Inguran LLC Sexing Tech v. Premium Genetics (UK) Ltd.

PTAB Final Written Decision

PGR 2015-00017

Patent 8,933,395

20161220

Before BARRETT, DROESCH, WARD (Administrative Judges)

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Summarized by Tatsuo YABE 2017-02-20    

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2011年の法改正で米国特許付与後の手続きとしてIPRとPGRが誕生した。PGR(Post Grant Proceeding)は有効出願日が2013年3月16日以降の出願から権利化された米国特許(いわゆるAIAで審査された特許)に対する特許庁審判部(PTAB)における無効手続きである。PGRはIPRと比較すると無効理由のカードが多い、即ち、IPRでは新規性と自明性のみが無効理由であるがPGRではそれらに加えて101条の保護適格性と112条の記載要件を無効理由とできる。但し、権利化された後、9月以内にPGRを申請しないと期限切れとなる。
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今回のPTABでの事案はPre-AIAで審査され権利化された米国特許8933395号(以下395特許と称する)に対するPGRの最終判断である。395特許はPre-AIAで審査され権利化されたものではあるが、優先権を2013年3月16日以前の出願から得るもので、所謂Transition出願であった。395特許のクレーム1は2013年3月16日以前の優先権出願に明白にサポートされていないというPGR申請人の主張が認められ最先の優先日(2004年9月3日)に遡及できないと判断された。即ち、395特許の有効出願日は2013年3月16日以降に出願された米国出願日(2014年1月31日)と判断され、Pre-AIAでは引例にならない公開公報も引例となった。[*1]
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本事件からのレッスンとしてはTransition出願において審査過程でPre-AIAで審査がなされ既に権利化されたとしてもクレームの一項でもPre-AIA出願にサポートが明瞭にない(112条(a)項の開示要件を満たさない)と判断された場合には当該Transition出願の有効出願日をPre-AIA出願に遡及することはできず、当該Transition出願はAIA出願と判断されるということだ。即ち、AIAの基では有効出願日でもって先行技術が適用され、Pre-AIA出願のように規則131条に基づく発明日の遡及はできない。 従って、Transition出願でクレームを作成する(出願時、補正時、追加時)時にはPre-AIA出願明細書にそのサポートがあるか否か十分に留意するべきである。

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例えば、Transition出願でPre-AIAで審査され権利化された特許が後にAIA出願であったということが判明した場合に以下のような不具合が生じる:

 

Transition出願:

2013年2月1日のJP出願から優先権を主張し2014年1月1日に米国出願された。

米国出願には独立クレーム1と従属クレーム2-10を含むと想定する。

 

例1)Transition出願がPre-AIA102条(a)項の先行技術に対して規則131条に基づく発明日の遡及で権利化されていた場合:

Transition出願で、クレーム1-10の全てはJP優先権出願にサポートされているとしPre-AIAで審査され、2013年1月15日に公開された102(a)項の先行技術を規則131条に基づき発明日を遡及することで当該先行技術を回避し権利化されたとする。権利化された後にクレーム1-10を精査すると従属クレーム10がPre-AIA出願(JP優先権出願)にサポートされていないということが判明した場合には、当該Transition出願(米国出願)はAIA出願となり、クレーム10の有効出願日は2014年1月1日で、クレーム1-9の有効出願日は2013年2月1日ではあるが、AIA出願なので規則131条に基づく発明日の遡及ができずに2013年1月15日に公開された先行技術を回避できなくなり、当該Transition出願の全てのクレームが無効となる。

 

例2)Transition出願がPre-AIA102条(e)項の先行技術に対してJP出願の優先日でもって回避し権利化されていた場合:

Transition出願で、クレーム1-10の全てはJP優先権出願にサポートされているとしPre-AIAで審査され、2012年12月1日にJP出願され2013年12月1日に米国出願された他社米国出願公開公報が102(e)項の先行技術として拒絶された。JP基礎出願日に基づき発明日を2013年2月1日まで遡及することで当該102条(e)項の先行技術を回避し権利化されたとする。権利化された後にクレーム1-10を精査すると従属クレーム10がPre-AIA出願(JP優先権出願)にサポートされていないということが判明した場合には、当該Transition出願(米国出願)はAIA出願となり、クレーム10の有効出願日は2014年1月1日で、クレーム1-9の有効出願日は2013年2月1日ではあるが、AIA出願にはHilmer-Doctrineが適用されないので他社米国出願のJP出願日(2012年12月1日)がPrior Art DateとなりAIA102(a)(2)の先行技術となるので、当該Transition出願の全てのクレームが無効となる。

