米国特許庁審査官とはどのような人でどのくらい仕事をしているのか?

Learned from Randolph A. Smith (Former US Examiner and Now US Patent Attorney)

 

Tatsuo YABE

March 14, 2000

 

米国特許庁の審査官とは米国市民であって、少なくとも4年生の物理,化学,工学,コンピューターサイエンス,バイオテクノロジー等のサイエンス系の大学を卒業している人である。 審査官の業務評価は基本的に所定時間に何件の出願審査を完了できるかとい実績ベースで評価されるので、実質特許事務所で起案をして件数で給与を算定されている事務所所員と似ていると思います。 さらに、審査官の業務評価基準でプラスのポイントになるのは何か,さらに,審査官が上司に業務評価レポートを提出する期限はいつなのかを理解することによってより、有効な戦術を経てる事が可能になると考えます。 以下は米国ワシントンDCに事務所を持つ、SMITH特許弁護士のコメントを基にまとめました。

 

■ 審査官の給与は以下の米国政府給与レベルに基づく:

GS(政府業務の給与)レベル

GS-5〜GS-15で、

GS-5;(理工系大卒の初任給)

GS-7;(理工系大卒成績優良者の初任給)

GS-9;(大学院レベルの初任給)

GS-11;

GS-12;

GS-13;(Primary Examiner:主任審査官:自分で特許許可,拒絶をサインできる)

GS-14

GS-15

 

GS9が大学院修士過程修了者レベルで、年棒約300−350万円で、GS14がPrimary審査官(自身で特許出願を拒絶,許可できる)レベルで約550〜650万円の年棒である。

 

■ 審査官の業務評価算式:

 

◎ 特許出願一件を処理することをBD (Balance Disposal)と呼称し、2カウントとする。 

BD=2カウント(新規N+処理済みD)

N=第1回目のアクション(特許性に関わるもので,限定要求などを除く)

D=(1)特許許可;(2)出願放棄;(3)審査官の回答(アピール)

 

◎ カウントされない仕事:

最終拒絶ではない第2回目、第3回目のNON−FINAL特許局通知、最終拒絶,アドバイス通知,インタビュー

 

◎ 審査官の業務評価(審査官に要求される仕事の負荷)は以下算式に基づく:

 

GOAL = 審査時間(通常80時間基準)÷BD = 時間/BD

(即ち、一件当りを何時間で処理するべきか)

 

そしてGS−12レベルの審査官で技術困難度が中くらいのGOALは1970年以降のデータを解析し、18.7 hrs/BDに設定されている。 勿論、技術難易度が低い出願審査をする審査官のGOALは同じGS-12レベルでも10−15時間/BDと異なる。

 

さらに、統計的手法により経験ファクター(EF)が設定されている。

GS5レベルで0.6;

GS-7レベルで0.7;

GS-9レベルで0.8;

GS-11レベルで0.9;

GS-12レベルで1.0;

GS-13レベルで1.15;

GS-14レベルで1.35

と統計的手法で経験ファクターが算出されている。

 

Example 1:GS−14レベルの審査官に要求されるGOAL(仕事の負荷)は以下の通り:

 

GOAL= 18.7 hrs/BD ÷1.35 = 13.85 hrs/BD

従って、80時間(2週間)で、80÷13.85=5.8BDs = 11.6 カウントを取得することが標準仕事量となる。

 

Example 2: GS-5レベル(大学卒業したばかり)の審査官に要求されるGOAL(仕事の負荷)は、

 

GOAL = 18.7 hrs/BD ÷ 0.6 = 30.1 hrs/BD

⇒ 80 ÷ 30.1 = 2.7 BDs = 5.4 カウントを2週間で要求される。

 

◎ 3点獲得プレイ:(審査官大喜び)

 

CPA出願後に第1回目のアクションが特許許可通知となる場合:

―CPAの親出願の放棄(1ポイント)

―CPAの第1回目の特許性に関わる特許局通知(1ポイント)

―CPAの特許許可(1ポイント)

 

FINAL後にクレームを補正し「一言」加えただけでNEW ISSUEと言われ、応答書(補正書)をENTERできない、応答書をENTERしてほしければCPAをし、そして審査官がさらなるサーチをしてより有効な引例が見つからなければ許可になるであろうというようなニュアンスのアドバイス通知(或はFINAL後のインタビューを実施し、インタビュー要約)を受けた場合は、実は審査結果は良好で、審査官も3ポイント獲得できる可能性を凄く期待していると解釈できます。(矢部コメント追加)

 

■ 審査タイミング

審査官の会計年度は10月1日に始まり、9月30日に終わり、会計年度1年は4半期に区分され、12月、3月、6月に各四半期が満了する。 審査官はこれらの9月、12月、3月、6月に業務報告書を提出しなければならないので、これらの月に特許が許可されやすくなる(特許許可は即刻1ポイントの獲得である)可能性がある。 最重要な業務レポートは会計年度末の9月であり,この月は審査官のボスにとっても重要な年度レポート提出期間なので、ボスが審査官にプレッシャーをかける性もあり、(審査長などの審査官のボスクラスのボーナスの査定に影響する)この月にポイントを沢山、稼がねばと焦る審査官が多いとのことです。

 

従って、インタビューを実行するのに最も有利な時期は8月の後半〜9月初旬頃と思われます。 さらに、12月初旬,3月初旬,6月初旬も点数獲得に焦る審査官の心理状態を考慮すると有効なタイミングと考えられます。(矢部コメント追加)

 

※ Randolph A. Smith (US Patent Attorney)

Smith Patent Office

1901 Pennsylvania Ave. N.W.

Washington, D.C. 20006