How to Draft US Application Based on JP Application
日本出願を基礎とし米国特許出願明細書を作成するときの留意点を過去20年の重要判決及び審査便覧の該当箇所を参照し以下にまとめました。関連する判例及びMPEPの箇所にはハイパーリンクしていますので本画面上で完結すると思います。
2022-12-12 by Tatsuo YABE
Case Laws relevant to drafting US Applications
BIGSHOT DECISIONsOT DECISIS | FED. CIR. PANEL DECISIONsportant Decisio | ||
[1] |
SUP CT 2014 |
[a] |
SciMed Life System (Fed. Cir. 2001) |
[2] |
CAFC en banc 2010 |
[b] |
Pacing Tech v. Garmin Int’l (Fed. Cir. 2015) |
[3] |
SUP CT 2015 |
[c] |
Vehicular Tech v. Titan Wheel (Fed. Cir. 1998) |
[4] |
CAFC en banc 2005 |
[d] |
In re David Fought (Fed. Cir. 2019) |
[5] |
CAFC en banc 2009 |
[e] |
Ex Parte Schulhauser (PTAB: 2016) |
[6] |
CAFC en banc 2015 |
[f] |
In re Nuijten (Fed. Cir. 2008) |
[7] |
CAFC en banc 2011 |
[8] |
CAFC en banc 2002 |
明細書作成に関わる重要判決(最高裁・CAFC大法廷)
根拠条文 |
概要 |
関連する重要判決 |
判決の概要(一言で!) |
35 USC 101 |
特許保護適格性 |
[1] Alice v. CLS Bank (2014:最高裁) |
101条判断を未だに混乱させている元凶 |
35 USC 112(a) |
明細書に対する要件 |
[2] Ariad v. Eli Lilly (2010:CAFC大法廷) |
クレームの広さをサポートする実施例 |
35 USC 112(b) |
クレームの明瞭性 |
[3] Nautilus v. Biosig (2015:最高裁) |
合理的な確証を与える明瞭性 |
クレーム解釈 |
[4] Phillips v. AWH (2005: CAFC大法廷) |
訴訟におけるクレーム解釈の基準 |
|
クレーム解釈 |
[5] Abbott Lab. V. San (2009: CAFC大法廷) |
Product by Processクレームの解釈 |
|
35 USC 112(e) |
マルチ・マルチはNG |
|
|
35 USC 112(f) |
MPF解釈 |
[6] Williamson v. Citrix (2015: CAFC大法廷) |
MPF解釈と112(a)/(b)との関係 |
不公正行為 |
[7] Therasense v. Bec. (2011: CAFC大法廷) |
不公正行為の認定基準(騙す意図と重要性) |
日本語明細書から米国特許出願明細書を作成する上での注意事項
日本明細書 |
米国明細書 |
注意事項 |
【発明の名称】 |
Title of the Invention (発明の名称) |
● できるだけ短く簡潔に!500文字以内 MPEP606 & Rule 1.72(a) ● 多くの場合審査でスルーされるが(例えば “Tire”)時々発明をdescriptiveとなるように補正するよう指示(Objection)される。その時に対応すればよい(実務経験より)。 |
|
Cross reference to Related Applications(関連出願の関係) |
● 先の米国出願或いは継続出願、あるいは、優先権の基礎となる日本出願を特定できる情報を記載するとともに、日本出願の内容がincorporation by
reference(参照し引用:参照することで含む)されていると記載する。MPEP2163.07_II ⇒ 2013年にPLTに準じRule 1.57(a)が改訂されADS(「願書」:Rule 1.76)で優先権の基礎となる先の出願(日本出願)を特定することで先の出願の内容が自動的に引用される(2013年12月18日以降の米国出願に適用)。 |
【背景技術】 【技術分野】 【先行技術文献】 |
