USPTO Issued 101 Exam Memorandum

(May 4, 2016)

Subject Matter Eligibility

With New Eligibility Examples 28-3

Published May 4, 2016

Summarized and Commented by Tatsuo YABE - May 17, 2016

 

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201654日付の審査官に対する101条審査メモランダム(通知)が公開された。当該メモランダムにおいて、101条審査の仕方を再確認するとともに101条拒絶理由をどのようにOAで記載するべきか、101条拒絶に対する出願人の応答(反論)をどのように評価するべきかが通知された。本メモランダムと同時期に101条保護適格性に対するExamples 28-33が追加され、公開された。当該Examples 28-33は診断手法及び自然ベースの生成物に対する特許保護適格性に関する。

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即ち、2014年に公開された特許主題適格性に対するガイダンス2014 Interim Eligibility Guidance: 以下2014年IEGと称する)と20157月に更新されたガイダンスJuly 2015 Update: 2015年IGと称する)を101条適格性審査においてどのように適用するかを解説するものである。本メモランダムによって101条審査の仕方が変わったわけではない。寧ろ、経験年数、技術分野における習熟度に格差のある一万人弱の米国特許庁審査官の101条に対する拒絶理由の記載事項に一貫性(審査のQuality維持)を持たせるべく審査官にガイドラインを通知したものと理解する。

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上記したように、今回公開された101条審査メモランダム2014年IEGで公開された2パートテストを変更するものではなく、寧ろ、審査官に当該テストに基づく101条審査の手順を徹底すること、及び、101条拒絶の根拠をOAで明示することの重要性を述べている。 

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即ち、2パートテストのステップ2Aにおいてクレームの構成要素の何が「例外」と解釈されるのかを特定すること、どの「例外」の範疇(Abstractアイデア、自然現象、法則)に入るのかを明示すること、ステップ2Bにおいてはクレームの何が「例外」以外の構成要素に相当するのかを特定し、何故、それらの構成要素を(個別に或いは組み合わせて)考慮に入れてもクレーム全体として「例外」を顕著に超えて(“significantly more than”)いないかの理由を説示することが重要であると述べている。(ステップ2A、2Bの分析に関しても拒絶理由通知でかなり詳述しなければならない。審査官にとっては負担増となる) 

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尚、ステップ2Aにおいて、クレームの構成要素に自然ベースの産物(nature-based product)が含まれている場合に、その構成要素が自然の産物(product of nature)に対してその構造、機能、或いは、他の特性が顕著に相違(markedly different)しない場合には自然の産物という「例外」の範疇であると判断することを再確認している。 残念ながら、顕著に超えた(“significantly more than”)というフレーズと顕著に異なる(“markedly different”)というフレーズに関する追加説明はなされていない。

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注記すべきはステップ2Aにおいてクレームの構成要素が「例外」に属するか否かを判断するのに補足資料32015年IGAppendix 3と同じ)でリストアップされた101条関連の最高裁及びCAFCの判例を根拠に使うことを審査官に奨励している。(弁護士資格のない通常の技術系審査官にとっては非情に不得手なことである)

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出願実務者の経験として、2014年以降(Alice最高裁判決と2014年IEGに過剰反応して)は特にソフトウェア関連発明(筆者は化学関係は担当していない)で理不尽な101条拒絶が増えたと思う。然し、上記したように本101条審査メモランダムによって、101条拒絶に対する審査官の負担が大きくなると予想される。依って、今後は理不尽な101条拒絶は軽減されると予想する。

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尚、101条拒絶に対する出願人の反論の仕方は本101条審査メモランダムで大きな変更はない。以下[2]を参酌されたい。 但し、「例外」をごくごく特定の分野に制限して適用する(即ち、Pre-emptionはない。後発者の発明を阻害するように「例外」に対して広汎な範囲で排他権を行使するものではない。)という反論は否定されている。以下[1-3]の末尾を参酌されたい。

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尚、2014年以降101条関連のガイダンス及び補足資料が数多く公開されたので以下に出願実務に重要或いは参酌されるべきと考えるものリンクをリストアップする:

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 20165月に公開された審査官に対する101条審査メモランダム

  20165月、101条審査メモランダムと同時期に公開された補足資料:

-- 補足資料1これまでに公開したExamples(合計27)に追加しLife Science関連のExamples 28-33

-- 補足資料2これまでに公開した計27Examplesと今回のExamples 28-33の一覧表

-- 補足資料3101条に関連する最高裁判決とCAFC判決の一覧表

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  20157月に更新されたガイダンスJuly 2015 Update: 2015年IGと称する):(2014年IEGを継承するもので「例外」の一つのカテゴリーであるAbstractアイデアの定義が詳述された。)

  2015年IGと同時期に公開された補足資料:

-- Appendix 1: これまでに公開したExamples(合計20)に追加しExamples 21-27

-- Appendix 2: これまでに公開した計20Examplesと今回のExamples 21-27の一覧表

-- Appendix 3: 101条に関連する最高裁判決とCAFC判決の一覧表

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  20141216日に公開された特許主題適格性に対するガイダンス2014 Interim Eligibility Guidance: 以下2014年IEGと称する):(20146月のAlice最高裁判決に鑑み2パートテストが構築された。20143月に公開された2パートテストとはステップ2Aで自然ベースの産物に対する注記が追加された)

--  2014-IEGに対するCBT(Computer Base Training)パワーポイント資料20152月公開)

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以下、201654日付101条審査メモランダム(通知)の概要と筆者のコメント:

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[1] 101条拒絶をするときには少なくとも以下の事項を拒絶理由で明示することを促している。

[1-1]  2014年IEGで公開された101条審査のフローチャートのステップ1を判断する。即ち、クレームが101条で規定する4つのカテゴリー(process, machine, manufacture, composition of matter)の何れにも属さないと判断される場合にはステップ1において特許保護適格性がないと判断し、101条拒絶する。

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[1-2] 2014年IEGで公開された2パートテストのステップ2A

2014年IEGで公開された2パートテストのステップ2Aにおいてクレームが特許保護適格性の例外(”judicial exception”: 以下単純に「例外」と称する)を規定していると判断する場合には、(i)「例外」に対応するクレームの構成要素を特定し、何故当該構成要素が「例外」なのかを説明し、(ii)クレームの他の構成要素を特定するとともに、(iii)当該他の構成要素を個別に、或いは、組み合わせて、クレーム全体として「例外」を顕著に超えていないという理由を記載することが重要である。本メモランダムにおいて注記すべきはステップ2Aで「例外」がAbstractアイデアと判断される場合には2015730日に公開されたInterim Guidance(以下2015年IGと称する)で例示された4つのカテゴリー(“Fundamental Economic Practices”: “An Idea of Itself”: “Certain Methods of Organizing Human Activity”: “Mathematical Relationships/Formulas”)の何れの概念に相当するかを特定し2015年IGAppendix 3でリストアップされた最高裁判例とCAFC判例の何れかを根拠に「例外」であるということを示すのがベスト対応(Best Practice)であると述べている。

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尚、2015年IGAppendix 3は公に閲覧可能な状態になっていることを注記している。何故、「例外」がAbstractアイデアのときに判例を根拠に使うことをベストプラクティスであると推奨しておきながら、「例外」が自然法則或いは自然現象(a law of nature or a natural phenomenon)のときには判例を根拠にすることを推奨していないのかは不明である。事実、Mayo最高裁判決(2012年)は自然現象或いは自然現象をクレームしていると判断された有名な判決である。

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さらに、本メモランダムで注記するべきはステップ2Aにおいてクレームで規定している構成要素の「例外カテゴリー」が自然の産物Xであると判断する場合には、クレームの自然ベースの生成物Yが自然に生じるもの(自然の産物Xの自然な状態)と構造機能、或いは、他の性質に関して顕著な差異(marked difference)がないという根拠を示すことを規定している。

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クレームが自然ベースの生成物のみを規定している場合に、それがmarkedly different characteristicsを備えていると判断される場合(ステップ2でANO)には101条適格性を備えていると判断されステップ2Bの判断は不要である(2014年IEGより:筆者)

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[1-3] 2014年IEGで公開された2パートテストのステップ2B

