Festo Corporation v. Shoketsu Kogyo Kabushiki Co., Ltd.の
CAFC大法廷判決 (2000年11月29日)
By Tatsuo YABE
December 06, 2000
均等論の適用がさらに制限
当該大法廷において、待ち望まれた均等論の適用に関する5つの質問に対する回答が成された。
概要:
本
CAFCでの裁判は、SMC(Shoketsu Kinzoku Kogyo)がFesto社の所有する米国特許4354125(Stoll特許)と米国特許B13779401を均等論の適用の基に侵害するとしたマサチューセッツ地方裁判所の判決に対して控訴されたものである。
CAFC
判決 (95-1066: Decided on November 29, 2000):Stoll
特許及びCarroll特許において均等論適用の基に侵害されたとする構成要素は、Stoll特許の審査経過及びCarroll特許の再審査中に減縮補正によって追加されたものである。 Festo社は、これら補正に対し、これら補正が特許性に関連しないという立証ができなかった。 従って、これら補正は経過書類禁反言を生じることになるので、補正された構成要素には均等論の適用は一切行えない。 従って、これら補正要素は均等論適用の基に侵害とはならない。 Festo社のStoll及びCarroll特許を均等論適用の基に侵害するとした地裁の判決は破棄。
上記判決に加えて、本
CAFC法廷においては、ワーナージェンキンソン(以下W-Jと称する)最高裁判決に残存する均等論の適用に関する問題を解消するべくCAFC大法廷で審理した。
当該大法廷は、以下に列記する5つの質問に対する回答をした。
質問1:
クレーム補正が経過書類禁反言を成立するか否かを判断するときに、
W-Jに基づく“特許性に関する実質的な理由”とは米国特許法第102条、103条拒絶、即ち、先行技術を回避するための補正を意味するのか、或いは、特許付与することに影響する如何なる事由によるものか?
回答:
クレーム補正が経過書類禁反言を成立するか否かを判断するための「特許性に対する実質的な理由」とは先行技術を回避するために実施されたものに制限されることはない。
それはむしろ、米国特許法の基に要件(101条、102条、103条、112条)となる如何なる理由も含む。 従って、米国特許法の法的要件(101条、102条、103条、112条)に関わるあらゆる理由に基づく減縮補正により、その補正されたクレーム構成要素(要件)については経過書類禁反言の法理がはたらくことになる。
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質問2:
W-J
で言及された“自発的な補正(審査官に要求されたものではなく、或いは、審査官の拒絶に対応するために実施されたものではない)”によって経過書類禁反言は成立するのか?
回答:
自発的に実施された補正も他の補正と同様に扱われる。
従って、自発補正であってもそれが法的要件に関わる理由により権利範囲を減縮するように実行された場合には、その補正されたクレーム構成要素(要件)に対して経過書類禁反言が発生する。 自発補正であろうが、それが特許庁の要請の基に実施された補正であっても、一般公衆にとっては、出願人が、特許主題を諦めたということを意味する。 特許庁が、特許性がないと判断しクレームを拒絶したときに経過書類禁反言が発生し、出願人が特許性がないと判断し、クレームを補正したときには経過書類禁反言が生じないというのは理にかなっていない。
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質問3:
クレームの補正により経過書類禁反言が成立する場合に、
W-J判決の基に、その補正されたクレーム構成要素(要件)に均等論を適用できるとすれば、適用可能な均等の幅はどの程度か?
回答:
クレームを補正することによって、補正されたクレーム構成要素(要件)に対して経過書類禁反言が成立する場合には、当該補正構成要素(要件)に対して均等の適用範囲は一切ない。(均等論適用全く禁止)
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質問4:
「クレーム補正理由が立証されないとき」には
W-J判決に基づき経過書類禁反言の推定がされるが、当該クレームの補正された構成要素(要件)にもし均等論を適用できるとすれば、適用可能な均等の幅はどの程度か?
回答:
クレーム補正理由の立証ができない場合には、補正された当該構成要素(要件)に対する均等論適用の幅はない。
(均等論適用全く禁止)
上記回答は
W-J判決でも解答されている。
質問5:
本
CAFCにおいて侵害と判決することは、W-J判決での「ある構成要素(要件)の全体を抹消するような均等論の(拡大)適用は許可されない」という要件に違反するものか? 言い換えると、本CAFC判決での侵害判決は、ALL ELEMENTルールを違反することになるか?
回答:
本法廷においては回答する必要を認めない。
現在本法廷において係争中の事件において回答する機会を得るであろう。
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本判例によって、今後、均等論の適用は益々制限されると予想される。但し、本判決を不服とし、Festo社が最高裁に上訴するかまた、最高裁が上訴を認めるかをしばらくWatchingする必要性がある。 もし上訴が成立しないのであれば、何らかの対応策を検討する必要があります。
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