Bilski v. Kappos (PTO)

Supreme Court Decision

Machine or Transformation (MOT)テストは方法クレームの保護適格性(101条)を判断する上で唯一のテストではない;

20100628

Summarized by Tatsuo YABE

on June 29, 2010

   



Subject: 米国特許関連ニュース速報 -  Bilski合衆国最高裁判決 2010年6月28日


(1) 合衆国最高裁判決(2010年6月28日) Bilski事件

以下、最高裁判決の原文:

http://www.supremecourt.gov/opinions/09pdf/08-964.pdf


Bilski事件で問題となった発明は、商品取引分野におけるリスクをヘッジ(制限)する方法に関し、CAFC大法廷判決(2008年10月30日)においては方法
クレームが特許保護適格であるか否か(即ち、米国特許法第101条を満足するか)の判断は1972年の合衆国最高裁判決(Benson事件)の判示が妥当すると
結論づけました。

即ち、方法クレームが101条(特許保護適格性)を満たすには、

(1) クレームされたプロセスは特定の機械 (Machine)、或は、装置に関連付けられているか? 又は 
(2) クレームされたプロセスは特定の物(Article)を異なる状態或は別の物に変換 (Transformation)するか?

即ち、 Machine or Transformation (MOT)テストによって判断されるとしました。

上記CAFC大法廷判決によってビジネスモデル以外の通常の方法クレームにおいてもMOTテストに鑑み拒絶されるということがしばしば起こり、米国
特許Prosecutionの実務者の間に混乱が生じており、最高裁においてより妥当なガイドラインが出されるかということが期待されました。

今回、6月28日の最高裁判決の骨子は以下の通りです:

(1) Bilskiの問題となるクレームは商品取引におけるリスクを制限する方法であって、それは単なるAbstract(抽象的)アイデアであり、特許保護適格性(101条)の要件を満たさない;
(2) Machine or Transformation (MOT)テストは方法クレームの保護適格性(101条)を判断する上で唯一のテストではない;
(3) しかし、当該MOTテストをパスする方法クレームは101条を満たす;
(4) ビジネスメソッドに関する発明であるからといって特許保護適格性を否定されるものではない;
(5) 101条はダイナミック(変動可能)な条文であり、新規で且つ予期されなかった発明が
なされた場合には裁判所においてさらなる特許保護適格性を規定する自由度を備えている。

上記のように、MOTテストが、方法クレームが101条を満たすか否かの唯一のテストではないということが明確に判示されたので、我々の実務としては従来(2008年10月30日以前)の方法クレームの作成手順で対応すれば良いと考えます。 

 

 

(以下シラバス)

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Bilski v. Kappos

Syllabus:

Bilskiはエナジー市場における商品取引のリスクを制限(ヘッジ)するビジネス手法に関する特許出願をした。 特に争点となったクレームはクレーム1とクレーム4であり、エナジーの供給者と需要者との間の商取引において価格変動に起因するリスクを最小限に抑える手法を規定している。 審査官は、当該クレームは特定の装置を使用するものではなく、単に抽象的なアイデアを利用したにすぎないとして拒絶し、特許庁の審判部においても同意見であり、CAFCもそれらの判断を支持した。 CAFC大法廷は、State Street Bank事件で判示された特許保護適格性の判断基準、「即ち、クレームされた発明は有用で、且つ、実体的な効果を創出するか否かで101条の保護適格性を満たすか否かを判断する」を否定し、1972年のBenson最高裁判決での判示を採用し、クレームされた手法は、Machine or Transformationテストによってのみ101条の適格性を満たすか否かを判断すると判示した。

最高裁はCAFC大法廷判決、「Bilskiのクレームは特許保護を受けない」を支持する。

ケネディー最高裁裁判官が判決文を作成し、Bilskiのクレームは特許保護の適格性を欠くと判示した。 その理由は以下のとおりである:  

