Changes to Implement the First
Inventor to File Provisions of the Leahy-Smith AIA (America Invents Act):
102条のFINAL Rulesとガイドライン: (2013年2月14日公開)
First
Inventor to File FINAL
Rules: Examination
Guidelines (FINAL)
Summarized by Tatsuo YABE on Feb. 24, 2013 |
規則改定に関わる背景と要旨:
2011年9月16日に成立したAIA
(America Invents Act)は、従前(Pre-AIA)の先発明主義に基づく審査システムを発明者による先願主義の審査システムに変更することとした。
AIA102条は以下の重要な改訂を行った。
(1)
米国出願(或いは米国特許)の有効出願日(優先権の基礎となる外国出願の出願日、PCT出願の場合は公開言語に関係なくPCT出願日、など)でもって引例の地位が確立する;
(2)
AIA102条(b)(1)に発明者によるGP(グレースピリオド)が規定されている。当該GPはPre-AIAの102条(b)項のGP(米国出願日前の1年間)とは異なり、有効出願日を起算日としその前の1年間である。
(3)
AIA102条では、従前(Pre-AIA102条)の米国領土内における公知公用或いは販売という先行技術の地理的制限を排除した;
(4)
AIA102条では、従前(Pre-AIA)の同一人所有、或いは、共同研究(開発)の合意に基づく例外規定(同一出願人と見做す)を103条のみではなく102条にも適用することにした;
(5)
発明法定登録の制度を廃止した。
AIA102条の適用に関する注記:
(A)
米国出願において、2013年3月16日或いはそれ以降に有効出願日を持つクレームが一つでも存在することになれば、出願クレーム全体に対して新法(AIAに基づく102条と103条)による審査が行われる。
(B)
上記(A)において、当該有効出願日(3月16日或いはそれ以降)を持つクレームの全てが仮にキャンセルされたとしても一旦、新法(AIA)で審査が行なうことになった米国出願は新法(AIAに基づく102条と103条)における審査が継続される。
(C)
上記(B)の状態になった米国出願(3月16日或いはそれ以降の有効出願日に該当するクレームが全てキャンセルされた米国出願)からの継続出願、分割出願、或いは、一部継続出願にも新法(AIAの102条、103条)が適用される。
(D)
米国出願自体にはAIA(新法)が適用されることになっても、当該出願に2013年3月15日以前の有効出願日を備えたクレームがひとつでもある場合には、102条(g)項のインターフェランス手続きに関してはPre-AIAの102条(g)項が全てのクレームに適用される。
(à
Fed Reg. vol. 78, 2/14/2013: pg. 11083 右コラム下“C”)
然るに、前記のような米国出願が権利化されるためには、AIAの102条、103条とPre-AIAの102条(g)項の要件を満たすことが必要となる。 但し、いかなる米国出願であろうと(i)
AIA102条/103条と(ii)
Pre-AIA102条/103条が同時に適用されることはない。
(à Fed Reg. vol. 78, 2/14/2013: pg.
