Post Therasense Case Part 3
Ohio Willow Wood v. Alps South Fed. Cir. Nov. 15, 2013 December
2, 2013
Summarized
by Tatsuo YABE |
Therasense大法廷判決(2011年5月)後の不公正行為に関連するもので再審査係属中における出願人(OWW)の行為に対する判決(Ohio Willow Wood v. Alps: Nov. 18, 2013)がでた。
本事件において侵害訴訟開始後、Ohio
Willow Wood社(以下OWW)の271特許を無効にするためにAlpsは2度再審査を提起した。 2回目の再審査請求において、先行技術文献とその先行技術には明示されていない特徴(271特許を無効にするために要となる特徴)を補完する専門家の証言(宣言書)とを伴い再審査を請求した。 審査官はOWWの271特許を無効と判断したがOWWは審判請求し、審判請求趣意書において証言者(専門家)の信憑性を攻撃するために、当該証言者は本事件の結果に利害関係を持つ者(271特許を無効にできると利益となる)であり、その証言を補強する証拠なしには証言の信憑性はないと主張し、審判においてOWWの主張が通り、271特許の有効性が維持された(非実質的な補正はある)。 地裁判決にあるように、OWWの審判趣意書における主張(例:「証言者は利害関係者である」)はその根拠(裏付ける証拠)が全くないばかりかOWWは再審査の前に周知していた重要な情報をIDSしていないという事実が露呈した。 CAFC判決を読む限り理解に苦しむが、地裁においてはOWWの不公正行為を認定しなかった(略式判決)。 その後、控訴されCAFCは不公正行為に対する略式判決(不公正行為を構成しない)を破棄差し戻しとした。 本判決で述べられているOWW側のアクション(再審査係属中)がすべて事実とするならばTherasense判決のBUT-FOR
Materialityを満たすだけではなく、重要性の要件の例外としてあるAffirmative
Egregious Misconduct(著しく悪質な行為)をも満たすであろう。 さらに、これら状況証拠から唯一妥当に導き出される推論は「PTOを騙す意図」であることは間違いなかろう。(筆者注)
以下判決文の概要:
特許権者:Ohio
Willow Wood (以下OWW)
被疑侵害者:Alps
South, LLC,
問題となった特許:US
5,830,237
特許が関連する技術分野:
義肢(人口肢体)に使用する装着具であって、義肢使用時の苦痛を和らげる手足の切断部を覆う緩衝靴下型の装具に関し、内面にのみゲルを塗布し、外面に漏れないことを特徴とする。
事件の経緯(概要)
OWWは米国特許5,830,237号の特許権者であり、当該特許は1996年3月5日に出願され、1998年11月3日に特許証が発行された。
Claim 1
of USP5,830,237 |
|
1.
A tube sock-shaped covering for enclosing an amputation stump, said
covering having an open end for introduction of said stump and a closed
end opposite said open end, said covering comprising fabric in the shape
of a tube sock coated on only one side thereof with a foamed or non-foamed
gel composition comprising a block copolymer and mineral oil. |
|
2004年12月27日、OWWはAlps社を相手に侵害訴訟を提起した。 Alps社は侵害訴訟の係属中に当該237特許を無効にするべく再審査(共に査定系再審査)を2回起こした。 尚、当該再審査の係属中、(2006年11月22日〜2011年11月3日の間)訴訟は中断された。
注記: 尚、OWWの237特許クレームの要となる構成は靴下型チューブ状のカバー(肢体の切断部を覆うカバー)であって、当該カバーはゲルが内から外に漏れないようにコーティングされた素材を使用していることである。 依って、当該特許クレームを無効にするにはチューブ型のカバーであってその素材が内部に塗布されたゲルが外部に漏れないようなものを使用しているかであった。 然るに、以下で述べるSilipos社製の製品SSGL(237特許の有効性判断日前の1995年に公開された宣伝広告)にデュポン製のCoolmaxという素材が使用されていたか否かが決め手であった。 但し、SSGLにデュポン製のCoolmaxが使用されているか否かは刊行物に明白に記載されていなかったので専門家(COMTESSE氏)の証言に依存しなければならなかった。
一回目の再審査はSilipos社製Silosheathと呼称される先行技術を引例として237特許を無効にするべく2006年10月5日に提起された。 2007年7月16日、OWWは審査官とインタビューを実施し、当該先行技術(Silosheath)においてはナイロン繊維からゲルが外に漏れるということを説明し、クレームを実体的に補正することなく2008年9月2日に再審査が終結した。
