USPTO's Proposed Rules for Implementing Patent Reform

 

Under the America Invents Act

 

August 08, 2012

Summarized by Tatsuo YABE

American Invents Actに対応する施行規則(案)

 

 

2011916日に成立したAIA (America Invents Act)に対応する施行規則(案)が米国特許庁で順次整備されており、2012年7月26日時点で以下の施行規則(案)が米国特許庁のHPで公開されています。 発明者による先願主義(米国特許新法条文102条と103条)に関わる施行規則()が7月26日に公開されました。 

(1) Best Mode;

2011920日、USPTOは審査官に対して、審査に際しては112条第1項のベストモード要件は依然として残る(侵害裁判における被告側の無効の抗弁にはならない)ということを通達(Memorandum)した。

(2) Inter Parte Reexam;

2011916日〜2012915日(2012916日からIPR “Inter Partes Review”が開始される)の期間において、当事者系再審査請求が認められるか否かをUSPTOが判断する基準がSNQ(特許性に関わる実質的に新規な疑義が存在するか否か)からReasonable Likelihood(当事者系再審査の請求人が無効を主張するクレームの少なくとも一つが無効になるという合理的な確からしさが存在すること)に変更される。

(3) Prioritized Examination (Track 1);

2011926日以降の米国特許出願時(Utility Patent**Plant Patentに適用されるが、意匠出願には適用されない)に通常の出願料金に、4800ドルの追加料金を支払うことによって、無条件で早期審査を実施する。 基本は1年(12か月)以内に審査結果(許可通知、最終アクション)を出す。 昨年度予想したより早期審査の数が少なかったせいかUSPTORCE後にも早期審査(Track 1)の申請を許可し(20111219日施行)、且つ、201229日には4800ドルの料金を4000ドルに値下げすることを提案している。 ** 継続出願、分割出願、一部継続出願にも適用可能、Reissue出願には適用不可。

(4) Inventor’s Oath or Declaration;

本改正法は2012916日及び同日以降の米国出願に適用される。

発明者が特定でき全発明者より宣誓書に署名を貰える場合には現行の手続きと大差なし。 但し、譲渡書に発明者が宣誓する文書を盛り込むことが可能となる。 拠って、譲渡書と宣誓書の2種の書面にサインする必要がなくなる。 発明者の国籍を記入する必要がなくなる。 発明者からサインを貰えない状況にある場合には現行の手続きよりもやや容易に宣誓書を作成できるようになる。

(5) Citation of Prior Art (Inventor’s Statement) in Patent File; 

特許有効期間中であれば何時でも、何人も、特許権者が特許クレームの解釈に関して特許庁或いは連邦裁判所に対して述べた意見(情報)を当該特許のファイルに記録を残すことができる。 当該特許ファイルに記録されたクレーム解釈に対する特許権者の意見(情報)は、(1)304条に基づく査定系再審査;(2)314条に基づく当事者系レビュー; 及び、(3)324条に基づく異議申立てにおいてのみ利用できる。 

(6) Third Party Submission of Prior Art for Patent Application;

本改正法は2012916日に施行される。 即ち、同日、或いは、それ以降に以下の時期的要件を満たす米国出願に適用される。 

従前の2ヶ月という限られた期間が拡張された、即ち、次の(1)と(2)の早い方の日までであれば情報提供可能、(1)許可可能通知の前、或いは、(2)出願公開後6か月以内か第1回目の拒絶通知の遅い方。 さらに、情報提供者は簡潔な説明(提出する情報とクレームとの関連性)を提出しなければならない(従前は関連性に関わる説明は提出できなかった)。

(7) Supplemental Examination;  

補助審査制度は、2012916日以前に成立していた特許、同日、又は、同日以降に成立する全ての特許に対して適用される。

補助審査は特許権者が特許性に関わる情報を特許庁に、考慮、または、再考慮、或いは、既に特許庁に提出した情報の内容を訂正し、審査してもらうための手続きである。 補助審査の対象となる根拠条文は102条(新規性)、103条(進歩性)に限定されず101条、112条も含む。 同手続きにおいて特許庁で検討された情報を基に、被疑侵害者が権利行使不能の抗弁をすることを禁止するというメリットが特許権者に与えられる。 従って、補助審査の活用法の一例としては、特許権者がIDS提出不備の事実を訴訟前に治癒することができる。 尚、補助審査においてSNQ(特許性に対する実質的に新たな疑義)が存在すると判断されると査定系再審査が開始される。

(8) Guide for Proposed Trail Rules (IPR; PGR; Derivation Proceeding)

施行規則42条サブパートA

PTOは、以下の4つの係争手続きに共通するトライアルルール(規則案)を設定した:

(i) IPR(当事者系レビュー);

(ii) PGR(付与後異議申立て);

(iii) CBMP(ビジネス手法特許に関する移行期の対応);

(iv) Derivation Proceeding(冒認手続き);

PTO現行の審判部(Board of Patent Appeal and Interference: BPAI)はPatent Trail and Appeal Board (PTAB)となり、そこに技術と法律に熟知した行政法判事(裁判官)を配置する。 特許出願における審判、再審査に対する審判、冒認手続き、及び、IPR手続き、及び、PGR手続きを担当する。 少なくとも3人の行政法判事の下で審理をする。 審理においては特段の規定がない限りにおいて、「証拠の優越性」の判断基準を採用する(Rule 42.1(d))。これら行政法判事は、審理の進行が杓子定規になりすぎず、迅速で、妥当な費用で、且つ、公平なものとなるように、審理の進行に広範な裁量権が与えられる。

(9) Inter-Parte Review (IPR);

施行規則42条サブパートB

IPRの施行日は2012916日であり、同日前、同日、同日以降に発行される全ての米国特許に適用される。

対特許庁における新設のトライアル手続きの一つであり、特許無効理由の法的根拠は102条と103条のみで、無効理由として使用可能なものは刊行物(特許公報込み)のみである。 特許権者以外のものが本手続きを請求可能であり、特許発行後9ヶ月経過後或いはPGR(異議申立)手続きの終了後に利用可能である。IPRの請求に対して、特許権者は予備的な応答をすることができる。IPRを開始するための挙証基準は、「無効を主張されている少なくともひとつのクレームが無効になるであろうという合理的な妥当性が存在する」という基準である。 当該挙証基準が満たされ、IPR手続きが開始されると基本的には審判部(PTAB: Patent Trial and Appeal Board)による審決が1年以内にでる。

(10) Post Grant Review (PGR);

施行規則42条サブパートC

PGRの施行日は2012916日であるが同日から適用されるのはビジネス手法特許のみであって、それ以外の通常の米国特許に対しては2013316日以降に出願されたものに適用される。

対特許庁における新設のトライアル手続きの一つであり、特許無効理由の法的根拠は101条、112条、102条と103条で、無効を証明するために使用可能な証拠は刊行物(特許公報込み)に限らない。 特許権者以外のものが本手続きを請求可能であり、特許発行後9ヶ月を経過する前に利用可能である。PGRの請求に対して、特許権者は予備的な応答をすることができる。PGRを開始するための挙証基準は、「無効を主張されている少なくともひとつのクレームが無効になるであろうということがより確からしい」という基準である。 当該挙証基準が満たされ、PGR手続きが開始されると基本的には審判部(PTAB: Patent Trial and Appeal Board)による審決が1年以内にでる。PGRの施行日は2012916日であるがビジネス手法特許にのみ適用される。 ビジネス手法特許以外の通常の技術的主題に関わる特許に対しては102条と103条の新法の適用を受けた米国特許(2013316日以降の米国出願に適用)に対して順次適用される。 従って、一般の米国特許に対しては、2014年以降に最初のPGR手続きが開始されると予想される。

(11) Transitional Program for Covered Business Method Patents (TPCBMP)

施行規則42条サブパートD

2012916日に施行する。

対特許庁における新設のトライアル手続きの一つであり、ビジネス手法の特許にのみ適用される。 一般的には上記したPGR手続きが適用される。 但し、TPCBMPを請求できるは問題となるビジネス手法特許を基に侵害訴訟を提起された者、或いは、侵害の判断を受けたものに限られる。 本プログラム(TPCBMP)は2020916日をもって終了する。

(12) Definition of Technological Invention

上記ビジネス手法特許(CBMP)に対するPGRレビューで、「ビジネス手法特許」、及び、「Technological Invention」という用語が使用されており、当該用語の意味合いを規定した施行規則()2012210日に公開された。

(13) Proposed Patent Fee Schedule;

AIAAmerica Invents Act: 2011916日施行)によって、米国特許庁に、庁費用に関わる料金を決定する権限が与えられた。 201227日に特許庁手続き料金の改定が提案されており、多くのアイテムに対してかなり大幅な値上げが提案されている。 本年夏には衛星支所をデトロイトに設置するという計画(初年度に100人以上の審査官を採用する予定:USPTO2012111日プレスリリース12-04より)を遂行するため、出願の審査期間の短縮(バックログの軽減)のために優秀な審査官の増員と優秀な審査官を定着させるための審査官の待遇改善(給与アップ)、新設の補助審査、ならびに、付与後の異議申立て制度(PGR)、当事者系レビュー(IPR)、且つ、冒認手続き(Derivation Proceeding)を担当するトライアルボード(PTAB:現行の審判部に行政法判事が加わる)の拡大により大幅増の予算が必要となる。 215日に実施された公共(関連者団体)とのヒアリングの内容を考慮に入れて、特許庁は最終規則案を6月ごろに発表する予定。その後、60日間パブリックコメントを収集し、20132月に新料金がスタートする予定である。

