する最も類似する生成物と比較する。 構造(構成)、機能、及び(または)特性をクレームされた構成要素(nature based product)に対して分析する。 ごくわずかな差であってもmarkedly different characteristicsが存在すると判断されうる。 例えば、自然の生成物であってもそれが単離、或いは、蒸留されて、その結果として自然界に生成(存在)するものとmarkedly different characteristicsを備える場合がある。
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以下のステップで判断する。
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Significantly more than
尚、Step 2Bにおいて101条保護例外を含むクレームにおいて他の構成要素或いはそれとの組み合わせによってクレームが全体として当該101条保護例外を顕著に超えたるものであるか否かを判断する。 他の構成要素によってクレームが101条の例外カテゴリーに属する構成要素を実体的に適用(活用)していることが重要であり、クレーム起案者の腕前で101条の例外カテゴリーを独占するようなクレームになっていないことを確証する。 どのような場合にクレームが例外カテゴリーを顕著に超えたものとなっているかは74624の中段と右コラムに例示されている。 例えば、異なる技術分野に改良をもたらす; コンピューターの機能を向上させている; 特定のものを異なる状態に変換している; 業界において異例の特徴或いはステップを追加しクレームに有用性をもたらした;・・・
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クレームが複数の101条例外カテゴリーを規定している場合:
まずは一つの例外を基にStep 2Bのテストを実施し、他の構成要素によってクレームが全体として当該101条例外カテゴリー(1つ目の例外)を顕著に超えたものを規定しているかを判断し、次に当該他の構成要素によって2つ目(あるいは3つ目)の101条例外カテゴリーを遥かに超えたものになっているかを判断する。 但し、一つの例外カテゴリーを顕著に超えたものとなっていると判断されない場合にはその時点でクレームは101条保護を受けないと判断される。
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101条審査の促進:
クレームが仮に101条保護例外カテゴリーを含むとしてもクレームが全体として当該例外カテゴリーを独占するように構成されていないことが明白な場合には101条のフル・アナリシスは不要である。 その例としては、
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A robotic arm assembly
having a control system that operates using certain mathematical relationship;
Because,
this claim is not an attempt to tie up use of the mathematical relationship!!
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An artificial hip
prosthesis coated with a naturally occurring mineral;
Because,
this claim is not an attempt to tie up the mineral!!
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A cellphone with an
electrical contact made of gold;
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A plastic chair with wood
trim;
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審査ガイドラインの適用例:
本審査ガイドラインを判例に適用する:
Pgs. 74625〜74628に掛けて最高裁判決に本審査ガイドラインを適用した例を示している;
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Example 1:
Diamond v. Chakrabarty
US4,259,444
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Representative Claims:
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A bacterium from the genus Pseudomonas containing therein
at least two stable energy-generating plasmids, each of said plasmids providing
a separate hydrocarbon degradative pathway.
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クレームの対象は101条の製造物或いは組成物のカテゴリーに属する(STEP1でYES)。 クレームの対象が自然の生成物であるか否かを判断するには、自然界に生息するシュードモナス菌と比較しMarkedly different characteristicを備えているかを判断する。クレームされたバクテリアは自然界に存在するバクテリアとは異なる機能を有する。 即ち、少なくとも2つの異なる炭化水素を分解できる(自然界に存在するバクテリアは単一種類の炭化水素しか分解できない)。 さらに、クレームされたバクテリアは自然界に存在する物とは異なる性質を有する。 即ち、それは遺伝子的に異なり自然界のものよりも多くのプラスミドを備えている。 この性質によって複数の炭化水素を分解することができる。 このように異なる機能と性質はmarkedly different
characteristicのレベルに匹敵する(STEP2AでNO)。 STEP2AでNO(there are markedly
different characteristics based on structure and function)なのでSTEP2Bに移行することなく101条を満たすと判断される。
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Example 2:
Association for Molecular
Pathology v. Myriad Genetics Inc
US 5,747,282
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問題となる特許の発明者は乳癌或いは子宮癌の発生率を予測可能なBRCA1遺伝子の位置とそのヌクレオチド配列を発見し、単離したBRCA1をクレームした。 BRCA1遺伝子は約80000ヌクレオチドの長さで、幾つかのイントロンとイクストロンを含む。自然界ではmRNAという中間生成物を介してBRCA1遺伝子からBRCA1ポリペプチドが生成される。 発明者はmRNAを利用してcDNAと呼称されるイクストロンのみの分子(コード情報を持たないイントロンを除去しているがBRCA1と同じコード情報を持つ)を作り、当該cDNAのヌクレオチド配列をSEC ID NO:1と名付けクレームした。
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Representative Claims:
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Claim 1.
