当事者系レビュの一例紹介

 

IPR201200022事件

 

Summarized by Tatsuo YABE

Jan. 25, 2013

 

 

 

IPR201200022事件

2012917日にIPR申請

対象となる米国特許:US6258540

特許権者: Isis Innovation Ltd.

IPR申請者:Arisoa Diagnostics

 

AIA法改正により2012916日から成立後9か月を経過した米国特許に対して(HR6621 の成立によって2013114日以降は、Pre-AIA特許に対しては9か月経過せずともIPR手続きが可能となった)、IPR(当事者系レビュー)を申請することが可能となった。 IPRを開始するにあたり、IPR申請人が申請書を提出し、同申請書に対して特許権者が予備的な応答をする(予備的な応答を省くこともできる)。 PTAB(審判部の3人の行政法判事)は同申請書と特許権者の予備的応答書を参酌し、少なくとも一つのクレームが無効になるという合理的な判断が可能か否かで審理を開始するか否かを決定する(申請日より6か月以内に判断する)。 

 

今回ピックアップした事件は少しユニークである。その理由は、規則42.101によってDJアクション(特許無効を確認する訴訟)の原告はIPR請求人になれないとある。 また、IPRでは新規性と進歩性(非自明性)に対してのみ攻撃できるのであるが、IPR申請書には101条に基づく無効性の議論が提示されている。 特許権者はその2点をPTABに申立てしたものの、PTABはそのような反論は特許権者のPreliminary Responseですることが適切であるとしている。 結局、特許権者はPTABの指示に従い60ページにも及ぶPreliminary Responseを提出している。 勿論、その中で当事者適格性を欠くこと(DJアクションの原告はその後IPRを申請できない)、101条はIPRにおいては無効理由にならないことを反論し、さらに、新規性・進歩性に対してもフルに言及している。今回の事件は、IPR申請人が、IPR手続きを開始するための方式要件を明白に満たしていないという、即ち、当事者適格性がないということをPTABに申立てすることのみでは足らず、Preliminary Responseで対応することを要求されるのは少し酷ではないだろうか?

 

今回特許権者はPreliminary Responseで態々新規性および進歩性に対してもフルに言及しているが、実はその必要性はなく、IPR申請人の当事者適格性を規則(規則42.101)に基づき否定するということのみで対応できたのではないだろうか?

 

特許権者のPreliminary Responseが昨年の1231日に提出されたので、本年の3ENDまでにはIPR手続きを開始するか否かがPTABによって決定される。 PTABの決定がどうなるか要Watchと思います。(筆者)

 

 

***************************************************************

IPR201200022事件

2012917日にIPR申請

対象となる米国特許:US6258540

特許権者: Isis Innovation Ltd.

IPR申請者:Arisoa Diagnostics

 

2013124日現在で、合計121件のIPRが申請されている。 その中の多くが訴訟における被疑侵害者によって提起されたものである。 まずは、当該IPRは以下のURLより特許庁のPTAB(現在の審判部)でPending中のIPRおよびCBM(ビジネスモデル特許に対するPGR)の経過書類を閲覧できます(知財協、国際第1委員会の井上様より)。

 

http://www.uspto.gov/ip/boards/bpai/prps.jsp

から、Direct Linkへ:

説明図1

 

 

 

Representative Orders, Decisions, and Noticesの最下段(2013124日現時点)の事件(IPR2012-00022: Notice of Incomplete Petition: Sep 27, 2012)を例にとり、昨年916日より開始されたIPRの入り口段階ではあるがIPR手続きの流れを確認してみた。 

 

即ち、「IPR2012-00022」という事件番号を上記説明図1 Trial Numberに入力すると以下の説明図2のような画面がポップアップする。 即ち、IPRに対する経過書類は全て(秘密扱いの申請をしない限りは)PDF化されて、公衆に閲覧可能となる。

 

説明図2

(但し、説明図2ではポップアップ画面をスクロールし、5ページ目である)

 

 

本事件は、2012917日に、米国特許6258540号(特許権者:Isis Innovation Ltd)に対し、Arisoa Diagnostics社(IPR請求人)によってIPR手続きが申請された。PTABは同年927日に申請書の不備を指摘し、1か月以内に訂正を求めた。 その後、速やかにIsisによって申請書の不備が是正され、PTAB101日をIPR申請日とし、特許権者に3か月以内にPreliminary Responseをする機会を与えた。 

 

3か月の期限が過ぎる前の、20121116日に両当事者の代理人とPTABの行政法判事3名との間で電話会議が開かれ、以下の内容を含むOrderが発行された。 

 

(1)IPR申請人(Arisoa)は20111219日にDJアクション(特許無効の確認訴訟)をカリフォルニア州北部地区連邦地裁に提起しているので、315(a)項に基づきIPRを請求できないという反論は特許権者のPreliminary Responseですること;

(2)Prometheus判決(2012年最高裁)に基づく101条の要件はIPRで審理される主題ではないという反論は特許権者のPreliminary Responseですること。 

(3)特許権者のPreliminary Responseにおける枚数制限を60ページとするという規定はResponseの本文に相当する部分が60ページである。さらに、

(4)特許権者のPreliminary ResponseOrderの郵送日(101日)より3か月以内にすることとされた。

 

上記Orderに対して特許権者は20121231日にPreliminary Responseを提出。 その中で特許権者は上記(1)、(2)に対して反論するとともに、新規性、進歩性に対するIPR申請人(Arisoa)の主張に対しても全面的に応答している。

 

IPRPGRも同じ)手続き(時系列)

 

 

上記時系列によると20121231日から3か月以内にPTABによる決定がされることになる。 

 

DJアクションの提起後にはDJアクションの原告はIPRを請求することはできないという規則42.101に基づきIPRの申請は却下されると思料します(筆者意見)。

 

(1) US Patent Related

(2) Case Laws

(3) Self-Study Course

(4) NY Bar Prep

(5) LINKS

Home