U.S. Patent Bill Has Passed
December 08, 1999
By Tatsuo YABE
米国特許法改正法案成立
1999年8月14日に下院を通過した米国特許改正法案が11月22日に上院を通過し、11月29日にクリントンに署名されて法案が成立しました。主な改正の項目は以下の通りです:
発明者の権利:
悪徳発明振興業者から発明者を保護するべく発明振興業者に情報公開の義務を課した。
米国特許商標庁の費用調整:
出願費用及び特許維持費が削減された。
先発明者の保護:
ビジネス手法に関する特許の侵害警告に対してのみ、発明者の先発明抗弁を認めた。しかし、先発明の抗弁の根拠は米国での商業上使用及び実施化によるものであり、外国での活動は抗弁の根拠とはされない。
特許権利期間の保証:
特許庁の責任で特許発行が遅れた(出願から3年以上経過した)場合には、その遅れた日数分特許期間が延長される。 但し、出願人の特許局通知に対する応答期間が3ヶ月を超える場合には延長期間から差し引かれることになる。
特許出願公報公開:
基本的に米国出願も18ヶ月公開されることになる。 しかし、対応外国出願をしない米国出願の場合には公開拒否を申請できる。 従って、従来のサブマリン特許が完全に無くなるものではない。 出願公開をする場合の利点としては公開から特許発行日までの期間に対しても仮保護の権利が認められる。
当事者間で実施可能な再審査:
これまでの通常の再審査手続き(第3者は再審査の請求時のみ特許性に対する意見を主張でき、その後は、特許権者のみに特許性の主張をする機会が与えられた)に加えて当事者間再審査制度が導入された。 基本的には米国での特許訴訟を減らそうという発想からきており、第3者が特許権者の提出する意見に対して必ず1回の書面反論(応答)の機会が与えられる。 尚、再審査中に否定された特許無効理由を後に裁判で議論することはできない。
米国特許法改正法案成立
1999年8月14日に下院を通過した米国特許改正法案が11月22日に上院を通過し、11月29日にクリントンに署名されて法案が成立しました。主な改正の骨子は以下の通りです:
発明者の権利
米国特許商標庁の費用調整
先発明者の保護
特許権利期間の保証
特許出願公報公開
当事者間で実施可能な再審査
それぞれの概要は以下の通りです。
発明者の権利:
発明振興のサービスに携わるサービス業者に対して契約情報、過去のサービス業務実績に関わる情報を開示する義務を課し、発明者が詐欺まがいの行為を受けることを回避しようとするための改正である。
施行:
2000年01月28日より有効(法案成立後60日)
米国特許商標庁の費用調整
米国特許出願費用現行760ドル → 690ドル
再発行特許出願費用現行760ドル → 690ドル
PCT出願からの国内移行費用760ドル → 690ドル
特許維持費用(初回分)現行940ドル → 830ドル
(5) 施行
上記変更は1999年12月29日より有効となる。(法案成立後30日)
先発明者の保護(抗弁)
先発明の抗弁の対象となる特許は、ビジネスを実施するための手法(ビジネス手法)に関する方法に限定される。
上記特許を基に侵害警告された人は以下の要件を満たすときに侵害を回避することができる:
当該特許の有効出願日の1年以上前に特許主題(ビジネス手法)を実施して(actual reduction to practice) いること;
当該特許の有効出願日の前に商業上使用(commercially used) していること;
注意: 上記実施と商業上の使用は米国内であること。
先発明の抗弁をする側に立証責任がある。
商業上使用を中断した場合にはその後の商業上使用に対して過去に中断した先使用を先発明抗弁の根拠として使用できない;
先発明の抗弁をする者は該当する特許のクレームに関してのみ抗弁を実施するものであり、当該特許のクレーム全体にライセンスをするものではない;
先発明の抗弁を受けたことにより当該特許が米国特許法102条或は103条の基に無効になるものではない;
(7) 施行:
上記変更は法案成立日(1999年11月29日)から有効。
但し、上記日付において係属中の侵害訴訟には適用されない。
特許権利期間の保証(延長)
以下の要件を満たすときに特許権利期間が、以下規定の期間を超える日数分延長される:
特許の発行が、以下に列記する米国特許庁の瑕疵により遅れたとき:
米国出願日より14ヶ月経っても特許局通知(拒絶、許可)が発行されないとき;
出願人が応答書を提出或はアピールしたのに対して4ヶ月経っても返事がないとき;
審判部の決定或は連邦裁判所の判決後(許可可能クレーム - allowable claim - が残存している場合)4ヶ月経ってもアクションの無いとき;
特許発行費支払い後4ヶ月経っても特許が発行されないとき。
米国特許庁は、特許出願を3年以上保留しない。3年を超える特許出願に対しては3年を超える日数分特許権利期間を延長する。 但し、以下の状況によって特許発行が遅れる場合には、責任を負わない:
(2-1) 出願人による継続出願審査;
(2-2) インターフェランス、秘密保持義務、審判部及びCAFCへの控訴による起因する場合;
以下のアクションによる特許発行の遅れは、当該遅れに相当する日数分を特許権有効期間に加算する:
(3-1) インターフェランス及び秘密保持義務に起因する場合;
(3-2) 審判部或は連邦裁判所の判決で特許性に不利な決断が撤回された場合;
(4) その他:
