USPTO Issued Guidance For Subject Matter Eligibility Analysis

of Claims reciting or involving Laws of Nature/Natural Principles, Natural Phenomena, and/or

 

Natural Products

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2014/03/04   

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March 18, 2014

Tatsuo YABE 

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筆者注:

審査ガイドライン先般のPrometheus判決(2012年、最高裁判決)の判示事項、「101条保護適格性を得るためには自然法則に追加された特徴によってクレームが自然法則を顕著に異なるものになる」という「顕著に異なる」の意味合いを解釈するためのガイドラインである。 「顕著な違い」を支持する好適な要因(a)-(f)と負の要因(g)-(L)を比較衡量することで判断するということを審査官に通知した。

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本審査ガイドラインではさらにEXAMPLES AHでもってそれら要因の適用の仕方を例示している。 筆者は自分の好みと技術理解レベルに応じEXAMPLESA,B,F,G,Hをレビュしたところ、「顕著な違い」の有り無しの判断を本審査ガイドラインに基づき検討することでシステマティックに判断ができる場合が多いことに気づいた。 

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本ガイドラインで示された「顕著な違い」を支持する「正の要因(a)-(f)」および否定する「負の要因(g)-(L)」を検討するに、単離したDNA101条保護適格性を否定したMyriad判決(2013年最高裁判決)との整合性は理解できる。 然しながら、そもそもの問題となったPrometheus事件(2012年最高裁判決)で101条が否定されたクレーム1(個々の患者に適切な薬の投与量を決定するステップ)が何故自然法則を「顕著に異なる」ものにしていないのか本ガイドラインの要因の衡量ではその結論は明瞭でないと思料する。

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Prometheus事件で問題となった米国特許6355623号のクレーム1(概要以下の通り):    

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免疫介在性胃腸疾患の治療効果を最適化する方法であって、    

a          免疫介在性胃腸疾患を有する人に、6-チオグアニンの薬を「投与するステップ」、および

b          前記免疫介在性胃腸疾患を有する人における6-チオグアニンのレベルを「決定するステップ」を有し、 

wherein

前記6-チオグアニンのレベルが、8×10**8赤血球当たり約230 pmol未満の場合には、その後のドラッグ投与量を増加する必要性を示しており、且つ、  

前記6-チオグアニンのレベルが、8×10**8赤血球当たり約400 pmolを越える場合には、その後のドラッグ投与量を減少する必要性を示していることを特徴とする。 

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6-チオグアニンのレベルが、8×10**8赤血球当たり約230 pmol未満と6-チオグアニンのレベルが、8×10**8赤血球当たり約400 pmolを超える場合で薬の投与量を変える(増減)というステップは「顕著な違い」を支持するプラスの要因(b),(c),(d),(f)を満たすと主張できるのではないだろうか。

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現在、最高裁でレビュされている Alice Corp v. CLS Bank Intl (2013126日に裁量上訴が認められた。)の判決後(本年6月後半の予定)に本審査ガイドラインが再度見直しされることになるだろう。 しかし、CLS Bank事件はそもそも10人の判事によるCAFC大法廷で多数意見がでない状態で混乱してしまった事件の上告である。 CAFCPrometheus判決(最高裁判決)に鑑み、CLS BANK事件で10人の判事が5つの異なる意見を出すに至ったという事実があり、Rader判事がこれだけ混乱してしまったので101条の条文に戻ろう(基本に戻ろう)という嘆きの3枚の補足意見を書いた。 そもそも、このようにCAFC判事がその解釈に混乱してしまったPrometheus最高裁判決(特に顕著な違いという意味合い)を今回の審査ガイドラインによって米国特許実務者の大半がクリアに納得できるレベルに解説できるわけがない。 依って、今回の審査ガイドラインは、昨今の101条関連の最高裁判決からのプレッシャーと審査官に取敢えず審査のガイダンスを与えないとPTOとしての101条審査に整合性を持たせることができないという状況でかなり無理を承知でだされたものと思える。

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依って今後の審査実務において万が一101条拒絶を受けた場合には、本ガイドラインに基づき要因(a)-(f)の多くを満たすこと、さらに、負の要因(g)-(L)の多くを満たさないということを審査においては主張することが最も妥当で現実的な対応と考える。

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但し、上記したようにCLS BANK事件の最高裁判決によって審査ガイドラインが改訂される可能性が将来にあるということと、本審査ガイドラインで審査官を説得できたとしても訴訟(特にCAFC)においてはその説得性が維持されるわけではない。 単純に言うと本審査ガイドラインは裁判所(101条判断)を拘束するものではない。