(14) Derivation Proceeding;

2013316日に施行する。

冒認手続きは対特許庁における新設のトライアル手続きの一つであり、審判部(PTAB)は冒認手続きの請求に基づき、(1)先願の発明者Aが冒認手続き請求者の出願の発明者Bから発明を取得したことと、(2)先願の出願人は請求人の発明者Bの許可なく冒認出願を行ったか否かを判断する。尚、冒認手続きの請求期間が先願の最初の公開日より1年以内である。冒認手続きの請求書に冒認出願が行われたことを証明する十分な証拠が盛り込まれていない場合には同手続きの請求は受理されない。

(15) First Inventor to File 

2012726日にAIA102条)に対する施行規則案が公開された。

 

先発明主義から発明者による先願主義へ移行するうえでAIAは米国出願の有効出願日(外国出願より優先権を主張する場合にはその最先の出願日)を起算日とした。 このように有効出願日は引例の地位を判断するうえで極めて重要な日となる。 依って、有効出願日を証明するために、優先権証明書(外国出願が基礎出願の場合)の提出を義務づけることを規則1.55条において規定している。

 

さらに、規則1.55(a)(4)1.78(a),(c)項において、それぞれ2013316日以前の外国出願、仮出願、米国出願を基礎出願とする場合であっても、同日以降に有効出願日を備えたクレームを追加する場合、或いは、既に追加した場合にはその旨を特許庁に通知する義務を課した。 これら規則の制定趣旨は、審査官に出願審査に新法(AIAに基づく102条、103条の適用なるか否か)適用か旧法適用かを判断させるという負荷を軽減し、この移行期の審査を促進するためである。

 

さらに、AIA102(b)項において102(a)項の適用例外を規定したことに対応し、出願人による宣誓内容に関する規則1.130が新たに制定された。 但し、102条のProposed Rulesと同日に公開されたExamination Guidelineには、102(b)(1)(B)および102(b)(2)(B)で言う以前の公表(Public Disclosureは問題となる引例の開示と同一の主題であることを要求し、その違いが非実質的であっても新規性喪失の例外適用を受けることはできないThe Exam Guideline: 43767真中コラム &43769右コラム)と記載されている。 この点に関しては10月5日までに多くの質問と反対意見が届くと予想される。しかし、この同一性の問題(どのレベルを同一とみなすのか? どのレベルが非実質的な違いなのか?)に関してはPTOの規則で白黒つけられるものではなく結局は裁判に持ち越されると予想します。

 

 

改正法

関連条文(特許法)及び施行日

特許施行規則(案)など

 

現在のStatus

@ Best Mode

訴訟での無効の抗弁としてのベストモード要件の廃止に対する審査官への通知

282条(3)項

2011916

特許庁は2011920日に審査官に対して審査におけるベストモード要件は依然として残る(侵害裁判における被告側の無効の抗弁にはならない)ということを通達(Memorandum)した。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/best-mode-memo.pdf

 

既に確定。

A 当事者系再審査を開始するハードルが上昇

現行の当事者系再審査に取って代わって当事者系レビューIPR: 311条〜319条)2012916日から開始されることに準じ、現行の当事者系再審査を開始するための立証基準が厳しくなった。

2011916日から2012915日(2012916日からIPR Inter Partes Review”が開始される)までの間の当事者系再審査請求が認められるか否かをUSPTOが判断する基準がSNQ(特許性に関わる実質的に新規な疑義が存在するか否か)からReasonable Likelihood(当事者系再審査の請求人が無効を主張するクレームの少なくとも一つが無効になるという合理的な確からしさが存在すること)に変更される。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/revision-of-ip-std.pdf

 

既に確定。

B Prioritized Examination

(aka Track 1)

優先審査(トラック1審査)

2011926日以降の米国出願に適用。

RCE後の優先審査の施行日は20111219日。

4800ドル()の追加支払いによって無条件で早期審査を実施する。 基本は1年(12か月)以内に審査結果(許可通知、最終アクション)を出す。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/track1-aia.pdf 

http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2011-12-19/html/2011-32434.htm

 

Ø 2011926日以降の米国出願**(意匠出願を除く)に適用される。継続出願、分割出願、CIPにも適用される。 **継続出願、分割出願、一部継続出願にも適用可能、但し再発行出願には適用不可<PTO-Website Q&S-PE-TI10より>

Ø 出願(必要書類全て揃える;独立CL4つ、合計CL数30まで)と同時に優先審査を請求する。

 

Ø RCEと同時に或いはRCE後であっても第1回目のアクションの発行前であれば優先審査請求可能。 

 

Ø 但し、RCE後に優先審査請求は一回のみ。 ★第2回目のRCEには適用されない。

 

Ø PCTルート国内移行時には優先審査は請求できない。

 

Ø PCTから国内移行後、RCE時には優先審査請求可能。

 

Ø PCTルート国内移行ではなく所謂バイパス継続出願をすることで優先審査を受けられる。

 

特許庁は初期の規則を改定し、RCE後にも優先審査を認めることとした。RCE後の優先審査は20111219日より施行

(既に確定)

(★) 4000ドルに値下げが提案されている20122月)。

C Inventor’s Oath or Declaration

発明者の宣誓書

115

2012916日以降の米国出願に適用。

201219、「発明者の宣誓書」に関する特許庁の規則(案)が公開された。 概要は以下の通り:

 

発明者が特定でき全発明者より宣誓書に署名を貰える場合には現行の手続きと大きな違いはない。 但し、譲渡書に発明者が宣誓する文書を盛り込むことが可能となる。 拠って、譲渡書と宣誓書の2種の書面にサインする必要がなくなる。 発明者の国籍を記入する必要がなくなった。 発明者からサインを貰えない状況にある場合には現行の手続きよりもやや容易に宣誓書を作成できるようになる。

以下抜粋のみ

 

Ø Rule 1.47: 発明者がサインを拒む、又は、発明者とコンタクトできない場合

 

現行の規則1.47(b)では、発明者の全てが署名(サイン)できない状態の場合を規定しており、その場合には(i) 譲受人X、或いは、(ii) 発明主題に関し十分な権利を有する者Yのみが発明者(全て)の代わりに宣誓書にサインをすることが許されているが、本規則案のもとでは、発明者の一人でもサインできない状態の場合に上記(i),(ii)に該当する者X,Yに加えて、(iii) 発明者が権利をZに譲渡する義務を負う場合には、Zも署名(サイン)できない発明者の代わりに宣誓書にサインをすることができる。

 

さらに、現行の規則1.47(b)ではサインをしない(できない)発明者の代わりに署名をする場合には、「当事者の権利を保護するため」、或いは、「回避し難い損害を防止するため」にそのような署名が必要であったことを嘆願書を伴い宣誓書を提出することが要求されているが、新規則(案)の基では「回避し難い損害を防止するため」という文言が削除されている。

現行の規則1.47(a)は共同発明者による出願の場合に、サインをできない発明者の代わりに残りの発明者がサインをすることが許可されており、この規則は、新規則()1.47(b)として実質同じ内容で維持されている。

 

Ø Rule 1.55: パリ条約に基づく優先権

現行の規則1.55及び規則1.63(c)に基では、パリ条約に基づく優先権を記載するべき箇所が定位置になく混乱を招く可能性があったので、新規則案では規則1.76に基づく出願データシートに記載することに統一している。 尚、優先権を記載する期限は現行規則と同じ(出願審査中であって優先日より16ヶ月以内、期限延長不可)。

 

Ø Rule 1.63: 宣誓書

発明者の国籍を記載する必要がなくなった。

現行の3つの宣誓項目のひとつめで、自分は真の発明者で、且つ、最初の発明者であると信じるという「最初の発明者である」という文言が削除された。

 

新規則では宣誓書に署名する者は、以下の4つの項目に対して宣誓する:

 

★ 宣誓項目がひとつ(Rule 1.63(a)(5))増えている。

(1)真の発明者である。

-- Rule 1.63(a)(4)

(2)出願書類は発明者によって、或いは、発明者の承諾を得て作成された。

-- Rule 1.63(a)(5)

(3)クレームを含む明細書の内容を確認し、理解している。

-- Rule 1.63(a)(6)  

(4)IDSの開示義務を知っている。

-- Rule 1.63(a)(7)

 

Rule 1.63(c)(1)

譲渡書を宣誓書の中に盛り込むことを許容している。

★ 現行のように「譲渡書」と「宣誓書」の2枚に発明者のサインを貰わなくてすむ。

 

Ø Rule 1.67: 宣誓書の記載に不備がある場合 

(内容省略する)

 

Ø Rule 1.76: 出願データシート

(内容省略する)

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr982.pdf

 