11083-84) à
102条(g)項はinterferenceに関わる手続きであり、実務ではほとんど遭遇しない。
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以下筆者コメント:
(1)AIAでは優先権主張が重要となる:
先発明主義から発明者による先願主義への移行するうえでAIAでは米国出願の有効出願日(外国出願より優先権を主張する場合にはその最先の出願日)を先行技術であるか否かの判断の基準日とする。 拠って、有効出願日が極めて重要となる。 依って、有効出願日を証明するために、優先権証明書(外国出願が基礎出願の場合)の提出を義務づけることを規則1.55条において定めた。
但し、日本、韓国、EPO、WIPOを基礎とする場合にはこれらの国の特許庁は米国特許庁と優先権証明書を電子的に交換する合意を結んでいるため、我々日本出願を基礎とする場合には、米国特許出願願書(ADS)にて基礎出願を特定することのみで対応可能である。 但し、規則1.55(h)(3)で最終的には米国特許庁が優先権証明書を交換合意国の特許庁より受信する(登録料の発行前まで:1.55(g))ことを優先権主張の最終要件としているため、Notice
of Allowance(許可通知)受領時に優先権の主張が正しくできているかを確認することが重要である(Final
Rule: Fed. Reg/vol.78; page 11037; Comment 6 & Response)。
(2)Transitionalな米国出願に対する対応:
(2−1)規則1.55条(j)、1.78条(a)(6), 1.78条(c)(6)項において、それぞれ2013年3月15日以前の外国出願、仮出願、米国出願を基礎出願とし、3月16日及び同日以降に米国出願する場合(以下、Transitionalな米国出願と称する)であって、当該米国出願に3月16日および同日以降に有効出願日を持つクレームを追加する場合にはその旨を特許庁に通知する(statementを提出する)義務を課した。この規則の制定趣旨は審査官に新法(AIAに基づく102条、103条)の適用なるか否かを判断させるという負荷を回避し、この移行期(基礎出願が3月15日以前の米国出願)の審査を促進するためである。
(2−2)但し、新規なクレームを追加したか否かの判断基準としては出願人が、米国出願には新規クレームが追加されていない(即ち、米国出願のクレームが全て基礎出願の明細書でサポートされている)と合理的に信じる(Reasonably
Believe)場合にはStatementを提出する必要はないと規定されている(規則1.55条(j)、1.78条(a)(6),
1.78条(c)(6)項)。
(2−3)尚、当該Statementの提出期限は基本的には、基礎出願の出願日から16か月あるいはTransitionalな米国出願から4か月のいずれか遅い日である。
(2−4)さらに、上記のTransitionalな米国出願の明細書に、新規な実施例を追加してもクレームでその新規事項がクレームアップされない限りはstatementを提出する必要はない(2012年7月公開のProposed
Ruleではこの場合にもStatementの提出を要求していた)。 但し、拒絶理由通知に対応するときに、当該新規事項(例:Transitionalな米国特許出願時に追加した実施例など)を基礎とし、新規なクレームを追加した場合にはStatementを提出する必要が生じる。 その場合には補正時にStatementを提出することが要求される。 然しこの場合には、次回の拒絶理由がFINALとなり、RCEが必要となるであろう。 何故なら、拒絶理由通知はPre-AIAの102条、103条で審査されたに拘らず出願人のクレーム補正でAIAの102条、103条の適用に変わる(先行技術の領域が突然変わる)。 即ち、より多くの先行技術文献が適用される(AIAではPre-AIAでは先行技術文献にならないものが先行技術になりうる:世界公知公用、及び、ヒルマードクトリンの廃止)。
(2−5)もしPre-AIAとAIAでの審査を間違えて権利化された場合にはどうなるか?
Fed
Reg. 11061頁の質問3にずばりこの質問がある。 USPTOの回答は特許法282条(b)項を引用し、それ自体では特許無効理由或いは権利行使不能の抗弁の理由を構成しないという趣旨で、やや不明瞭なものである。 Fed.
Reg. 11041頁の質問18(Statementの提出不備は不公正行為を構成するか?)に対して、PTOは出願人の特許庁に対する誠実義務を述べ、出願人があくまでReasonably
Believe(合理的に信じる)という判断基準を示し、11040頁の質問15に対する回答としては出願人がStatementを提出の是非を新たに調査・検討する必要はないとしている。
但し、規則1.56に基づく誠実義務違反(出願人が周知していながら意図的にStatementを提出しなかった)に対するペナルティーを指摘している(Fed.
Reg.11041右コラム:Comment19 の上)。 従って、Therasense大法廷判決(2011年CAFC大法廷判決)に鑑み、本来はAIAが適用されるのを周知していながら出願人が意図的にStatementの提出をせず、Pre-AIAで審査され権利化された場合には、AIA適用では何れかのクレームが無効になっていたであろうということを明白且つ説得性のある挙証基準で証明されれば成立した米国特許は権利行使不能と判断される可能性は十分にあると思料する。
もしも権利行使の前にPre-AIAとAIA審査の間違いに気が付けば(勿論出願人が意図的にStatementの提出を怠ったという事実がない場合)補充審査(Supplemental
Examination)でその抜本的な審査の誤りを正すことが可能ではないだろうか?