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本審査ガイドラインの概要:

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USPTOは先般の最高裁判決(2013Myriad最高裁判決、2012Mayo v. Prometheus最高裁.判決に鑑みて、特に自然法則、自然現象を、あるいは、自然に存在するものを構成要素とするクレームに対する101条の特許保護適格性に対する審査ガイドラインを公表した。

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http://www.uspto.gov/patents/law/exam/myriad-mayo_guidance.pdf

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本ガイドラインはMyriad判決後に発行された審査ガイダンス(2013613日発行)を破棄し、本ガイダンスが優先する。 但し、クレームが保護対象外のカテゴリーの一つである「抽象的なアイデア」を含む(「抽象的なアイデア」以外の保護対象外の構成要素の両方を含む場合にも)場合には既存のMPEP2106(II)に基づき判断する。

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基本的に以下のステップで判断する。 

 

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1ステップ:

クレームは101条で規定する4つのカテゴリーのいずれかに属するか?

NOの場合には101条で拒絶。

YESの場合には第2ステップに移動。

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2ステップ:

クレームが、判例に基づく101条保護対象外のものを含むか、あるいは、規定しているか?

Does the claim recite or involve judicial exception (i.e., abstract ideas, laws of nature/natural principles, natural phenomenon, and natural products)?

2ステップでNOの場合にはクレームは101条を満たす。

2ステップでYESあるいは不明)の場合には第3ステップに移動。

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3ステップ:

クレームは全体として、判例による101条保護対象外のものよりも「顕著に異なる」ものとなっているか?

(Does the claim as a whole recite something significantly different than the judicial exception(s)?

3ステップでYESの場合には101条を満たす。

3ステップでNOの場合には101条で拒絶。

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3ステップにおける「顕著に異なる-“Significantly Different」をどのように判断するのか?

いくつかの手法で判断ができる、(1)クレームに保護対象外の要素にさらなる要素・ステップが追加されており、当該追加の要素・ステップによって保護対象外の要素を顕著且つ実用的に適用する;(2)クレームの構成要素・ステップによってクレーム主題が自然に存在するものとは顕著に異なる主題となっている場合。 以下の要因を衡量することで第3ステップに回答を見出すこと。 実際には特許保護主題であるか否か(101条を満たすか否か)は単一で且つ単純な判断事項ではない。 ケースバイケースで各要因を判断しなければならない。 「過度の実験が必要となるか否かの判断」、即ち、Wands要因の分析と類似する。

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以下の6つの要因は101条を満たす方向を示す:

a)     クレームはもの(物)のクレームであり、自然界に存在するものをクレームしているように見えるが、分析をすることによってクレームとしては自然界で生じるものではなく、且つ、自然に生じるものの構造とは明らかに異なると判断される;

b)    保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしており、当該追加の要素・ステップによってクレームが重要な限定を含み、他の者が保護対象外のものを利用することを実質的に阻害しない。

c)     保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしており、当該追加の要素・ステップが保護対象外のものに顕著に係わっている。

d)    保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしており、当該追加の要素・ステップが、保護対象外のものを応用、活用するための一般的な指示を超えたものを与える。

e)     保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしており、当該追加の要素・ステップが特定の機械を追加し、あるいは、特定のものに変革を与え、これら機械あるいは変革によって保護対象外の物に、あるいは、保護対象外の物と統合することによって、それらに個別且つ具体的な実用性を与える。

f)     保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしており、当該追加の要素・ステップが当該技術分野において周知、通常、またはルーチンを超えた特徴を加える。

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以下の6つの要因は101条を満たさない方向を示すものである:

g)    クレームはもの(物)のクレームであり、自然界に存在するものをクレームしているように見え、自然に生じるものの構造とは顕著に違わない。

h)     保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしているが、当該追加の要素・ステップはごく一般的な記載であり、他者が保護対象外のものを通常利用することを包括する。

i)      保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしているが、それらは他者が保護対象外のものを利用するのに必要なことがらである。

j)      保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしているが、当該追加の要素・ステップが、保護対象外のものを応用、活用するための一般的な指示を超えるものではない。

k)     保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしているが、当該追加の要素・ステップは些細な付随的なもの(課題解決に対して意味のない余分なもの:”extra-solution activity”)にすぎない。

l)      保護対象外の構成要素にさらなる追加の要素・ステップをクレームしているが、当該追加の要素・ステップが当該技術分野における単なる使用にすぎない。

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Examples

ここでは筆者の興味と技術の理解レベルに鑑み、A,B,F,G,Hのみ紹介する。 残りの例題(EXAMPLES)はガイドライン(原文)を紹介されたい。

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A.    Composition/Manufacture Claim Reciting a Natural Product

Claim 1: A stable energy-generating plasmid, which provides a hydrocarbon degradative pathway.

