Phillips v. AWH Corp.
AWH最高裁へ上訴 Nov. 09, 2005
AWH Petitioned for A Writ of Certiorari (Petition 原文)http://patentlaw.typepad.com/patent/Phillips_20v_20_20AWH_20Petition_20for_20Cert_20_282_29.pdf |
Summarized
By Tatsuo Yabe
On November 21, 2005
(Revised:
None)
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AWH社は以下の質問に対する最高裁の判断を得るべく最高裁へ裁量上訴を請願しました。
『CAFCは連邦地裁によるクレーム解釈の全ての観点に対して全く新たに判断をすることができるとする判示は正しいのか?』
要は、クレーム解釈とは事実と法律の両側面からなされるものであって、地裁のクレーム解釈で事実(例えば当業者による用語の理解;発明当時の技術レベルに鑑みた解釈など)を基になされる部分に対してもCAFCは全く地裁の判断を認めないのかということです。
::::::::::::::::::::::::::::::::::以下筆者注記::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Phillips
USP467798特許の代表図 |
AWH社の形態 |
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左図のバッフル30に相当する部材が壁面12、11に対して垂直に設けられている。 |
本件は連邦地裁においてマークマンヒアリングを経てPhillips氏のUSP’798特許クレーム1のBaffle(バッフル)という用語が側壁に対して90度以外のもの(側壁に対してバッフルが傾斜している形態のみがクレームのBaffleという用語の意味)と解釈されると判断され(即ちAWH社のBaffleは側壁に対して90度なので非侵害)、後にCAFCにおいて同地裁の判断が支持されました。 その後、Phillips氏によるCAFC大法廷での再審理の申請が受理され、CAFC大法廷において再審理がされることになりました。 再審理に入る前にCAFCは裁判所の友(法廷助言者)からの助言(Amicus curiae briefs)を7つの質問(*1)に対して貰い、その7番目の質問がずばり今回最高裁に裁量上訴を申請している質問であります。 CAFC大法廷による再審理の結果、内部証拠に重点を置いて再度クレーム解釈がなされ、Phillips氏USP‘798特許クレーム1のBaffleは90度以外に限定解釈されない(90度も含む、即ちAWH社の製品は文言侵害)と判断されました。
(*1): 1−6番目の質問はクレーム解釈に関して内部証拠と外部証拠のどちらを主に参照するべきかという趣旨です。
米国特許第4677798号: クレーム1:
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1. Building modules adapted to fit together for construction of fire, sound and impact resistant security barriers and rooms for use in securing records and persons, comprising in combination,
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an
outer shell of
substantially parallelepiped shaped with two
outer steel plate panel sections of greater surface area serving
as inner and outer walls for a structure when a plurality of the
modules are fitted together, |
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sealant
means
spacing the two panel sections from steel to steel contact with each
other by a thermal-acoustical barrier material, and
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further means disposed inside the shell for increasing its load bearing capacity comprising internal steel baffles extending inwardly from the steel shell walls.