(3)102条(b)(1)(B)と102条(b)(2)(B)の例外規定に関して:
(3−1)102条(b)(1)(B)の例外規定:
以下の例において、Bの開示は、Aの米国出願に対する102条(a)(1)の先行技術となる。 しかし、102条(b)(1)(B)の例外規定によれば、Aの「公表」によってBの開示は先行技術の地位を喪失する。102条(b)(1)(B)の例外規定で言及されている「Bの開示の前にAの公表がある(“…subject matter disclosed had been publicly disclosed by the inventor…(35 U.S.C. 102(b)(1)(B)」という意味合いは? 即ち、Aの公表がBの開示に対してどのような状況にあるときに例外規定が適用され、Bの開示を先行技術から排除できるか?
(1)開示の状態は違っても良い(パワーポイントでの公表と刊行物での開示);
(2)一言一句同一である必要はない;
(3)Aの公表がa,b,cでBの開示がa,b,c,dの場合にはBの開示dは先行技術の地位を否定されない;
(4)Aの公表がBの開示よりも広範な場合(Genus
v. Species)の場合にはBの開示は先行技術;
(5)Aの公表がSpeciesでBの開示がGenusの場合にはBの開示は先行技術にならない;
(6)Aの公表が一つのSpeciesでBの開示が他のSpeciesである場合にはBは先行技術として残る。
Fed
Reg. vol. 78, 2/14/2013: pg. 11077
(3−2)102条(b)(2)(B)の例外規定:
以下の例において、Bの先願での開示は、Aの米国出願に対する102条(a)(2)の先行技術となる。 しかし、102条(b)(2)(B)の例外規定によれば、Aの「公表」によってBの先願での開示は先行技術の地位を喪失する。102条(b)(2)(B)の例外規定で言及されている「Bの先願での開示の前にAの公表がある(“…subject matter disclosed had been publicly disclosed by the inventor…(35 U.S.C. 102(b)(2)(B)」という意味合いは? 即ち、Aの公表がBの開示に対してどのような状況にあるときに例外規定が適用され、Bの開示を先行技術から排除できるか?
102条(b)(1)(B)の例外規定の適用と同様(規則130条(b))を活用する。
Fed Reg. vol. 78, 2/14/2013: pg. 11079
(4) 規則130条(b)の宣言書の活用の仕方)Fed
Reg. pgs. 11080-11081
Aの公表が刊行物の場合にはそれを特定し、コピーを付ける(規則130条(b)(1))。
Aの公表が刊行物以外の場合には公表の状態を十分に説明する(規則130条(b)(2))。
誰が宣言書にサインできるか?
Fed Reg. pg. 11081 右コラム
130条の宣言書は出願人あるいは特許権者がサインをする。 但し、出願人ではない発明者がサインをしても良い。 但し、当該宣言書を提出するのはあくまで出願人(或いはその代理人)。
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以下規則(FINAL)の抄訳:
(詳細或いは不明点に関しては原文を確認されたい)
First
Inventor to File FINAL Rules:
http://www.uspto.gov/aia_implementation/FITF_Final_Rule_FR_2-14-2013.pdf
Examination
Guidelines (FINAL)
http://www.uspto.gov/aia_implementation/FITF_Final_Guidelines_FR_2-14-2013.pdf
Rule 1.9 (d)(1) - 用語の定義
Rule
1.9 (d)(1) , (d)(2), (e), &, (f)
本規則における「発明者」、「共同発明者」、「共同開発の合意」、「クレームされた発明」の意味合いが規定されている。
Rule
1.53: 出願番号、出願日、出願の完了
Rule
1.53(b) 出願の要件(仮出願またはCPA
’only for design application’を除く)