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Claim 2: A bacterium from the genus Pseudomonas containing therein at least two stable energy-generating plasmids, each of said plasmids providing a separate hydrocarbon degradative pathway.

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Background Information:

Stable energy-generating plasmids exist within certain bacteria in nature.  Pseudomonas bacteria are naturally occurring bacteria. Naturally occurring Pseudomonas bacteria containing a stable energy-generating plasmid and capable of degrading a single type of hydrocarbon are known.

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上記クレーム1はステップ1を満たす。 ステップ2も満たす。 依って、ステップ3を検討する。 上記クレーム1においてクレームされたplasmidと自然界のplasmidsと構造的な違いがないので要因(a)を満たさない。 クレームには自然界に存在するもの(特許保護対象外のもの)にさらなる構成要素を追加していないので、上記b) – f)はチェックする必要なし。 上記要因g)は満たされる。 依って101条を満たさない。

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上記クレーム2はステップ2YESかどうかはっきりしない。依ってステップ3に進む。 ステップ3で「顕著な違い」を検討するにあたり、クレームされたバクテリアは自然界に存在するバクテリアとは顕著に異なる(クレームされたバクテリアは少なくとも2つの異なる炭化水素を分解する。 ステップ3の要因a)を満たす。 要因g)は満たさない。 依って101条を満たす。

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Chakrabarty最高裁判決(自然界に存在するバクテリアに4つのプラスミドを追加して遺伝子を組み替え、原油を分解する能力を備えた。)は101条保護を受けると判断された。 Myiad判決(2013年最高裁判決)において最高裁はChakrabarty判決を見直し、同判決を支持した。

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B.    Composition vs. Method Claims, Each reciting a natural product:

Claim 1:

Purified amazonic acid.

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Claim 2:

Purified 5-methyl amazonic acid.

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Claim 3:

A method of treating colon cancer, comprising:

              administering a daily dose of purified amazonic acid to a patient suffering from colon cancer for a period of time from 10 days to 20 days,

              wherein said daily dose comprises about 0.75 to about 1.25 teaspoons of amazonic acid.

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Background:

The Amazonian cherry tree is a naturally occurring tree that grows wild in the Amazon basin region of Brazil.  The leaves of the Amazonian cherry tree contain a chemical that is useful in treating breast cancer, however, to be effective, a patient must eat 30 pounds of the leaves per day for at least four weeks.  Many have tried and failed to isolate the cancer-fighting chemical from the leaves.  Applicant has successfully purified the cancer-fighting chemical from the leaves and has named it amazonic acid. The purified amazonic acid is structurally identical to the amazonic acid in the leaves, but a patient only needs to eat one teaspoon of the purified acid to get the same effects as 30 pounds of the leaves.  Applicant has discovered that amazonic acid is useful to treat colon cancer as well as breast cancer, and applicant has also created a derivative of amazonic acid in the laboratory (called 5-methyl amazonic acid), which is structurally different from amazonic acid and is functionally different, because it stimulates the growth of hair in addition to treating cancer.

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上記CLAIM 1はステップ1を満たす。 ステップ2も満たす。 依って、ステップ3を検討する。 上記クレーム1においてクレームされた蒸留されたACIDと自然界(アマゾン)に存在する葉っぱのACIDと構造的な違いがないのでステップ1を満たさない。 クレームには自然界に存在するもの(特許保護対象外のもの)にさらなる構成要素を追加していないので、上記b) – f)はチェックする必要なし。 上記g)は満たされる。 依って101条を満たさない。

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CLAIM 2はステップ1を満たす。 ステップ2も満たす。 依って、ステップ3を検討する。 上記クレーム2においてクレームされた5-methyl amazonic ACIDと自然界(アマゾン)に存在する葉っぱのACIDと構造的な違いがある(5-methyl GROUPが追加されている)のでステップ1を満たす。 ステップ3で顕著な違いを主張するのに、機能的な違いを証明する必要はないが、5-Methyl Amazonic ACIDを追加することによって機能的にも顕著に異なることが理解された。 クレームには自然界に存在するもの(特許保護対象外のもの)にさらなる構成要素を追加していないので、上記b) – f)はチェックする必要なし。 上記g)は満たされる。 依って101条を満たす。

