eBay v. MercExchange

Oral Argument took Place on March 29, 2006

Summarized by Tatsuo Yabe

on April 4, 2006 

 

ご存知のように329日に合衆国最高裁判所で eBay v. MercExchangeの口頭審理が実施されました。 口頭審理の状況からは判決を予想するのは困難な模様です。

Justice ScaliaMercExchange(即ち権利者)を支持する側の発言(“We are talking about a property right here, and the property right is explicitly the right to exclude. All hhe’s (MercExchange) asking for is ‘give me back my property”)をしており、Chief Justice Robertsは問題となるMercExchangeの発明は自分でもできそうな簡単な発明だということを示唆する発言をし、Justice Breyerは簡単に差止めを認めることに対する危惧を述べeBay側を支持する発言をしております(1)。最高裁の判決は6月頃にでる予想です。 

争点は、特許権者は保有する特許権の実施の如何に拘らず差止めができるとした判決を変更することになるかという点にあります。最高裁は1908年の判決(2)で権利実施の有無に拘らず特許権者に差止めをする権利を認めました。そもそものルーツは、米国特許は合衆国憲法(3)にある排他権であって、他社の実施をやめさせることが根本の権利(35USC154)です。しかし差止めは無制限に認められるのではなく衡平(エクイティ)の原則に基づき所定の裁判所が認めても良い(35USC283)と後の条文に規定され、判例法(4)では以下の4項目を検討することになっています: 

(i)             差止請求人が裁判をした場合の勝率の確からしさ;

(ii)           差止請求人が被る損害が多大である;

(iii)         差止めによって両当事者の遭遇する困難の度合いを比較衡量;

(iv)         差止めによって民間の受ける影響を考量する;(4)

■ 特許権: MercExchangeの米国特許第5845265 (Electric marketplace for selling goods)

    侵害形態: eBayのオンラインでの “Buy It Now”というネットオークションの形態で、購入者が販売希望者の提示する価格で同意できる場合には即刻商売が成立するというものです。

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■ eBayを支持する議論:

CAFCは「差止めの4つの判断項目」を検討せずに地裁の差止め認めないとする判決を破棄しており、これでは『差止自由の法理』が成立してしまい、今後の地裁の裁量で簡単に差止めを許可できることになり、特許法の本来の趣旨から離れることになる。 被疑侵害者は常に人質を取られているような状態で特許権者と交渉することになり、公平な交渉が実現できなくなる。 技術水準の高い製品は数100或いはそれ以上の特許を内在しており、その中で製品の中枢には関与しない特許に関してまでも差止の脅威から逃れるために法外な和解費用を支払うことになる(5)。 

 

■ MercExchangerを支持する議論:

差止めを認めるか否かの判断基準の要が、特許権者が同所有特許を実施しているか否かであれば、技術革新(開発)のインセンティブ(動機)を損なうことになる。 即ち、運・不運に左右されるような判断基準となり、公平性を遺失することになる。 特許トロール(特許を武器に待伏せしている怪人の意味)と言う言葉が使用されているが(MercExchangerに対して)、殆どの研究開発型の大学はその用語の範疇にはいることになる。 製品を製造販売しないという理由の基にStanford大学の特許保護はMicrosoftよりも低くあるべきか?(5) 

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(1) By Peter Kaplan: Washington (Reuters) March 29, 2006)

(2) Continental Paper Bag v. Eastern Paper Bag: US 1908)

(3) The Constitution: Art I, section 8, clauses 8

              Progress of Science and useful Arts, by securing for limited Times to Authors and Inventors the exclusive Right to their respective Writings and Discoveries;

(4) Smith Int’l, Inc. v. Hughes Tool Co. 718 F.2d 1573, 219 USPQ 686 (Fed. Cir. 1983)

(5) eBay and MercExchange Have their Day in Court By Ina Steiner AuctionBytes.com March 29, 2006

 

 

 

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