Williamson v.
Citrix Online, LLC Fed.
Cir. en banc Decision 2015/06/16 By
Tatsuo YABE 2015-06-21
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まとめ(筆者コメント):
本大法廷判決の結論を一言で言うならば、CAFCはMeans
Plus Function解釈(112条第6項解釈)をするか否かの認定基準を緩和したということである。大法廷多数意見の理解では2004年のLighting
World v. Birchwood事件以降、meansという用語を使用しない場合には112条第6項解釈の適用を受けないという推定が強力になりすぎ、meansという用語さえ使用しなければ112条第6項の適用を免れるというレベルまで判例法が蓄積されてきた。このように強力になりすぎた推定は112条第6項の立法趣旨に反するものであり、今後は2004年のLighting
World事件以前の判断基準を適用すると判示している。最も関連する判示部分は以下である:
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The standard is
whether the words of the claim are understood by persons of ordinary skill in
the art to have a sufficiently definite meaning as the name for structure. Greenberg, 91 F.3d at 1583.
When a claim term lacks the word “means,” the presumption can be overcome
and § 112, para. 6 will apply if the challenger demonstrates that the claim
term fails to “recite sufficiently definite structure” or else recites
“function without reciting sufficient structure for performing that
function.” Watts, 232 F.3d at 880.
The converse presumption remains unaffected: “use of the word ‘means’
creates a presumption that § 112, ¶ 6 applies.” Personalized
Media, 161 F.3d at 703.
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今回の大法廷判決がでるまでのCAFC判決をレビュし、2013年8月2日にPTOは112条第6項に関する審査ガイダンスを公開した。 同ガイダンスは当然のことながらLighting
World事件(2004年)以降のCAFC判決もレビュし、それら分析結果の整合性のある法理論より3つの要件を捻出したと理解される。 しかし、大法廷判決曰くは、昨今のCAFC判決はmeansの使用なくして112条第6項解釈無し・・というレベルに推定が強くなっている。そして大法廷は強力になりすぎた推定を今回是正した。 本大法廷判決が出る約2年前に公開されたUSPTOのガイダンスは上記大法廷判決によって是正された判断基準とほぼ整合性が取れていると理解される(以下3要件):
3条件テスト(3
Prong Analysis)を活用すること(3つの条件全てを満たす場合に112条第6項で解釈する);
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第1条件:
クレームの構成要素にMeansあるいはMeansに代わる用語(代替え用語)を使用しているか?
第2条件:
Means或いは代替え用語が機能表現で修飾されているか(典型的な例としては
Means for・・・ または他の連結用語で機能表現と結びついているか)?
第3条件:
Means或いは代替え用語が、クレームされた機能を達するための十分な構造、或いは、材料で修飾されていない。
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従って、実務者としては、偶然にも整合性が取れた、或いは、大きく否定されないであろう2013年8月2日のガイダンスに基づき今後も対応することで実務上大きな問題はないと思料する
(see far down-below for example) 。 今回CAFC大法廷判決(MPFに関する大法廷判決は1994年のIn
re Donaldson以来)が出たということで勿論USPTOで若干の見直しとそのリアクションはあると予想されるが、ガイダンスを大きく変更することはないと思料する。
(以上筆者コメント)
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但し、上記ガイダンスに従うと、ただ単にmeans或いはそれの代替え用語(module,
mechanism, member, unit,…)を削除してしまうこと(例えば、controlling
meansであればcontrollerなどの名詞形に変えてしまうこと)で第1要件を満たさないとして、112条第6項の解釈を回避できるように理解される。 今回の大法廷判決によって、そのような小手先の補正で112条第6項の解釈を回避できるのか、この点に関して審査ガイダンスの見直しがあるかもしれません(2015年6月22日の勉強会の川崎さんのご質問より)。
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Prost(判事長),
Lurie, Linn, Dyk, Moore, O’Malley, Reyna, Wallach, Taranto, Chen, Hughes判事:
Linn判事による多数意見:
Newman判事による反対意見あり:
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特許権者: Williamson
問題となった特許:米国特許第6,155,840号
被疑侵害者: Citrix Online, Webex
Communications, CISCO, IBM
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■問題となった特許クレーム(発明)の概要:
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一般的なコンピューターのハードとソフトをネットワークでリンクすることで、遠隔地においても教室或いは公会堂で受講している雰囲気を提供する分散型学習(distributed
learning)の方法およびシステムに関する。 目標とするところはプレゼンをする人と遠隔地の受講者とをリンクすることである。 基本的には3つの主たる構成要素が必要であり、第1はプレゼンをする人のコンピューター、第2は受講者のコンピューター、と第3には分散型学習用のサーバーである。当該サーバーはインターネットを介してコンピューターのネットワーク上でプレゼン者と受講者間のコミュニケーションを助長することによって架空のクラスルームを実現する。尚、プレゼン者のコンピューターは受講者との通信に活用し、且つ、受講者のコンピューターに表示される情報を制御する。 受講者のコンピューターにはプレゼンが表示され、プレゼン者と受講者との通信に活用する。