その僅か6日後(2008年9月8日)、Alps社はSilipos社の別の製品、SSGL
(Single Socket Gel Liner)と謂う製品を開示した先行技術(1995年1月1日にO
& P Business Newsという義肢装具に関する雑誌で公開された宣伝広告:以下)にCOMTESSE氏の証言を宣言書の形式で伴い第1回目の再審査で補正され維持されたクレームを無効にするべく2回目の再審査を提起した。
審査官はCOMTESSE氏の証言を認め237特許クレームを無効とした。 再審査の結果を不服としOWWは審判請求をした。 当該審判における争点は一つで、即ち、「裏付ける証拠のないCOMTESSE氏の証言を事実と認定した審査官の判断が適切であったか否か」である。 2011年7月20日、OWWは審判趣意書(意見書)を提出し、その中でCOMTESSE氏が本件再審査の結果に利害関係のある者であり、OWWの237特許の存続がCOMTESSE氏にとって不都合であるということを説明した。 即ち、OWWはCOMTESSE氏の証言は信憑性を欠くものでそれを事実と認定した審査官の判断は間違いであると主張した。 審判部はCOMTESSE氏の証言、「COMFORT
ZONE-SSGL先行技術で開示されているSSGLという製品はCoolmax*1という素材が使用されている」はその信憑性を裏付ける証拠がないと判断した。
*1:Dupont製の素材(布)でナイロン製(Silosheath)の物よりも厚みがありゲルが外に漏れない。
さらに審判部は、COMTESSE氏は利害関係者で、OWWの237特許を自身および他者を含め製造したCoolmaxを使用したSSGLによって無効であると主張していると判断した。 2011年9月30日、審判部は審査官の判断(2回目の再審査)を維持するのにCOMTESSE氏の証言では不十分であると審決した。
2011年11月29日に非実質的な補正を加えたクレーム(以下)を維持した状態で2回目の再審査が終結した。
1. A tube
sock-shaped covering for enclosing an
amputation stump,
said amputation stump being
a residual limb,
said covering having an open end
for introduction of
said residual limb and a closed
end opposite said
open end, said covering comprising
fabric in the shape
of a tube sock, said fabric
having a coating of a foamed or
non-foamed block
copolymer and
mineral oil gel composition residing
on
only an interior surface thereof.
控訴審(CAFC)においては大別すると3つの争点があり、いずれも略式判決の申立てで地裁は3つの争点に対して略式判決の申立てを認容した。 一つ目は237特許のクレーム1,
2, 4, 15, 16, 20の無効性(テキサス東部地区連邦地裁で類似発明に関わる米国特許第7291182号のクレームが無効と判断されたという事実に鑑み争点効が生じる。182特許は237特許の出願から継続出願されたもので182特許で無効と判断されたクレームは237特許のクレーム1,
2, 4, 15, 16, 20と実質的に同じ特徴を規定していた)に再度反論できるかであり、二つ目は237特許クレーム18,
19, 21, 22, 23の自明性であり、3つ目はOWW社の不公正行為に関してAlps社が事実の重要な争点を提起できなかった(即ち、不公正行為を構成しないと判断した)である。 一つ目と二つ目の争点に関して控訴裁判所は支持したが、3つ目の争点に関しては地裁略式判決を破棄差戻しとした。
今回CAFCは上記第3番目の争点に対して地裁判決を破棄し、差し戻した。 即ち、CAFCは3つ目の争点(不公正行為の認定)に対して事実関係で重要な争点があると判断した。 その理由は概要以下の通りである:
■ 未提出の情報、或いは、正しく伝えられなかった情報の重要性に関して:
(A) 2006年にOWWに義肢装具士から寄せられた3つの宣言書(SSGLの構造ではゲルは外部に漏れない)をOWWは再審査中にIDSとして提出していない。
(B) OWWはSSGL構造(地裁の証拠より外側に漏れないゲル構造を開示していたことが理解できる)を開示したAlps社の米国特許出願(放棄となった)を周知していながらIDSしていなかった。 再審査を担当した審査官も審判官も当該特許出願に関する知識はなかった。
(C) OWWの主張、「先行技術「SSGL」は「Silosheath」と同じ技術問題を持っている」、はそれを裏付ける証拠がない。
(D) 2回目の再審査の先行技術「SSGL」は1回目の再審査で使用された先行技術「Silosheath」と同じ構造であるとCOMTESSE氏が証言したとOWWは主張しているがそれを支持する証拠がない。 寧ろ、COMTESSE氏の証言では「SSGL」は「Silpsheath」とは異なる製品であると主張している。