出願人が特許局通知に対する応答に3ヶ月以上をついやした場合、出願人は特許出願審査或は経過に妥当な努力を支払ったとはみなされない。 (延長期間から差し引かれる)
特許庁長官は特許期間を決定し特許許可通知にて通知する。
出願人は長官の決定した特許期間の再考を申請(一回)することができる。
出願人は、長官の決定に対して、180日以内にワシントンDC連邦地裁に不服申立てができる。
(5) 施行
2000年5月29日(法案成立後6ヶ月)以降の米国特許出願に適用される。
但し意匠特許出願を除く。
特許出願公開
最先優先日より18ヶ月経過後ただちに米国出願を公開するものとする。 出願人の申請によっては18ヶ月以前であっても公開することもできる。 しかし、公開公報以外の情報に関しては公開されない。
以下の場合には公開されない:
(2-1) 出願が18ヶ月時点で係属していない;
(2-2) 秘密保持命令の対象となっている;
(2-3) 仮出願の場合;
(2-4) 意匠特許出願の場合;
(2-5) 出願人が出願時に非公開を請求した場合
2-5a) 但し、当該発明が18ヶ月公開義務のある外国或は国際条約の基に出願していないことと今後出願しないことを認証する場合に有効である。
2-5b) 尚、出願人はこの申請をいつでも取り消し可能である。
2-5c) 後に18ヶ月公開制度のある諸外国に出願した場合には45日以内に特許庁長官に通知する義務がある。 そうしない場合には当該米国出願は放棄と見なされる。
編集した明細書の公開:
対応米国出願が親出願(外国出願)の記載に対して、より広範である場合には(より詳細な追記事項などがある場合)、出願人は狭い内容の外国出願(米国出願から外国出願に記載のないものを削除したもの)に対応するように米国出願を編集し、その編集明細書を最先の有効出願日より16ヶ月以内に特許庁に提出する場合には、その編集された明細書を米国出願明細書の代わりに公開することができる。
公開後のプロテスト及び意義申し立ての禁止:
長官は、出願人の明白な書面同意がある場合を除いては、出願明細書公開後におけるプロテスト或はそれ以外の意義申立て(情報提供等)が行われないようにする。
仮の権利:
米国出願が公開された場合には公開日から特許発効日までの期間に対しても仮保護の権利(妥当な実施料を得る権利)が認められる。 対象となるのは米国特許出願だけではなく、PCT国際出願で米国を指定している英文明細書にも適用される。但し、国際出願が英文以外でされた場合には特許庁が英文明細書を入手した日が仮権利の有効起算日となる。
仮保護の権利は公開明細書のクレームと実質的に同一の特許クレームに限定され、特許発行後6年以降は、仮保護の権利を主張することはできない。
仮保護の権利発生には相手への通告(米国指定の非英語による国際出願の場合には英訳を伴う)をすることが必要である。
102条(e)項に対する影響
米国特許出願公開公報は102条(e)項の基に先行技術の地位を得る。 従来は102条(e)項では米国出願はそれが権利化された場合には、米国出願日に遡及し先行技術の地位を得ると規定されていたが今後は権利化されずとも出願公開されたことによってその米国出願は米国出願日を持って先行技術の地位を得ることになる。 PCT出願の場合には英語公開されたときに上記の先行技術の地位を得る。
施行:
2000年11月29日以降の米国出願或は米国を指定するPCT出願に適用する。しかし2000年11月29日に係属中の出願に対して自発的な公開を認める。
当事者間で実施可能な再審査
概要:
従来のEx Parteの再審査手続き (35 USC 302 ? 305) に追加されたものであり、選択的に当事者間で実施可能な再審査手続きを申請することができる。
当事者間の再審査手続き:
長官は再審査請求後3ヶ月以内に実質的な特許性に対する新たな争点があるか否かを決定しなければならない。
上記決定は最終決定であり、不服申立てをすることはできない;
特許権者がクレームのスコープを拡大しない限りにおいて、特許権者は、特許クレームを補正或は新規クレームを追加することができる。
特許権者或は第3者によって米国特許庁に提出された書類は全て他方の当事者に送付される。
特許権者が特許権に関わる応答をする毎に、それに対して第3者は30日以内(第3者へ、特許権者の提出した応答書が郵送される日より)に、「1回」反論する機会が与えられている。
当事者間再審査手続きの不服申立て:
特許権者は、特許クレームに不利な再審査結果がでた場合には、審判請求或はCAFCに控訴できる;
第3者は、特許クレームに好適な再審査結果がでた場合には、審判請求することができる。
再審査による禁反言:
再審査中に提起された無効理由或は再審査中に提起できたと考えられる無効理由を後の民事訴訟において再度提起し、再審査によって有効とされたクレームを無効にできない。しかし再審査中には使用されなかった新規の引例によって無効性を争議することは可能である。
当事者間再審査手続きの禁止:
特許権者或は第3者は当事者間再審査が係属中に新たな当事者間再審査を請求することはできない。第3者は当事者間再審査において提起された無効理由を基に再度再審査を請求することはできない。(新規の引例によって無効性を提起することは可能)
訴訟の中断:
特許権者は当事者間再審査が開始された場合には、係争中の訴訟を中断することができる。
(7) 施行:
1999年11月29日より効力を有する。
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