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■事件の背景:
Williamsonは倒産したAT
HOME Corporation(原特許権者)の破産管財人であり、2011年3月22日、カリフォルニア州中央地区連邦地裁にて、Citrix、Microsoft,
Adobe,等を含む被疑侵害者を相手に侵害訴訟を提起した。
地裁判決(2012年9月4日):
Citrix(その他)は、840特許クレーム1―17と17-24に対して非侵害。クレーム8−16は無効。 クレーム1と17のgraphical
display representative of the classroomというクレーム用語は明細書のpictorial
map illustrating an at least partially virtual space in which participants can
interact, and that identifies the presenter and audience member by their
locations on the mapという特徴を含むように減縮解釈する、故に非侵害。クレーム8-16のdistributed
learning control moduleという用語は112条第6項で解釈され、その機能に対応する構造が明細書に開示されていないので、112条第2項を満たさないので無効。
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CAFCパネル判決(2014年11月5日):Moore、Linn判事、(Reyna判示による反対意見)
地裁のクレーム1−7と17−24のクレーム解釈は間違いである(クレーム1と17のgraphical
display representative of the classroomというクレーム用語を解釈するにあたり明細書のpictorial
map illustrating an at least partially virtual space in which participants can
interact, and that identifies the presenter and audience member by their
locations on the mapを読み込んで減縮解釈したのは間違いである)。 さらに、クレーム8の構成要素
distributed learning control moduleをMPFクレーム用語と解釈し112条第6項を適用した地裁判断は間違いである。依って地裁判決を破棄差戻しとする。
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CAFC大法廷(2015年6月16日):2014年11月5日のパネル判決を取消す。地裁のクレーム1-17と17-24非侵害判断を破棄・差し戻し。 クレーム8のdistributed
learning control moduleという用語には112条第6項解釈が適用され、当該構成要素の機能に対応する構造の開示が明細書にないのでクレーム8とその従属クレーム9-16は無効とする地裁判断を支持する。
■代表的なクレームは以下の通り:
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Claims 1, 8, 17 of
the ’840 patent:
但し、争点である112条第6項に関するクレーム8のみ以下に記載する:
クレーム8:
8. A system for conducting distributed learning among a
plurality of computer systems coupled to a network, the system comprising:
a presenter computer system of the plurality of computer systems coupled
to the network and comprising:
a content selection control for defining at least one remote streaming
data source and for selecting one of the remote streaming data sources for
viewing; and
a presenter streaming data viewer for displaying data produced by the
selected remote streaming data source;
an audience member computer system of the plurality of computer systems
and coupled to the presenter computer system via the network, the audience
member computer system comprising:
an audience member streaming data viewer for displaying the data produced
by the selected remote streaming data source; and
a distributed learning server remote from the presenter and audience
member computer systems of the plurality of computer systems and coupled to the
presenter computer system and the audience member computer system via the
network and comprising:
a streaming data module for providing the streaming data from the remote
streaming data source selected with the content selection control to the
presenter and audience member computer systems; and
a distributed learning control module
for receiving communications transmitted between the presenter and the audience
member computer systems and for relaying the communications to an intended
receiving computer system and for coordinating the operation of the streaming
data module.
