First-Track
Appeals Pilot Program 400ドルの支払いで6か月以内に審決となる審判手続きをスピードアップする パイロットプログラムを2020年7月2日より開始 Summarized
by Tatsuo YABE – 2020-07-15
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Track 1(2011年AIAで誕生したPrioritized
Examination)という優先審査に続き、USPTOの歴史で初めて審判手続きをスピードアップするというパイロットプログラムが始まります。USPTOのPTABによると2015年当時は凡そ30か月(平均値)かかっていた審判手続きが現在は14か月に減少しています。この14か月を6か月程度に早めようというのがこのパイロットプログラムです。
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Prioritized Examの申請費用が4000ドルと高額なのに比べてPTAB手続きのこのパイロットの費用は400ドルで非常に安価です。しかし、このパイロットプログラムの申請時期は既に審判手続きに入っている出願案件なので、日本の特許出願時(優先権があると想定し)から考えると少なくともUS出願審査でFINAL拒絶を受けており、その後、Notice
of Appeal(800ドル)を提出し、2か月以内(5か月延長可能)にAppeal
Briefを提出、その後数か月でExaminer’s
Answerが出されてやっと出願人がAppeal
Forwarding Fee(2240ドル)を支払うことで審判部に移行します。従って、通常、日本出願日から少なくとも2年半してから審判手続きの開始となり、この時点でやっとこのパイロットプログラムを申請できるということになります。(審判請求に関するタイムラインは以下Referencesを参照ください)
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以下の事項を確認のこと:
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■ パイロットプログラムの開始日と期間:
2020年7月2日から1年間
■ 受任される件数:
3か月毎に125件、一年で500件
■ パイロットプログラムへの参加申請用紙
Form
PTO/SB/ 451:
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/sb0451.pdf
■ パイロットプログラムの申請費用
US 400ドル(支払時期は以下参照)37
CFR 41.3
■ パイロットプログラムを申請できる時期的要件
既にAppeal(審判)のDocket番号(Appeal
No.)が付与されている審判手続きの案件であって審決がでるまでの期間。言い換えると、Appeal
Brief à Examiner’s Answer à Appeal Forwarding Fee (審判部への移行費用2240ドル)の支払いが完了し案件が審査官の部門から審判部(PTAB)に移行が済んだもの。
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REFERENCES
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■ FINAL拒絶に審判請求をする場合の手続き(TIMELINE)
RCEを実施したものの出願人が納得する審査結果が得られない場合、或いは、審査官が理不尽な拒絶理由を固持する場合にはPTAB(審判部)による審判が有効であろう。審判部に到達する前に担当審査官以外の2名の審査官による合議体でのレビュがあるので理不尽な拒絶理由はこの時点で解消に向かう可能性がある。
審判は審判請求書(B: Notice of Appeal:$800)の提出からスタートする。審判請求書(B)を提出後、審判請求人は2か月以内(1か月毎に5か月の延長可能)に審判理由書(C: Appeal Brief)を提出する必要がある。その審判理由書をまずは担当審査官がレビュし、他2名の審査官を含め3名で会議(D: Appeal conference)を開催するに値するか否かを検討する。担当審査官が自信(自分の拒絶理由を他2名にレビュされたら不味いと判断)を喪失した場合には審査に戻る(以下★印)。
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担当審査官が自身の拒絶理由に自信がある場合には他2名の審査官を招集し、自身を含め3名で審判会議(D:
Appeal Conference)を開催する。審判会議(D)を実施し、担当審査官の拒絶理由の方に理があると3名が合意した場合に回答書(E: Examiner’s Answer)を作成し、3名それぞれが署名する。しかし審判請求人の審判理由書の方に理があると判断した場合には審査官の回答書(E)は作成されずに審査再開(Reopen
Prosecution:担当審査官に差し戻す:上図★印)となる。審査官の回答書(E)が発行され2か月の期間以内(理由なく延長不可)に、審判請求人がPTABでの審判手続きを真に希望する場合は審査部門から審判部への移行費用(F:
Appeal Forwarding Fee-$2240)を支払いPTABでの審判を請求する。尚、このFの時点で審判請求人は審査官の回答書(E)に対する答弁書(Reply Brief)を提出、或いは、(G)口頭審理(1300ドル支払い)を請求しても良い(但し、共にOPTIONである)。審判部(PTAB)で3名の行政庁裁判官(administrative
judges)の合議体で審理が開始され、平均14か月程度(2019年データ)で審決がでる。
審決(H:
PTAB Decision)では[a] 審査官の拒絶理由を支持する;[b]
審査官の拒絶を破棄する;或いは、[c] 一部認容、一部破棄するという判断となり審査部門に戻される(I:★印)。依って、審査官の拒絶理由の全てを破棄するということは出願の許可と等しくなるが審決で出願許可という判断は成されない。審判請求人側の主張が認められた(即ち拒絶理由が撤回)場合、その時点でクレームが許可とはならずに、審査部門に戻され(I:★印)その後、Notice
of Allowanceの発行となる。
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■ パイロットプログラムに関するFederal
Registerのリンク:
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2020-07-02/pdf/2020-14244.pdf
■ USPTOのリンク:
https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-announces-fast-track-appeals-pilot-program
■ パイロットプログラムの申請用紙:(SB/451)
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2019年度の審判の統計データ
約31%出願人勝利:9%出願人一部勝利(約40%は何等かの形で出願人の主張が認められた)
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出願人=審判請求人
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LINKS
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