(E) COMTESSE氏は利害関係者であることを自認しているとOWWは主張している。 COMTESSE氏の証言によると1999年にSiliposという会社をSSLに売却している。 それ以降、OWW或いはAlps社とも一切のビジネス関係、あるいは、利害関係を有しない。 さらに、Alpsから証言に対する対価を受けていない。
(F) OWWの弁護士(Gayan氏)はCOMTESSE氏が利害関係者であるということを主張することで審判部が審査官の判断(2回目の再審査結果)を覆すのに有効であることを周知していた。
■
特許庁を騙す意図に関して:
上記事実に鑑み、2回目の再審査結果の審判において、審判官がCOMTESSE氏の証言を認めて先行技術文献SSGLを解釈すると237特許の無効が維持されることをOWWの代理人Gayan氏が周知していたことは明白である。 依って、Gayan氏はCOMTESSE氏の証言の信憑性を攻撃するべく様々な誤情報、および、誤判断を誘因する情報をPTOに提供したと理解されるであろう。 さらにOWWは様々な重要情報を隠蔽したと理解される。 上記に鑑み、OWWのこれらの行為(状況証拠)は「PTOを騙す意図があった(PTOを騙すために行った)」ということが、唯一最も妥当な推論として導き出せる
(“deceptive intent” must be the single
most reasonable inference drawn from the evidence)。
結論:
第3番目の争点(収集された事実からOWW社の「騙す意図」が唯一妥当な推論として導き出せるか否か)に関して地裁にて再度審理すること。
**********************************************************
Therasense判決の要旨: May 25, 2011
To prevail on the
defense of IC (inequitable conduct), the accused infringer must prove that
the applicant
misrepresented or
omitted material information
with the
specific intent to deceive the USPTO.
The accused infringer
must prove both elements “intent and
materiality” by clear and
convincing evidence.
1. INTENT: (騙す意図の要件)
u For the element of intent to deceive the USPTO:
evidence of “deliberate
decision” to deceive must be proven by clear and
convincing evidence. (「PTOを騙す意図」を証明するためには、出願人がPTOを騙すという意思決定をしたことを明白、且つ、説得性の挙証基準で証明しなければならない。)
u Proving
applicant knew of a reference, should have known of its materiality, and decided
not to submit it to the PTO does not prove specific intent to deceive. (出願人が情報を周知しており、その情報の重要性を認識するべき状況にありながら、当該情報をPTOに知らせなかったというレベルでは「PTOを騙す意図」の証明には不十分である)
u When circumstantial evidence must be relied
on, “intent to deceive”
must be the single most reasonable inference. (大法廷も「PTOを騙す意図」を直接証拠で証明することは多くの場合できないことを理解しており、状況証拠によって「騙す意図」を証明することを許容している。然し、その場合には状況証拠より騙す意図というのが唯一、最も合理的に推論されるものでなければならない。)
2. MATERIALITY: (重要性の要件)
u For the element of materiality, Fed Cir
demands evidence of “BUT-FOR
Materiality”.
The court must find that, but for the deception, the PTO would not have
allowed the claim. (BUT-FOR Materiality: 情報がPTOに正しく伝わっていればクレームが許可されなかったであろう)
u However, in making this patentability
determination, the court should apply the preponderance evidence STD and give
claim a broadest reasonable interpretation.