An isolated DNA coding for a BRCA1 polypeptide, said
polypeptide having the amino acid sequence set forth in SEQ ID NO:2.
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クレーム1の対象は101条の組成物のカテゴリーに属し(STEP1でYES)、自然ベースの生成物(DNA)を規定している。 依って、markedly different characteristicsの分析を行い、自然ベースの生成物が自然の生成物という例外規定に該当するかを確認する。 クレーム1は自然界に存在するBRCA1遺伝子と同じヌクレオチド配列を有する「単離されたDNA」を権利範囲に含む。 クレームされたDNAは単離されている故に自然界に存在するものとは構成が異なる。 即ち、自然界に存在する遺伝子はその端部が染色体と共有結合しているが単離された遺伝子はその共有結合がない。 但し、単離されたDNAは自然界に存在するBRCA1遺伝子とその構造自体はまったく同一である。 さらに、クレームされたDNAは自然界に存在するものと機能特性(同一のタンパク質を符号化している)に関しても全く同一である。 クレームされたDNAは自然界のものとは異なるがその度合いはmarkedly differentではない(STEP2AでYES)。 Myriad最高裁判決においてクレーム1の単離されたDNAは自然界に存在するものと違いがない、よって、自然界に存在する遺伝子BRCA1を使用する未来の研究活動を阻むことになりうるという理由で101条保護適格性を満たさないと判断された。
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STEP2AでYESなのでクレームに規定される他の構成要素によってクレームが全体としてsignificantly more than
the exceptionに該当するかを判断する。 上記クレーム1には他の構成要素が規定されていない。 依って、STEP2BでNO。 故に101条保護適格性を満たさない。
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Claim 2.
The isolated DNA of claim
1, wherein said DNA has the nucleotide sequence set forth in SEQ ID NO:1.
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クレーム2はSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を備えたDNAを限定的にクレームしている。SEQ ID NO:1という配列は発明者が生成したエクソンのみのcDNA配列である。 クレームされたDNAは共有結合を備えないだけではなくヌクレオチド配列がエクソンしかない。 クレーム2のDNAはその機能性質は自然界に存在するものと同じであるがその構造特性は自然界に存在するものとは顕著に異なるので、BRCA1の遺伝子を活用する将来の研究活動を不当に阻害することはない。 依って、クレーム2のDNAはmarkedly differentテストを満たし、自然界の生成物という101条例外には該当しない。
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Example 3:
Diamond v. Diehr
US 4,344,142
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アレニウスの式(反応速度と活性化エネルギーの関係式)をクレームに含むゴムの養生方法に関するクレームが101条を満たすか否かに対する判決。 プレス・モールド内で完璧なる養生をするためには対象物の厚み、温度、モールド内での保持時間などの調整が必要となる。 どのタイミングでプレスを解放し養生された製品を取り出すかは周知のアレニウス式を活用することで計算可能である。
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Representative Claim:
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Claim 1.