出願日とは、規則1.71に基づく説明を含む112条を満たすSPEC、規則1.75に基づく少なくとも一つのクレーム、及び規則1.81(a)に基づく図面が米国特許庁に提出された日をいう。出願日が確定された米国出願に新規事項を追加することはできない。 継続出願とは、継続、分割、一部継続出願のいずれかを意味する。
Rule
1.53(c)(4)
仮出願は優先権の基礎となるが、優先権を他の出願から受けることはできない。仮出願を基礎として意匠出願をすることはできない。
Rule
1.55: 外国出願を基礎とする優先権
(a) 一般:
米国特許出願は、一つ或いは複数の外国出願から優先権を主張できる。
(b)
優先権の基礎となる外国出願日から一年(意匠出願の場合には6か月)或いはそれ以内に米国出願されなければならない。
(c)
PCT出願からの米国への国内移行の場合の優先権主張と優先権証明書の提出期限はPCT及びその規則に準ずる。
(d) 外国出願から優先権を主張する場合の優先権主張期限:
外国出願から優先権を主張する場合には、出願データシート(ADS:
規則1.76(b)(6))にそれを記録すること。 優先権主張は外国出願日から16か月以内あるいは米国出願日より4か月の遅い日までにされなければならない。
但し、上記は意匠出願には適用されない。
(e) 外国出願から優先権主張が遅れた場合:
上記(d)の期限を渡過した場合には優先権主張を放棄したものとみなす。 しかし、優先権主張期限を意図に反して渡過した場合には、嘆願書を提出することで認められる場合がある。 当該嘆願書には以下を伴うこと:
(1)
出願データシート(ADS:規則1.76(b)(6))に優先権の基礎出願の出願番号、出願日、出願国を記載する;
(2)
本規則(f)で要求される場合には優先権証明書;
(3)
規則1.17(t)に基づく費用;
(4)
優先権主張期限から優先権主張が実際に行われた期間全体にわたり、優先権主張がされていなかったという事実は出願人の意図に反していたということを陳述する;
(f) 優先権証明書の提出期限:
本規則(h)と(i)に該当する場合を除いて、優先権証明書を米国出願日から4ヶ月か、優先権の基礎となる外国出願の出願日より16か月の何れか遅い日までに提出すること。 前記提出期限を渡過し、本規則(h)又は(i)に該当しない場合には遅れたことに対する十分な理由と規則1.17(g)の費用とを伴い優先権証明書を提出すること。 本規則の期限は意匠出願には適用されない。
(g) 外国出願に基づく優先権主張と優先権証明書、及び、翻訳
(1)
いかなる場合であっても優先権主張と優先権証明書は出願審査中且つ権利付与の前までに提出されなければならない。 登録料納付後に優先権主張或いは優先権証明書を提出する場合には規則1.17(i)に基づく処理費用を伴うこと、但し、訂正証明書(Certificate
of Correction)で訂正されない限りは特許証には優先権の情報は記載されない。
(2) PTOが、本規則の規定期限よりも早い段階で優先権主張と優先権証明書の提出を要求する場合:
(i) 出願がインターフェアランス或いは冒認手続きの対象となった場合;
(ii) 審査官が引用する先行技術文献の地位を否定する場合;
(iii) 審査官が必要と判断する場合;
(3)
外国出願の英訳が必要となる場合:
(i) 出願がインターフェアランス或いは冒認手続きの対象となった場合;
(ii) 審査官が引用する先行技術文献の地位を否定する場合;
(iii) 審査官が要求する場合;
(4)
外国出願の英訳を提出する場合には翻訳が正確であることを陳述すること;
(h)
上記セクション(c),(f),(g)における「優先権証明書」は以下の手法によって提出されたと理解される。
(1) 外国出願が優先権書類交換プログラムに加盟している外国特許庁(日本、韓国、EP、WIPO)に出願された;
(2) 出願データシート(ADS)に当該外国出願を特定する情報が記載されている;
(3) PTO(米国特許庁)が当該外国出願のコピー、または、優先権証明書を上記外国特許庁(優先権書類交換プログラム加盟国の特許庁)より(g)(1)で規定する期限までに入手できた;及び、
(4) 外国出願が優先権書類交換プログラム加盟国以外の国の特許庁に実施された場合にはPTO(米国特許庁)が当該外国特許庁から外国出願のコピーを当該国特許庁より入手できるように別途書面でリクエスト(外国出願を特定する情報を記載)すること; 当該リクエストは外国出願日より16か月か米国出願日より4ヶ月の遅い日までに行うこと;
