自明性(Analogous or Non-analogous)に関する判決:
■ Leapfrog
Enterprises, Inc., v. Fisher-Price, Inc.
and Mattel, Inc., (Fed.
Cir. May 09, 2007)
自明性:
本事案は、KSR判決後10日以内に出た自明性判断に対するCAFC判決である。本事件で問題となった特許クレーム25の有効性に対して2件の引例装置と周知の構成要素の一つが組み合わされて自明であると判断された。これら3件の公知技術の組み合わせに対してはKSR最高裁での判示が引用され、その組み合わせの是非を判断するためTSMテストを硬直的に適用させず、当業者の一般知識に鑑み妥当か否かという判断基準で審理され、同組み合わせの動機付けを認めクレームを自明と判断された。
■ KSR v. Teleflex (Supreme Court April 30,
2007)
自明性:
2007年4月30日、合衆国最高裁判所のKSR事件の判決が出た。 CAFCの判決は破棄された。即ち、自明性の判断において、引例の組み合わせに対するTSM(teaching, Suggestion, Motivation)の存在が証明されない場合には自明と判断しないとしたCAFCの判示は否定された。 即ち、TSMテストを厳格に(硬直的に)適用することは最高裁のこれまでの判決と矛盾するとし、TSM以外にも当業者にとっての一般知識・常識が参酌され、自明性の判断が行われることが判示された。
■ In re ALBERTO LEE BIGIO (Fed. Cir. August 24, 2004)
Analogous or Non-Analogous (先行技術は同類か否か:MPEP
2141.01(a))
CAFC多数意見はヘアブラシに対する特許出願の先行技術として歯ブラシを類似技術と判断した米国特許庁審査官と審判部の判断を支持した。 Newman判事は反対意見を述べ、歯ブラシはヘアブラシと同類の引例にはなりえないと主張しております。そもそも歯ブラシに要求される機能とヘアブラシに要求される機能は全く異なる。⇒ 然し、後に2007年のKSR最高裁判決によって設計変更のニーズ或いは市場の必要性に応じて異なる技術分野のものも先行技術となりうると傍論で述べて先行技術として引用されうる技術分野の広がりを示唆している。KSR事件の直後に出たLeapfrog
Enterprises判決ではまさに先行技術として引用できる技術分野の広がりが判示されている。