A method of operating a rubber-molding press for precision
molded compounds with the aid of a digital computer, comprising:
providing said computer with a data base for said press including at
least, natural logarithm conversion data (ln), the activation energy constant
(C) unique to each batch of said compound being molded, and a constant (x)
dependent upon the geometry of the particular mold of the press,
initiating an interval timer in said computer upon the closure of the
press
for monitoring the elapsed time of said closure,
constantly determining the temperature (Z) of the mold at a location
closely adjacent to the mold cavity in the press during molding, constantly
providing the computer with the temperature (Z),
repetitively calculating in the computer, at frequent intervals during
each cure, the Arrhenius equation for reaction time during the cure, which is ln
v = CZ+x, where v is the total required cure time, repetitively comparing in the
computer at said frequent intervals during the cure each said calculation of the
total required cure time calculated with the Arrhenius equation and said elapsed
time, and
opening the press automatically when a said comparison indicates
equivalence.
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クレームの対象は101条の方法のカテゴリーに属する(STEP1でYES)。 クレームはアレニウス式を規定しており、当該数式は101条保護を受けないアルゴリズム乃至は自然法則と理解される。 クレーム全体としてみてもアレニウス式を活用し、合成ゴムの養生ステップを規定していると理解されるので101条例外のカテゴリーに属すると判断される(STEP2AでYES)。 次に、クレームの他の構成要素によってクレームが全体として当該例外を顕著に超えたものになっているかを検討する。 クレームには、モールド型内の空隙部(キャビティ)の温度を頻繁に測定し、当該数式を活用し、残りの養生時間を計算するステップが規定されており、これら構成要素は単にアレニウス式をコンピューターで計算するということを超えたものを提供している。 さらに、クレームされた方法は生ゴム或いは非養生のゴムを養生されたモールド形式のゴムに変換するステップと協調している。 このようにクレームされたステップとの組み合わせによって数式を隔離するものではなく意義のある限定を当該数式に与え既存の養生技術を改善している。 依って、クレームは判例による101条保護例外を顕著に超えていると理解される(STEP2BでYES)。 依って101条保護適格性を満たす。
注記: 本最高裁においては当該数式を抽象的なアイデアと解釈している。
Example 4:
Parker v. Flook
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発明は触媒の化学変化のプロセスに関し、アラーム限界を数式を用いて更新する方法クレームの101条適格性が争点となった。
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Representative Claim:
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Claim 1.
A method for updating the value of at least one alarm
limit on at least one process variable involved in a process comprising the
catalytic chemical conversion of hydrocarbons wherein said alarm limit has a
current value of Bo+K wherein Bo is the current alarm base and K is a
predetermined alarm offset which comprises:
(1) Determining the present value of said process
variable, said present value being defined as PVL;
(2) Determining a new alarm base B1, using the following
equation: B1=Bo(1.0-F) + PVL(F) where F is a predetermined number greater than
zero and less than 1.0;
(3) Determining an updated alarm limit which is defined as
B1+GK; and thereafter
(4) Adjusting said alarm
limit to said updated alarm limit value.
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クレーム対象は101条の方法のカテゴリーに属する(STEP1でYES)。 クレームは数式を規定しており、当該数式は自然法則のようなものであり101条保護例外と解釈される(STEP2AでYES)。 数式を含んでいること自体で方法クレームが101条を満たさないと判断されることはない。 規定された他の構成によってクレームが全体としてその例外を顕著に超えたものであるかを判断する(STEP2B)。 本クレームにおいては入力値を収集するステップとアラーム限界を意味する値を更新するステップが規定されている。 一般的なコンピューターを活用し数値計算をし化学反応の変数を決定するというのは化学の分野において通常且つ一般的なことである。 クレームを石油化学及び石油製錬の産業分野に限定することは発明の使用分野を特定するのみで当該数式に意義のある限定を与えることにはならない。 然るにクレーム全体として当該数式をコンピューターで計算するということに顕著性を付与するとは理解されない。 依って、クレームは101条例外カテゴリー(自然法則)を顕著に超えると理解されない(STEP2BでNO)。
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Example 5:
US 6,355,623
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問題となるクレームは胃腸免疫疾患に使われる薬(チオプリン)の個々人への適切な投与量を判断するステップを規定している。
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Representative Claim
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Claim 1.