201236日までパブリックコメントを受付け、その後規則を確定する。

D Citation of Prior Art (Inventor’s Statement) in Patent File

特許成立後に先行技術を提出し、ファイルに記録する。

301

2012916

201215、「Citation of Prior Art」に関する特許庁の規則(案)が公開された。 概要は以下の通り:

 

Ø 特許有効期間中であれば何時でも、何人も、特許権者が特許クレームの解釈に関して特許庁或いは連邦裁判所に対して述べた意見(情報)を当該特許のファイルに記録を残すことができる。 

 

Ø 当該特許ファイルに記録されたクレーム解釈に対する特許権者の意見(情報)は、(1)304条に基づく査定系再審査;(2)314条に基づく当事者系レビュー; 及び、(3)324条に基づく異議申立てにおいてのみ利用できる。言い換えると上記(1)、(2)、(3)の手続きにおいてのみ禁反言として活用可能;

 

Ø Rule 1.501(f)

3者は匿名で特許庁に当該情報を提供できる;

 

Ø Rule 1.501(d)

但し、情報提供者は特許権者に当該情報を送達しなければならない(送達するための誠実な努力を支払わねばならない);

 

Ø Rule 1.501(e)

送達を示す証拠がない場合には特許ファイルの記録に残さない。

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr442.pdf

 

201235日までパブリックコメントを受付け、その後規則を確定する。

E 3rd Party Submission of Prior Art for Patent Application

3者による情報提供(特許成立前)

122(e)項が追加された。

2012916日から開始され、同日時点で特許法122(e)の定める時期的要件を満たす米国出願に対して適用する。

201215、「第3者による情報提供」に関する特許庁の規則(案)が公開された。 概要(規則案抜粋)は以下の通り:

 

Ø Rule 1.290(b) (35USC122(e)に準ずる)

(1)許可可能通知の前、或いは、(2)出願公開後6か月以内か第1回目の拒絶通知の遅い方; (1)と(2)の早い日までであれば情報提供可能; 注意: 期限を過ぎるとFile-Wrapperにも入らない。

 

Ø Rule 1.290(d)(2)

簡潔な説明(提出する情報とクレームとの関連性)提出要

 

Ø Rule 1.290(5)

情報提供者はIDSの開示義務を負う者ではないということを記載すること(特許権者がIDS開示義務を容易に回避する手段として本手続きを活用できないようにする); 但し、匿名で可能。

 

Ø Rule 1.290(g)

3つ以内の文献とそれらの簡潔な説明を提出する場合は庁費用($180)免除(★ より関連性の高い情報のみを提出するインセンティブ);

Ø Rule 1.290(h)

特許庁からの要請のない場合には出願人は第3者の情報提供に対して応答する必要はない。

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr448.pdf

 

201235日までパブリックコメントを受付け、その後規則を確定する。

F Supplemental Examination

補助審査手続き

257

2012916日時点で成立している特許全てに適用。

2012125、「補助審査手続き」に関する特許庁の規則(案)が公開された。 概要は以下の通りです。 

補助審査は特許権者が特許性に関わる情報を特許庁に考慮または再考慮、或いは、既に特許庁に提出した情報の内容を訂正し、審査してもらうための手続きである。 同手続きにおいて特許庁で検討された情報を基に、被疑侵害者が権利行使不能の抗弁をすることを禁止するというメリットが特許権者に与えられる。 従って、補助審査の活用法の一例としては、特許権者がIDS提出不備の事実を訴訟前に治癒することができる。 尚、補助審査においてSNQ(特許性に対する実質的に新たな疑義)が存在すると判断されると査定系再審査が開始される。 是正されると訴訟において問題となる情報を元に不公正行為は問われない。

Ø Rule1.601(b)

補助審査の請求は特許権者によってのみ可能。 第3者は参加できない。

 

Ø Rule 1.610(b)(8)(i) & Rule 1.610(b)(8)(ii)

特許性に関わる全ての要件(102条新規性、103条進歩性のみではなく、101条特許保護適格性、及び、112条記載要件)を理由に補助審査を請求できる。

 

Ø 35USC257(c)(1)

審査段階で考慮されなかった情報、不適切に考慮された情報、或いは、情報が間違って伝えられた場合に、これら情報が補助審査(査定系再審査)において考慮された後は、これら情報に関わる行為(例:IDS提出の不備)を基に権利行使不能とはならない 。

Ø 費用(料金):

補助審査請求時に、補助審査請求費用(5180ドル: Rule 1.20(k)(1))と査定系再審査請求費用(16120ドル: Rule 1.20(k)(2))の支払いが必要(庁費用だけで21300ドル「約180万円」必要)。

 

Ø Rule 1.620(a)

補助審査請求(提出書類の要件を満たされた場合)後、3か月以内に特許庁はSNQ(特許性に関わる実質的に新規な疑義)があるか否かを判断し、結果を出す。

 

Ø 補助審査においてSNQ(特許性に関わる実質的に新規な疑義)が存在すると判断された場合には、査定系再審査(35USC257)が開始される – Rule 1.625(b)。 尚、補助審査後の査定系再審査は基本的にはRule1.530Rule1.570に基づき実施される。 しかし、通常の査定系再審査とは異なり特許権者がRule1.530に基づく意見書を提出できない(注意:再審査が開始された後の拒絶理由通知には応答できる); 通常の査定系再審査とは異なり、特許或いは文献以外の証拠も考慮される; 通常の査定系再審査とは異なり特許性に関わる理由が101条、112条を含む; などの違いがある – Rule1.625(d)

 

Ø Rule 1.625(c) & Rule 1.20(k)(2)

補助審査においてSNQ(特許性に関わる実質的に新規な疑義)が存在しないと判断された場合には査定系再審査費用(16120ドル:約140万円)が返還される。 査定系再審査(35USC257)は行われない。

 

Ø Rule 1.620(e)

補助審査においてインタビューは不可。

 

Ø Rule 1.620(f)

補助審査請求時に補正クレームを提出できない。

 

Ø Rule 1.605(a)

一回の補助審査において提出できる特許性に関わる情報は10アイテム以内 (例:引例Aと引例Bにより自明。⇒2アイテムとなる)

 

Ø 35USC257(a) & (c)

補助審査において提出できる情報は特許或いは文献に限定されない。 音声情報を基に記録した情報(テープ録取)或いはビデオ映像なども提出可能。

 

Ø Rule 1.620(g) & 35USC257(e)

補助審査中に重大な詐欺行為(Material Fraud)が発覚した場合には特許庁は司法庁長官に通告できる。 ここで、重大な詐欺行為とは、2011年のCAFC大法廷におけるTherasense判決(重要性と意図の要件を個々に明白且つ説得性の挙証責任で立証)に基づく。

★ 尚、特許庁はAIA America Invents Act: 2011916日に成立した米国特許法改正法)第257条(d(1)で料金設定権限が与えられたのを良いことに査定系再審査請求費用を現行の2520ドルから17750ドルに値上げを提案している。(注意: 本規則は最終決定されたものではない。)

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr3666.pdf

 

2012326日までパブリックコメントを受付け、その後規則を確定する。

G IPRPGRCBMP(*1)Derivation Proceedingに共通するトライアル規則

(*1) the transitional program for covered business method patents の略

 

施行規則42条サブパートA

 

PTOは、以下の4つの係争手続きに共通するトライアルルール(規則案)を設定した:

(v) IPR(当事者系レビュー);

(vi) PGR(付与後異議申立て);

(vii) CBMP(ビジネス手法特許に関する移行期の対応);

(viii) Derivation Proceeding(冒認手続き);

 

PTO現行の審判部(Board of Patent Appeal and Interference: BPAI)はPatent Trail and Appeal Board (PTAB)**となり、そこに技術と法律に熟知した行政法判事(裁判官)を配置する。 特許出願における審判、再審査に対する審判、冒認手続き、及び、IPR手続き、及び、PGR手続きを担当する。 少なくとも3人の行政法判事の下で審理をする。

審理においては特段の規定がない限りにおいて、「証拠の優越性」の判断基準を採用する(Rule 42.1(d))

**DC及びDC近辺の有名事務所の特許訴訟弁護士も採用されている。 合計約100-120名の経験豊富なLitigatorsが採用される予定。

これら行政法判事は、審理の進行が杓子定規になりすぎず、迅速で、妥当な費用で、且つ、公平なものとなるように、審理の進行に広範な裁量権を持つ。

42.5(d)で規定された当事者系の審理において審判部は一当事者のみとのコミュニケーションはしない。

42.15で各手続きの料金が規定されており、無効を請求するクレームの数によって異なる:

クレーム数

IPR (US$)

PGR (US$)

120

27,200

35,800

2130

34,000

44,750

3140

40,800

53,700

4150

54,400

71,600

5160

68,000

89,500

6170

95,200

125,300

70を超えて10項毎に

27,200

35,800

クレーム数の計算例:

1: クレーム130の無効を主張する場合、クレーム230の各々が独立クレーム1にのみ従属する従属項の場合には、上記表におけるクレーム数(左コラム)は30項である。

2:  クレーム221の無効を主張する場合、クレーム2−20の各々は独立クレーム1にのみ従属する従属項の場合には、クレーム1をカウントに入れて、上記表におけるクレーム数は21項である。

3:  クレーム3の無効を主張する場合、クレーム3はクレーム2の従属項であり、クレーム2はクレーム1の従属項である場合には、上記表におけるクレーム数は3項である。

42.24には頁数の上限が規定されている。

 

IPR

PGR

CBMP

冒認手続き

手続きの請求書面

50

70

70

50

被請求人の反論

上と同じ

上と同じ

上と同じ

上と同じ

特許権者の反論に対する意見書

15

15

15

 

規則

例外を除いてレターサイズ、14ポイント以上のフォント、ダブルスペース、黒色、1インチのマージン(全サイド);

但し、目次および参照文献のリスト等は上記枚数制限に含まない。

 

42.51はディスカバリーに関して規定している。 

42.53はディポジションに関して規定している。

42.62で、証拠の取り扱いに関しては、連邦民事訴訟における証拠法が適用されると規定している。

42.70は口頭審理に関しての規定。

42.74は、「和解」に関して規定している。

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/rin-0651-ac70.pdf

以下規則42条サブパートAの目次のみ

PART 42—TRIAL PRACTICE BEFORE THE PATENT TRIAL AND APPEAL BOARD

Sec.