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■争点:
主たる争点の一つはクレーム8のa distributed learning
control moduleを112条第6項で解釈するか否か、さらに、当該構成要素が112条第2項の基に明瞭であるか否か。
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■
CAFC大法廷判決概要
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結論:クレーム8の当該構成要素はMPF用語であって112条第6項で解釈する。112条第6項で解釈する場合に、その機能に対応する構成要素(アルゴリズム)が明細書に開示されていないので112条第2項の基に不明瞭であると判断する。 依って、クレーム8(とその従属クレーム9−16)は無効である。
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CAFCにおける地裁判決のレビュ基準:
クレーム用語が112条第6項の解釈となるか否かに関して地裁は内部証拠のみで判断したのでCAFC(控訴審)においてde
novo基準で判断する Teva Pharm v. Sandoz
(S. Ct. 2015)。
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問題となるクレーム用語に112条第6項の解釈が適用されるか否か:
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112条第6項:-
35 U.S.C. 112, 6th paragraph:
An element in a claim for a combination may
be expressed as a means or step for performing a specified function without the
recital of structure, material, or acts in support thereof, and such claim shall
be construed to cover the corresponding structure, material, or acts described
in the specification and equivalents thereof.
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112条第6項の立法過程において議会は、クレーム用語を機能を実現するための構造で表現する代わりに機能で表現することを許可することと、そのように機能表現した場合に当該機能表現された用語の権利範囲を明細書に開示された(当該機能を実現する)構造、材料、或いは行為に限定するとしてバランスを図った。Northrop
Grumman Corp. v. Intel Corp (Fed. Cir. 2003)
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クレームの構成要素に112条第6項解釈が適用されるか否かを判断する際に、本法廷(CAFC)の先例はmeansという用語が使用されているか否かを重要な判断材料と認識してきた。
Personalized Media Communications v. ITC
(Fed. Cir. 1998) 当該判決において本法廷(CAFC)はmeansという用語を使用することで当該構成要素に112条第6項解釈を適用するという推定が働くと判示した。
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但し、meansを使った用語に自動的(盲目的)に112条第6項解釈を適用するとは言及していない。その逆も真なりで、meansという用語を使用していないからというだけで112条第6項の解釈を適用しないとは言及していない。
Cole v. Kimberly-Clark Corp
(Fed. Cir. 1996); Greenberg v. Ethicon Endo-Surgery (Fed. Cir. 1996)
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問題となるクレーム用語を112条第6項で解釈するかを判断するに際し当業者が当該用語を十分に明瞭な意味合いをもつ構造の名称と理解するかということが重要であると強調した。Greenberg,
91 F.3d at 1583
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さらに、本法廷は伝統的にmeansという用語を使用していない場合であっても問題となる用語が充分に明白な構造を規定していない、或いは、機能表現しているのみで当該機能を実現する構造を十分に規定していない場合には112条第6項の適用を受けないという推定に反駁可能であると判示してきた。Watts
v. XL Sys., Inc. (Fed. Cir. 2000)
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Lighting World v. Brischwood
Lighting事件(Fed.
Cir. 2004)において、本法廷はmeansを使用していない場合に112条第6項の適用を受けないという推定の方が、その逆の推定(meansを使用した場合には112条第6項解釈の適用を受けるという推定)よりも強いということを初めて判示した。
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その数年後にも本法廷はLighting
Worldで判示した推定を簡単に反駁できるものではないと判示した。Inventio
AG v. ThyssenKrupp Elevator Americas Corp (Fed.
