FESTO en bank Decision への対応:
January 03, 2001
By Tatsuo YABE
Festo判例(en bank on November 29, 2000)によって、今後、均等論の適用は益々制限されると予想さます。 但し、本判決を不服とし、Festo社が最高裁に上訴するか、また、最高裁が上訴を認めるかをしばらくWatchingする必要性があります。 もし上訴が成立しないのであれば、米国特許出願実務者は、以下のような対応策を検討し、即、実行する必要があると考えます。
(A) 広い独立クレームと狭い独立クレームを並存するクレームドラフティング
暫定的には、今後、米国特許出願時のクレームドラフティングにおいて以下のような注意がなされるべきである。
(1)従来出願における最も広い独立クレームAを作成する;
(2)権利化が可能と予想される狭い権利範囲の独立クレームBを作成しておく;
(3)特にクレームBは112条拒絶を受けないように明瞭な用語で表現する;
(4)クレームAとクレームBの間の権利範囲を有する従属クレーム(A1;A2;A3;A4など)を段階的に作成しておく;
上記のように、独立クレームA; 独立クレームB; 従属クレームA1;A2;A3;A4を作成しておくことによって、第1回目のOAにおいて、独立クレームBが補正なしに許可とされ、従属クレームのいずれかが許可可能となるようにしておけば、許可可能となった従属クレーム、例えばA3,の許可可能理由を推定するとともに、引用された先行技術を参酌し、クレームBを権利範囲拡大方向に補正することが可能となる。 このようにクレームBを権利範囲拡大方向に補正し、それが権利化されれば、そのような補正クレームB’にFESTO判決で言う均等論適用幅をゼロにする経過書類禁反言が適用されるのを回避できる可能性があると考えられます。
上記クレームドラフティングのメリットは、通常の外国特許出願実務者のプラクティス(欧州出願クレーム、他国への出願クレームを大幅に変更したくない場合)を大きく変更することなく、本日からでも対応可能という点にあります。 要は、通常のクレームドラフティング終了後に最も権利範囲の狭い、且つ、権利化がほぼ確約されそうな独立クレームを追加するということで対応可能です。
尚、独立クレームBで使用する用語(ターム)は明細書で明瞭にサポートされているとともに、それ自体で明瞭に理解されるものでなければなりません。⇒112条第1、第2パラグラフ拒絶を受けてしまうと折角の努力が報われません。
(B) 従属クレームの廃止(出願クレーム全部を独立クレームにする)
或は、発明の重要度によっては、米国出願用クレームを全て独立クレーム形式にして出願することも有効な手段と思われます。 全てを独立クレームにしておくことで第1回目のOAにおいて(112条拒絶が無いと推定し)許可クレームが出てくる確率が高くなり、そのような許可されたクレームには経過書類禁反言が適用されません。 尚、出願クレーム20個を全て独立クレームにしても、出願時のクレーム超過費用は、17個の独立クレーム超過費用となり、約1400ドル(約15万円)であり、米国代理人の約5−7時間のTime Chargeに相当する費用であります。 この超過費用は、OAの対応(OA検討時に中間介在する人間を減らす、或は、期限延長を避ける)及び翻訳(優先権の発明の作用効果に相当する部分など重複翻訳を避ける等)を有効に実施することによって捻出可能な費用と考えます。
(C) 広い独立クレーム;中位独立クレーム; 狭い独立クレームを並存するクレームドラフティング
上記のように、全てを独立クレームにクレームドラフトするのに対し、複数の独立クレームを作成し、それぞれ、最も広いものから、中レベル、そして狭い独立クレームと段階的に権利範囲にバリエーションを持たせた独立クレームを複数個作成しておくことも有効な対応策と考えます。
例:(4つの独立クレーム1,9,10,11)
claim 1 (independent) claim 2 (dependent from claim 1) claim 3 (dependent from claim 2) claim 4 (dependent from claim 3) claim 5 (dependent from claim 4) claim 6 (dependent from claim 5) claim 7 (dependent from claim 6) claim 8 (dependent from claim 7)
claim 9 (independent: claim 3 level)
claim 10 (independent: claim 6 level)
claim 11 (independent: claim 8 level)
ここで、もし第1回目のOAでクレーム4−クレーム8が許可可能とされ、クレーム10、クレーム11が許可となれば、クレーム10をクレーム4の許可可能理由(或は推定される理由)と先行技術を参酌し、権利範囲拡大方向に補正可能であり、そのような補正で権利化された補正クレーム10’にはFESTO判決で言う均等論適用幅をゼロにする経過書類禁反言が適用されるのを回避できる可能性があると考えられます。従って、上記(A),(B)と同様の効果を得ることが可能です。
(D) 権利化しやすい狭いクレームで出願し、その後、継続出願
或は、米国出願時に第1回目のOAがNotice of Allowanceになるような権利範囲の狭いクレームで勝負し、Notice of Allowanceが発行されればRCE (Request for Continued Examination)を実施し、引用された先行技術を参酌し、妥当な権利範囲と思慮される追加クレームを盛込み審査を係属することも一つのOptionであると考えます。 (勿論、RCEでなくとも分割出願を実施することも可能です)
(E) 権利化しやすい狭いクレームで出願し、その後、Reissue
或は、出願時に第1回目のOAがNotice of Allowanceになるような権利範囲の狭いクレームで勝負し、Notice of Allowanceが発行されれば発行費を支払い、出願を権利化するとともに、特許発行後、被疑侵害形態を参酌し、その形態を包括するようなクレームを作成し、特許発行後、2年以内に再発行出願を実施することも可能性の一つです。
上記以外に有効なStrategyをお持ちの方からアドバイスを頂ければ幸いに存じます。
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