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上記CLAIM 3はステップ1を満たす。 ステップ2も満たす。 依って、ステップ3を検討する。 

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正の要素を分析する:

a)を分析する必要はない(クレーム3は方法クレームであってもののクレームではない)。 追加された要素・ステップによって、ACIDの投与量とその期間、さらには投与されるべき患者の病状を明確に限定しており、AMAZONIAN ACIDをそれ以外の目的で使用する人の行為を阻害しない、よって要因b)を満たす。 AMAZONIAN ACIDを投与するステップは保護対象外のもの(AMAZONIAN ACID)に顕著な係りをもっているので、要因c)を満たす。 投与量と期間を限定したステップはAMAZONIAN ACIDの使用に対して一般的な指示を超えた特徴を規定しているので要因d)を満たす。 MOT(machine or transformation)はクレームに規定されていないので要因e)は満たさない。 従来のAMAZONIAN ACIDの活用は乳がんに対するものであったが、大腸がんに対する使用は周知ではなかったし、ルーチン、あるいは、通常のAMAZONIAN ACIDの活用法ではなかったので要因f)を満たす。

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負の要因を分析する。

まず、方法クレームなので要因g)は関係ない。 投与するステップは投与量及び期間および対象となる病状を規定しており、それらは一般的な規定ではないので要因h)を満たさない。 AMAZONIAN ACIDはクレーム3で規定するステップ以外にも使用法があるので要因i)を満たさない。 AMAZONIAN ACIDが大腸がんに効力があるということは周知ではなかったので要因j)を満たさない。 クレーム3で規定された投与ステップはAMAZONIAN ACIDの使用に付随する些細なステップではないので、要因k)を満たさない。 同様に、クレーム3で規定された投与ステップは業界におけるAMAZONIAN ACIDの一般的な使用ではないので要因L)を満たさない。

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上記分析の結果、101条保護にプラスの要因を満たす度合いの多さ、および101条保護にマイナスの要因を否定する度合いの多さから、ステップ3の「顕著な違い」があると判断される。 依って、クレーム3101条を満たす。

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F. Process Claim Involving a Natural Principle and Reciting Natural Products:

Claim

A method for determining whether a human patient has degenerative disease X, comprising:

              obtaining a blood sample from a human patient;

              determining whether misfolded protein ABC is present in the blood sample, wherein said determining is performed by contacting the blood sample with antibody XYZ and detecting whether binding occurs between misfolded protein ABC ad antibody XYZ using flow cytometry, wherein antibody XYZ binds to an epitope that is present on misfolded protein ABC but not on normal protein ABC; and

              diagnosing the patient as having degenerative disease X if misfolded protein ABC was determined to be present in the blood sample.

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ステップ1(方法クレーム),ステップ2(自然界に存在する血中のプロテインABC、変性疾患Xは自然の原理であり、血とプロテインは自然の生成物である)を満たすのでステップ3を分析する。 クレームは全体として自然の原理を顕著に超えたものである。 依って、ステップ3を満たす。 

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正の要因を検討する:

要因A)は関係ない。 抗体XYZを使用し、プロテインABCと結合させ、フロー血球計算機器(フローサイトメトリー)によって結合の結果を検出することによってクレームを限定しており、他の者がミスフォールド(異常な折り畳み構造の)プロテインABCを検出し相関関係に用いることを阻害しない。 依って要因b)を満たす。 追加された構成要素は自然の原理に顕著な係りを持つので要因c)を満たす。 クレームされた構成要素は自然の原理を一般的な説明を超越しているので要因d)を満たす。 MOTは関連しないので要因e)は満たさない。 明細書(明細書に抗体XYZは自然界に存在しないと説明されている)に抗体XYZは当該技術分野において周知、ルーチン、通常のものではないので要因(f)を満たす。

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負の要因を検討する:

要因(g)は関係ない。 クレームは一般的なことを規定していないので要因(h)を満たさない。 クレームで追加された構成要素によって他の者が相関関係を活用することを阻害しない。 他の者がミスフォールド(異常な折り畳み構造の)プロテインABCを血液から検出するときに患者から血液を採取しなければならないが他者は抗体XYZ(新しく作られた抗体)を利用する必要はない。 依って要因(i)を満たさない。  抗体を利用し、結合させて、フローサイトメトリーを活用してプロテインの存在を検出すること自体はルーチンワークであるが、抗体XYZ(新しく作られた抗体)と結合させ、プロテインの存在を検出するのはルーチンワークではない。 依って、要因(g)を満たさない。 上記要因c)、(d)で述べた理由によって要因(K,(L)も満たさないことは明らかである。