(i) 暫定的な優先権のコピー
(Interim Copy)
外国出願(明細書、クレーム、図面)のコピーに「Interim
COPY」と明示したものを、別途カバーシートをつけて外国出願日より16か月或いは米国出願日より4ヶ月の遅い日までに提出し、優先権証明書を上記(g)(1)の期限までに提出することで、上記(f)項の要件は満たされたと理解される。
(j)
3月16日又は同日以降のTransitionalな米国出願に要求される事項:
2013年3月15日以前の外国出願から優先権を主張する3月16日又は同日以降の米国出願において、2013年3月16日或いはそれ以降の有効出願日を持つクレームがある、或いは、そのような有効出願日を持つクレームが一度でも存在した場合には、当該米国出願日より4か月、PCT国内移行日より4か月、基礎となる外国出願の出願日から16か月、又は、そのようなクレームが最初に追加された日のうちで最も遅い日までに、米国特許の出願人はその旨(Statement)を特許庁に伝えること。
IDSの開示義務を負う者(規則1.56(c))の周知している情報をもとに、出願人が、米国出願には3月16日或いは同日以降に有効出願日を持つクレームがない、及び、存在したことがない、と合理的に信じる(Reasonably
Believe)場合には、上記Statementを提出する必要はない。
(k) 略す。
(l) 本規則で規定する期限は延長不可である。
Rule 1.71:明細書とその記載
(g)(1)
出願明細書に共同開発の合意者の名前を記載しても良い。 明細書を補正して記載することも可能。
Rule 1.76:
出願データシート(ADS)
(b)
(b)(5) 国内優先権に関する情報
119条(e),
120, 121, または、365(c)に基づき優先権を主張する出願各々との関係を示す情報をADS(出願データシート)に記載することで119条(e)、120条、または、規則1.78に基づく特定の関連情報(specific
reference)の要件を満たす。
(b)(6) 外国優先権に関する情報
優先権の基礎となる外国出願を特定する情報をADS(出願データシート)に記載することで119条(b)及び規則1.55で要求される「優先権主張」をしたことになる。
Rule
1.77 略す。
Rule
1.78:先の出願に基づく優先権主張
(a)
119(e)項に基づき、仮出願から優先権を主張し、米国出願する場合(意匠出願を除く):
(a)(1)
仮出願の出願日から1年以内に本出願或いは国際出願をすること、或いは、仮出願から1年以内に実施された120条、121条、または365条(c)に基づく出願から優先権を主張することが可能である。
(a)(2)
優先権の基礎となる仮出願の各々は後の米国出願での発明者を記載しており、規則1.53(c)の下に出願日を確定しており、規則1.53(g)項に基づく期限内に1.16(d)項に基づく出願費用が支払われていること。
(a)(3)
米国仮出願から優先権を主張する後の出願、即ち、米国出願或いは(米国を指定する)国際出願において、当該仮出願を特定する参照情報(reference)を言及しなければならない。
仮出願を基礎とする後の出願が米国出願の場合には規則1.76(b)(5)のADSに当該仮出願を特定する参照情報(reference)を言及しなければならない。
(a)(4)
上記(a)(3)で要求される参照情報(reference)は後に出願された米国出願の審査継続中に提出されなければならない。 当該後の出願が111(a)に基づく出願の場合には、当該参照(関連性)情報は仮出願日より16か月或いは本出願より4ヶ月のどちらか遅い日までに提出されなければならない。 また、当該後の出願が371条に基づくPCTからの国内移行の場合には371条(b)又は(f)に基づく国内移行日から4か月か仮出願日より16か月のいずれか遅い日までに提出されなければならない。
本規則1.78条(b)項の例外(提出遅れ時の対応)を除いて、上記期限を渡過した場合には仮出願からの優先権を放棄したと見做される。
(a)(5)
