Dayco Products, Inc., v. Total Containment, Inc.,

 

CAFC 02-1497

Decided: May 23, 2003

 

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Commented by Tatsuo YABE on July 22, 2003

原告: Dayco Product Inc. (Dayco)

被告: Total Containment, Inc. (TCI)

本事件はIDSに関する重要な判決であります。 要は、本願と実質的に同じクレームを有する他の出願がある場合に、本願を担当する審査官と他の出願を担当する審査官が異なる場合には、当該他の出願における拒絶通知を本願の審査官に(及び本願の拒絶通知を他の出願を担当する審査官に)IDSとして提出しないといけないということが判事されました。 ここで、重要なのは、IDSとして提出する情報は、本願にとって先行技術(米国特許法第102条の基に先行技術)になるものだけではなく、本願クレームを権利化することに対して、他の審査官が否定的な判断をしたという情報をもIDSしなければいけないということを明瞭に判事しました。 実質的に類似したクレームに対する他の審査官によるネガティブな審査結果を本願担当審査官にIDSするべきであるということは、米国特許施行規則第1562項の記載よりその必要性は類推されますが、

 

米国特許施行規則第156条:

既に記録された若しくは出願において記録されつつある情報と重複しない情報は特許性に対して重要である、且つ、

(1)それ自身で、或いは、他の情報と組み合わせることによって、一見したところ不特許事由を構成するか、又は、

(2)(i) 米国特許庁の不特許事由に反対する、或いは、

(2)(ii) 特許性の議論を主張する

出願人の立場を否定或いは同立場と矛盾するときに情報は重要である

日々の実務レベルでIDS提出がそのようなチェック項目をもって実施されていたかとなると疑問を唱える実務者が多いと予想されます。 しかしここで重要なのは、本Dayco判決では、自明性のダブルパテント拒絶を受けそうなレベルで類似したクレームを含む他の出願に対して別の審査官が審査をしていたという点があります。

再度言及すると:

    1. 自明性のダブルパテントになるレベルに類似したクレームを含む別出願が存在していた;
    2. 上記別出願を本願とは異なる審査官が審査していた;

従って、関連出願があるからそれらの審査状況を各々の審査官にIDSすることの必要性を判事したものではないということと、通常であれば同じ審査官に審査されるであろうところが違う審査官であったのでこのような問題が起きたという点であります。

本判決を教訓とした実務上の留意点としては、以下が考えられます:

  1. 出願のマップを作成しておくこと;(闇雲に、分割,継続出願を実施しない)
  2. 継続出願或いは関連出願においては担当審査官をチェックする;
  3. 継続出願或いは関連出願に関しては出来るだけ同一担当者(会社の特許担当者、弁理士事務所の担当者、及び、米国代理人)が作業を行う。

特に上記(3)は非常に重要であってその中でも特に米国代理人事務所を同一技術の出願において複数箇所使うというのは回避するべきでしょう。 尚、米国特許施行規則第56(d)項では「米国弁護士、特許代理人、或いは、発明者以外の者は、米国弁護士、特許代理人、或いは、発明者に情報を開示することによって本規定(56条)に合致することになる」と規定しております。 即ち、現地代理人のIDS提出に対する責任を重くしております。 

従って、日本サイドで実務に携わる者は、現地代理人に、@今回のDayco判決を喚起することと、A関連出願に関しては出願マップを作成しておき、米国特許出願時に知らせると共に、各事件のBOAに応答するときにDayco判決に鑑みたIDS提出の必要性のチェックを依頼する趣旨の注意書き(以下参照ください)をしておくことを推奨します。

注意書きの例:

(Example) Dayco decision (Decided: May 23, 2003; Federal Circuit 02-1497) made clear that the rejections made by another examiner examining an application having similar claims to the present application is “material” under 37CFR1.56. Thus, you are hereby encouraged to review the necessity of informing another examiner who is handling a separate application having similar claims with the present application about the present rejections in the outstanding office action. If you believe there is/are related application(s) having claims similar to or substantially the same as the claims in the present application and is/are being examined by another patent examiner, please inform the examiner about the existence of the present application and the rejections in the outstanding office action.