3. EXCEPTION: (But For Testの例外)
u As a major exception, the court holds that in
cases involving affirmative egregious misconduct, “but for materiality”
needs NOT be proven.
u Example of Affirmative Egregious Misconduct
– unmistakable false affidavid (BUT-FOR Materialityの例外としては「甚だしく悪質な行為“例えば重要事項を宣誓書で偽る”」がある場合にはBUT
FORが証明されなくとも重要性の要件の証明となる)
Post
Therasense Decisions
(1)
Powell v. Home Depot
(Fed. Cir. Nov. 2011)
(2)
Aventis Pharma v.
Hospira (Fed. Cir. April 2012)
(3) 1st Media v. Electronic Arts, SONY (Fed. Cir. Sep. 2012)
(4) Intellect v. HTC (Fed. Cir. Oct. 09, 2013)
(5)
Ohio Willow Wood v. Alps South LLC, (Fed. Cir. November 15, 2013)
(1)
Powell
v. Home Depot (Fed. Cir. Nov. 2011)
Powellは審査を促進するために、特許でカバーされる製品(電動ノコの安全カバーに関する)の製造販売を理由にMPEP708.02によるMake
Specialの申請をし、その適用を受けていたが、Home
Depotとの契約が頓挫したため既に製造販売の計画を中止し、Special
Statusを受ける状態ではなくなったが、Powellは当該事実を黙認していた。黙認された事実はTherasense判決の「重要性」の要件を満たさないのでIC(Inequitable
Conduct)を構成しない。
(2)
Aventis
Pharma v. Hospira (Fed. Cir. April 2012)
Claimed Invention:
-- covers Avenis Pharma’s chemotherapy cancer
drug Taxotere, which was administered in an aqueous solution called a “perfusion”.
The prior art surfactant used to form the solution triggered allergic reactions,
including anaphylactic shock. To
overcome the problems, the patented formulation uses a different surfactant and
limits the amount of ethanol, as compared to prior art formulation.
発明者が自己の発明に至るための重要な実験(提出されなかった参照文献に開示されていた)を開示した参照文献をIDSせずに、問題点を開示した先行技術文献のみをIDSとして提出した行為は、重要性の要件とだます意図の要件(本来提出するべき参照文献をIDSしなかったという事実から類推されるもっとも妥当な単一の理由である)を満たすとし、IC(Inequitable
Conduct)と判断した。
(3)
1st
Media v. Electronic Arts (Fed. Cir. Sep. 2012)
許可可能通知発行後であって登録料納付前の期間(所謂第3ステージ)に対応欧州特許出願のSRでY表示の引例が引用された。当該Y引例をIDSしなかった理由に対する発明者とその代理人の証言は信憑性に欠くところがあるが、Therasense判決による「騙す意図」は証明されていない。 即ち、発明者も代理人も(a)引例の存在を周知していた;(b)引例の関連度合(重要性)が高いことを周知していたかもしれない;(c)USPTOに知らせなかった;
上記(a)〜(c)の事実認定ではTherasenseで判示されたIC
(Inequitable Conduct)の証明には不十分である。「騙す意図」を証明するには(A)引例の存在を周知していた;(B)その重要性を周知していた;(C)意図的にそれを開示しなかった。という3つの要件が証明されなければならない。本事件では特に(C)[“made a
deliberate decision to withhold it.”]の証明が欠落している。
最高裁: 上告棄却
Sony
Entertainment America v. 1st Media LLC
最高裁は2013年5月13日にSolicitor
General(合衆国の総務長官)に助言を求めた。 2013年9月にSolicitor
Generalの意見がでた。 それによると最高裁で裁量上訴を認めるべきではないとのこと。 その理由は、Therasense大法廷で判示された法理は正しいということと、SONYが当該法理を極端に硬直的に解釈しているということと、本事件の下級審において「重要性」に関して議論がされていないのでTherasense大法廷の法理を見直すには不十分である。 要は、「騙す意図」の証明には(1)情報を周知している;(2)当該情報が重要であることを認識している;そして(3)当該情報を審査官に意図的に知らせなかった。という3つの項目を証明する必要がある。 即ち、情報の「重要性」は「騙す意図」を証明するためにも不可欠な要件である。 さらに、Therasense大法廷判決が出てから2年程しか時間が経過しておらず当該法理を見直すために十分なPost-Therasense判決がでていない(即ち時期尚早である)。
2013年10月15日、最高裁はSolicitor
Generalの助言の基に上告を棄却した。
(4)
Intellect
v. HTC (Fed. Cir. Oct. 09 2013)
特許権者: Intellect Wireless, Inc.