Subpart A—Trial Practice and Procedure

General

42.1 Policy.

42.2 Definitions.

42.3 Jurisdiction.

42.4 Notice of trial.

42.5 Conduct of the proceeding.

42.6 Filing of documents, including exhibits; service.

42.7 Management of the record.

42.8 Mandatory notices.

42.9 Action by patent owner.

42.10 Counsel.

42.11 Duty of candor.

42.12 Sanctions.

42.13 Citation of authority.

42.14 Public availability.

Fees

42.15 Fees.

Petition and Motion Practice

42.20 Generally.

42.21 Notice of basis for relief.

42.22 Content of petitions and motions.

42.23 Oppositions and replies.

42.24 Page limits for petitions, motions, oppositions and replies.

42.25 Default filing times.

Testimony and Production

42.51 Discovery.

42.52 Compelling testimony and production.

42.53 Taking testimony.

42.54 Protective order.

42.55 Confidential information in a petition.

42.56 Expungement of confidential information.

42.61 Admissibility.

42.62 Applicability of the Federal Rules of Evidence.

42.63 Form of evidence.

42.64 Objection; motion to exclude; motion in limine.

42.65 Expert testimony; tests and data.

Oral Argument, Decision, and Settlement

42.70 Oral argument.

42.71 Decision on petitions or motions.

42.72 Termination of trial.

42.73 Judgment.

42.74 Settlement.

Certificate

42.80 Certificate

 

 

H Inter Partes Review

当事者系レビュー

311条〜319

2012916日時点で付与後9ヶ月を経過した米国特許に適用。

施行規則42条サブパートB

 

2012210、「当事者系レビュー:IPR」に関する特許庁の規則42-B(案)が公開された。 概要は以下の通り: 

 

IPR制度を導入する目的は訴訟における多大なコストと時間を軽減しうる手続きを対特許庁で実施できるようにするためである。 IPRを開始するにあたり、IPR請求人(特許権者以外のもの)は新規性、進歩性に関わる理由を法的根拠とし、一つあるいはそれ以上のクレームを無効にするべく証拠と、手続き費用27,200ドル(無効を請求するクレーム数、20項までの場合)とともにIPRを申請可能である。 PTOは請求人の無効理由(証拠)によって、少なくとも一つのクレームが無効になるという合理的な妥当性がある(Reasonable Likelihood that at least one claim challenged is unpatentable)と判断した場合に、IPRを開始する。 尚、特許権者は一回の反論の機会(クレームの補正も可能)が保証されている。尚、当該手続きを遂行するにあたり、共通のトライアル規則が42条で新規に設定されており、基本的にはIPRCBMとも同様の規則が適用され限定的なディスカバリー、及び、口頭審理も可能である。 手続きが開始されてから基本的には1年で決着がつくようにスケジュールが組まれる(請求人と特許権者に対する応答期限が設定される)。 但し、正当な理由のある場合にはトータルで6ヶ月の期限延長が可能であり、その場合には1年という期間は遵守されない) 尚、PTOの審判部(PTAB)の最終判断に不服のある場合にはCAFCに控訴可能である。

PGRとの相違点は、IPR2012916日以降に全ての米国特許に対して適用されること、さらに特許発行後9ヶ月以降であること(またはPGR手続きの終了後)にIPRを請求できる。 さらに、PGRでは米国特許法に基づく全ての要件(但しベストモード要件はNG)が法的根拠となるのに対してIPRは新規性と進歩性のみが法的根拠で、無効に利用できる証拠は刊行物(特許含む)限定される。 さらに、PGRを開始するための請求人側の立証責任は「More Likely Than Not…(MLTN)」であり、IPRを開始するための請求人側の立証責任は、「Reasonable Likelihood that the petitioner would prevail・・・(RL): 35USC314」である。

但し、IPR手続きが開始された後は、クレームを無効にするための立証責任は「証拠の優越性 (Preponderance of the Evidence)」であり、PGR手続き、及び、査定系再審査と同じである。

IPRに対する施行規則: Rule 42 Subpart B:

(以下、要部のみ抜粋)

Ø Rule 42.100

IPRはトライアルであり施行規則42条のサブパートAに準ずる。クレームは明細書に鑑み妥当性のある最も広い解釈がされる。 IPRは期限延長(最長6ヶ月)のなき場合には通常1年以内に終結する。

Ø Rule 42.101

特許権者以外がIPRを請求できる。

但し、IPR請求人が既に民事訴訟(問題となる特許クレームの有効性が争点: ★ DJアクション)を提起している場合にはIPRを請求できない。 請求人が問題となる特許を侵害するという訴状を受けてから1年以上経過している場合にはIPRを請求できない。

Ø Rule 42. 102

特許発行後9ヶ月以降に請求すること。 或いはPGR手続きが進行している場合にはその終結後に請求すること。

Ø Rule 42. 103

IPRの請求時に4215a)に規定された料金(27200ドル:無効請求の対象となるクレーム数、20項までの場合)を支払うこと。  無効請求対象のクレームが20項を越えると費用が増大する。 因みに対象となるクレーム数が5160項の場合には68,000ドル。

Ø Rule 43. 104

IPRの請求書面において特許と無効を請求するクレームを特定し、無効理由となる法的根拠を示し、無効を主張するクレームの構成を説明し、当該法的根拠に基づき無効理由(先行技術との関連性)を説明すること。 尚、無効理由の根拠となる先行技術(引例)には証拠番号を付し、無効理由となる箇所を特定すること。

Ø Rule 42. 105

IPR請求人は特許権者に請求書類及び証拠資料を送達すること。

Ø Rule 42. 106

IPRの請求書類に不備がある場合には、当該不備の通告後1ヶ月以内に不備が解消されない場合にはIPRの請求を受理しない。

Ø Rule 42. 107

特許権者は一度予備的な反論をする機会が与えられる。 証拠を添えて反論することも可能である。 IPR手続きが開始されたという通知が発行されて2ヶ月以内に応答すること。 特許権者は予備的な反論をするときに補正クレームを提出できない。 特許権者は問題となるクレームをキャンセルすることはできる(★IPRをする意味がなくなり、IPRを終結できる)。 

Ø Rule 42. 108

PTOの審判部(PTAB)RLの基準(Reasonable Likelihood that at least one of the claims challenged is unpatentable)を満たしていないと判断するとIPRの手続きは開始されない。

Ø Rule 42. 120

特許権者は請求人が無効を主張するクレームに関してのみ反論することができる。 当該反論の頁数は規則42.24の制限を受ける。 当該反論の期限はIPR手続きが開始された後、2ヶ月以内である。

Ø Rule 42. 121

特許権者は審判部(PTAB)に確認した後に、クレームを補正する機会が一度与えられる。 それ以上、クレームを補正することは審判部(PTAB)の許可がないとできない。 尚、当該補正時に、クレームの拡大補正は許されない。 無効を主張されたクレームの無効理由を解消する目的でしかクレームを補正できない。

Ø Rule 42. 122 – Multiple Proceedings

省略する。

Ø Rule 42. 123

請求人は審判部(PTAB)の承認を得て、追加の情報を提供できる。 但し、IPR手続き開始後1ヶ月以内。

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/rin-0651-ac70.pdf

 

49日までパブリックコメント受付け、最終的には本年7月頃に規則が成立する予定。

I Post Grant Review

付与後異議申立て

321条〜329

2012916日以降に手続きは開始されるがビジネス手法特許(施行規則42条サブパートD参照)にのみ適用、それ以外の米国特許に関しては新法に基づく新規性・進歩性(2013316日以降の米国出願)で権利化されたものに順次適用する。

施行規則42条サブパートC

 

2012210、「付与後異議申立て:PGR」に関する特許庁の規則42-C(案)が公開された。 概要は以下の通りです。 

PGR制度を導入する目的は訴訟における多大なコストと時間を軽減しうる手続きを対特許庁で実施できるようにするためである。 PGRを開始するにあたり、PGR請求人(特許権者以外のもの)は新規性、進歩性に関わる理由のほかに、101条(特許主題適確性)、及び、112条の記載要件(但し、ベストモード要件違反を除く)を法的根拠とし、一つあるいはそれ以上のクレームを無効にするべく証拠と、手続き費用35,800ドル(無効請求の対象となるクレーム20項までの場合)とともにPGRを請求可能である。

