■United
States v. Arthrex Inc. -(Supreme Court: June 21, 2021)
IPR手続きを担当する行政府の特許判事は合衆国憲法に鑑み違憲:
IPRを担当する行政府の特許判事(Administrative
Patent Judges: APJ)に付与されている権限は合衆国憲法第2章2条2項の「任命条項」に鑑み違憲であると最高裁は判断した。即ち、APJはPTAB(審判部)のIPR手続きにおいて成立した特許のクレームの有効性に対して行政庁としての最終決定を出すことができる。しかしIPR手続きにおいてAPJの最終決定はUSPTOの長官によってレビュされるということはない。従って、そのような権限を持つためにはAPJは「principal
officer」という行政府のStatus(即ち、大統領による任命)を得ていなければならない。
■ THRYV Inc. v.
Click to Call Tech - (Supreme Court: April 20, 2020)
IPR手続き:
315条(b)項で規定する請求可能期限(訴訟提起後1年以内)を渡過しIPRが請求されPTAB(PTOの審判部)が審理を開始した場合に、当該請求期限に対するPTABの判断を不服とし控訴することはできない。
■ Samsung v.
PriSUA - Fed. Cir. 2020-02-04
IPR手続き:
IPR手続き進行中にクレームが不明瞭であると判断される場合にPTABは新規性及び進歩性の判断ができないとしてクレームを無効にする権限はあるのか?
■ Oil States
Energy v. Greene's Energy Group - (Supreme Court: April 24, 2018)
IPR:
最高裁によるIPR関連の判決。1件目はOil
States事件で、IPRを合憲と判断した。依ってIPRは今後も継続される。2件目はSAS事件で、IPRが開始された場合、USPTOはIPR請求人によって無効を主張されたクレーム全ての有効性を判断しなければならないとした。
■ Cuozzo Speed v.
PTO - (Supreme Court: June 20, 2016)
IPRを開始するか否かのPTOの判断に対し控訴可能か?
第1争点はIPRを開始するか否かの審判部の判断に対して控訴可能か否かであり、最高裁はAIA_35
USC §314(a)の条文で明白に規定されている通りUSPTOの判断は確定(最終)判断とし控訴不可であると判示した。第2争点はIPRにおけるクレーム解釈の基準であり、AIA_35
USC §316(a)(4)で規定されているように、IPRにおけるクレーム解釈基準はUSPTOに決定する権限が与えられていると判示した。PTOが採用しているBRI基準は、再審査、インターフェアランス等の基準と同じでIPRにおいて同基準が採用されることは妥当性を欠くものではない。