非英語の仮出願であって、仮出願中に英訳及び英訳が正確であるというStatementを提出していない場合には、当該仮出願の継続中に、英訳とStatementを提出することとその提出期限がPTOより出願人に通知される。 米国出願(non-provisional)の審査継続中にPTOから通知があった場合には、出願人は英訳とStatementが仮出願の継続中に提出されたと応答するか、或いは、ADS(出願データシート)から当該仮出願の参照情報(reference)を削除することで対応可能である。 いずれかの対応をしない場合には米国出願は放棄となる。
当該英訳とStatementは仮出願が係属(出願後1年間)している段階で提出しても良い。
(a)(6)
2013年3月15日以前の仮出願から優先権を主張する米国本出願、或いは、PCTから米国国内移行出願(3月16日或いはそれ以降の出願)において、2013年3月16日或いはそれ以降の有効出願日を持つクレームがある、或いは、そのような有効出願日を持つクレームが一度でも存在した場合には、出願人は米国出願日から4か月、国際出願の国内移行日から4か月、仮出願日より16か月、或いは3月16日又は同日以降に有効出願日を持つクレームが最初に追加された日の何れか遅い日までにその旨(Statement)を特許庁に伝えること。
尚、IDSの開示義務を負う者(規則1.56(c))の周知している情報をもとに、出願人が、米国出願には3月16日或いは同日以降に有効出願日を持つクレームがない、及び、存在したことがない、と合理的に信じる(Reasonably
Believe)場合には、上記Statementを提出する必要はない。
(b)
優先権主張が遅れた場合
119条(e)及び本規則(a)(3)で要求される優先権の基礎となる仮出願の参照情報(reference)を本出願の明細書で記載せず、上記(a)(4)で規定する期限を渡過した場合であっても、米国出願が係属している間に、当該仮出願の参照情報(reference)を本出願の明細書で特定し、期限を渡過したという事実は出願人の意図に反し発生したという場合(出願人が意図的に遅らせたのではないという場合)には、当該仮出願から優先権を主張することが可能となる。 このように出願人の意図に反して遅れたことによる救済を受けるには、(1)優先権の基礎となる仮出願を特定する参照情報(reference)、(2)
規則1.17(t)に基づく費用、及び、(3)
本規則(a)(4)で規定する期限から実際に優先権主張の手続きをした日までの遅れは出願人が意図するものではなかったという記載(Statement)を伴い、嘆願書(Petition)を提出することが必要である。遅れが出願人の意図に反するということに疑いがある場合にはPTO長官はさらなる情報の提出を要求する。
(c)
米国特許法120、121条、或いは、365(c)に基づき、先の米国出願、或いは、PCT出願から優先権を主張する場合:
(c)(1)
基礎となる優先権出願の各々の発明者は後の米国出願の発明者であること、さらに、優先権出願の各々は、次のいずれかであること:(i)
米国を指定し、PCT11条に基づく出願日を有する国際出願;(ii) 規則1.53(b)或いは1.53(d)に基づく出願日を有する111条(a)項に基づく米国本出願。
(c)(2)
・・・(一部省略)・・・・
後の米国出願において、それが先の米国出願或いは国際出願の継続出願、分割出願、或いは、一部継続出願であるのかという参照情報(reference)を記載しなければならない。
(c)(3)
前記参照情報(reference)は後の米国出願の審査継続中に提出しなければならない。
-
当該後の出願が111(a)の米国出願の場合には、基礎出願の出願日から16か月或いは後の米国出願の出願日から4か月のいずれか遅い日までに提出すること、
-
当該後の出願が371条の米国出願(PCT出願からの米国国内移行)の場合には、基礎出願の出願日から16か月、或いは、米国国内移行日から4か月のいずれか遅い日までに提出すること、
-
本規則1.78条(b)項の例外(提出遅れ時の対応)を除いて、上記期限を渡過した場合には先の米国出願或いはPCT出願からの優先権(120条、121条又は365条(c))を放棄したと見做される。
本規則の期限は意匠出願には適用されない。
(c)(4)
省略
(c)(5)
関連出願の参照情報を記載することは許容されているが、優先権の基礎とならない関連出願の場合には当該関連出願の参照情報をADS(出願データシート)に記載してはならない。