Background of the Invention (発明の背景) |
● 米国特許法102条の基に先行技術になるのか単に関連技術(或いは説明用の技術)なのか? 特に旧法(Pre-AIA)では先行技術となるが新法(AIA)では先行技術にならない場合があるので実務経験20年以上の方は要注意! ● 従来技術の説明は簡潔に!従来技術を詳述した内容は出願人が自認する先行技術(Applicant’s Admitted Prior Art)となりうる。自明性拒絶を誘因する;MPEP2129_I ● 従来技術から発明への経緯を分かり易く説明しすぎると自明性拒絶を誘導することになる。 ● 従来技術が自社の場合にはその不具合を記載する場合には表現要注意(PLの問題)。 |
【発明の概要】 【解決課題】 【解決手段】 【発明の効果】 |
Summary of the Invention (発明の要旨) |
● 通常メインクレームに相当する特徴、或いは、それよりもやや広い特徴を平易な言葉で表現する。 ● The present invention as having XYZと記載されていたのでXYZに限定解釈となった。⇒[a] SciMed Life System (CAFC: 2001)。 ● 従属クレームの特徴を記載する場合には”preferably”; “possible”; “may” 等、選択的(任意)な特徴であることを明瞭にする; ● Summaryに19項目の目的を列記し、それらを達成するために独立クレームよりも詳細な構成要素を記載したがゆえにクレームが減縮解釈された。⇒[b] Pacing Tech v. Garmin Int’l (CAFC: 2015) ● 米国出願実務においてクレームの補正に対応してSummary部分を補正することはしない。しかしクレームの権利範囲が広くなる場合(継続出願、再発行出願)にはその権利範囲に対応するようにSummary部分を補正すること。⇒ [b] Pacing Tech v. Garmin Int’l (CAFC: 2015) |
【図面の簡単な説明】 |
Brief Description of the Dwgs. |
●普通に訳せば問題ない。 |
【発明を実施するための形態】 |
Detailed Description of the Invention (発明の詳細な説明) |
● 112条(a)項の3要件を満たす開示になっているか? 「記述要件」;「実施可能要件」;「ベストモード要件」 特に「記述要件」:クレームの広さに相応しい実施例が開示されているか? [2] Ariad v. Eli Lilly(CAFC大法廷: 2010) ● 文献を引用する場合にもIncorporation by reference可能。但し、112条(a),(b),(f)項の要件を満たす開示内容(Essential Material)は米国特許・米国特許公開公報でなければならない。それ以外は諸外国の公報・文献であっても良い。MPEP 2163.07(b) ● クレームを無用に減縮する記載をしない。以下の断定的な用語を控える。 ● クレームの構成要素と直結する効果のみ記載する。実施例レベルの効果をクレーム1の効果のように記載しない。発明の利点(効果)を繰り返し記載したことで当該効果を達成できないイ号までDOEの適用幅が制限された⇒[c] Vehicular Tech v. Titan Wheel (CAFC: 1998) ● 実施例が複数ある場合にそれら実施例の全てが最も広いクレームの権利範囲に属するかを確認するのが望ましい;権利範囲に属さない実施例は公共に寄与したものと推定され、均等論を適用して権利範囲に含めることすらできない⇒ [8] Johnson & Johnston (CAFC大法廷:2002年) ● 「予想例(実際に実験をしていないが合理的に予想される結果)」を記載するときに過去形を用いてはならない。MPEP 608.01(p) ⇒官報 Fed. Register: 2021-07-01 "Prophetic & Working Examples in Application" ● クレームの構成要素が機能表現されている場合には当該機能を実現するためのstructureが明細書に記載されていること:ソフトウェア関連発明ではstructureに相当するのはアルゴリズム ([6] Williamson CAFC大法廷: 2015) ● 2014年([1] Alice最高裁判決)によって特に、ソフトウエア関連発明が101条拒絶(単なる抽象的なアイデアをクレームしているとして)を受ける度合いが増えた。この種の拒絶に対応できるように明細書にクレームの構成要素が従来技術に対する技術的な改良、即ち、技術的な解決手段であることを説明しておくのが望ましい。さらに現実社会における応用 (integrate into a practical application)を記載しておくことが望ましい。 |