 

 PTOは請求人の無効理由(証拠)によって、少なくとも一つのクレームが無効になることがより確からしい(More Likely Than Not)と判断した場合に、PGR手続きを開始する。 尚、特許権者は一回の反論の機会(クレームの補正も可能)が保証されている。尚、当該手続きを遂行するにあたり、共通のトライアル規則が42条で新規に設定されており、基本的にはIPRCBMとも同様の規則が適用され限定的なディスカバリー、及び、口頭審理も可能である。 手続きが開始されてから基本的には1年で決着がつくようにスケジュールが組まれる(請求人と特許権者に対する応答期限が設定される)。 但し、正当な理由のある場合には最長6ヶ月の期限延長が可能であり、その場合には1年という期間は遵守されない) 尚、PTOの審判部(PTAB)の最終判断に不服がある場合にはCAFCに控訴可能である。

 

IPR(当事者系レビュー)との相違点は、PGRは(ビジネス手法特許 CBMP’を除いて)2013316日以降の米国出願で成立した特許に適用されること、さらに特許発行後9ヶ月以内にPGRを申請することが要求され、それ以降はIPRとなる。 さらに、PGRでは米国特許法に基づく全ての要件(但しベストモード要件はNG)が法的根拠となる。 さらに、PGRを開始するための請求人側の立証責任は「More Likely Than Not」であり、IPRを開始するための請求人側の立証責任は、「Reasonable Likelihood that the Petitioner would Prevail・・・」である。 言い換えると、PGRの請求期間は9ヶ月と限定されているが、PGRの請求のほうがIPRの請求よりも認められやすい。

但し、PGR手続きが開始された後は、クレームを無効にするための立証責任は「証拠の優越性 (Preponderance of the Evidence)」であり、IPR及び査定系再審査と同じである。

PGRに対する施行規則: Rule 42 Subpart C:

(以下、要部のみ抜粋)

Ø Rule 42.200

PGRはトライアルであり施行規則42条のサブパートAに準ずる。

クレームは明細書に鑑み妥当性のある最も広い解釈がされる。 PGRは期限延長(最長6ヶ月)のなき場合には通常1年以内に終結する。

Ø Rule 42.201

特許権者以外がPGRを請求できる。但し、PGR請求人が既に民事訴訟(問題となる特許クレームの有効性が争点: ★ DJアクション)を提起している場合にはPGRを請求できない。

Ø Rule 42. 202

特許発行後9ヶ月以内に請求すること。 原特許のクレームと同一或いは減縮した権利範囲のクレームを持つ再発行特許には適用不可。

Ø Rule 42. 203

PGRの請求時に4215(b)に規定された費用(35800ドル:無効請求の対象クレーム20項まで)を支払うこと。 無効請求対象のクレームが20項を越えると費用が増大する。 因みに対象となるクレーム数が5160項の場合には89500ドル。

Ø Rule 43. 204

PGRの請求書面において特許と無効を請求するクレームを特定し、無効理由となる法的根拠を示し、無効を主張するクレームの構成を説明し、当該法的根拠に基づき無効理由(先行技術との関連性)を説明すること。 尚、無効理由の根拠となる先行技術には証拠番号を付し、無効理由となる箇所を特定すること。

Ø Rule 42. 205

PGR請求人は特許権者にPGR請求書類及び証拠資料を送達すること。

Ø Rule 42. 206

PGRの請求書類に不備がある場合にはPGR請求日としない。(★書類不備によって9ヶ月期限を越える危険性あり)

Ø Rule 42. 207

特許権者は一度予備的な反論をする機会が与えられている。 証拠を添えて反論することも可能である。 PGRが開始されたという通知(PTOが請求人の無効理由がMLTN” more likely than not”の基準を満たしていると判断した)が発行されて2ヶ月以内に応答すること。 特許権者は予備的な反論をするときに補正クレームを提出できない。 特許権者は問題となるクレームをキャンセルすることはできる(★PGRをする意味がなくなり、PGRを終結できる)。

 

Ø Rule 42. 208

PTOの審判部(PTAB)MLTNの基準(More Likely Than Not that at least one claim challenged in the petition is unpatentable)を満たしていないと判断するとPGRの手続きは開始されない。

Ø Rule 42. 220

特許権者は請求人が無効を主張するクレームに関してのみ反論することができる。 当該反論の頁数はRule42.24の制限を受ける。 当該反論の期限はPGR手続きが開始された後、2ヶ月以内である。

Ø Rule 42. 221

特許権者は審判部(PTAB)に確認した後に、クレームを補正する機会が一度与えられる。 それ以上、クレームを補正することは審判部(PTAB)の許可がないとできない。 尚、当該補正時に、クレームの拡大補正は許されない。 無効を主張されたクレームの無効理由を解消する目的でしかクレームを補正できない。

Ø Rule 42. 222 – Multiple Proceedings

省略する。

Ø Rule 42. 223

請求人は審判部(PTAB)の承認を得て、追加の情報を提供できる。 但し、PGR手続き開始後1ヶ月以内。

Ø Rule 42. 224

ディスカバリーはRule 42条のサブパートAに準ずる。

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr7060nprm.pdf

 

49日までパブリックコメント受付け、最終的には本年7月頃に規則が成立する予定。

J Implement Transitional Program for Covered Business Method Patents (CBMP)

2012916日から適用

施行規則42条サブパートD

2012210、ビジネス手法特許(Covered Business Method Patents: CBMP)に対する「付与後異議申立て:PGR」に関する特許庁の規則42-D(案)が公開された。 概要は以下の通りです。 

ビジネス手法特許に対する異議申立て制度(PGR)はそれ以外の特許に対する異議申立て(PGR)とは少し異なるルールが適用される。 まずは、施行日に関して、ビジネス手法特許に関しては2012916日よりPGRが可能となる。 但し、PGR請求人は当該ビジネス手法特許でもって侵害を訴えられた者、或いは、侵害と判断された者に限る。 尚、本プログラムは2020916日に終了する。

Subpart D—Transitional Program for Covered Business Method Patents (CBMP):

Ø Rule 42.300 Procedure; pendency

CBMPに対するレビューはトライアルであり施行規則42条のサブパートA及びPGRに関する施行規則42条のサブパートCに準ずる。

クレームは明細書に鑑み妥当性のある最も広い解釈がされる。 CBMPのレビューは期限延長(最長6ヶ月)のなき場合には通常1年以内に終結する。本施行規則は2020915日を持って終了する。

Ø Rule 42.301  CBMPの定義

CBMP (Covered Business Method Patent)とは金融商品(資産商品)或いは、サービスに対する管理、運用、実行に用いるための方法或いはそれに対応する装置をクレームした特許を意味する。 但し、CBMPは、技術的な発明(Technological Inventions)を含まない。 ★ ここで「技術的な発明」を含まないと規定されているのでRule 42.301(b)で何が技術的な発明であるかを規定している。

Ø 42.302 当事者適確性:

CBMPを基礎とし侵害裁判の被告、或いは、侵害と判断された者、および、その利害関係者のみがCBMPのレビューを請求できる。

Ø Rule 42.303 Time for filing.

CBMPのレビューは、改正米国特許法321(c)で規定された期間を除き、いつでも請求可能である。 ★ 321条(c)では特許証発行後9ヶ月間と規定しているので、CBMPのレビューはこの期間を除き請求可能である。

Ø Rule 42.304 Content of petition.

規則42.22の要件を満たすと共に、請求人は以下の内容をCBMPレビューの請求書に盛り込むこと、(以下抜粋) 当事者適確性、レビューを申請する特許がCBMPに該当することの証明、無効の対象となるクレームの特定と、無効理由、無効の対象となるクレームの解釈、無効理由を補助する証拠。

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr7080nprm.pdf

 

410日までパブリックコメント受付け、最終的には本年7月頃に規則が成立する予定。

K Definition of Technological Invention

 

Rule 42.301

上記ビジネス手法特許(CBMP)に対するPGRレビューで、「ビジネス手法特許」、及び、「Technological Invention」という用語が使用されており、当該用語の意味合いを規定した施行規則()2012210日に公開された。

 

Ø Rule 42.301

 

Rule 42. 301 (a)

CBMP (Covered Business Method Patent)

CBMPとは金融商品(資産商品)或いは、サービスに対する管理、運用、実行に用いるための方法或いはそれに対応する装置をクレームした特許を意味する。 但し、CBMPは、技術的な特許(Technological Inventions)を含まない。

 

Rule 42. 301 (b)

技術的な発明(Technological Inventions)

CBMPのレビューに該当する特許 (42.301a)か否かを検討するために、問題となる特許が技術的な発明(Technological Invention)であるか否かを判断するには事案毎に、以下を検討する:

(1) クレームされた主題全体において、引例に対して新規で且つ非自明な技術的な特徴を規定しているか? 及び、

(2) 技術的な問題を技術的解決手法にて解決するか?