(c)(6)
2013年3月16日あるいはそれ以降の米国出願であって、3月15日以前の米国出願或いは米国を指定する国際出願から優先権を主張するもので、且つ、2013年3月16日或いはそれ以降の有効出願日を持つクレームがある、或いは、そのような有効出願日を持つクレームが一度でも存在した場合には、出願人は、後の米国出願の出願日から4か月; 国際出願から米国への移行日から4か月; 先の米国出願の出願日から16か月; 或いは3月16日又は同日以降に有効出願日を持つクレームが最初に追加された日の何れか遅い日までにその旨(Statement)を特許庁に伝えること。
以下の場合には出願人はStatementを提出する必要はない:
(i)
米国出願の基礎となる先の米国出願において既にStatementが提出されている場合;或いは
(ii)
IDSの開示義務を負う者(規則1.56(c))の周知している情報をもとに、出願人が、米国出願には3月16日或いは同日以降に有効出願日を持つクレームがない、及び、存在したことがない、と合理的に信じる(Reasonably
Believe)場合。
(d)
優先権主張が遅れた場合
本セクションの(c)(2)で要求される優先権の基礎となる米国出願或いは国際出願の情報(reference:関連性)を本出願の明細書で記載せず、上記(c)(3)で規定する期限を渡過した場合であっても、米国出願が係属している間に、当該120、121、365(c)条に基づく基礎出願の関連情報(reference)を本出願の明細書で特定することが遅れたことは出願人の意図することではなかった場合には、当該基礎出願から優先権を主張することが可能となるであろう。 このように出願人の意図に反して遅れたことによる救済を受けるには、(i)
優先権の基礎となる基礎出願を特定する情報、(ii)
規則1.17(t)に基づく費用、及び、(iii)
本規則(c)(3)で規定する期限から実際に優先権主張の手続きをした日までの遅れは出願人が意図するものではなかったという記載(Statement)を伴い、嘆願書(Petition)を提出することが必要である。
遅れが出願人の意図に反するということに疑いがある場合にはPTO長官はさらなる情報の提出を要求する。
(e)
略す。
(f)
略す。
(g) 本規則に基づく期限は延長不可である。
Rule
1.84:図面の基準
(a)(2) カラーの図面(略す)
Rule 1.104: 審査手続き
(c)(4)(i)
有効出願日までに、出願人が米国特許法102条(a)(2)の引例とクレームされた発明は同一人に所有されていた、或いは、同一人に譲渡する義務にあったことを陳述(Statement)することによって、102条(b)(2)(C)で規定する同一人に所有されたと理解される。
(c)(4)(ii)
有効出願日までに、出願人が以下の要件を満たすことによって、米国特許法102条(a)(2)の引例とクレームされた発明とは、102条(c)項の共同研究の合意に基づき102条(b)(2)(C)で規定する同一人に所有されたと理解される。 即ち、出願人は、有効出願日の前に共同研究の合意があり、引例とされるものと、クレームされた主題とは当該共同開発の合意の基に生成されたものであるということを陳述する。 さらに、出願時、或いは、補正時に、共同開発に合意した当事者の名前(名称)を出願書類に記載する。
(5)(i)
出願人が、以下の(A)と(B)との間で、(B=B1,
B2, or B3)でクレームされた発明がなされた時点において同一人に所有、或いは、同一人に譲渡する義務下にあったことを陳述(Statement)することによって、2013年3月15日以前に有効である103条(c)項に鑑みて同一人に所有されていると理解される:
(A)2013年3月15日以前に有効である102条(e),(f),(g)項の基に引例となる主題;
(B)
(B1)
1999年11月29日以降の出願或いは当該出願から権利となった発明主題;
(B2)
1999年11月29日以前の出願で、2004年12月10日時点で審査継続中の出願或いはそれから権利化された発明主題;
(B3)
2004年12月10日以降に権利化された発明主題
(5)(ii)
出願人が以下の要件(A),