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上記分析の結果、「顕著な違い(101条による保護適格性を満たす)」に結びつくプラスの要因を満たす度合いが高いこと、「顕著な違い」を否定する要因を満たす度合いと比較衡量すると、ステップ3の「顕著な違い」があると判断される。 依って、クレーム3101条を満たす。

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G.  Process Claims Involving a Natural Principle:

Claim 1:

A method for treating a mood disorder in a human patient, the mood disorder associated with neuronal activity in the patient’s brain, comprising:

              exposing the patient to sunlight, wherein the exposure to sunlight alters the neuronal activity in the patient’s brain and mitigates the mood disorder.

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Claim 2:

A method for treating a mood disorder in a human patient, the mood disorder associated with neuronal activity in the patient’s brain, comprising:

              exposing the patient to a synthetic source of white light, wherein the exposure to white light alters the neuronal activity in the patient’s brain and mitigates the mood of disorder.

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Claim 3:

A method for treating a mood disorder in a human patient, the mood disorder associated with neuronal activity in the patient’s brain, comprising:

              providing a light source that emits white light;

              filtering the ultra-violet (UV) rays from the white light; and

              positioning the patient adjacent to the light source at a distance between 30-60 cm for a predetermined period ranging from 30-60 minutes to expose photosensitive regions of the patient’s brain to the filtered white light, wherein the exposure to the filtered white light alters the neuronal activity in the patient’s brain and mitigates the mood disorder.

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Background Information:

It is well-documented natural principle that white light affects a person’s mood.  Exposure to white light changes neuronal activity in the brain, which changes a person’s mood. Sunlight is a natural source of white light.  It is well-understood, purely conventional and routine in the art of treating mood disorders to expose a person to white light in order to alter their neuronal activity and mitigate mood disorder.

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クレーム1はステップ1、ステップ2を満たす。 依ってステップ3の「顕著な違い」の存在を検討する。 

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正の要因を検討する:

要因a)は関係ない。 クレームの特許保護対象外のものに追加された構成要素は患者を太陽光にさらすというステップのみでクレーム全体の権利範囲に意味のある限定を加えることにはならない。 依って要因b)を満たさない。 患者を太陽光にさらすというステップは自然の原理をクレームで統合させるので要因C)は満たされる。 しかし患者を太陽光にさらすというステップは自然の原理と自然現象をごく一般的に活用(当該ステップは一般的な指示にすぎない)するだけなので要因(d)は満たされない。 MOTは適用されないので、要因e)は満たさない。 人を太陽光にさらすというステップは気分障害の患者を治療するのに周知で、ルーチンなステップなので要因f)は満たされない。

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負の要因を検討する:

要因(g)は関係ない。 患者を太陽光にさらすということは至極一般的なことなので、太陽光を活用するというほとんどすべての行為を包括してしまうことになる。依って、要因(h)を満たす。 太陽光を活用するということは人あるいは物をそれにさらすということである。 依って、要因(i)を満たす。[ガイドラインのこの部分少し不明] 気分障害の治療として患者を太陽光にさらすというのは周知、且つ、ルーチンワークなので要因(j)を満たす。 患者を太陽光にさらすというステップは自然原理をクレームしており、問題解決に余分な行為(extra-solution activity)ではないので要因(k)は満たさない。 患者を太陽光にさらすというステップは太陽光を単に活用することなので要因(L)を満たす。

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上記よりクレーム1には「顕著な違い」が存在しない。 依って、101条を満たさない。

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クレーム2はステップ1、ステップ2を満たす。 依ってステップ3の「顕著な違い」の存在を検討する。 

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正の要因を検討する:

要因a)は関係ない。 患者を白色光の合成光源にさらすというステップはクレームに意味のある限定を加えることになる。 他者が太陽光を利用することを無暗に阻害しない。 依って、要因b)は満たす。 要因(c)は上記クレーム1での分析と同じ理由で満たす。 しかしながら、要因(d)〜(f)のいずれも満たさない。 患者を白色光にさらすというステップは自然原理の一般的な活用(活用に対するインストラクション)にすぎない。 依って、要因(d)を満たさない。 MOTは存在しないので要因(E)は満たさない。 気分障害の治療に患者を白色光にさらすというステップは周知でありルーチン的に行われていることなので要因(E)を満たさない。