 

★ 上記規則42.301(b)の(1)及び(2)を満たせば問題となる特許は技術的な発明であると判断され、CBMPのレビューは行われない。 即ち、通常のPGRルール(上記42条サブパートC)が適用される。

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr7095nprm.pdf

 

410日までパブリックコメント受付け、最終的には本年7月頃に規則が成立する予定。

L 特許出願および特許維持に関する改訂費用(案)

AIAAmerica Invents Act: 2011916日施行)によって、米国特許庁に、庁費用に関わる料金を決定する権限が与えられた。 201227日に以下の手続き料金の改定が提案されている。

かなり多くのアイテムに対してかなり大幅な値上げが提案されている。 

 

本年夏には衛星支所をデトロイトに設置するという計画(初年度に100人以上の審査官を採用する予定:USPTO2012111日プレスリリース12-04より)を遂行するため、出願の審査期間の短縮(バックログの軽減)のために優秀な審査官の増員と優秀な審査官を定着させるための審査官の待遇改善(給与アップ)、新設の補助審査、ならびに、付与後の異議申立て制度(PGR)、当事者系レビュー(IPR)、且つ、冒認手続き(Derivation Proceeding)を担当するトライアルボード(PTAB:現行の審判部に行政法判事が加わる)の拡大により大幅増の予算が必要となる。 以下に提案されている改定料金は上記した特許庁の大きな改革を実現するために必要ということで提案されている。 

 

以下料金改定(提案)は215日に公共とのヒアリング(済み)があり、同ヒアリングの内容を考慮に入れて、特許庁は最終規則案を6月ごろに発表する予定。その後、60日間パブリックコメントを収集し、20132月に新料金がスタートする予定である。

 

 料金が上昇するもの(提案):

 

現在 (US$)

今回の提案(US$)

増加%

特許出願費用(サーチ、審査込み)

1250 (US$)

1840 (US$)

47%

20項を超えるクレームに対するクレーム数超過費用

60

100

67%

3つを超える独立クレームに課せられる超過費用

250

460

84%

多数項従属クレーム

450

860

91%

意匠出願費用

530

1180

123%

期限延長費用(1ヶ月)

150

200

33%

期限延長費用(2ヶ月)

560

600

7%

期限延長費用(3ヶ月)

1270

1400

10%

RCE(継続審査請求)

930

1700

83%

審判請求と審判理由書

1240

4000

223%

特許維持費用

 

 

 

3.5

1130

1600

42%

7.5

2850

3600

26%

11.5

4730

7600

61%

 

 

 

 

 

 

 料金が安くなるもの(提案):

 

現在(US$)

今回の提案(US$)

減少%

特許登録費用と公開費用

2040

960 (*)

-53%

優先審査

4800

2011926日に提案された費用

4000

-17%

(*) 201411日より、それまでは2080ドル(提案)

 

 

 不思議な変動:さらなる値上げが提案されている(提案)

 

20121月に提案された費用 (US$)

今回2月の提案 (US$)

増加%

補助審査

5180(補助審査)+16120(再審査)

7000(補助審査)+

20000(再審査)

35%

24%

 

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/fee_setting_-_ppac_hearing_attachment_1-table_of_patent_fee_changes_7feb12.pdf

 

 

M Derivation Proceeding

冒認手続き

135

2013316日以降に適用。

20120210、「冒認手続き:Derivation Proceeding」に関する特許庁の規則(案)が公開された。 概要は以下の通りです。 

Ø Rule 42.401 - Definition

本規則において「出願人」とはオリジナルの特許(原特許)の出願人と再発行特許の出願人を意味し、「請求人」とは先願の出願人が請求人の出願に記載された発明者より発明を取得し、許可を得ることなく冒認出願したという事実認定をPTOに求める者を意味する。「応答人(respondent)」とは「請求人」以外の当事者を意味する。

 

Ø Rule 42.402  請求人

米国特許出願人は冒認手続きの請求人になる資格がある。

 

Ø Rule 42. 403 冒認手続き請求の時期

先願の最初の公開より1年以内。

 

Ø Rule 42.404  冒認手続きの費用

施行規則4215(c)に準ずる。

★$US 400PGRIPRに比べて何故庁費用がこれだけ低いのか?疑問

 

Ø Rule 42.405 冒認手続きの請求書の内容

(a) 当事者としての適格性:

規則42.40242.403の要件を満たしていることを記載する;

請求人は少なくとも一つのクレームに対して、応答人のクレームされた発明主題と同じ或いは実質的に同じであること、応答人が開示している発明と特許性のレベルで識別できないということを証明する。

 

(b) 規則42.8および42.22の要件を満たすとともに、請求人は以下を揃えること:

(1) 請求人が問題とする特許出願或いは特許を特定する;

(2) 請求人の出願に記載された発明者から発明が取得され、発明者の許可なくその発明をクレームした冒認出願が実施されたことの証明;及び、

(3) 応答人が冒認出願したと主張する各クレームに対して:  

 (i) それらが出願人のクレームと特許性に鑑み識別されないと判断するその理由;

 (ii) 問題となるクレームの解釈(112条第6項の解釈をするときは明細書でそれに該当する個所と構成を指摘する);

(c) 請求人が冒認されたと主張する発明に関して発明者と何らかのやりとりがあったこと、発明者の許可なく冒認出願がなされたことが、宣誓書を伴う十分な証拠でサポートされていない場合には冒認があったことの証明にはならない。

 

Ø Rule 42.406

冒認手続きの請求書と証拠を先願人の住所に送達すること。 先願人に送達ができない場合には請求人は即刻特許庁にその旨を通知すること。

 

Ø Rule 42.407

本規則42.405の要件を満たし、42.406に基づき送達がなされ、42.105(c)の請求費用の支払いがなされた場合に冒認手続きの請求日(出願日)が確定する。 冒認手続き請求書に不備がある場合に、特許庁から不備を知らせる通知の発行日から1か月、或いは、冒認手続きの請求期限(42.403)以内に不備を解消できない場合には冒認手続きの請求は受理されない。

 

Ø Rule 42.408

行政法判事が冒認手続きを審理する。 

請求人は、冒認手続きが開始されてからさらなる冒認出願を特定することも可能であるが、その場合には最初に冒認手続きを請求するときに盛り込めなかったのかを説明する義務を負う。

 

Ø Rule 42.409

42.74に基づき手続きの進行中に当事者間で和解することも可能である。

 

Ø Rule 42.410

本規則は仲裁に関して規定しており、当事者間で、いかなる争点に関して 仲裁による判断を採用しても良い。 但し、特許庁は冒認手続きに関わるクレームの特許性の判断に関しては仲裁の判断の影響を受けることなく独自に判断する。 さらに、審判部は42.410(b)に列記されている条件を満たす場合を除いて、仲裁の手続きの進行状況を一切考慮に入れない。42.401(b)の要件は規則原文を参照ください。

 

Ø Rule 42.411

問題となる先願と特許出願とが同一人に所有される場合には審判部は冒認手続きの請求を受理しない、或いは、既に冒認手続きが進行している場合には判決を出す権限を有する。

 

Ø Rule 42.412

基本的には、冒認手続きの経過書類は、当事者の許可を得ることなく閲覧可能である。

 

特別の状況下で審判部より公開予定の通知があってから2か月以内に請求人から非公開の要請がない場合には、冒認手続きの経過処理は閲覧可能である。

詳細は以下URLよりFederal Registerを参照ください。

http://www.uspto.gov/aia_implementation/77fr7028nprm.pdf

 

49日までパブリックコメント受付ける。

N First Inventor to File

先発明者による先願主義

102条及び103

2013316日以後に優先日を持つ全ての米国出願に適用

Changes to Implement the First Inventor to File Provisions of the Leahy-Smith AIA (America Invents Act):

Proposed Rules:

規則改定に関わる背景と要旨:

2011916日に成立したAIAAmerica Invents Act)は、従前の先発明主義に基づく審査システムを発明者による先願主義の審査システムに変更することとした。

AIAは以下の重要な改訂を行った。

(1) 米国出願(或いは米国特許)の有効出願日(優先権の基礎となる外国出願の出願日、PCT出願の場合は公開言語に関係なくPCT出願日、など)でもって引例の地位が確立する;

(2) 従前の米国領土内における公知公用或いは販売という地理的制限を排除した;

(3) 従前の同一人所有、或いは、共同研究(開発)の合意に基づく例外規定(同一出願人と見做す)を103条のみではなく102条にも適用することにした;

(4) 発明法定登録の制度を廃止した。

注記:

(A)

発明者あるいは共同発明者(或いは発明者から直接或いは間接的に発明を取得した者)による有効出願日の前の(発明主題の)開示で、当該開示が有効出願日の1年より前のものである場合には、米国特許法102(a)(1)に対する例外規定である102(b)(1)を適用できない。因みに102(b)(1)1年間のグレースピリオドの根拠条文である。

B

米国出願において、2013316日或いはそれ以降に有効出願日を持つクレームが一つでも存在することになれば、出願クレーム全体に対して新法(AIAに基づく102条と103条)による審査が行われる。

C) 

上記(B)において、当該有効出願日(316日或いはそれ以降)を持つクレームの全てが仮にキャンセルされたとしても一旦、新法(AIA)で審査が行なうことになった米国出願は新法(AIAに基づく102条と103条)における審査が継続される。 