 

「一歩踏み込んで」

今回Daycoは不正行為に対する判断をする上で「@伏せられた情報の重要度」及び「A特許庁を騙す意図」の事実を下級審で審理するべく差戻ししております。特に、@は満たされたとしても、Aに関しては下級審において証明される可能性は余り高くないと思慮します。何故なら、まず、今までの判例で関連出願(類似したクレームがある場合)の審査状況をIDSするということが通常のプラクティスとして通常の実務者レベルでは行われていなかったので、clear and convincing evidenceでもって騙す意図を証明するということは困難であろうと予想されます。

然るに、下級審でAの閾値レベルが満たされない場合にはDaycoの不正行為は成立しません。この場合には下級審の判断で権利行使不能とされたDayco特許の有効性はどうなるのでしょうか? (質問1

Dayco特許が無効とならないのであれば、審査中のDaycoの瑕疵(ダブルパテント拒絶を受けていたかもしれないのに、同拒絶を受けずに成立してしまった)は再審査或いは再発行特許出願をすることによって治癒される可能性はあるのでしょうか? (質問2

もし治癒されるのであれば、今回のDayco判決を余り厳粛に受取ってIDS提出の実務を根本から変えるようなことを考えなくても良いのではないでしょうか? 即ち、関連出願がある場合には米国代理人に出願時に連絡することと、OAに応答するたびに関連出願に類似クレームがある場合にその審査結果をIDSDayco判決)する必要性をリマインドするような定型注意文を入れておき「誠実な努力を継続するレベル」で良いのではないでしょうか? (質問3

20030722

上記(質問1,2,3)に関してさらに考察し、意見を付記したく存じます(The following comment was uploaded on August 03, 2003)

⇒ 不正行為を立証するには、@伏せられた情報の重要性とA騙す意図の存在の両方をclear and convincing evidence (明白且つ確信を抱くに足る証拠)のレベルで証明しなければなりません。即ち、@が証明されただけでは米国特許は権利行使不能にはなりません。従って、米国特許を権利行使不可にするためには、@の要件に加えて、Aの要件もclear and convincing evidenceで証明されなければならない。

Aの要件を満たすための明白且つ確信を抱くに足る証拠とはどのようなレベルのものでしょうか? それは@を満たすような重要な情報を特許庁を欺くために意図的にIDSしなかったという事実を証明するための記録が書面のどこかに残っているような場合ではないでしょうか?

上記にガイダンスを与える一つの判例としては、Semiconductor Energy Lab. V. Samsung Electronics ? “Yamazaki判例参照:CAFC 98-1377; 99-1103: March 02, 2000があります。ここでは、米国代理人が重要情報をIDSしようとするのを阻むような行為、或いは、ある情報の重要性を認識していなかったと述べながらも公のジャーナルにおいてはそれに反するコメントを載せていたこと「欺く意図」が立証されております。

従って、通常のIDSに対する取扱いにおいて以下のように対応しておくことで権利行使不可になることは回避できると考えます:

A) 米国出願の基礎となる優先権出願(もしあれば)及び対応外国出願(例えばEP出願)のOAが発行されたときにOAの内容と引用された先行技術文献を提出する;

B) 当該米国出願のOAに対応するときに、上記した注意書きをOAに対する現地代理人への指示書に盛り込んでおくことによって出願人のIDS提出義務に対する誠実なアプローチを後に立証する記録を残しておくことを推奨します。

然るに、

質問1に対してはAの要件が証明されないと米国特許は権利行使不可にはなりません。

質問2に対して、何らかの無効理由を含んだ米国特許は再審査或いは再発行出願をすることによって治癒される可能性があります。治癒された米国特許は権利行使可能となります。

質問3に関しては上記を参照ください。

20030731日追記

 

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Dayco Products, Inc., v. Total Containment, Inc.,

 

CAFC 02-1497

Decided: May 23, 2003

 

IDSに関連する部分の抄訳

By Tatsuo YABE on July 22, 2003

 

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原告: Dayco Product Inc. (Dayco)

被告: Total Containment, Inc. (TCI)

背景:

Daycoは、米国特許5199752号、5297822号、及び、5486023号(以下“本事件に関わる特許”と称する)に対して権利行使不可としたミズーリ―西部地区連邦地裁の略式判決に不服を唱え当裁判所(連邦巡回控訴裁判所)に控訴した。 当裁判所においては、当該地裁の略式判決は妥当性を欠くものであり、重要な事実に関する抜本的な事項が判断されておらず、我々は当該略式判決を破棄するとともに、再審理のために当該地裁に差戻す。

