EN BANC HEARING TOOK PLACE

on FEB 08, 2005

 

Edward H. Phillips, v. AWH Corp.  

Date: February 08, 2005

Summarized by Tatsuo YABE on February 20, 2005  

Phillips v. AWH En Banc Hearing Took Place on Feb 08, 2005

2005年2月8日CAFC大法廷でヒアリングが実施されました。 Phillips社(特許権者:USP4677798)とAWH社(被疑侵害者)共に、以下の2点に関しては同意をした模様です。 

 

クレーム用語の解釈に関して、(1)まずは辞書ではなくて、明細書が参酌される;(2)明細書で明瞭な放棄がある場合には同放棄を基にクレームを限定解釈する。 

 

但し、明細書に特定の実施例しか開示されていない場合に同開示によってクレームが限定解釈されるか否かに関しては被疑侵害者側であるAWH社は限定解釈を主張するも、その根拠を明瞭にするべく迫ったCAFC判事の質問(執拗なる質問から判断するにCAFC大法廷としては特段の理由がない場合にはクレームは明細書の実施例によって限定解釈されないという結論に到達していると予想されます)に説得力にある反論ができませんでした。 然るに、クレーム解釈はまずは明細書、そして明細書で明瞭な排除があればクレームは限定解釈されるが、明細書に特定の実施形態しか開示されたいなかったとしても、特段の理由がない場合には同実施形態に限定解釈されないという大法廷判決が出ると予想されます。 尚、大法廷判決(クレーム解釈に対するガイドライン:以下の7つの質問に対する指針)は本年夏前に出るものと予想されます。  

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去る2004年07月21日、CAFCは、以下に列記する質問に対して法廷助言者 (amicus curiae)から意見を求めるとともに、Phillips社とAWH社に対して大法廷で再弁論(再審理)の機会を認めました。 

 

1. 特許クレームはその用語を解釈するために、主として技術辞書及び一般辞書或るいはそれらと同類の語源を参照することによってより良く公共に対する告知機能を果たすか、それとも特許権者が明細書で使用する用語を主として参照するほうが良いのか? もし両方の源を参酌するべきときにはどのような手順で行うべきか?
2.  クレーム解釈に主として辞書を参酌するべきとするならば、特許権者が辞書編集人の役割を果たすとき或いは明細書がクレームの権利範囲を明瞭に放棄していることを明示している場合においてのみ明細書がクレームの権利範囲(辞書に規定されているレベル)を減縮するべきか? もし明細書によって減縮解釈がある場合には、明細書のどの用語(記載)がそのような解釈を容認するのか? 技術的辞書に反する場合に一般辞書の役割とはなにか? 同一の用語に対して複数の定義がある場合に、一般的な意味合いという概念はどのように適用されるのか? 辞書が同一用語に対して適用可能と思える複数の定義を有する場合に、明細書を参酌し、どちらの定義(或いは複数の定義)が適用されるかを決定するのは妥当か? 
3.  もしクレーム解釈に主として明細書が参酌されるとするならば、辞書の役割は何なのか? クレーム用語の通常の意味合いの幅は、明細書に単一の実施例しか開示されていない場合に同明細書に開示された発明の権利範囲に制限されるべきか?
4.  現在取消された本法廷判決の多数意見及び反対意見におけるクレーム構成の方法論(複数)による二者択一的な見方をする代わりに、クレームの権利範囲に対する2つの制限が存在し、特許権者が所望するクレームの権利幅を設定するために両方の規制方法論を満たすことを要求するように、これら2つの手法を互いに補足的な方法論として理解するべきではないか?
5.  米国特許法の例えば102条、103条、112条に基づく無効を回避するという目的のためだけにクレームの用語が減縮解釈されるべき必然性があるか?
6.  論議の対象となっているクレーム用語の解釈を判断するために、経過書類及び当業者による専門家証言はどのような役割を果たすべきか?
7.  Markman v. Westview Instruments, Inc (1996)最高裁判決、及び Cybor Corp v. FAS Technologies Inc (1998)のCAFC大法廷判決に鑑みて(整合性を維持するように考慮すると)、下級審におけるクレーム構成の判決に承服の意を称することは適切であるのか? もしそれが適切ならば、どのような見地で、どのような情況で、或いは、どの程度なのか?