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[*1] 本事案の場合には3件の先行技術のそれぞれで935特許クレーム1は新規性がないと判断された。しかし3件のうちの1件(Durack引例)はPre-AIA或いはAIAの何れの審査においても引例(先行技術)となったのでクレーム1が無効であるという判断は変わらない。

(上記筆者コメント)

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事件の概要: 
特許権者:Premium Genetics (UK) Ltd.
特許:USP 8,933,395号 (以下395特許) 

クレームの構成:独立クレーム(クレーム1とクレーム2):従属クレーム(クレーム3-14:独立クレーム2を親クレームとする従属クレーム)
PGR申請者:Inguran, LLC
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2015年12月22日、クレーム2がPre-AIA出願(US13/412,969)にサポートされていないというPGR申請人の主張が認められ395特許クレーム1-14に対するPGR申請が認められた(但し、この時点ではクレーム1はPre-AIA出願, "US13/412,969"にサポートされていないという申請人の主張は認められていなかった)。2016年9月14日に口頭審理が開催され、クレーム2-14がキャンセルされ、クレーム1のみがPTABでの審理の対象となった。2016年12月20日にPTABの最終審理結果が出た。PGR申請時にはPre-AIA出願にサポートがないという申請人の主張が否定されていたが、PTAB審理中における申請人の主張が任用され、当該クレーム1の有効出願日は2014年1月31日であると判断された。依って、395特許のクレーム1はDurack引例、Mueth引例、及び、Frontin-Rollet引例のそれぞれによって新規性がないと判断された。
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395特許は2014年1月31日に米国出願されたUS Application No. 14/169,92(以下927出願)から権利化されたもので、927出願は2013年3月16日以前の複数の出願から優先権を主張している。927出願は2012年3月6日に出願されたUS Application No.13/12,969(以下969出願)の継続出願であり、優先権を主張する最古の米国出願は2004年9月3日に出願されたUS Application No.10/934,597(以下597出願)である。尚、969出願597出願の明細書は同一内容であるということには当事者間で合意している。
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対応米国特許

出願番号

出願日

 

[1]

USP8933395

395特許

14/169,927

(927出願)

2014131

969出願からの継続出願

[2]

USP8653442

13/412,969

(969出願)

201236

277出願からの継続出願

[3]

USP8158927

12/659,277

(277出願)

201032

109出願からの分割出願

[4]

USP7699767

12/213,109

(109出願)

2008613

773出願からの分割出願

[5]

USP7402131

11/543,773

(773出願)

2006106

597出願からの分割出願

[6]

USP7118676

10/934,597

(597出願)

200493

親出願

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395特許の[1]927出願は2014年1月31日に出願されたが[2]969特許出願(2012年3月6日)からの継続出願であり、2013年3月16日(AIA適用日)を跨ぐ出願なので、Transitional Applicationであるが、[1]927出願はPre-AIAで審査された。即ち、395特許はPre-AIA(102条に対する旧法)の基に審査された。
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AIAで誕生したPGRの対象となるのはAIAで審査された米国特許のみである。即ち、基本的な考え方としてPre-AIAで審査された米国特許に対してはIPRの対象となるがPGRの対象とはならない。尚、IPRでは無効理由は新規性と自明性のみであるがPGRで101条、112条も無効理由となる。

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従って、普通に考えると395特許はPre-AIAで審査されているのでPGRの対象とはならない。しかしPTABにおいてPGR申請を認めるか否かの判断において395特許クレーム2の構成要素は2013年3月16日(AIA適用日)前の出願明細書に112条(a)項で規定するサポートがない(即ち、112条(a)項で規定する開示要件”Written Description”を満たさない)と判断され、395特許の有効出願日は969特許出願あるいは最古の597特許出願に遡及しないと判断された。後にクレーム2は取下げとなり、申請時にはPre-AIA出願にサポートされていると解されたクレーム1が実はサポートされていなという申請人の主張が認められ、395特許はAIA出願であると判断された。拠って、クレーム1の有効出願日は927出願の出願日、即ち、2014年1月31日であると判断された。
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従って、以下の3件の公開公報もAIA 102(a)(1)の基に全て395特許の引例となると判断された。
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公開番号

