Leapfrog Enterprises, Inc., v. Fisher-Price, Inc. and Mattel, Inc., 

(CAFC decided on May 09, 2007

2007年05月09日 

2007年4月30日合衆国最高裁判所によるKSR事件の判決が出た直後に自明性判断に対するCAFC判決が出ました。 本事件で問題となった特許クレーム25の有効性に対して2つの引例装置と周知の構成要素の一つが組み合わされて自明であると判断されました。 これら3つの公知技術の組み合わせに対してはKSR最高裁での判示が引用され、その組み合わせの是非を判断するためのTSMテストが硬直的に適用されるべきではなく、当業者の一般知識として妥当であるか否かという判断基準で審理が実施され、同組み合わせの動機付けを認め自明であると判断した地裁の自明性判断が支持されました。 

今回の判決からも読み取れる自明性拒絶に対する有効な反論は:

(1)       1先行技術に第2先行技術(或いは第1先行技術に欠落する要素)を組み合わせることの特異性或いは困難さを主張すること; ⇒ 組み合わせ阻害事由

(2)       1先行技術と第2先行技術(或いは第1先行技術に欠落する要素)を周知の手法で組み合わせる場合に、同組み合わせによって予想を超える効果を創出すること; ⇒所謂synergy効果

(3)       2次的証拠(商業上の成功、賞賛、長期に渡る必要性の認識など客観的な証拠)による非自明性の主張が一応の自明性の証拠を上回ること;

今回の判決で注記すべきは本件発明に係わる当業者のレベルを判断するにあたり、技術のバックグラウンドがないので他の技術の専門家に力を借りたとする発明者(一人)の証言により、当業者レベルをより一般人とすることと、各種技術分野から必要情報を入手するというレベルであるとの趣旨が述べられております。 言い換えると、本件発明に関しては技術的に素人に近い人が当業者であるので、市場性の向上、さらに、製品価値の向上たる企業にとっての必然的な目的をMotivationと解し、各種技術情報をリンクすることがより当然のことであると理解され、結果的に先行技術の組み合わせを当業者にとって容易と判断するに至ったと理解されます。 しかし本事件のように一人の発明者の証言で当業者のレベルを判断するのは、「当業者にとっての自明性の判断をするのであって、発明者による自明性ではないとするKSR最高裁判決の傍論」と反すると考えます。

Tatsuo YABE

On June 01, 2007

 

Leapfrog社はUSP5813861特許の権利者で2003年10月にFisher-PriceのPowerTouch製品が同特許クレーム25を侵害しているとして訴訟をDelaware地区連邦地裁に訴訟を提起した。 同地裁において、クレーム25の非侵害と同クレームは自明であり無効が言い渡された。 今回CAFCでの審理によって先般の最高裁KSR事件の判示が適用され同連邦地裁の判決がCAFCで支持された。

問題となったLeapfrog社の特許クレーム:

Claim 25 of USP5813861 (Wood)

 


25. An interactive learning device, comprising:

a housing including a plurality of switches;

a sound production device in communication with the switches and including a processor and a memory;

at least one depiction of a sequence of letters, each letter being associable with a switch; and

a reader configured to communicate the identity of the depiction to the processor,

wherein selection of a depicted letter activates an associated switch to communicate with the processor, causing the sound production device to generate a signal corresponding to a sound associated with the selected letter, the sound being determined by a position of the letter in the sequence of letters.

 

 

上記クレーム25は以下の2つの先行技術と当業者にとっての一般知識の組み合わせで無効と判断された:

(1)   Bevanの装置

(2)   Texas InstrumentsのSSR装置(Bevanよりも近代的な学習用玩具)

(3)   当業者にとっての一般知識(読取部: reader

CAFCは861特許のクレーム25はBevan引例とTIのSSR引例と当業者の知識との組み合わせによって自明であるとした地裁の判決を支持する。 自明性の判断は事件の事実の考慮を差し置いて公式を厳格に適用してなされるものではない。 寧ろ、当業者の一般知識によって、ある組み合わせが自明であるが、他の組み合わせは自明ではないということが明らかにされる。 See KSR Int’l Co. v. Teleflex Inc, 550 U.S. _______ 2007 (2007) (良く知られた要素を周知の方法によって組み合わせる場合に、その組み合わせが予期される効果しか奏しない場合には自明と判断されるであろう。)

Bevan引例に関して:

然るに、我々はクレーム25の装置の目的は単語を構成する文字の一つに連動するスイッチを子供が押し操作することによって、子供はその文字(アルファベット)の当該単語の中での発音を聞くことができるということを念頭に入れなければならない。 このようにして、単語の発音を学ぶ過程において子供はアルファベット(文字)自体の音と単語を構成する文字一つずつの発音を関連づけることができる。 上記目的を達成するために旧式のメカ的な装置を昨今の電子機器に応用するということは、子供の学習機器を製造設計する当業者にとって合理的に自明であったであろう。 近時の電子技術を旧来のメカ装置に適用することは今日一般的に行われていることである。 Bevan装置においては、電子処理部とそれに関連する電子部品を使用する代わりに、モーターと機械的な構造を使用しているが、Bevan装置は上記した目的を同様の相互動作によって達成するものである。 

Texas InstrumentsのSSR装置に関して:

SSR装置は上記Bevanの装置と比べてより近代的な学習用玩具であって、Bevanとは少し異なる形態で操作する電子部品によって構成されたものである。  SSR装置はヒンジ付きの揺動タイプのハウジングで構成され、開くと平面になる形態であり、SSR装置で使用される本は同装置のハウジングの窪みにフィットする形態である。 同ハウジングは子供がどこを押したかを検出できるスイッチを備えている。 さらに、ハウジングは処理部、記憶部、及び、音声を発するスピーカーを備えている。 SSR装置の一つの操作形態としては、子供が単語を構成するアルファベット(文字)の最初の文字を押すことによって、同文字の音声を再生し、聞くことができる。 当該単語(用語)の残りの文字は統合され、同時に発音される。 

例) 子供がTという文字を押すと、Tに相当する音声が発せられ、そしてUGを押すと「TUG」という単語の発音がなされる。

読取部:

SSR装置には、挿入される本をプロセッサ(処理部)が自動的に特定するための読取部を備えていない。 SSR装置においては読取部の代わりに、本の最初のページにプリントされた三角形を押すことによって(即ち、本に対する三角形の相対位置によって)プロセッサ(処理部)はどの本が挿入されたかを特定できる。 さらに、ユーザーは本の各ページに設けられたスター(星)を押すことによって、プロセッサが本のどのページを参照しているかを特定できる。 

CAFCは地裁の判断(子供の学習玩具の分野における当業者にとって、最近の電子部品を使用することによって、一般的に認識される利益「サイズを小さくし、信頼性を高め、操作を簡略化し、コストを安価にする」を享受するためにBevan装置とSSR装置とを組み合わせることは自明であったであろう)に同意する。

さらに、CAFCは、当業者であればBevan装置で教示される手法にSSR装置の電子部品を適用し、子供が単語(用語)を構成する文字(アルファベット)一つずつを押して、その文字(アルファベット)の発音を再生し、聞き、その発音と単語の発音とを関連づけられたであろうとする地裁の判断に明白な間違いは見出せないとしている。

さらに、CAFCはBevan装置とSSR装置との組み合わせで欠落するのはクレーム25の読取部のみであるが、この読取部というものは発明がなされた時点において対応する技術分野においてよく知られたものであるとする地裁の判断に明白な間違いはないとしております。 Bevan装置とSSR装置の組み合わせに、読取部を追加するという動機は他の子供の玩具において(付加価値を高め、玩具を簡単に使用できるようにするという理由)市場性を向上させるという理由(動機)と同じである。 尚、Leapflogはこの種の装置に読取部を備えることに対する当業者にとっての特異性あるいは困難性を示す証拠を一切提出していない。 See KSR, 2007 WL 1237837  さらに、Leapflogは同読取部を備えることが電子技術の分野或いは電子式の子供の玩具の分野において非自明であるということに対する証拠を一切提示していない。 

さらに、公判に参加した唯一の発明者の証言によって地裁の判断の正当性が増強された、即ち、当該発明者は技術のバックグラウンドがなかったので、自身で試作品を作ることはできなかった。 寄って電気の技術者及びSandia国立ラボの協力を得て試作品を作るに至った

さらに、2次的要因の考慮に関して、Leapflogは商業上の成功、賞賛、及び、長期に渡る必要性の認識に関する証拠を提出するも、一応の自明性を証明する証拠の強さと比較して、これら2次的要素はそれに(自明性の証拠)に打ち勝つものではない。 CAFCがこの地裁の判断を否定するための根拠がない。

上記のように証拠の検討、さらに、地裁の事実判断に対する明白な誤りがないことに鑑み、CAFCは地裁の判断(Bevan装置、SSR装置、及び読取部の技術に関する当業者の知識の組み合わせによって861特許のクレーム25は自明である)を支持する。

 

上記理由によってCAFCは地裁の判決(クレーム25を非侵害とクレーム25は自明)を支持する。

 

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