本事件に関わるDaycoの特許(複数)は1989915日に出願された米国特許出願第408161号から優先権を主張するものである。

 

説明図

 

本事件に関連する特許は、地下のガス貯蔵部で使用される互いに連結された柔軟なホースと連結部(連結組付け品)に関する。 使用時においては、ホース31が連結部32に挿入されることによって、ホースと連結部との間をシールする構造になっている。

 

 

Daycoは米国特許出願第993196号(19921218日出願:以下“196特許ファミリー”と称する)から優先権を主張する他の出願ファミリーの譲受人でもある。 当該出願に開示された技術(柔軟なホースとカップリングに関する)は今回問題となった特許の技術と実質的に類似している。 

これら196特許ファミリーの特許出願と本事件に関わる特許の特許出願とは別々の審査官に審査されることになった。

本事件に関わる特許を担当したのはDavid Arola審査官であり、196特許ファミリーを担当したのはEric Nicolson審査官である。

196特許ファミリーにおいて、本訴訟に関する特許の出願ファミリーに関して言及していたのでNicholson審査官は今回問題となった特許のことを周知していた。 然しながら、Arola審査官に196特許ファミリーに関する情報が伝えられたという証拠はない。

196特許ファミリーの特許出願におけるクレームはある視点で見ると本事件に関わる特許の出願クレームと実質的に同一であった。 Nicolson審査官は、196特許ファミリーの出願クレームをOetilker引例に鑑みたWilson引例によって自明であるとして拒絶した。

Nicholson審査官によるとWilson特許は当該出願クレームの外方に膨出したスリーブを除いて全ての要素を開示しており、当該欠落した特徴はOetiker引例によって自明であると判断した。 Arola審査官にはこの拒絶理由は伝えられなかった。 また、Wilson特許に関しても一切Arola審査官に知らされなかった。

 

Discussion:

 

I. 不正行為 (Inequitable Conduct)に関して:

下級審の不正行為に対する略式判決は撤回されねばならない。 特許審査段階における不正行為を証明するには現被告であるTCIが、@騙す意図を伴い、A重要な事実を明白に虚偽するか、重要な情報を開示しないか、或いは、間違った重要な情報を提出したる証拠を提示しなければならない。 Purdue Pharma L.P. v. Boehringer Ingelheim GMBH, 237 F.3d 57 USPQ2d (Fed. Cir. 2001)

意図及び重要性は事実に関する問いなので「明白で確信を抱くにたる証拠:clear and convincing evidence」によって証明されなければならない。

不正行為を分析する場合に,以下の二つのステップが実行される:

    1. 伏せられた参照物(情報)が重要性と騙す意図を判断する閾値レベルに達しているかを判断する;
    2. 全ての状況を考慮しながら当該重要性と騙す意図を衡量し、出願人の行為が特許を無効にするに値するか否かを判断する。

「重要性」の判断基準に関して問題がある。

本裁判所は長年に渡り、不正行為を審理するときの「重要性」の判断基準に関して「特許出願を許可するか否かを判断するときに妥当な審査官がその先行技術が重要である」と考えたであろうということを証明することを要求してきた。 Driscoll v. Cebalo 221 USPQ 745, 750 (Fed. Cir. 1982). Fox Indus., Inc. v. Structural Pres. Sys., Inc., 17 USPQ2d (Fed. Cir. 1990); Gardco Mfg., Inc. v. Herst Lighting Co., 820 USPQ2d (Fed. Cir. 1987)

しかしAkron Polymer Container Corp. v. Exxel Container, Inc., 47 USPQ2d 1533, 1534 ‘Fed. Cir. 1998)では、重要な情報であるためには情報は先行技術である必要はなく、通常レベルの審査官が特許出願を許可するか否かを判断するのに実質的に重要と考える情報の全てを包括するとした。 この「重要性」に関する考え方は「妥当なる審査官の基準」を用いた37CFR1.56(a) (1991)に一部基礎を置くものである。

