■ Celanese Int'l Corp. v. ITC - Fed. Cir. 2024-08-12
問題となったのは欧州で非開示の方法で製造された製品を米国に輸入し販売する行為によって問題となる特許(非開示の方法)は on-sale bar(販売によって新規性喪失)となり102条(a)(1)項の下に無効となるかであった。結論としてはPre-AIAの時代と102条で規定する「販売」とは同じ意味であり、販売された製品がどのように製造されたかは公に開示されている必要はない。即ち、非開示の製法で作られたものを基準日前に販売することで102条の「販売」に該当し、後に当該製法を特許することはできない。
■Sanho v. Kaijet Tech. Int'l - Fed. Cir. 2024-07-31
本CAFC判決はAIAによる102条(b)(2)(B)の新規性喪失の例外規定の適用に関する。そもそも2011年に成立したAIA(アメリカ発明者法)によって米国特許法は先発明主義から先願主義に変わった(適用されるのは2013年3月16日以降に有効出願日を持つ米国出願)。102条(a)(1)は有効出願日前の刊行物、販売、公用が引例となる。102条(a)(2)では先願(本願の有効出願日前に有効に出願された米国出願)が引例となる。102条(b)は新規性喪失の例外を規定しており、今回問題となったのは先願の有効出願日の前の販売行為が102条(b)(2)(B)で規定する「公衆への公開
(public disclosure)」に該当するかであった。
■Weber v. Provisur Tech Inc., - Fed. Cir. 2024-02-08
食品を拘束でスライスする高額な機械の購入者(10社程度?)のみに配布された複製禁止の操作マニュアルは米国特許法102条の刊行物(Publication)に該当するのか?
■Ex
Parte Zhang: AIA 102(b)(1)(B) novelty Exception - PTAB 2021-07-13
AIA102条(b)(1)(B)項の例外規定(意匠特許:“design patent”):
2011年に成立したAIA米国特許改正法で特に新規性に関わる条文が大きく改訂された。所謂、「先発明主義」から「先願主義」への移行である。ここでAIA102条(b)項は新規性喪失の例外規定であるがその中でもAIA102条(b)(1)(B)項 の例外規定が活用された事案は少ない。特にその例外規定において、特許権者(本件はdesign patent)による有効出願日前の諸外国(米国以外)での特許出願の発明に対応する製品の販売日を証明することで有効出願日と販売日の間の先行技術文献の地位を否定した事案は少ない。本審決においてこの稀な事例(AIA-102(b)(1)(B))が示された。
■ Arctic Cat
Inc. v. GEP POWER PRoducts - Fed.
Cir. 2019-03-26
クレーム解釈(Preambleの解釈):
Pre-AIAにおける発明日の遡及(発明を実施するまでの「誠実な努力」の継続性のレベル):
本判決はクレームのPreambleを限定と解釈するか否か(第1の争点)に関する興味深い判決である。米国特許の一般的な法理としてクレーム本体(body)でPreambleの用語が引用されているか、或いは、審査経過でPreambleが引例と識別するべく主張されたという記録がない場合にはPreambleは権利範囲を減縮しません。本願ではまさにその法理によりPreambleが限定として解釈されなかった。第2の争点はPre-AIA102条(e)項の先行技術を規則131条に基づき発明日を遡及する場合のconceptual stage(発明の着想)~reduction to practice(発明の実施)の間のdue diligence(誠実な努力)の継続性の挙証に関する。地裁は発明者のdue diligenceの継続性を否定したが、CAFCは発明者の記録によって(地裁の判断は厳格すぎるとして)due diligenceの継続性を認めた。
■ Helsinn
v Teva Pharm. - (Supreme Court: January 22, 2019)
AIA102条(新規性)におけるon-sale
bar(販売行為):
2019年1月22日、合衆国最高裁は、米国特許改正法(America
Inventors Act: AIA)によって102条(a)(1)項の on-sale(有効出願日前の販売行為によって新規性を失う)は守秘義務のある販売行為を含むと判示した。Pre-AIAの"on-sale
bar"とAIAにおける"on-sale
bar"は法的に同じ解釈とする。
■ Inguran
LLC v. Premium Genetics - PTAB Final Decision - PGR2015-0017
優先権の喪失によりAIAの先行技術が適用され権利が無効:
USP8,933,395(以下395特許)はPre-AIAで審査され権利化されたものではあるが、優先権を2013年3月16日以前の出願から主張するもので、所謂Transition出願であった。395特許のクレーム1は2013年3月16日以前の優先権出願に明白にサポートされていないというPGR請求人の主張が認められ最先の優先日(2004年9月3日)に訴求できないと判断された。即ち、395特許の有効出願日は2013年3月16日以降に出願されたAIA米国出願日(2014年1月31日)と判断され、Pre-AIAでは引例にならない公開公報も引例となった。