 

■ 以下 大法廷ヒアリングのとトランスクリプト(*1)の内容から重要部分を抜粋しております。

 

(*1)http://patentlaw.typepad.com/patent/files/phillips_v.%20AWH%20Transcript.pdf

上記URLは、いつまでリンクが可能か分かりません、ダウンロードはお早めにされることを推奨致します。 

尚、McDonnell Boehnen Hulbert & Berghoff LLP.事務所のDennis Crouch特許弁護士の運営するPatently-O: Patent Law Blog というHPの2005年2月9日のPatent Newsで上記Link先が公開されております。 尚同HPのCrouch氏によるとトランスクリプトは2月8日のヒアリングに参加されたBanner法律事務所のBrad Wright弁護士によるものと注記されております。

 

 

Phillips社の弁護士Manthie氏は問題となっているバッフル(Baffle)に関してUSP4677798両側の壁面に対して角度を持っているものだけではなく、コラム2に説明され、図7に番号は附してないが90度の形態も開示していると主張しております。  クレームの解釈において(バッフルという用語の解釈の際には)まずは明細書が参酌され、そしてクレームを読むべきであるとし、クレーム用語が明細書の用語よりも広いときには、広範な記載をしたるクレームを権利範囲の解釈に使用するべきであると主張しております。 

 

 

 

 

尚、明細書の記載の本来の目的は開示要件と実施可能要件を満たすということであって、クレームを限定解釈するためのものではないと言及しております。 尚、明細書において権利範囲の明瞭な放棄(或いは排除)或いはそのような明白な定義がされている場合においてのみクレームの権利範囲を限定的に解釈するべきであると述べております。 Bryson判事の、「明白な規定がある場合にはその限定的な記載によってクレームを減縮解釈できるとし、それでは明細書で限定解釈を示唆するような開示がある場合にはどうか」という質問に対しては、そのような示唆に対して読み手側それぞれの解釈が異なるということを地裁のKrirger判事の解釈とCAFCのDyk判事の解釈の違いを例にとり、従って、そのような示唆に基づく限定解釈をクレームの権利判断に採用するべきではないとしております。 さらに、クレームにおいてバッフルが弾丸を偏向させると言及していない点を主張しております。

 

上記Phillips社側の弁護士の弁論に対し、AWH社側の弁護士Fischer氏は最高裁判例Adams事件を参酌し、同判決の判示においてクレームは明細書を参酌し、解釈されなければならないという冒頭陳述から始まり、Michel判事の「Phillips社弁護士Manthie氏の主張に反対の点に照準を合わせて意見を述べなさい」という指示を受けております。 Clevenger判事の「図7に開示されているものはBaffleか」という質問に対して驚くことに即答で肯定しております。 その後で図7のものはクレームで言っているバッフルなのかそれとも単なる一般的なバッフルなのかははっきりとしないと述べ、但し明細書を参酌するとバッフルは弾丸を偏向するという効果を実現しないといけないと主張しております。 その後、バッフルは図6,7に開示のあるように45度、曲がったもの、複数の角度で形成されたるものなど、広範な角度レンジを備えたものであると述べております。 Gajarsa判事の核心に迫る質問「クレーム1のバッフルを90度以外に解釈するという要件の根拠は何か」という問いに対しては納得のいく解答ができず、さらにDyk判事の「クレーム識別論理 (claim differentiation theory)に基づき、クレーム1とクレーム2を読むとクレーム2では90度以外と言及しているのであるからクレーム1にはその要件は存在しないことになるのではないか」という問いにも説得性のある回答ができず、極めつけはClevenger判事のクレーム2に基づく侵害を主張されてはいないのにクレーム1は何故90度を含まないのかという問いに対してはAWH社代理人Fisher弁護士はバッフルは90度と。。。。を含むと自認した模様です。

 

その後、Phillips社側の弁護士Manthie氏に反論の機会が与えられましたが、AWH社代理人Fisher氏の発言には実質反論することもなく(主たる部分でFisher弁護士がManthie弁護士の主張を認めてしまったので反論する必要性がなくなった)辞書の活用に関する発言と下級審(連邦地裁)のクレーム解釈に対する判断をどの程度認めるかということに対して意見を述べるに留まりました。

 

その後、米国特許庁を代表し、Whealan弁護士に対して審査官が審査するときに辞書をどのように活用するのかということと実務レベルではどのようにクレームを解釈しているのかという質問がされ、Whealan弁護士は審査官は現実には辞書を活用していないことと、辞書を活用しても当業者のレベルの解釈を理解することはできないということを述べ、さらにクレーム用語を明細書の開示が限定するか否かに関してはBard及びBrookhill事件の判示がそのガイドラインになるとし、明細書と経過書類を入念に検討したうえで判断するべきであると述べております。

 

 

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