1992年に米国特許庁は重要性に関する新しい基準を施行規則に設けた。

改訂された施行規則によると、「当該情報が一見したところ不特許事由になり得るか、出願人の主張と整合性を欠く場合のいずれかを言う」  37CFR1.56(1992) (Rule 56) 当該新施行規則は以前の基準に対して実質的に重大な変革をもたらすことを意図して改訂されたものではなく、既存の「誠実且つ善意なる義務」を再度言及するとともに、一見したところ不特許事由を構成するか、出願人の主張と矛盾するか若しくは出願人の主張を否定する情報を含む開示であると規定することによって「重要性」をより減縮的に定義した。

当法廷は上記した1992年以前の「妥当なる審査官の基準」を重要性判断に採用するべきか、それとも「1992年に改訂された施行規則第56条の基準」を採用するべきか正式には判断していない。

今回の事件ではどちらの判断基準を採用しても審理の結果は同じであろう。

 

  1. 196特許ファミリー:
  2. 下級審において196特許ファミリーの出願と今回問題となった特許の出願を同じ弁護士が担当していたに拘わらず196特許ファミリーの出願があることをArola審査官に知らせなかったという理由で不正行為と判断した。 (MPEP2001. 06(b)にその必要性に関する根拠が規定されている)

    本法廷では以下のように判事する。 上記した「妥当なる審査官の基準」のもとでは、自明性のダブルパテント拒絶の根拠となるかもしれない出願は、出願審査において非常に重要性がある。 自明性のダブルパテントの拒絶を克服するためには、ターミナルディスクレーマーを提出することのみではなく、特許権の所有者がダブルパテントの対象となる特許の権利者が同じでなければ権利行使はできないという但し書きをしなければならない。

    従って、今回のように196特許ファミリーの出願をArola審査官に知らせないことによって特許権者が同一でないと権利行使不可という制限から開放された権利を得ることになるので196特許ファミリーの出願は重要性があると判断される

    上記のように、196特許ファミリーの出願は「重要性」の閾値に達しているが、TCIの略式判決の請求においては「騙す意図」が閾値レベルにあることが証明されていない。

    本事件と事実関係が類似した状況において、Akron判決では、特許権者は第2出願の存在を第1出願の審査官に開示したので出願人は特許庁に対しては2つの出願の存在を知らせたことになるので「要求される騙す意図」の存在が推定されることにはならないと判事した。

    本裁判に関わる特許の出願審査段階において、審査係続中の他の出願を審査する審査官には知らされたので、Akron事件の判事に基づき、「騙す意図」の存在を否認する。

    従って、196特許出願の存在をArola審査官に知らせなかったことが「騙す意図」の存在を示す閾値の水準に達しているとする略式判決は無効である。

     

  3. Wilson特許:
  4. 下級審が不正行為と判事する根拠とした第2番目の情報はWilson特許である。 同地裁はWilson特許は重要であり、今回問題となる特許の出願を審査する審査官が引用した先行技術の開示内容の重複にはならないと判断した。

     

    。。。。。。一部省略。。。。。。。

    何れの重要性の判断基準を採用したとしても、当該連邦地裁がWilson引例は重要性の閾値レベルに合致しているとする略式判決は妥当性を欠くと判断する。 Nicholson審査官がWilson引例を重要と判断したということ事実自体は、情報的価値はあるが、重要性が断定されるものではない。Wilson引例が重要性の閾値レベルにあるか否かを判断するには、本裁判に関連する特許のクレームと、審査官が引用した他の先行技術文献に対して、どのように関連ある教示を持つか否かの詳細な事実分析が必要である。

    騙す意図に関しては、下級審において出願を担当した弁護士がWilson特許を周知していながら審査官に提出しなかったということが騙す意図を構成するとの判断は間違いである。

    不正行為を構成させるには開示しない意図ではなく騙す意図が問題となる。 引例を開示しないという判断をし、且つ、その判断をした理由が正当性を欠くようであるからといって騙す意図は単純に推測されるものではない。 従って、Wilson特許を基礎として権利行使不可とする略式判決は無効である。 現記録によればWilson特許を開示しなかったことに対して不正行為を請求する根拠が存在しない。

     

  5. 実質的に類似したクレームの拒絶:

下級審が権利行使不可の略式判決を認めた最後の理由は、今回問題となる特許の審査中に196特許出願ファミリーの実態的に類似したクレームに対して挙げられた拒絶理由の存在を根拠とするものである。 

本法廷では、継続中の米国出願の実質的に類似したクレームの拒絶というものが、「妥当なる審査官基準」の基に重要になるか否かに関して審理することはなかった。インディアナ北部地区の連邦地裁はこれに関して、「他の十分な知識を有する審査官が慎重に審査を行い、本願審査に直接関係のあるクレームを含む出願クレームを先行技術を基礎とし自明性拒絶をしたということを審査官が知ることは重要である」と判事した。 Golden Valley Microwave Foods, Inc. v. Weaver Popcorn Co., 837 F. Supp. 1444, 1474 (N.D. Ind. 1992) もしこのような開示要件が存在しなければ出願人は「友好的な審査官」を見つけるために、繰り返し、或いは、複数個の出願を密かに実行することになるかもしれない。 ABA Section of Intellectual Property Law, Annual Report 1993-1994 (1994).

当法廷は、実質的に類似したクレームに対する他の審査官の否定的な判断はAkron Polymer判決の基準(妥当なる審査官が出願を許可するための判断として実態的に重要と思慮する全ての情報)に合致すると判事する (148 F.3d at 1382, 47 USPQ2d at 1534)

特許の開示は屡複雑であることが多い。 そして技術バックグラウンドが異なり、理解レベルが異なる他の審査官が複雑な特許公報の内容を検討したときに、その解釈に違いがある場合がある。 審査官は他の審査官の解釈に拘束される必要はないが、他の審査官による異なる解釈という情報は出願審査をするときに審査官が重要であると考慮する情報に相当する。

我々はさらに当該情報は施行規則第56条(1992年改訂分)に基づく重要性の閾値レベルにも合致すると判事する。 注意:第56条。。。。出願人の主張に反する或いは矛盾する情報、。。。。(詳細には以下を参照ください)37 CFR 1.56 (b) (2) (2002)  特許出願審査において、出願人は少なくともクレームは特許性があるということを主張している。 

37 C.F.R. 1.56(b) (2003)

米国特許法施行規則第 1.56(b) (2003)

information is material to patentability when it is not cumulative to information already of record or being made of record in the application, and

  1. it establishes, by itself or in combination with other information , a prima facie case of unpatentability of a claim; or
  2. it refutes, or is inconsistent with, a position the applicant takes in
    1. Opposing an argument of unpatentability relied on by the Office, or
    2. Asserting an argument of patentability

A prima facie case of unpatentability is established when the information compels a conclusion that a claim is unpatentable under the preponderance of evidence, burden-of-proof standard, giving each term in the claim its broadest reasonable construction consistent with the specification, and before any consideration is given to evidence which may be submitted in an attempt to establish a contrary conclusion of patentability.

 

既に記録された若しくは出願において記録されつつある情報と重複しない情報は特許性に対して重要である、且つ、

 

(1)それ自身で、或いは、他の情報と組み合わせることによって、一見したところ不特許事由を構成するか、又は、

 

(2)(i) 米国特許庁の不特許事由に反対する、或いは、

(2)(ii) 特許性の議論を主張する出願人の立場を否定或いは同立場と矛盾するときに情報は重要である

 

(以下略)

   

実質的に類似したクレームに対する拒絶(過去に他の審査官によって拒絶されたもの:過去の拒絶理由)は、出願人が特許性を主張する立場と矛盾するものである。 従って、他の審査官による特許性に対する否定的な判断は施行規則第56条の重要性の判断基準に合致するものである。

しかし連邦地裁は、審査官の否定的な判断を開示しなかったことに対する騙す意図に関して言及していない。 従って、この論点に関して審理が必要である。

 

II 無効

III 許容されないクレームのグループ化

IV 差戻し

上記II-IVに関する議論は全て省略する。

 

結論

侵害に関して審理を要求する。 クレーム解釈の基準は本判決文及びDaycoの先の意見を基礎とすること。 さらに、103条に基づく無効に関して、さらに、係続中の出願における実質的に類似したクレームに対する拒絶を開示しなかったことに関する不正行為に関して事実審理すること。

 

破棄、差戻し