Cir. 2011)
さらに、 Flo Healthcare
Solutions v. Kappos事件(Fed. Cir. 2012)において本法廷はクレームの構成要素にmeansという用語を使用しない場合には出願人は112条第6項解釈を意図しておらず、問題となるクレームの構成要素が全く構造と解釈できないということを挙証できない限りは本法廷は112条第6項の解釈をしないと判示した。
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また、昨今の判決(Apple v.
Motorola: Fed. Cir. 2014)においても上記推定(112条第6項解釈をしない)は強力な推定であって、meansを使用しない構成要素を112条第6項解釈をすることはごく稀であると判示した。
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上記のように本法廷は判決(Lighting
World事件、Inventio事件、Flo
Healthcare事件、及びApple事件)によってmeansを使用しない場合に112条第6項解釈をしないという推定に反駁するハードルを揚げた。
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本大法廷において上記のようにあげられたハードル(推定の強力さ)は正当性を欠くので、meansを使用しない場合に112条第6項解釈をしないという推定がより強力であるという法理を撤回するべきであると結論づける。 即ち、当該推定を強力なものであるという法理を存続させることは112条第6項を起草した議会の立法趣旨(機能表現を許すが、当該用語は明細書の開示に限定されるというバランス)をシフトすることになる。 即ち、meansという用語の使用を避けるだけで、機能表現をしていながら112条第6項の制約を受けないという方向にシフトされることになる。
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拠って、以降はLighting World事件以前の判決で判示していた推定を適用する。即ち、クレーム用語が当業者にとって十分明白な構造の意味合いを持つと理解されるか否かを判断基準とする。クレーム用語にmeansが使用されていない場合に生じる推定を覆すには、当該問題となるクレーム用語が十分明白な構造を規定していないこと、或いは、機能を実現する構造を規定することなく機能のみを表現しているということを反駁者が挙証することで当該推定に反証可能である。
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The standard is whether the words of the
claim are understood by persons of ordinary skill in the art to have a
sufficiently definite meaning as the name for structure. Greenberg, 91 F.3d at 1583.
When a claim term lacks the word “means,” the presumption can be overcome
and § 112, para. 6 will apply if the challenger demonstrates that the claim
term fails to “recite sufficiently definite structure” or else recites
“function without reciting sufficient structure for performing that
function.” Watts, 232 F.3d at 880.
The converse presumption remains unaffected: “use of the word ‘means’
creates a presumption that § 112, ¶ 6 applies.” Personalized
Media, 161 F.3d at 703.
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大法廷の新基準(Lighting
Word事件以前の判断基準を今後採用する)を本事件へ適用する:
上記基準に鑑み、クレーム8の用語、a
distributed learning control moduleは112条第6項解釈の適用を受けるか否かを検討する。
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a distributed learning control module for receiving
communications transmitted between the presenter and the audience member
computer systems and for relaying the communications to an intended receiving
computer system and for coordinating the operation of the streaming data module.
