クレーム解釈に関する判決

Grace Instrument v. Chandler Instruments - Fed. Cir. 2023-01-12
粘性測定装置の構造に関わるクレームで「enlarged chamber」が地裁で不明瞭と判断されCAFCで破棄された判決。内部証拠(SPEC:経過書類)の優越性

USPTO issued Final Rule on Claim Constructions during PTAB proceedings (IPR/PGR/CBM).

PTAB手続きによるクレーム解釈をBRI基準からPhillips基準(“words of a claim are generally given their ordinary and customary meaning”)に変更する。2018年11月13日以降に申請されるPTAB手続きに適用される。

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Hill-Rom v. Stryker - (Fed. Cir. 2014-06-27) 
クレーム解釈に対する丁寧な判決:
本事件は地裁の略式判決(クレーム用語の解釈)をCAFCが徹底的に否定し破棄差戻しした事件である。4つの構成要素の意味合いが争点となったが、地裁におけるクレーム用語の解釈には明らかな間違いが散発した。CAFCにおいてそれら地裁判断の間違いを躊躇なく正している。例えば、クレーム解釈においてPhillips基準が適用されること、即ち、明細書及び経過書類を参酌したうえで一般的な意味合いとして解釈される。しかし例外としては出願人が辞書編集者としてクレーム用語を自らの意味合いで規定している場合がある。さらにクレーム解釈において明細書の実施例を参酌するが、実施例の特徴をクレーム解釈には盛り込まない。本判決は地裁裁判官に恰もクレーム解釈基礎講座をしているようである。
依って、我々実務者にとっても本判決はクレーム解釈(及び明細書作成時の留意事項)を復習をするのに良い題材である。

 Phillips v. AWH Corp. (Fed. Cir. en banc: 2005-07-12)
クレーム解釈:
クレームの用語を解釈するときに何を参酌するべきか、また、その優先順位は如何にというクレーム解釈の手法・手順に対する大法廷判決がでた。後に訴訟におけるクレーム解釈の基準をPhillips基準と称する根拠となった重要判決である。
Michel判事に代表される大法廷判決多数意見によると、クレーム用語を解釈するときに内部証拠(クレーム; 明細書; 経過書類)を重視すること、辞書及び専門書(外部証拠)を使用することを否定しないが、内部証拠以上に過渡に依存するのは妥当ではないと述べております。 また、本大法廷はTexas判例(CAFC2002年の判決)においては、クレーム解釈時に過度に外部証拠を参酌する判示をしたことを認めた。クレーム用語を解釈するときに、まずはクレーム自身、それから明細書を当業者がどのように理解するかという観点でクレームを解釈するというのが最良の手法であるとするも、裁判官がクレーム解釈をするときに内部証拠と外部証拠をどのような順序で参酌するかでは自由裁量であって、重要なことは、各証拠にどれだけのウェイトを配分するかであると述べた。

Phillips v. AWH En Banc Hearing Took Place on Feb 08, 2005
クレーム解釈:
200528CAFC大法廷でヒアリングが実施された。Phillips氏(特許権者)とAWH社(被疑侵害者)共に、次の2点に関しては同意した模様。 クレーム用語の解釈に関して、(1)まずは辞書ではなくて、明細書が参酌される;(2)明細書で明瞭な放棄がある場合には同放棄を基にクレームを限定解釈する。 但し、明細書に特定の実施例しか開示されていない場合に同開示によってクレームが限定解釈されるか否かに関しては被疑侵害者側であるAWH社は限定解釈を主張するも、その根拠を明瞭にするべく迫ったCAFC判事の質問(執拗なる質問から判断するにCAFC大法廷としては特段の理由がない場合にはクレームは明細書の実施例によって限定解釈されないという結論に到達していると予想されます)に説得力のある反論ができなかった。大法廷での判決を待ちたい。