Standard of Review (控訴審における下級審のクレーム解釈に対する判断基準) 
CAFC・最高裁判決



 Teva v. Sandoz - (Supreme Court: January 20, 2015) 
下級審の事実認定に対する控訴審での判断(review)基準:
合衆国最高裁(72)は、クレーム解釈の基礎となる地裁の「事実認定」に対する控訴審でのレビュー基準はCLEAR ERROR基準が妥当するとした。本事件の争点(控訴審における地裁のクレーム解釈に対するレビュ基準)は1995年のMarkman判決(CAFC大法廷判決)で始まり、翌年1996年のMarkman最高裁判決、そして1998年のCybor判決(CAFC大法廷)を経て2014年にLighting Ballast判決(CAFC大法廷)に至った。CAFC大法廷判決(Markman: Cybor: Lighting Ballast)は全て満場一致ではないが多数意見では地裁のクレーム解釈に対しては事実判断であるか否かに拘らずde novo基準が妥当するとした。2014年のLighting Ballastにおいては6:4で際どいところでCybor判決の判示(de novo基準)が先例の拘束性という消極的理由でもって支持された。そもそも1996年のMarkman判決において今回の争点に関して最高裁がもう少し明瞭に言及できたのにそれをしなかったことで約20年経過した今になって当時のMarkman判決で言及できたであろうことを最高裁が名言した。従って、1998年のCybor大法廷判決及び2014年のLighting Ballast大法廷判決は共に否定されたことになる。

 Lighting Ballast v. Phillips Elec. (Fed. Cir. en banc: 2014-02-21)
上級審における下級審のクレーム解釈に対するReview基準:
今回の大法廷判決の多数意見(6:4)は、1998年のCybor大法廷判決の法理(上級審でクレーム解釈をする場合に下級審の判断に拘束されることなく新たに審理する:de novo review)を支持した。⇒ 最高裁上告受理可能性?要Watch

 Wake Forest v. Smith & Nephew (Fed. Cir. 2012-08-13)
上級審における下級審の事実認定に対する判断基準:

米国特許出願審査中における自明性の判断は審査官或いは審判部が行うわけだが、訴訟において特許クレームの自明性を判断する際には、事実問題(陪審の判断事項)と法律問題(裁判官の判断事項)が入り組み、どこで線引きをするのかが必ずしも明確ではない。 今回の事件はその線引きを確認するとともに、その線が実はボヤケタ状態で地裁において運用されていること、及び、その運用をCAFCも認めていることを示す判決のひとつである。⇒ 3年後の最高裁(Teva v. Sandoz )によって事実問題と法律問題に対するレビュ基準が明瞭に判示された。

 Plasmart v. Kappos and Wang (Fed. Cir. 2012-05-22)
CAFCの審決(自明性)に対するReview基準:
審判部の自明性判断に対するCAFCでのReview基準を判示した。 CAFCにおける審決の判断基準は、審判部の事実認定に関しては十分な証拠でサポートされているか(Substantial Evidence)という基準であり、審判部の自明性に対する最終判断に対しては審判部の判断を一からReviewするという de novo基準である。