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用語、moduleはmeansを置換したにすぎない。 さらに、上記用語は3つの機能を規定しており、その形式は従来の”means
plus function”用語の形式と同じである。module以外でも、例えば、mechanism、
element、 deviceなども十分明白な構造をその用語に内在(含意)するものではなくmeansを使用するのと等価である。本事件のmoduleという用語は何ら構造を意図するものではない。Moduleの前に来るdistributed
learning controlという接頭語もmoduleという用語に構造を附与するものではない。明細書及び経過書類いおいてもdistributed
learning controlが当該用語に意味のある構造を与える開示・記録はない。
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Williamson側、Souri博士の宣言書において当業者はdistributed
leaning control moduleという用語が構造を含意していると理解できると主張しているが、説得力に欠ける。 さらに、Souri博士は当業者であれば当該用語で規定する機能をコンピューターが実現するためのプログラムを作成できると主張しているが、仮に作成できるとしてもその事実が当該用語で規定する機能に対応する構造を付加していることにはならない。Function
Media L.L.C. v. Google (Fed. Cir. 2013)
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上記理由によってdistributed
learning control moduleというクレームの構成要素は十分明白な構造を規定していない、依って、112条第6項解釈をしないという推定は反駁される。 依って、地裁判断、即ち、「当該用語に112条第6項解釈の適用を受ける」を支持する。
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機能表現に対応する明細書の開示:
次のステップとしては112条第6項を適用する。 当該用語で規定する機能を実現する十分明白な構造が明細書に開示されているかを確認する。 本法廷は明細書にそのような開示(当該用語で規定する機能に対応する、或いは実現する構造)はないと判断する。
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Distributed learning control moduleという構成要素は汎用コンピューターで実現できるものではない。 汎用コンピューターで実現できない場合には、クレームされた機能を実現するためのアルゴリズムが明細書に開示されていることが必要である。Net
MoneyIN, Inc. v. VeriSign Inc. (Fed. Cir. 2008). そのようなアルゴリズムとは数式、散文(文章)、フローチャート、或いは、それ以外の手法であっても十分な構造を開示するものであれば良い。
Finisar Corp. v. DirecTV Grp.,
(Fed. Cir. 2008)
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Williamsonは、明細書に、distributed learning control moduleは多数のコンピューター間での通信を制御し、coordinatingという機能はプレゼン者にリアルタイムでメディアを選択する機能を提供することが開示されていると主張しているが、これら開示内容はdistributed
learning control moduleという用語の機能であって、当該用語に対するアルゴリズムではない。
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Williamsonは図4、図5に112条第6項の開示を満たすアルゴリズムが開示されていると主張しているが、図4、図5ともにプレゼン者の相互通信用の画面であって当該クレーム用語のcoordinating
機能に関連するアルゴリズムではない。
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840特許の図4と図5
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このように840特許はクレーム8の用語distributed
learning control moduleのcoordinating機能に相当する構造が開示していないのでクレーム8-16は112条第2項の下に無効であるとする地裁判決を支持する。
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結論:
クレーム1−7、及び、17−24のgraphical
display representative of a classroomという用語の減縮解釈は間違いである。クレーム8のdistributed
learning control moduleという用語の解釈をmeans
plus function用語と解釈し、それに対応する構造が明細書に開示されていないという判断は間違いではない。 依って、クレーム1−7及び17−24に対する非侵害の判断は破棄し、クレーム8−16を無効とした判断を認容する。 一部認容・破棄。 依って、差戻しとする。
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Reyna判示による一部反対意見あり。(省略)
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Newman判事による反対意見あり。
112条第6項は、means forという用語を使用することで出願人が当該条文の解釈を意図すると理解される。
means以外の用語の使用によって112条第6項の解釈となるか否かを特許庁の審査で判断するのも困難であるし、裁判所においても困難となる。112条第6項の解釈を希望するか否かの選択肢は出願人にあるべきだ。今回の大法廷多数意見の判断は112条第6項の条文の欠陥を非難するといよりも条文に忠実であるべき裁判所の立場を非難するものである。
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2013年8月2日に公開された審査ガイダンスのEXAMPLE3に今回の大法廷判決による判示を適用すると同じ結果になりそうだ。http://www.uspto.gov/patent/laws-and-regulations/examination-policy/examination-guidance-and-training-materials
EXAMPLE. 3
Module for displaying a result from a search query
SPEC: the module can be hardware (such as a circuit),
software (such as a program driver) or a combination thereof (such as a
programmed micro-processing unit)
第1条件: 用語Moduleが用語Meansの代わりに使用されている。
第2条件: 機能(for
displaying a result from a search query)が規定されている。
第3条件: 機能を達成するための構造体が規定されていない。
結論: 第1、第2、第3条件すべて満たす ⇒ 112条第6項解釈を適用