公開日

米国出願日(基礎出願日)

Durack

WO 2004/088282

2004-10-14

2003-03-28

Mueth

USP 7,355,696 US2006/0170912

2008-04-08

2006-08-03

2005-02-01

Frontin-Rollet

WO 2005/075629

2005-08-18

2005-01-19 (NZ:2004-02-05)

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PTABは、395特許のクレーム1は上記3件のいずれの先行技術文献によっても新規性が欠如していると判断した。
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参考:

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[1] PGRとIPRとの比較
[2] Transition Applicationに関して:
[3] 優先権主張を満たす要件(有効出願日を遡及するための要件):
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[1] PGRとIPRとの比較
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Name of Proceeding

Standard of Grant the proceeding

(手続きを開始するにあたってのハードル)

Evidential STD to prove invalidity of claim

Applicable Prior Art & Applicable Statutes

Time Constraints

Effective Date:

Other Comments

 

PGR:

Post Grant Review

(by 3rd Party)

More Likely Than Not that at least 1 claim challenged in the petition is unpatentable.

 

 

証拠の優越性

-No limitations;

-Publication, Prior Use, Sales,

-based on 101, 102, 103, 112(except best mode)

-Within 9 Months from Issuance of Patent;

 

-Not after DJ Action

Mar 16, 2013

(*a)

Settlement is available.(和解可能)

(*a) PGR is ONLY applicable to those US Patents having Effective Filing Date on or after 2013-03-16. For B-Method Patents, the effective date is 2012-09-16.

 

IPR:

Inter Partes Review

(by 3rd Party)

Reasonable Likelihood that the petitioner would prevail w/r/t at least 1 claim challenged in the petition.

 

 

 

証拠の優越性

-Publication Only

-based on 102 and 103;

-After 9 Months from Issuance of the Patent or after end of PGR;

 

-Not after DJ Action

-Not after 1 Year from Receipt of Infrg. Complaint

Sep 16, 2012

Settlement is available. (和解可能)

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[2] Transition Applicationに関して:
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Transition ApplicationとはAIA適用日(2013年3月16日:102条、103条を適用する施行日)を跨ぐ米国出願であって、米国出願日は2013年3月16日以降であるが、優先権を主張する基礎出願が同日以前であるものを言う。

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Transition ApplicationにAIA102条、103条を適用するか否かの判断基準は当該米国出願のクレームの全てが2013年3月16日以前の基礎出願にサポートされているか否かで判断する。即ち、Transition Applicationのクレームの全てが2013年3月16日以前の優先権出願にサポートがる場合にはPre-AIAで審査する。しかし、Transition Applicationのクレームの一つでも2013年3月16日以前の優先権出願にサポートされていない場合にはTransition Applicationのクレーム全てにAIA102条・103条を適用し、審査する。
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以下のExs. 1-4 を参照のこと:

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尚、Transition ApplicationにAIAが適用される場合には出願人が規則1.55条に基づくStatementを提出することが必要。
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以下、どのような場合にStatement提出が必要か否かを例示する。「Statement提出」とは「AIA適用で審査する」と同義である。以下、Example I ~ Example IIIを参照。

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Example I

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Example II

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Example III

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[3] 優先権主張を満たす要件(有効出願日を遡及するための要件):

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米国特許法120条に基づき有効出願日の恩恵を受けるためには、優先権出願が米国特許法112条(a)項の「開示要件: “Written Description Requirement”」を満たす必要がある。即ち、優先権出願に、問題となるクレームで規定する発明を、優先日において発明者が発明していたと明瞭に理解できるレベルに記載していなければならない。

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In order to show entitlement to an earlier effective filing date in accordance with 35 U.S.C. 120, including compliance with the written description requirement of 35 U.S.C. 112(a), “the prior application itself must describe the invention, and do so in sufficient detail that one skilled in the art can clearly conclude that the inventor invented the claimed invention as of the filing date sought.” Lockwood v. Am. Airlines, Inc., (Fed. Cir. 1997); VasCath v. Mahurkar (Fed. Cir. 1991) “The applicant must also convey with reasonable clarity to those skilled in the art that, as of the filing date sought, he or she was in possession of the invention ……… now claimed.

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