次に2014年IEGで公開された2パートテストのステップ2Bにおいて、クレームで特定された「例外」に該当する構成要素以外の構成要素(他の構成要素と称する)を特定することを規定し、当該他の構成要素を個別に、或いは、組み合わせとして考慮してもクレーム全体として「例外」を顕著に超えたものとなっていないという理由をOAで、出願人が有効に対応できるように、説明することが重要であると述べている。尚、本メモランダムは当該理由(「例外」を顕著に超えたか否か)の根拠を2015年IGでリストした判例を基礎とすることを推奨している。尚、他の構成要素が関連技術分野において周知、ルーチン、一般的な行為(構成要素)であると判断する場合にはその理由OAで記載することと述べているが、先行技術文献等で挙証する必要はないとしている。

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尚、クレームの他の構成要素が汎用コンピューターの構成要素による一般的な機能を実行する場合にはクレーム全体として例外を顕著に超えるものとし、その例示は2015年IGを参照することを促している。2015年IGにおいて以下のように例示されている。

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-- 2015年IGより:

例えば、裁判所は(判例において)以下に列記する機能は、コンピューターによる周知で、ルーチン(通常)、且つ、従来の機能と解釈している:

- 演算を繰返し実行する;

- データを受信、処理、及び、記憶する;

- ドキュメントを電子的にスキャンする、或いは、当該ドキュメントからデータを抽出する;

- 電子的に記録を保存する;

- 精神的活動(知的活動)を自動化する;及び

- ネットワークを介してデータを送受信する(例:インターネットを介してデータを収集する)。

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上記リストはコンピューターの全ての機能が周知、ルーチン、或いは、従来のものであるという意味ではない。 また汎用コンピューターで汎用の機能を実施することを記載していればそれだけでクレームが101条適格性を満たさないという意味ではない。 裁判所において、クレームが全体として汎用コンピューターが人がアナログ実施可能な抽象的なアイデアを汎用コンピューターの機能で実現する場合には、コンピューターにより実現されるプロセスは抽象的なアイデアを顕著に超えるものではないと判示している。

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但し、汎用コンピューターの構成要素であっても「例外」と組み合わせることによって汎用を超えた機能を実行できる場合もあるということをDDR判決(DDR Holdings v. Hotels.com: US7,818,399: Fed. Cir. 2014)を引用し、審査官に注意を喚起している。

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さらに、本メモランダムで周知のコンピューターの機能を利用し、Abstractアイデアを特定の環境にのみ適用するからといっても顕著性は認められない(Flook判決において、コンピューターを活用し、Abstractアイデアを石油化学製品及び石油精製の分野に限定的に適用したが101条を満たさないと判断された)。Parker v. Flook, 437 U.S., 584, 19 U.S.P.Q. 193 (1978)

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[1-4] さらに、審査官が101条拒絶をする際に101条適格性判断のExamples 1-332014年IEG2015年IG、及び、今回のExamples 28-3320165月))を根拠にすることを禁止している。但し、出願人がこれらExamplesを根拠とし101条適格性を主張することは否定されていない(特段推奨もされていない)。

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[2] 出願人の応答に対する審査(評価)

101条拒絶に対して出願人は、(i) クレームを補正(クレームにさらなる構成要素を追加、或いは、構成要素を補正し)クレームが全体として例外を顕著に超えたものにする、及び/又は、(ii) 審査官の101条拒絶理由が間違っているという反論、乃至は、証拠を提示し、101条拒絶に対応することが可能である。

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101条拒絶を受けた場合の出願人の対応の仕方

              (A) クレームを補正し、或いは、クレーム補正することなくともクレームが「例外」を規定していないと反論する;

              (B) クレームで規定している他の構成要素(「例外」以外の構成要素)によってクレームが全体として「例外」を顕著に超えたものになっていると反論する。

上記(B)で言う「顕著に超えた(“significantly more than”」を主張するのには、

(i)   他の構成要素によってクレームの「例外」を有意義に限定する(meaningfully limits)

(ii)  他の構成要素によって他の技術或いは技術分野に改善(向上)をもたらす;

(iii) 他の構成要素によってコンピューター自身の機能を向上させる;

(iv) 当該技術分野において周知、定常的ではない特定の構成要素(特徴)が追加されており、クレームが特定の有益な適用を実現することに限定する。- Adding a specific limitation other than what is well-understood, routine and conventional in the field, or adding unconventional steps that confine the claim to a particular useful application.

 

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出願人の101条拒絶に対する反論(応答)に対して上記(A),(B)を満たすと判断する場合には審査官は101条拒絶を取り下げる。

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