【特許請求の範囲】 |
Claims (クレーム) |
● 基本は独立クレーム3、合計クレーム数20とする。Fees 3項を超える独立クレーム1項毎に $480↑: 20項を超えるクレーム1項毎に$100↑ [2022-12時点] ● 多数項従属クレームは使用しない(料金$820↑)。[2022-12時点] ● 理想:階層的に(広い⇒中概念⇒下位概念)クレームを構築する。 ● クレームは[a] Preamble [b] transitional phrase [c] bodyで構成され、Preambleは基本的には限定と解釈されない;Preambleの記載がクレーム本体(body)で引用された場合には限定と解釈される;[d] In re David Fought (CAFC: 2019) ● Transitional Phraseはcomprising/consisting of/consisting essentially ofがある。但し、”including”; “containing”も”comprising”と同様にOpen ended。MPEP2111.03 ● 従属クレームは親クレームの権利範囲を明瞭にするとともに親クレームの権利範囲の広さを確証する。[4] Phillips v AWH (CAFC 大法廷: 2005) ● 実施例に比べて広すぎるクレームは要注意! [2] Ariad v. Eli Lilly (CAFC大法廷: 2010) ● クレームの明瞭性の要件がinsolubly ambiguousからreasonable certaintyに変わった。[3] Nautilus v. BioSig: (最高裁: 2014) ● 機能表現されたクレームは112条(f)項解釈(MPF解釈)される傾向にある。以下のような表現は少し工夫することでMPF解釈を回避できる: MPEP2181Aに112条(f)項の解釈を回避した表現が例示されている。 ● 112(f)項解釈の3要件と(f)項解釈と(a)項と(b)項との関係を説示した:[6] Williamson判決(CAFC大法廷: 2015) ● プログラム自身は101条違反となる;電気信号自身も101条違反([f] In re Nuijten: CAFC 2008); 但し、記憶媒体(non-transitory medium)に記憶されたという形式にすると101条を満たす。昨今では以下のように表現することで実質的には「プログラム」及び「信号」を権利化できる: ● Jepsonタイプクレームを使用しない。 ● Markushタイプのクレームは許容される。 ● 条件付きの方法クレームには要注意: 条件を満たさない場合にはステップC、満たす場合にはステップD-Kとした場合に審査官はステップD-Kを考慮せず引例を適用できる; [e] Ex Parte Schulhauser (PTAB: 2016) ● Product by Processクレームを使用しない。 ⇒ 但し、以下のようなプロセス表現は審査でも考慮される: |
【要約書】 |
Abstract(開示内容の要約) |
● 150ワード、15行以内にまとめる。Rule 1.72(b) ● Abstractは特許の内容を迅速に把握するという目的があるため” “means”, “said”, ”などの特許専門用語の使用を避ける。MPEP608.01(b)C |
【図面】 |
|
● 関連技術なのか先行技術なのかを明瞭にする。先行技術の場合には PRIOR ARTと表示し、審査官からPrior Artなのかと聞かれて、そうでない場合には発明を分かり易く説明するための図(explanatory diagram/FIG)であると反論する。(実務経験より) ● クレームされた全ての特徴を示すこと Rule 1.83(a) / MPEP 608.02(d) |
その他 |
|
20年位前にどこかの米国代理人が 「“Invention”という言葉を明細書から一切省き “disclosures”にしたらクレームが限定的に解釈されることはない」とセミナーで発言してからそれを忠実に順守する企業(出願人)はある。私個人的には「disclosures」はどうもしっくりこない。尚、SONY: TOYOTA: Panasonic: Kyoceraは「invention」を明細書で使用。IBM、Microsoft、Appleは不使用。 |