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負の要因を検討する:

要因(g)は関係ない。 患者を白色光にさらすというステップは至極一般的なステップであり、白色光を利用する他者の行為を無暗に制限する(そのような行為を包括してしまう)ことになるので要因(h)を満たす。 人を太陽光にさらす(他者が太陽光を活用するときに実施してしまう自然な行為)というステップではなく、人を白色光の光源にさらすというステップなので要因(i)を満たさない。 患者を白色光にさらすというのは気分障害の治療に対して周知であり、ルーチンワークなので要因(j)を満たす。 患者を白色光にさらすというステップは自然原理をクレームに統合するので、課題解決にとって些細で余分なステップではない、よって要因(K)は満たさない。 気分障害の治療のために患者を白色光源にさらすというステップは、自然原理を特定技術分野の環境にわずかに制限的に利用するだけなので要因(L)を満たす。

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上記より、クレーム2には「顕著な違い」が存在しない。 依って、101条を満たさない。

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クレーム3はステップ1、ステップ2を満たす。 依ってステップ3の「顕著な違い」の存在を検討する。 

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正の要因を検討する:

要因a)は関係ない。 白色光にフィルターを掛け、所定距離に患者を置き、所定時間白色光源にさらすというステップはクレームに意味のある限定を加えることになる。 他者が太陽光を利用することを無暗に阻害しない。 依って、要因b)は満たす。 要因(c)は上記クレーム1、2での分析と同じ理由で満たす。 フィルター処理と所定距離をおいて所定時間、患者を白色光にさらすというステップは自然原理の一般的な活用(活用に対するインストラクション)を超える。 依って、要因(d)を満たす。 MOTは存在しないので要因(E)は満たさない。 気分障害の治療に患者を、所定距離を開けてフィルターを掛けた白色光に所定時間さらすというステップは周知でなく、ルーチン的に行われていることではない。 依って要因(E)を満たす。

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負の要因を検討する:

要因(g)は関係ない。 患者を所定距離を開けてフィルターを掛けた白色光にさらすというステップは一般的なステップではない、白色光を利用する他者の行為を無暗に制限するものではないので要因(h)を満たさない。 人を太陽光にさらす(他者が太陽光を活用するときに実施してしまう自然な行為)というステップではなく、人をフィルターの掛かった白色光に所定間隔を置いてさらすというステップなので要因(i)を満たさない。 患者を所定間隔を開けて、フィルターの掛かった白色光に所定時間さらすというステップは気分障害の治療に対して周知でなく、ルーチンワークではないので要因(j)を満たさない。 患者をフィルターの掛かった白色光に所定間隔を開けてさらすというステップは、自然原理をクレームに統合するので、課題解決にとって些細で余分なステップではない、よって要因(K)は満たさない。 気分障害の治療のために患者をフィルターの掛かった白色光源に所定距離を開けてさらすというステップは、自然原理を当該技術分野において具体的且つ実用的に利用するので要因(L)を満たさない。

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上記より、クレーム3には「顕著な違い」が存在する。 依って、101条を満たす。

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H. Process Claim Reciting an Abstract Idea and a Natural Product:

Claim:

A method for identifying a mutant BRCA2 nucleotide in a suspected mutant BRCA2 allele which comprises comparing the nucleotide sequence of the suspected mutant BRCA2 allele with the wild-type BRCA2 nucleotide sequence, wherein a difference between the suspected mutant and the wild-type sequences identifies a mutant BRCA2 nucleotide sequence.

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ステップ1、ステップ2を満たす。 ステップ3を検討するにあたり本クレームでは保護対象外(‘wild-type BRCA2 nucleotide sequence’)に構成要素に対して僅かに「比較するというステップ」が追加されているだけで、当該「比較するというステップ」はAbstract Idea(抽象的なアイデア)にすぎない。 このように本クレームは抽象的なアイデアをクレームしているにすぎないので、既存のガイドライン、MPEP2106(II)、に基づきステップ3を判断する。 MPEP2106(II)(B)(1)(c)にあるように、クレームが抽象的なアイデアと他の保護対象外の構成要素を規定する場合においてもMPEP2106II)に基づき保護対象適格性を判断する。

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本クレームはUS6033857のクレーム1であって、 Association for Molecular Pathology v. Myriad Genetics (Fed Cir. 2012)101条保護適格性を満たさないと判断され、後に最高裁(2013)で、クレームされた「比較するというステップ」は抽象的なメンタルステップにすぎないとしてCAFCの判断を支持した。

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