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AWH社において合点がいかないのは7番目の質問に対してCAFC大法廷は過去の Cybor判決(*2)のままとし、大法廷の多数意見は今回新たに同7番目の質問に対する回答をするのを見送るとしている点であります。
(*2) Cybor Corp v. FAS Techs., Inc., 138 F.3d 1448 (Fed. Cir. 1998) (en banc):
クレーム解釈に際し下級審の判断に敬意を称する必要は全く無い(下級審のクレーム解釈は全ての観点でCAFCにて見直し可能)。
今回のPetitionにおいて、AWH社は以下の点を主張し、最高裁の裁量上訴を請求しております。
連邦民事訴訟法第52条(a)項に拠ると、連邦控訴裁判所は下級審の事実に基づく判断に関しては明瞭な間違いがないかを判断基準とし、下級審の法律判断に関しては全く新たに判断するというのが基準であり、そもそもクレーム解釈というのは事実と法律の両側面からなされるものであって、下級審が事実審理の結果判断したクレーム解釈(そもそもマークマンヒアリングで決定したクレーム解釈)に関しても一切の権威を認めずCAFCが一から全てを判断するというのは理にかなっていないと点を主張するとともにCAFCが下級審のクレーム用語解釈を破棄する率が34.5%であるという統計的数値からもCAFCはその設立の本来の目的(特許法の解釈に統一性をもたらす)よりも、寧ろ下級審の事実判断のチェックにエネルギーと時間をついやしているというのは本来のあるべき姿ではないと主張しております。
さらにCAFCはクレーム解釈基準に関し過去10年で3回大法廷審理を開き、同CAFCの姿勢(統一して地裁のクレーム解釈に全く敬意を称さないで良し)を明示しているが、その都度実態的な反対意見が出ている(今回もMayer判事とNewman判事よりかなり厳しい反対意見がでている)という事実に鑑み、さらにはCybor判決(1998年CAFC大法廷判決)から既に十分な時間が経過している、さらには本大法廷判決(2005年7月12日)の前に裁判所の友からの7番目の質問に対する助言(Amicus Curie Briefs: ABA; AIPLA; Federal Circuit Bar Association, Intellectual Property Owners Association; & USPTO)を入手しているので、まさに今回本事件がCAFCによるクレーム解釈の判断基準を最高裁が明示する絶好の機会であると主張しております。
※ Phillips氏側からのReply Briefが近時提出されると思われます。
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事件の経緯:
Phillips氏は米国特許第4677798号の特許権者であり、1989年AWH社との間で同特許に基づく製品の販売に関する実施契約を締結した。 同契約は1990年に満了し、その後1991年初頭にPhillips氏がAWH社の販売用カタログを確認したところPhillips氏の技術と関連する製品をAWH社が継続的に販売していることが判明した。 1991年1月から1992年6月にかけて当事者間で書面のやり取りが行われた。 Phillips氏の所有する同特許は(798特許)は刑務所の建造物に使用される暴力&破壊行為に対抗可能な建築モジュール(基準型壁パネルで構成される)をクレームしており、同パネルは同用途に所望される防音性、耐火性、衝撃抵抗(弾丸或いは爆弾などに対抗する耐久性)、及び軸方向及び横方向の加重支持性能を有することが記載されている。
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@ | 1997年2月3日にPhillips氏はAWH社を相手取り同特許クレーム1,21,22,24,25,26を侵害しているとしてコロラド地区連邦地裁に訴訟を提起した。 |
A | 2002年11月には連邦地裁は798特許のクレームの解釈を発表した。 同解釈によると798特許のクレームで規定されている “baffle”という用語は112条第6項の means plus functionクレームと解釈され明細書(図面)の開示を読み込むべく減縮的に解釈されると結論づけた。 同明細書の開示内容とは(1)バッフルは壁面に対して鈍角或いは鋭角である(即ち、対パネル面配置角度が90度以外);(2)バッフルは壁モジュールの中間部において係合バリアを形成するである。 |
B | 地裁は2003年1月22日、上記クレーム解釈によればPhillips氏はAWH社の侵害を証明することができないのでAWH社の非侵害の略式判決の申し立てを認めると判断した。 |
C | Phillips氏はコロラド地区連邦地裁が下した798特許非侵害の略式判決(2003年1月22日:コロラド地区連邦地裁判決)を不服としてCAFCに控訴した。 |
D | 2004年4月8日、CAFCのはNEWMAN判事、LOURIE判事)らの多数意見の下に、控訴棄却 (下級審の非侵害の略式判決を支持する。)の判決を下した。 |
E | 2004年07月21日 CAFCは2004年4月8日付けの判決(AWH社は米国特許4677798を非侵害とする地裁の略式判決を支持した)を取り消し、クレーム解釈に関してCAFCの大法廷で審理することを決定した。 審理に先立ち大法廷は7つの質問に対して法廷助言者 (amicus curiae)から意見を求めることにした。 |
F | 2005年2月8日 CAFC大法廷でヒアリングが実施された。 |
G |
2005年7月12日 CAFC大法廷判決
AWH社のバッフルに対する限定的な解釈(バッフルが壁面に垂直な形態は含まないという解釈)を認容しない。 よって、侵害クレームに関し、再審理のため地裁に差戻す。 |
H |
2005年11月09日 AWH社が最高裁に裁量上訴を請願(地裁の事実審理に基づくクレーム解釈をCAFCは全く採用しないというCAFCのクレーム解釈基準は正しいのか) |
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