A method of optimizing therapeutic efficacy for treatment
of an immune-mediated gastrointestinal disorder, comprising:
(a) administering a drug providing 6-thioguanine to a
subject having said immune-mediated gastrointestinal disorder; and
(b) determining the level of 6-thioguanine in said subject
having said immunemediated gastrointestinal disorder,
wherein the level of
6-thioguanine less than about 230 pmol per 8x108 red blood cells
indicates a need to increase the amount of said drug subsequently administered
to said subject and wherein the level of 6-thioguanine greater than about 400
pmol per 8x108 red blood cells indicates a need to decrease the
amount of said drug subsequently administered to said subject.
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クレームは、101条で規定する方法のカテゴリーに属する(STEP1:YES)。 クレームは血液中の代謝物の量と治療に効果的なチオプリン薬の投与量との関係を規定している。 この関係を得るためには人の介入が必要であるが、当該関係自身は人の行為とは無関係である。 依って、クレームは自然法則を対象としていると理解される(STEP2A:YES)。
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然るに、STEP2Bにおいて追加されたステップ及びそれらとの組み合わせによってクレームが全体として自然法則を顕著に超えたものとなっているかを判断する。 投与するステップは医者が患者に行い、このステップは長期にわたり以前から実行されているものである。 さらに、wherein節は医者にチオプリンの投与量を増減するために当該自然法則を参照することを示唆するのみである。 依って、追加されたステップのいずれも当業者にとって良く知られ、日常的な通常の行為を規定しているにすぎない。 然るに追加されたステップによってクレーム全体として自然法則を顕著に超えたものとはならない。 さらに、自然法則を限定的に活用しているとしても、それ自体で顕著性を増すものではない。 依って、STEP2BでNO。
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Example 6:
US 5,970,479 & US
7,725,375
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US 5,970,479
商取引における受け渡しリスク(債務履行時のリスク)を軽減するためコンピューターを用いた手法に関する。 より詳しくは当事者間(2者間)における金融債務の取引においてコンピューターを仲介者(第3者)として活用することをクレームで規定している。 当該仲介者(コンピューター)は現実世界の口座残金(金融機関)を反映する影の資産台帳を生成する。 仲介者は当事者間において取引が実行されるたびに影の記録に更新するが、両当事者が相互に債務を履行可能な取引のみを更新記録する。 そして、当日の取引終了後に両当事者間で債務履行が可能と記録された取引のみを現実の金融機関に実行させる。依って、単一の当事者のみが金融取引で損失を負うリスクを軽減する。 クレームにおいては上記手法をコンピューターを用いて実行するステップが規定されている。
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Representative Method
Claim (U.S. Patent No. 5,970,479):
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Claim 33.
A method of exchanging obligations as between parties,
each party holding a credit record and a debit record with an exchange
institution, the credit records and debit records for exchange of predetermined
obligations, the method comprising the steps of:
(a) creating a shadow credit record and a shadow debit
record for each stakeholder party to be held independently by a supervisory
institution from the exchange institutions;
(b) obtaining from each exchange institution a
start-of-day balance for each shadow credit record and shadow debit record;
(c) for every transaction resulting in an exchange
obligation, the supervisory institution adjusting each respective party’s
shadow credit record or shadow debit record, allowing only these transactions
that do not result in the value of the shadow debit record being less than the
value of
the shadow credit record at any time, each said adjustment
taking place in chronological order, and
(d) at the end-of-day, the supervisory institution
instructing one of the exchange institutions to exchange credits or debits to
the credit record and debit record of the respective parties in accordance with
the adjustments of the said permitted transactions, the credits and debits being
irrevocable, time invariant obligations placed on the exchange institutions.