被疑侵害者: HTC Corporation and HTC America,
Inc
問題となった特許: Intellectの2つの米国特許(USP7266186とUSP7310416)
電話の相手側が画像に表示されるポータブル電話に関する発明。
Intellectの発明者Henderson氏は引例の地位を否定するために、規則131条に基づく宣言書によって発明日を引例の日よりも遡及することを試みた。 最初の131条宣言書において発明の実施化の日に関して明らに偽りの陳述(unmistakably
false)をした。1993年7月時点でHenderson氏は発明の実施化を証明するための試作品の実演も何もしていなかった。その後の131条宣言書において最初の宣言書の明らかな虚偽を認めることなく、製品の仕様書及び梱包の領収書を添付するなどし、さらに発明の実施化に対する虚偽の陳述をした。
地裁において宣言書で明らかな虚偽の陳述を「重要性の要件」を挙証する例外の「甚だしく悪質な行為(Affirmative Egregious Misconduct: see below (II-a))」に相当すると判断し、Therasense大法廷判決の法理に基づく「重要性」の要件が証明されたと判断した。
尚、状況証拠(初回と2つめの宣言書において発明の実施日に対する明らかな虚偽を述べた)によって、出願人がPTOを騙すという目的で実行されたことが、唯一、最も妥当に推論される(single most reasonable inference: see (I) below)と判断し、Therasense大法廷判決の法理に基づく「意図」の要件が証明されたと判断した。
上記によりHerndersonの行為は不公正行為を構成すると判断し、Herndersonの2つの特許(USP7266186とUSP7310416)を権利行使不能とした。
Fed Cirは地裁判決を全面的に支持した。
(5)
Ohio
Willow Wood v. Alps South, LLC (Fed. Cir. Nov. 15 2013)
特許権者: Ohio Willow Wood
被疑侵害者: Alps South LLC.
問題となった特許: US 5,830,237
義肢(人口肢体)に使用する装着具であって、義肢使用時の苦痛を和らげる手足の切断部を覆う緩衝靴下型の装具に関し、内面にのみゲルを塗布し、外面に漏れないことを特徴とする。
本事件において侵害訴訟開始後、Ohio
Willow Wood社(以下OWW)の271特許を無効にするためにAlpsは2度再審査を提起した。 2回目の再審査請求において、先行技術文献とその先行技術には明示されていない特徴(271特許を無効にするために要となる特徴)を補完する専門家の証言(宣言書)とを伴い再審査を請求した。 審査官はOWWの271特許を無効と判断したがOWWは審判請求し、審判請求趣意書において証言者(専門家)の信憑性を攻撃するために、当該証言者は本事件の結果に利害関係を持つ者(271特許を無効にできると利益となる)であり、その証言を補強する証拠なしには証言の信憑性はないと主張し、審判においてOWWの主張が通り、271特許の有効性が維持された(非実質的な補正はある)。 地裁判決にあるように、OWWの審判趣意書における主張(例:「証言者は利害関係者である」)はその根拠(裏付ける証拠)が全くないばかりかOWWは再審査の前に周知していた重要な情報をIDSしていないという事実が露呈した。 CAFC判決を読む限り理解に苦しむが、地裁においてはOWWの不公正行為を認定しなかった(略式判決)。 その後、控訴されCAFCは不公正行為に対する略式判決(不公正行為を構成しない)を破棄差し戻しとした。 本判決で述べられているOWW側のアクション(再審査係属中)がすべて事実とするならばTherasense判決のBUT-FOR
Materialityを満たすだけではなく、重要性の要件の例外としてあるAffirmative
Egregious Misconduct(著しく悪質な行為)をも満たすであろう。 さらに、これら状況証拠から唯一妥当に導き出される推論は「PTOを騙す意図」であることは間違いなかろう。
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