USPTO
Issued 101 Exam Memorandum in
light of Enfish (Fed. Cir. 2016-5-12) & TLI (Fed. Cir. 2016-5-17) Decisions Published May 19, 2016 | Summarized and Commented by Tatsuo YABE - June 1, 2016 |
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皮肉なことに特許庁が2016年5月4日に審査官に101条審査に対する通知(以下5月4日通知と称する)を出したその直後に101条保護適格性判断に関する2件のCAFC判決(5月12日にEnfish事件と5月17日にTLI事件)が出た。特許庁は早速5月19日に審査官に対する通知(5月19日通知)を出した。当該5月19日通知においてEnfish事件及びTLI事件の判示は5月4日通知と整合性があると述べているが、実際にはそうとは取れない点がある。即ち、5月4日通知では101条審査におけるSTEP
2AとSTEP 2Bの役割を明示するとともに厳格化している。STEP
2Aではクレームのどの要素が「例外」に相当するかを特定し、STEP
2Bではクレームのどの要素が「例外」ではないかを特定し、クレーム全体として「例外」を顕著に超えたか否かを判断し、OAできっちりと説明することを審査官に徹底するように通告している。
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(*1) Judiciary recognized
exception – 判例法で保護適格性を認められていない主題(自然現象、自然法則、抽象的なアイデアなど)
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しかしEnfish判決(コンピューター関連発明)ではSTEP
2A(Enfish判決ではステップ1)では明細書を参酌しクレームがAbstractアイデア(「例外」)に着眼しているのか、それともコンピューターの機能を向上することに着眼している(照準を合わせている)のかを判断するべきであると判示している。言い換えるとSTEP
2Aで既にクレーム全体としてAbstractアイデアを超えたものに焦点があるのかを判断するべきであると判示している。EnfishはSTEP
2Aで判断に迷うときにSTEP 2B(Enfish判決ではステップ2)での判断があると述べている。
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然るに、審査官への5月4日通知の内容とEnfish判決には明らかに不一致な点があると思料する。しかし実務者として考えると、Enfish判決においてもSTEP
2Aの判断が微妙な場合にはSTEP 2Bでの判断の必要性を述べている(Enfish判決文18ページ下段:以下コピー参照)。依って、Enfish判決に基づきSTEP
2Aを判断しようがUSPTOの5月4日通知に基づきSTEP
2Aを判断しようが、結果的にはSTEP 2AとSTEP
2Bの判断を通過した場合に101条保護適格性が認められるという結論(最終答え)は変わらない。
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依って、出願実務においては101条拒絶を受けた場合には、5月4日通知に記載されている「101条拒絶に対する出願人の対応」に基づき対応することが適切であると考える:
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「101条拒絶に対する出願人の対応」
(i) クレームを補正し(クレームにさらなる構成要素を追加、或いは、構成要素を補正し、クレームを全体として「例外」を顕著に超えたものにする、及び/又は、(ii)
審査官の101条拒絶理由が間違っているという反論、乃至は、証拠を提示し、101条拒絶に対応することが可能である。
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101条拒絶を受けた場合の出願人の対応の仕方
(A) クレームを補正し、或いは、クレーム補正しなくともクレームが「例外」を規定していないと反論する;
(B) クレームで規定している他の構成要素(「例外」以外の構成要素)によってクレームが全体として「例外」を顕著に超えたものになっていると反論する。
上記(B)で言う「顕著に超えた(“significantly
more than”」を主張するのには、
(i)
他の構成要素によってクレームの「例外」を有意義に限定する(meaningfully
limits);
(ii)
他の構成要素によって他の技術或いは技術分野に改善(向上)をもたらす;
(iii)
他の構成要素によってコンピューター自身の機能を向上させる;
(iv)
当該技術分野において周知、定常的ではない特定の構成要素(特徴)が追加されており、クレームが特定の有益な適用を実現することに限定する。-
Adding a specific limitation other than what is well-understood, routine and
conventional in the field, or adding unconventional steps that confine the claim
to a particular useful application.
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2016年5月19日、USPTO通知(5月19日通知)の概要:
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Enfish,
LLC v. Microsoft Corp.(5月12日)とTLI
Communications LLC v. A.V. Automotive, LLC判決(5月17日)に鑑みた特許保護適格性に関して:
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2016年5月12日にEnfish判決が出た。当該判決は特許保護適格性の判断基準の大枠を変えるものではない。しかしながらMayo判決2パートテストのSTEP
2AにおけるAbstractアイデアの特定に関してさらなる見解を述べた。
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STEP 2Aを判断するにあたり以下の4点を言及した。
[1] クレームがAbstractアイデアに対するものか否かを判断する場合に、当該クレームと判例法でAbstractアイデアに対するクレームであると判断されたクレームとを比較判断してもよい。
[2] STEP2Aにおける”
directed to …”という判断は「例外」に対するものか否かを判断するための十分なフィルターとして機能させるべきである。即ち、STEP2Aにおいて、明細書を参酌しクレームの特質が全体として特許保護不適格な主題に対するものか否かを判断する。
[3] クレームされた発明の照準点(focus)を理解するときにクレームを過度に一般化し、クレームの文言の縛りを解除してしまうことになってはいけない。(クレーム発明の過度の一般化は危険である)
[4] クレーム発明が汎用コンピューターによって実施可能であるということのみで保護不適格と判断するのは間違いである。
2014年の101条審査ガイダンス、2015年7月の更新版、及び、2016年5月4日付審査官への通知で記載された内容は上記4つの項目と整合性がある。
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特にEnfish判決において、ソフトウェアに対するクレームであってもコンピューター関連技術を改善する主題に対するクレームはSTEP
2Aの「例外」としてのAbstractアイデアであるとは言えない。ソフトウェアはハードウエアと同様にコンピューター関連技術に非抽象的な改善をもたらすことが多々あり、クレームがソフトウェアに対するものであるからといって自動的にAbstractアイデアではない。
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然るに、101条適格性の判断において、審査官はコンピューター関連技術に改善する主題に対するクレームをSTEP
2Aの「例外」としてのAbstractアイデアではないと判断し、STEP2BのAdditional
Elementの特定を省くという審査をしてもよい(STEP2Bをスキップできる)。
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2016年5月17日にTLI Communications LLC v. A.V. Automotive LLC判決がでた。同判決においてコンピューターの機能を向上させることに対するクレーム(非Abstractクレーム)と一般的なステップを周知のコンピューター機能で実施することに対するクレーム(Abstractアイデア)との比較がなされた。TLIのクレームはデジタル画像を記録し、管理する、保管するステップを規定しており、これら手順はデジタル画像を分類し、体系的に記憶するというAbstractアイデアであると理解される(STEP2A)。これら手順(ステップ)に電話ユニット、サーバーを使って機能を実現する他の構成要素を追加してもAbstractアイデアを顕著に超えるものではないと述べている(STEP2B)。
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結論:
STEP2AでクレームがAbstractアイデアに対するものか否かを判断する場合に審査官は現在実施しているように問題となるクレームが判例法によりAbstractと判断された概念と同様の概念を規定しているか(構成要素にあるか)否かで判断すること。クレームがコンピューター関連技術に改善をもたらす主題に対するものと判断される場合には当該クレームは判例法によってAbstractアイデアと判断された概念とは違う概念を規定していると理解できる。
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