D

上記(C)の状態になった米国出願(316日或いはそれ以降の有効出願日に該当するクレームが全てキャンセルされた米国出願)からの継続出願、分割出願、或いは、一部継続出願にも新法(AIA102条、103条)が適用される。

E

米国出願自体にはAIA(新法)が適用されることになっても、当該出願に2013年3月15日以前の有効出願日を備えたクレームがひとつでもある場合には、102条(g)項のインターフェランス手続きに関してはPre-AIA102条(g)項がクレーム毎に適用される。 102条(g)項はinterferenceに関わる手続きであり、実務ではほとんど遭遇しない。

規則案の概要:

先発明主義から発明者による先願主義への移行するうえでAIAは米国出願の有効出願日(外国出願より優先権を主張する場合にはその最先の出願日)を判断基準とした。 このように有効出願日が極めて重要な起算日となる。 依って、有効出願日を証明するために、優先権証明書(外国出願が基礎出願の場合)の提出を義務づけることを規則1.55条におい定めた。

さらに、規則1.55(a)(4)1.78(a),(c)項において、それぞれ2013315日以前の外国出願、仮出願、米国出願を基礎出願とする場合であっても、同日および同日以降に有効出願日を備えたクレームを追加する場合、或いは、既に追加した場合にはその旨を特許庁に通知する義務を課した。 これら規則の制定趣旨は審査官に新法(AIAに基づく102条、103条の適用なるか否か)を判断させるという負荷を軽減し、この移行期の審査を促進するためである。

さらに、AIAの特許法102(b)項において特許法102(a)項の適用例外を規定したことに対応し、出願人による宣誓内容に関する規則1.130が新たに制定された。

2012105日まで特許庁(PTO)はパブリックコメントを受け付ける。

************************************

以下規則(案)の抄訳:

(詳細或いは不明点に関しては原文を確認されたい)

 

First Inventor to File Proposed Rules:

http://www.uspto.gov/aia_implementation/first-inventor-to-file_proposed_rules.pdf

Examination Guidelines

http://www.uspto.gov/aia_implementation/first-inventor-to-file_proposed_examination_guidelines.pdf

Ø Rule 1.9 (d)(1) - Definition

Ø Rule 1.9 (d)(1) , (d)(2), (e), &, (f)

本規則における「発明者」、「共同発明者」、「共同開発の合意」の意味合いが規定されている。

Ø Rule 1.53

PCT出願日を米国特許出願日とする。

Ø Rule 1.55

外国出願からの優先権主張:

(a)

米国特許出願は、一つ或いは複数の外国出願から優先権を主張できる。

(a)(1)

優先権の基礎となる外国出願日から一年或いはそれ以内に米国出願されなければならない。

(a)(2)

外国出願から優先権を主張する場合には、出願データシートにそれを記録するとともに、優先権証明書を提出しなければならない。 優先権証明書は外国出願日から16か月以内あるいは米国出願日より4か月の遅い日以内に提出されなければならない。 (i) 但し、上記は意匠出願には適用されない。

(a)(3)

PCT出願からの米国への国内移行の場合には優先権証明書の提出期限はPCT規則に準ずる。

(a)(4)

2013315日以前の外国出願から優先権を主張する同日以降の米国出願において、2013316日或いはそれ以降の有効出願日を有するクレームを持っている、或いは、そのような有効出願日を有するクレームを持ったことがある場合には、当該米国出願日より4か月以内、PCT国内移行日より4か月以内、或いは、2013316日以降に有効出願日を持つ出願から16か月以内のもっとも遅い日までに、米国特許の出願人はその旨(Statement)を特許庁に伝えること。

さらに、2013315日以前の外国出願から優先権を主張する米国出願(316日或いはそれ以降)において、当該優先権の基礎となる外国出願には存在しない開示(米国特許出願のクレームにはない)がある場合には、当該米国出願日より4か月以内、PCT国内移行日より4か月以内、或いは、優先権の基礎となる外国出願から16か月以内のもっとも遅い日までに、米国特許の出願人はその旨(Statement)を特許庁に伝えること。

★★ Discussion of specific rules

規則1.55(a)(4)はどのクレームが2013316日或いはそれ以降の有効出願日を有するかを特定することを出願人に要求していない。 或いは、316日以後の米国出願の明細書のどの部分の開示が315日以前に有効出願日を持つのかを特定することを要求していない。 要は、どのクレームが新法(AIA)に該当するのかをチェックすることでPre-AIAの審査か、新法(AIA)の審査をするべきかを審査官が判断するのでは審査効率を極端に下げることになるので、その点に関しては、出願人側がアシストすることがベストであるという発想に基づき本規則が制定された。

********************************

(c)

上記(a)(2)において期限を渡過した場合であっても、優先権証明書、規則1.17t)に基づく費用、及び、(a)(4)で規定する期限から実際に優先権主張の手続きをした日までの遅れは出願人が意図したものではないという陳述(Statement)を伴い嘆願書(petition)を提出することで優先権の主張が認められるであろう。

(d)(1)

上記セクションにおける「優先権証明書」は以下の手法によっても提出したことと理解される。 即ち、出願人が米国特許庁に対して、優先権書類交換プログラムに加盟している諸外国の特許庁から当該優先権証明書を入手することを依頼し、米国特許庁がそれを所定期限内に当該諸外国の特許庁より入手することができればOKである。

(d)(2) 

当該交換プログラムの加盟国以外から入手する場合には、・・・(略する)。

(e)(1) 

上記いずれの場合において、米国特許出願が係属している間、或いは、米国特許が発行される前までに優先権の主張と優先権証明書の提出を完了しなければならない。

以下略す。

Ø Rule 1.71

出願書類において共同開発の合意者の名前を記載しても良い。 明細書を補正して記載することも可能。

Ø Rule 1.78

(a)

119(e)項に基づき、仮出願から優先権を主張し、米国出願する場合(意匠出願を除く):

(a)(1) 略す。

(a)(2) 略す。

(a)(3)

米国仮出願から優先権を主張し、米国本出願をする場合には、本出願において、当該仮出願を特定する情報を記載しなければならない。

2013315日以前の仮出願から優先権を主張する米国本出願、或いは、PCTから米国国内移行出願(316日或いはそれ以降の出願)において、316日以降に有効出願日を備えたクレームを持つ場合、或いは、そのようなクレームがあった場合には、本願の出願人は米国出願日から4か月、国際出願の国内移行日の4か月、或いは、仮出願日より16か月(或いは316日以降に有効出願日を持つクレームが追加されてから16か月)の何れか遅い日までにその旨(Statement)を特許庁に伝えること。

さらに、2013315日以前の仮出願から優先権を主張する米国出願(316日或いはそれ以降)において、当該優先権の基礎となる仮出願には存在しない開示(米国特許出願のクレームにはない)がある場合には、当該米国出願日より4か月、PCT国内移行日より4か月、或いは、優先権の基礎となる仮出願から16か月のもっとも遅い日までに、米国特許の出願人はその旨(Statement)を特許庁に伝えること。

★★Discussion of specific rules

規則1.78(a)(3)はどのクレームが2013316日或いはそれ以降の有効出願日を有するかを特定することを出願人に要求していない。 或いは、316日以降の米国出願の明細書のどの部分の開示が315日以前に有効出願日を持つのかを特定することを要求していない。 要は、どのクレームが新法(AIA)に該当するのかをチェックすることでPre-AIAの審査か、新法(AIA)の審査をするべきかを審査官が判断するのでは審査効率を極端に下げることになるので、その点に関しては、出願人側がアシストすることがベストであるという発想に基づき本規則1.78(a)(3)が制定された。

(a)(4)

上記期限以内に優先権の基礎となる仮出願を記載できない場合には、本規則セクション(b)項の例外を除いて、優先権は無効となる。

(a)(5)

優先権の基礎となる米国仮出願が非英語でなされ、仮出願の係続中に英訳が提出されていない場合には、当該仮出願の英訳と当該英訳が正確であるというstatementを提出すること。 尚、当該英訳とStatementの提出期限は特許庁が決定し、通知する。

当該英訳とStatement仮出願が係属(出願後1年間)している段階で提出しても良い。

(b)

本セクションの(a)(3)で要求される優先権の基礎となる仮出願の情報(reference:関連性)を本出願の明細書で記載せず、上記(a)(4)で規定する期限を渡過した場合であっても、米国出願が係属している間に、当該仮出願の情報(reference:関連性)を本出願の明細書で特定し、期限を渡過したという事実は出願人の意図に反し発生したという場合(出願人が意図的に遅らせたのではないという場合)には、当該仮出願から優先権を主張することが可能となるであろう。 このように出願人の意図に反して遅れたことによる救済を受けるには、優先権の基礎となる仮出願を特定する情報、1.17t)に基づく費用、及び、本規則(a)(4)で規定する期限から実際に優先権主張の手続きをした日までの遅れは出願人が意図するものではなかったという記載(Statement)を伴い、嘆願書(Petition)を提出することが必要である。

(c)

米国特許法120121条、或いは、365c]に基づき、先の米国出願、或いは、PCT出願から優先権を主張する:

(c)(1)

略す。

(c)(2)

・・・(一部省略)・・・・

後の米国出願において、それが先の米国出願或いは国際出願の継続出願、分割出願、或いは、一部継続出願であるのかという関連性を記載しなければならない。 

2013316日あるいはそれ以降の米国出願であって、3月15日以前の米国出願から優先権を主張するもので、且つ、同日或いはそれ以降の有効出願日を有するクレームを持つ場合、或いは、そのようなクレームを持ったという場合には、後の米国出願の出願人は、次の期限のもっとも遅い日までに当該情報(316日或いはそれ以降に有効出願日を持つクレームがある、或いは、あった)を特許庁(PTO)に伝えること:

後の米国出願の出願日から4か月; 国際出願から米国へ国内移行する移行日から4か月; 先の米国出願の出願日から16か月; 或いは、316日あるいはそれ以降の有効出願日を持つクレームが最初に追加された日。

また、2013316日あるいはそれ以降の米国出願であって、同日以前の米国出願から優先権を主張するもので、且つ、同日或いはそれ以降の有効出願日を有するクレームを持たない場合であっても、当該優先権の基礎となる出願に存在しない開示がある場合には、後の米国出願の出願人は、次の期限のもっとも遅い日までに当該情報(315日以前の基礎出願にはない開示を有すること)をPTO伝えること:

後の米国出願の出願日から4か月; 国際出願から米国へ国内移行する移行日から4か月; 或いは、先の米国出願の出願日から16か月。

★★ Discussion of specific rules

規則1.78(c)(2)はどのクレームが2013316日或いはそれ以降の有効出願日を有するかを特定することを出願人に要求していない。 或いは、316日以後の米国出願の明細書のどの部分の開示が315日以前に有効出願日を持つのかを特定することを要求していない。 要は、どのクレームが新法(AIA)に該当するのかをチェックすることでPre-AIAの審査か、新法(AIA)の審査をするべきかを審査官が判断するのでは審査効率を極端に下げることになるので、その点に関しては、出願人側がアシストすることがベストであるという発想に基づき本規則が制定された。

(c)(3)

略す。

(c)(4)

略す。

(c(5)

略す。

(d)

本セクションの(c)(2)で要求される優先権の基礎となる米国出願或いは国際出願の情報(reference:関連性)を本出願の明細書で記載せず、上記(c)(3)で規定する期限を渡過した場合であっても、米国出願が係属している間に、当該120121365c]条に基づく基礎出願の情報(reference:関連性)を本出願の明細書で特定することが遅れたことは出願人の意図することではなかった場合には、当該基礎出願から優先権を主張することが可能となるであろう。 このように出願人の意図に反して遅れたことによる救済を受けるには、優先権の基礎となる基礎出願を特定する情報、1.17t)に基づく費用、及び、本規則(c)(3)で規定する期限から実際に優先権主張の手続きをした日までの遅れは出願人が意図するものではなかったという記載(Statement)を伴い、嘆願書(Petition)を提出することが必要である。

(e)

略す。

(f)

略す。

Ø Rule 1.104: 審査手続き

**********************************

(c)(4)(i)

有効出願日までに、出願人が米国特許法102(a)(2)の引例とクレームされた発明は同一人に所有されていた、或いは、同一人に譲渡する義務にあったことを陳述(Statement)することによって、102(b)(2)(C)で規定する同一人に所有されたと理解される。

(c)(4)(ii)

有効出願日までに、出願人が以下の要件を満たすことによって、米国特許法102(a)(2)の引例とクレームされた発明とは、102(c)項の共同研究の合意に基づき102(b)(2)(C)で規定する同一人に所有されたと理解される。 即ち、出願人は、有効出願日の前に共同研究の合意があり、引例とされるものと、クレームされた主題とは当該共同研究の合意の基に生成されたものであるということを陳述する。 さらに、明細書を補正し、共同研究に合意した相手側の名前を記載する。

(5)(i)

2013316日前に有効である102(e),(f),(g)項の基に引例となる主題と、20041210日以降に権利化された特許或いは出願でクレームされた主題は、出願人が、発明がなされた時点において同一人に所有、或いは、同一人に譲渡する義務下にあったことを陳述(Statement)することによって、2013316日以前に有効である103条(c)項に鑑みて同一人に所有されていると理解される。

(5)(ii) 

出願人が以下の要件を満たすことによって、2013316日前に有効である102(e),(f),(g)項の引例とクレームされた発明とは、103(c)(2)項の共同研究の合意に基づき、103(c)で規定する同一人に所有されたと理解される。 即ち、出願人は発明がなされた時点において、共同研究の合意があり、引例とされるものと、クレームされた主題とは当該共同研究の合意の基に生成されたものであるということを陳述する。 さらに、明細書を補正し、共同研究に合意した相手側の名前を記載する。

(6)

20041210日以前に発行された米国特許は19991128日に有効となった103条(c)項の規定に準ずるものと理解する。

Ø Rule 1.109

(a)

再発行出願を除いて、「有効出願日」とは以下のうちの最先の日を意味する:

(a)(1)

発明主題に関わるクレームを備えた米国特許或いは米国特許出願の出願日そのもの; 或いは、

(a)(2)

米国特許或いは米国特許出願の優先権の基礎となる特許出願(119,120121、或いは365条に基づく出願)の出願日。

(b)

再発行出願の有効出願日(略す)

Ø Rule 1.110

2人以上の発明者が出願に記載されている場合に、各クレームに対する発明者および所有者をPTOが確認する場合がある。

Ø Rule 1.130

(a)

出願或いは再審査において出願人或いは特許権者は宣誓書を提出し、以下を証明することができる:

(a)(1)

拒絶の根拠となっている開示は発明者あるいは共同発明者によるものである; 当該開示の前に当該発明主題が発明者あるいは共同発明者によって既に公表されている; 或いは、拒絶の根拠となる開示を含む特許或いは特許出願が有効に出願される前に発明者あるいは共同発明者によって既に公表されていること;

(a)(2)

拒絶の根拠となっている開示は発明者あるいは共同発明者から直接或いは間接的に入手した者による; 当該開示の前に当該発明主題を発明者あるいは共同発明者から直接あるいは間接的に入手した者によって公表されている; 或いは、拒絶の根拠となる開示を含む特許或いは特許出願が有効に出願される前に発明者あるいは共同発明者から直接あるいは間接的に入手した者によって公表されていること;

(b)

上記(a)(1)で規定するように、拒絶の根拠となっている開示が発明者あるいは共同発明者によるものである場合には、その旨を記載した宣誓書を提出することで拒絶理由に対応可能である;

(c)

当該開示が発明者或いは共同発明者によるものではない場合には、発明者或いは共同発明者による先の公表の日を記載する上記(a)(1)に基づく宣誓書を提出することで対応可能であり、先の公表が刊行物である場合には、当該宣誓書に当該刊行物のコピーを添付すること、しかし先の公表が刊行物によるものではない場合には、当該公表が行われたことを示すための詳細な説明が必要である。

(d)

問題となる開示が発明者あるいは共同発明者から直接あるいは間接的に入手したる者による場合には、(a)(2)に基づく宣誓書で、発明者あるいは共同発明者が当該開示に対する真の発明者であること、及び、問題となる開示を冒認者(開示したる者)に直接或いは間接的に伝えたことを宣誓することで拒絶理由に対応可能である。

(e)

問題となる開示が発明者あるいは共同発明者から直接あるいは間接的に入手したる者によるものではない場合に、当該開示の前に発明者或いは共同発明者より直接或いは間接的に入手したる者による開示(先の開示)があった場合には、(a)(2)に基づく宣誓書で、発明者あるいは共同発明者が当該先の開示に対する真の発明者であること、及び、当該先の開示を冒認者(開示したる者)に直接或いは間接的に伝えたことを宣誓することで拒絶理由に対応可能である。

先の開示が刊行物である場合には、当該宣誓書に当該刊行物のコピーを添付すること、しかし先の開示が刊行物によるものではない場合には、当該先の開示が行われたことを示すための詳細な説明が必要である。

(f)

問題となる開示(拒絶の根拠となる)が有効出願日の1年より前のものである場合には、本セクションで規定された宣誓書による拒絶理由への対応はできない。 (以下略す)

(g)

本セクションの規則は以下の要件を満たす米国特許出願或いはそれから権利化された米国特許に適応される:

(g)(1)

2013316日或いはそれ以降に有効出願日を持つクレームを含む米国出願; 或いは、

(g)(2)

2013316日或いはそれ以降に有効出願日を持つクレームを含む特許或いは特許出願(120121、或いは365c項に基づく出願)を参照している場合。

Ø Rule 1.131

2013316日以前の米国出願(或いは米国特許)、あるいは同日以前の出願日を持つ出願から優先権を主張する米国出願(或いは米国特許)に適用する規則であり、所謂、Swearing-Backと称し、引例の有効日の前に発明が為されていたことを立証することで問題となる先行技術(引例)の地位を否定する現行の手法に関する規則である。 2013316日或いはそれ以降に有効出願日を持つ米国出願には適用されない。

(詳細は省く) 

 

本施行規則(案)に対するパブコメは105日まで受け付け。

 

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