■ Forest Lab v
Sigmapharm - Fed. Cir. 2019-03-14
明細書の記載によってクレームが減縮解釈:
自明性:発明者にしか認識されていなかった問題点
本事件の第1の争点は明細書で [i]“the invention relates to…”;[ii]”the title of the invention”;及び[iii]本願発明のメリットの記載によるクレームの文言解釈への影響に関する。即ち、[i]; [ii];
[iii]での開示に整合性があり、それらと非整合或いは異にする発明の開示がない場合には「the invention
relates to “X”」の”X”をクレームの権利範囲に読み込んで解釈されても仕方ないということが学べる。第2の争点は自明性の判断に関する。興味深い点は本事案特許の発明者にしか認識されていなかった問題点(アセナピンを飲み込むという服用に起因する心毒性)を解決したという事実が認定され当業者にとって予期せぬ結果(“unexpected result”)を得たと地裁は判断した。然し、CAFCは当該地裁判決を否定した。即ち、CAFCは当業者に周知されていなかった問題点を解決したということ自体でunexpected
resultを挙証したことにはならないと判示した。第2争点に関してはCAFC大法廷による見直しが必要と考える(筆者)。
■ Pacing Tech
v. Garmin Int'l - (Fed. Cir. 2015-02-18)
クレーム解釈(明細書「発明の要約部」の記載によってクレームが減縮解釈された):
明細書の要約部(Summary of the Invention)の詳細な記載によって独立クレームが限定的に解釈された顕著な判決である。本件特許明細書(Pacing社)の要約部には驚くことに19項目の発明の目的が列記されている。それだけで独立クレームが減縮解釈されるというわけではないが、それら19項目の目的を達成するために・・と続く発明の構成要件に独立クレームの構成要件よりも詳細な特徴を記載していた
■ World Class
Tec v. Ormco Corp - (Fed. Cir. 2014-10-20)
クレーム解釈(従来例の記載によってクレームが減縮解釈された):
本事件は、クレームの文言がイ号(被疑侵害形態)を含みうる広さで記載されていたが明細書に記載された従来例の問題点とそれを解決する実施例に鑑み、クレームが減縮解釈された判例の一つである。クレームを解釈する基本ルール (Canons of Claim Interpretation)として、①クレームは好適実施例を包括するようにクレームを解釈するべきである、しかし、②好適実施例の限定事項によってクレームが限定される必要はないという一見すると相反する規則がある。本事案に関して言うならば明細書の従来技術の記載欄における従来技術の問題点と当該問題点を解決するための実施例の形態に減縮解釈された。
■ Laryngeal Mask
Co., (LMA) v. Ambu AS (Fed. Cir. 2010-09-24)
112条1項の開示要件と明細書の「発明の要約部」:
本判決は、Ariad判決(2010年3月:CAFC大法廷)以降、112条第1項の「開示要件」を基礎とする無効理由が侵害裁判において頻繁に利用されていることを示す。また本件特許は100%機械発明であり、112条第1項の「開示要件」をメカ関連のクレームでどのように判断するべきかの一つの指針になる判決と考えます。また、発明の要約部(Summary
of the Invention)の記載がクレーム解釈に重要であることを再認識させる事件である。