CAFC判決 Steve Neville v. Foundation
Constructors, Inc 2020年08月27日 OPINION by JUDGE Chen (Lourie, O’Malley,
Chen) Summarized
by Tatsuo YABE – 2020-09-14 |
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この程度であれば事実審が不要とされることを示す判決。即ち、地裁の略式判決(非侵害)がCAFCで支持された。被疑侵害品(イ号)にはクレームの構成要素の一部が明白に欠落しており事実審を要しないと地裁で判断され控訴審も地裁の略式判決(非侵害)を支持した。(以上筆者)
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■ 特許権者:Steve
Neville
■ 関連特許:USP
7,914,236(236特許);
USP 9,284,708(708特許)
708特許は236特許からの継続出願で成立。
■ 被疑侵害者:Foundation
Constructors
■ 特許発明の概要:
建造物などの基礎を構成する地中に埋め込まれる基礎杭(foundation
pile)に関する。 基礎杭はドリル上の構造であり、円錐形状の筒に螺旋(らせん)状のフィンが取り付けられ回動することで地中深さ方向に推進していく。問題となった236特許クレーム1は「杭の第2端部に端部プレート(end
plate)が取り付けられており、当該端部プレートは筒状の杭の中心軸に直行する実質的な平坦面を有する」という特徴を規定しており、当該端部プレート(end
plate)の解釈が問題となった。尚、708特許クレーム1では「端部プレート(end
plate)より外方向に延設する突起部(protrusion)を備える」という特徴が規定されている。
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■ 争点:
Foundationの基礎杭の構造は236特許クレーム1(或いは708特許クレーム1)の「端部プレート(end
plate)」の特徴を満たすか否か。
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以下左(236特許の図1)
以下右(Foundationの基礎杭の構造)
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■ 地裁判決の概要:
236特許に関して
クレーム |
USP 7,914,236 |
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1. A screw pile substructure support system, comprising: |
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イ号(Foundation)は236特許クレーム1のend
plateの特徴を満たさないので非侵害。イ号は「・・・当該端部プレート(end
plate)は筒状の杭の中心軸に直行する実質的な平坦面を有する」という特徴を満たしていないのは明らかである。Neville側によって“end
plate”と追記されたイ号の箇所は仮想部分(仮想面)であって実在する平坦面ではない。
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708特許に関して:
クレーム |
USP 9,284,708 |
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A screw pile substructure support system comprising: |
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Foundationのイ号は708特許クレーム1の“突起部”の特徴を満たさないので非侵害。イ号の基礎杭は円錐形状の一体物(a
single conically-shaped piece)で構成されており708特許クレーム1の「・・・端部プレート(end
plate)より外方向に延設する突起部」という特徴を満たしていない。708特許クレーム1の「・・・端部プレート(end
plate)より外方向に延設する突起部」という特徴を満たすには、“端部プレート”が杭の端部に存在し、当該端部プレートが突起部が突出する起点(出発点)となることが必要である。即ち、イ号の基礎杭には端部と突起部との境界(demarcation)がない。
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■ 以下CAFC判決の概要:
地裁判決を支持する。
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Nevilleは地裁のクレーム解釈は正しくないと主張している。特に、236特許クレーム1の「当該端部プレートは筒状の杭の中心軸に直行する実質的に平坦面を有する」という特徴の解釈に異議を唱えている。言い換えると、236特許クレーム1の“端部プレート”の解釈を正すと708特許クレーム1の突起部の解釈にも影響する。
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[A] End Plate Having a Substantially Flat Surface
Neville側の専門家証言によるとFoundationの基礎杭は以下図に追記したように端部プレート(End
Plate)を備えており、その端部プレートより突起部(Point
Shaft)が延設していると主張している。図示したEnd
Plateは杭内部に面する第1面とPoint
Shaftとの境界面となる第2面を有すると主張している。
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端部(End)という用語はクレームの文言から基礎杭の第2端部の外側の端部であると解釈される。明細書にも当該解釈(外側の端部である)を支持する記載がある。逆に明細書には端部(End)が杭の内側にあるという解釈を支持する記載はない。Neville側の専門家証言によると、236特許クレーム1の“端部プレート”は、鋳型で一体形成された基礎杭の任意の箇所をスライスした仮想面(imaginary
sliced surface)を含むことになる。しかしクレームの”端部プレート“は仮想面を含むという解釈は間違いである。
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236特許の経過書類を参酌すると“端部プレート”という特徴は2件の先行技術文献(US
PG Pub No. 2004/0076479: JPH05-106223)を回避するために追加された。審査官はUS’479及びJP’223も共に円錐形状の基礎杭を開示しており「当該端部プレートは筒状の杭の中心軸に直行する実質的に平坦面を有する」という特徴を追記することで引例と識別されるであろうと示唆した。出願人は審査官の示唆に同意しクレーム1を減縮補正した。
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引例JP’233の図1
後に、Nevilleは引例(US’479及びJP’223)は共に円錐形状の基礎杭を開示しているが、共に空洞の基礎杭でありFoundationの形態と識別されるべきであると主張した。しかしNeville特許の明細書のどこにも中空形状の基礎杭と中実の基礎杭とを識別するような記載はない。
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依って、236特許クレーム1の”端部プレート“の解釈に対する地裁の判断を支持する。
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[B] Protrusion from the End Plate
イ号は一体型の円錐形状の基礎杭であり端部プレート(End
Plate)と当該端部プレートから延設する突起部との境界面が存在しない。即ち、イ号は一体物なので突起部がどこから延設しているのかその起点が不明である。また明細書にも突起部と端部プレートとの境目が識別できない実施例或いはそのヒントすら開示されていない。
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依って、708特許クレーム1の”突起部“の解釈に対する地裁の判断を支持する。
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