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クレーム主題は101条で規定する方法のカテゴリーに属する(STEP1でYES)。 クレームは仲介者を介して債務履行のリスクを軽減するという概念を規定している。 商取引におけるリスクを軽減する手法に関するBilski事件と同様、仲介者を介して債務を履行するというやりかたは周知の抜本的手法ではないが、長年実行されてきた商取引のやり方である。 依って、クレームの対象物は抽象的なアイデアであると理解される(STEP2AでYES)。
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然るに、STEP2Bにおいてクレームが全体として抽象的なアイデアを顕著に超えたものとなっているかを判断する。 コンピューターを利用して影の資産台帳を記録するということは最も基本的なコンピューターの活用の仕方のひとつである。 どのステップにおいても汎用コンピューターを一般的に使用することしか規定していない。 規定されたステップの順序も一般的であってそれらの組み合わせも既存の手法に何かを加えるものではない。 さらに、クレームされたステップによってコンピューター自身の機能を向上させるものでもない。 汎用コンピューターを使用することで抽象的なアイデアを101条保護適格性を得るステップに変換することはできない。 依って、クレームは抽象的なアイデア自身を顕著に超えるものではない(STEP2B:NO)。
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US 7,725,375
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Representative System Claim (U.S. Patent No. 7,725,375)
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Claim 26.
A data processing system to enable the exchange of an
obligation between parties, the system comprising:
a communications controller,
a first party device, coupled to said communications
controller,
a data storage unit having stored therein
(a) information about a first account for a first party,
independent from a second account maintained by a first exchange institution,
and
(b) information about a third account for a second party,
independent from a fourth account maintained by a second exchange institution;
and
a computer, coupled to said data storage unit and said
communications controller, that is configured to
(a) receive a transaction from said first party device via
said communications controller;
(b) electronically adjust said first account and said
third account in order to effect an exchange obligation arising from said
transaction between said first party and said second party after ensuring that
said first party and/or said second party have adequate value in said first
account
and/or said third account, respectively; and
(c) generate an instruction to said first exchange
institution and/or said second exchange institution to adjust said second
account and/or said fourth account in accordance with the adjustment of said
first account and/or third account, wherein said instruction being an
irrevocable, time invariant obligation placed on said first exchange
institutionand/or said second exchange institution.
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クレームの主題は101条で規定する機械のカテゴリーに属する(STEP1:YES)。
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上記方法クレームに関して述べたように、本クレームも仲介者を介して債務を履行するという抽象的なアイデアを規定している(STEP2A:YES)。 当該システムクレームも上記方法クレームと実体的には違わない。 要は、汎用コンピューターの構成物を幾つか追記しているのみで、これらを組み合わせたところでクレーム全体として抽象的なアイデアを顕著に超えたものになっていない(STEP2B:NO)。
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Pgs. 74628〜74632に掛けて最高裁と控訴審における自然法則、自然現象、及び、抽象的なアイデアを規定したクレームに関する判決の要約
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最高裁判決
1. O’Reilly v. Morse
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2. Tilgham v. Proctor
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3. Mackay Radio &
Telegraph v. Radio Corp of America
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4. Gottschalk v. Benson
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Alice判決以前の控訴審の判決
1. SiRF Tech v. ITC
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2. Research Corp Tech v.
Microsoft
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3. Dealertrack v. Huber
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4. SmartGene v. Advanced
Biological Lab, SA
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5. Cyborfone Systems v.
CNN Interactive Group
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Alice判決以降の控訴審の判決:
1. Digitech Image Tech v.
Electronics for Imaging
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2. Planet Bingo LLC v.
VKGS LLC
3. buySAFE v. Google
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4. Ultramerical v. Hulu
and WildTangent
|
5. DDR Holdings v.
Hotels.com L.P.
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(5) LINKS |