米国特許新施行規則  略式判決 

 

2008年4月1日

 

バージニア州東部地区連邦地裁で略式判決。 差止め認められた。

 

East.-Dist. Court of Virginia  Invalidates USPTO's New Rules!

 

A victory to 

Plaintiffs Dr. Tafas and Company GlaxoSmithKline


米国時間0401日、合衆国バージニア州東部地区連邦地裁において111日から施行される予定であったUSPTOの新施行規則を無効とする略式判決がでました。

 

(1) CAの回数を制限する規則(一出願で基本2回)は無効である;

(2) RCEの回数を制限する規則(一出願で基本1回)は無効である;

(3) クレーム数を制限する規則(一出願で独立5個、合計25個以内)は無効である;

(4) ESD(審査補助書類)の提出義務を出願人に負わせる規則は無効である;

 

 

従って、USPTOがCAFC(連邦巡回控訴裁判所)に控訴しない場合(或いは控訴が棄却される場合)には本判決が確定することになります。

控訴期間は30日なので5月連休前に控訴の有無は解ると思います。(控訴はされるようですが、仮に控訴されてもCAFCで事件を審理するか

否かの判断にかなりの時間(半年から1年)が掛かる模様です。)

 

尚、関連出願の通知義務(出願日が同一であるとか30日以内の差である)を規定した規則に関しては一切

言及されておりませんので、当該規則をPTOが今後どのように運用するかは暫く気長にWatching要です。

 

 Tatsuo YABE

 on April 02, 2008

revised on April 08, 2008

 

   

上記判決の根拠:

 

■ USPTOは実体的な規則を制定する権限を有さない;

米国特許法第2条(b)(2)にPTOの権限が規定されているが実体規則に関する制定の権限は規定されていない。

ここで同バージニア裁判所はChrysler Corp v. Brown, 441 U.S. 281 (1979)を根拠とし、実体的な規則とは個人(出願人)の権利と義務に関わる規則であると解釈した。

 

然るに、CAの回数制限、RCEの回数制限、クレーム数の制限、及び、審査補助書類の作成義務に関する規則は本訴の原告(GSKとTafas)の権利に影響するとともに現米国特許法の解釈を大幅に変更することになると判断した。

 

(1)、(2) CAの回数制限とRCEの回数制限:

継続出願の回数制限は米国特許法第120条で保証された出願人の継続出願(一部継続出願込み)をする権利を侵害することになり、同特許法の趣旨に真っ向から反するとし、RCE(継続審査請求)の回数制限においても同特許法第132条で明白に規定された文言に矛盾すると判断した。

 

(3) クレーム数の制限に関して:

USPTOは複数のクレーム(同じ乃至は同じようなクレーム)に異議を唱えることはできても機械的にその数を制限するのは特許法の趣旨に反すると判断した。

 

(4) 審査補助書類(ESD)の提出義務に関して:

連邦巡回控訴裁判所の判例では、出願人は先行技術調査を実施する必要はなく、出願人が努力をすれば見つかったかもしれない情報(先行技術)を提出するという義務も負わないとしている。 まずはPTOが出願クレームの特許性がないと判断し、当該判断によって出願人に拒絶に反証する義務をシフトするのが真のやりかたであって、まず、GSK或いはTafasなる出願人に先行技術調査の義務を強いることでPTOの審査義務を回避しようとするESD(審査補助書類)の作成義務に関する規則は現行特許法と判例に反し、出願人の102条、103条、131条に基づく権利を侵害する。

 

■ 判示:

米国特許法第2条に基づく米国特許庁の規則制定の権限は実体的な規則にまで及ばない、且つ、今回の最終規則はその性質上実体的な規則であることに反論の余地はない、然るに、本法廷は当該最終規則は現行法と整合性を欠く、及び、法に定められた権限を超越するという理由により、無効と判断する。

 

Because the USPTO’s rulemaking authority under 35 U.S.C. § 2(b)(2) does not extend to substantive rules, and because the Final Rules are substantive in nature, the Court finds that the Final Rules are void as “otherwise not in accordance with law” and “in excess of statutory jurisdiction [and] authority.

 

■ 略式判決:

拠って、米国特許庁及びその長官Dudas氏が今回の改訂規則を行使することを禁止する。

 

矢部達雄

(1) US Patent Related 

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