(a)      米国特許法101条は4つの特許保護対象のカテゴリーを規定しており、それらは、「プロセス:手法」、「機械」、「製造物、「化合物:物質」であり、議会がこれら広範な用語を用いた理由は、特許保護を与える特許法の条文に広い範囲を与えるべきであると考えたからである(Diamond v. Chakrabarty最高裁判決)。 最高裁において、101条の特許保護の例外として、「自然法則」、「物理現象」、および、「抽象的なアイデア」を示した。 これら3つの例外は特許法には規定されていないが、特許保護適格性を備えた手法(プロセス)が、「新規」であり、「有用なもの」であるという見解に合致する。 当然のことながら、101条で規定する4つのカテゴリーのいずれかに該当するからといって、特許されるのではなく、特許を受けるには102条の新規性、103条の進歩性(非自明性)、および、112条の記述要件の全てを満たすことが必要である。

(b)      101条の特許保護適格性を判断するためのテストは、Machine or Transformationテストが唯一のテストではない。 当該テストは過去の最高裁判決が示すとおり、プロセスクレームの特許保護適格性を判断するために有効なテストではあるが、唯一のテストではない。 CAFC大法廷は立法者が明示していなかった限定、あるいは、条件を条文に盛り込むべきはない。  本法廷(最高裁)は、101条で規定する「プロセス」がmachine or transformationテストの制約を受けるべく解釈されなければならないという理由が理解できない。 101条の条文に他の3つのカテゴリーを盛り込むことによって、「プロセス」にそのような条件を付加するということを示唆するものではない。 さらに、CAFC大法廷の判示において machine or transformationテストがプロセスクレームの101条の保護適格性判断の唯一のテストであるとしたのは間違いである。

(c)     101条がビジネス手法を101条の「プロセス」から除外するという解釈は誤りである。 100条(b)の「方法」という用語はその文言の意味合い、特許法条文の他の箇所における意味合い、或いは、最高裁の判例をもってしてもビジネス手法の少なくとも幾らかを包括すると解釈するべきである。 本法廷(最高裁)は、通常、且つ、一般的な意味合いとして「方法」がビジネス手法を除外するという理論を支持するわけにはいかない。 また、議会において273条(b)(1)を立法し、ビジネス手法における先使用の抗弁を認めたことによっても、ビジネス手法をカテゴリーとして除外するという考えが間違いであるということが明瞭になった。 この条文で規定した防御(非侵害の抗弁)を可能にするということは、特許法の条文がビジネス手法特許の存在を認識したことに他ならない。 このように、273条はビジネス手法が、101条で規定する特許保護対象となる「プロセス」の一種にすぎないということを明らかにしている。 言い換えると、ひとつの条文の意味を解釈するときに他の条文が意味しなくなるように行うのは誤りであるという法原則(Canon)に照らしても理由付けられる。 然しながら、たとえ273条がビジネス手法に関する特許の存在を認めているからといって、そのような発明に対してより広範な特許性を認めているわけではない。

(d)      Bilskiのクレームは101条のカテゴリーの範疇から機械的に(形式的に)除外されるというわけではないが、101条で規定する特許保護適格性を満たす「プロセス」ではない。 Bilskiは、リスクを制限するという概念と、その概念をエナジー市場に適応することに権利を得ようとしている、しかし、最高裁の判決、Benson判決、Flook判決、および、Diehr判決に鑑み、それらは抽象的なアイデアを権利化しようと試みているにすぎない。 それらはBenson事件、および、Flook事件で判示したアルゴリズム(解法)に類似した特許保護を受けることのできない抽象的なアイデアである。

(e)     Bilskiの特許出願は、抽象的なアイデアであるが故に権利化できないとした最高裁の判例が妥当するので、本法廷(最高裁)は100条(b)で規定された定義、および、Benson事件、Flook事件、あるいは、Diehr事件での判示を繰り返すこと以上に、何が権利保護に値する「プロセス」であるのかをさらに定義する必要はない。 本日の判決文において、最高裁がCAFCの101条の過去の解釈、State Street Bank事件など、を全面的に肯定すると理解するべきではない。 CAFCは当該解釈(State Street Bank事件)がビジネス手法に関る発明の特許保護適格性を判断する上で、必ずしも適切ではないとの考えで、Machine or Transformationテストの採用を決めたものと予想される。 然しながら、当法廷(最高裁)はMachine or Transformationテストは唯一の判断基準ではないということを指摘するものの、CAFCが今後、特許法の立法趣旨をさらに実現し、条文の文言の意味合いを離脱しない範囲において、より限定的な定理(解釈原理)を定めていくという試みを否定する意図は全くない。

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以上  

 

 

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