(B)を満たすことによって、2013年3月15日前に有効である102条(e),(f),(g)項の引例とクレームされた発明とは、103条(c)(2)項の共同研究の合意に基づき、103条(c)で規定する同一人に所有されたと理解される。 即ち、(A)
出願人は発明がなされた時点において、共同研究の合意があり、引例とされるものと、クレームされた主題とは当該共同研究の合意の基に生成されたものであるということを陳述する。 さらに、(B)
出願時、或いは、補正時に、共同開発に合意した当事者の名前(名称)を出願書類に記載する。
(6)
1999年11月29日より前の出願から2004年12月10日以前に発行された米国特許に対しては1999年11月28日時点で有効な103条(c)項が適用される。
Rule 1.109:クレームされた発明の有効出願日
(a)
再発行出願或いは再発行特許を除いて、「有効出願日」とは以下のうちの最先の日を意味する:
(a)(1)
発明主題に関わるクレームを備えた米国特許或いは米国特許出願の出願日そのもの; 或いは、
(a)(2)
米国特許或いは米国特許出願の優先権の基礎となる特許出願(119,120、121、或いは365条に基づく出願)の出願日。
(b)
再発行出願の有効出願日とは再発行出願の対象となるクレームの有効出願日とする。
Rule 1.110: 各クレームに対する発明者及び所有者
2人以上の発明者が出願に記載されている場合に、各クレームに対する発明者および所有者をPTOが確認する場合がある。
Rule 1.130 AIAにおける宣誓書・宣言書:
(a)
開示された発明の帰属に対する宣誓書・宣言書:
出願或いは再審査において、出願人或いは特許権者は宣誓書・宣言書を提出し、拒絶の根拠となっている開示は発明者あるいは共同発明者によるものである、或いは、当該開示は発明者或いは共同発明者より直接又は間接的に得たものであるということを証明することで当該開示を引例から排除できる;
(b) 発明者等による先の公表を証明する宣誓書・宣言書
出願或いは再審査において、出願人或いは特許権者は宣誓書・宣言書を提出し、拒絶の根拠となる当該開示の前に当該発明主題が発明者あるいは共同発明者、又は、発明者或いは共同発明者より直接・間接的に情報を入手した者によって既に公表されている; 或いは、拒絶の根拠となる開示を含む特許或いは特許出願が有効に出願される前に発明者あるいは共同発明者、又は、発明者或いは共同発明者より直接・間接的に情報を入手した者によって既に公表されていることを証明することで当該開示を引例から排除できる;
当該宣誓書・宣言書において、先の公表を特定し、その公表日を示すこと;尚、(1)
先の公表が刊行物である場合には、当該宣誓書・宣言書に当該刊行物のコピーを添付すること、(2)
先の公表が刊行物によるものではない場合には、当該公表が行われたことを示すための詳細な説明が必要である。
(c) 但し、有効出願日の1年以上前の開示(引例)に対しては本セクションの規定は適用できない。 さらに、引例となる米国特許或いは米国特許出願の発明者が異なり、同じ或いは実質的に同じ発明主題をクレームしている場合には、本セクションの規定は適用できない、但し、この場合には規則42.401に基づく冒認手続きを申請することが可能である。
(d)
本セクションの規則は以下の要件を満たす米国特許出願或いはそれから権利化された米国特許に適応される:
(d)(1)
2013年3月16日或いはそれ以降に有効出願日を持つクレームを含む米国出願; 或いは、
(d)(2)
2013年3月16日或いはそれ以降に有効出願日を持つクレームを含む、或いは、含んだ特許或いは特許出願(120、121、或いは365条c項に基づく出願)を参照(基礎と)している場合。
Rule 1.131:先発明に関わる宣誓書・宣言書
(ごくごく概要のみ)
2013年3月16日以前の米国出願(或いは米国特許)、あるいは同日以前の出願日を持つ出願から優先権を主張する米国出願(或いは米国特許)に適用する規則であり、所謂、Swearing-Backと称し、引例の有効日の前に発明が為されていたことを立証することで問題となる先行技術(引例)の地位を否定する現行の手法(Pre-AIA)に関する規則である。 2013年3月16日或いはそれ以降に有効出願日を持つ米国出願には適用されない。
(5)
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