継続出願と継続審査、及び、互いに特許性を有さないクレームを備えた
複数の特許出願に係わる規則の改定案
2006年1月3日USPTO Websiteで公開 http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/71fr61.pdf Summarized by Tatsuo YABE |
規則改定の目的:
特許庁の審査のバックログを低減し、全体的に特許出願審査経過期間を短縮する。 無制限な継続出願及び継続審査に起因する特許クレームの公共への通知機能の低下を改善する(一つの特許クレームを回避できたとしてもその継続出願が無制限に継続しているとなると公共は元になる出願の権利範囲の全貌を把握するのが非常に困難になる)。 費用支払いのみで可能となる特許継続出願(或いは特許継続審査)を適切に制限することによってOAに対する出願人の対応(クレーム補正及び意見書の内容)が充実し、審査官との一回毎の応答がより効率的なものとなる。
筆者注:
改定案が成立した場合であっても『継続審査請求』の手続きに関しては一般的な出願においては余り大きな影響を及ぼさないと理解します(即ち、現状においてFINAL拒絶後に一回RCEを実施し、それで拒絶された場合に再度RCEを実施するというのは少ないと考えます)。 しかし『継続出願』に関しては互いに特許性を識別しうるクレームしか残せなくなるので、取り敢えず一つの出願を権利化し、継続出願において被疑侵害者の実施形態を観察し、じっくりと時間をかけてクレームを練り直す(勿論明細書の開示の範囲で)というプラクティスが困難になると予想されます。 即ち、そのような継続出願において実質的に同じ権利範囲を備えた複数のクレーム(実質的に同一クレーム)を別々の特許で維持するというプラクティスは消滅していくことになります。 言い換えると同一出願人の特許はその特許性を互いに識別されるもののみしか存在できないことになります。
しかし、複数の発明を開示したる基礎出願から異なる発明主題に対して分割出願をすることに対しては制約を加えられていないということ、さらに、権利成立後2年以内に権利範囲を拡大できる再発行出願の手続きが存続する以上は本改定案が施行されても特許権者にとって実態的に大きな問題(障害)になることはないと思料します。
改定案の概要:
規則1.78(d)(1)
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一つまたはそれ以上の米国出願(または米国を指定する国際出願)から優先権を主張する米国出願(継続出願)は以下の条件のいずれかを満たさなければならない: (i) 略 (ii) 略 (iii) 略 (iv) 特許法第120条、121条、或いは、365条(c)項に基づく特許出願より優先権を主張する特許出願(非仮出願)であって、補正クレーム、特許性の議論、証拠の審査を受けようとするものであって、それら補正、議論、証拠が優先権の基礎となる先の出願の審査過程において提出できなかった場合; 同特許出願をする場合には規則1.17(f)に基づく費用を含む『請願書』を伴い、特許庁に対してそれら補正クレーム、議論、証拠が優先権の基礎となる先の出願の審査過程で提出できなかったことの証明をしなければならない。 後の出願される継続出願が111条(a)項に基づき実施される場合には実際の出願日より4ヶ月以内に上記請願書を提出しなければならない;
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規則1.78(f)(1) |
1.78(f): Applications and patents naming at least one inventor in common. 1.78(f)(1) 少なくとも発明者の一人が共通で、同一人に所有或いは、所有されることになる同一出願日或いは出願日の違いが2ヶ月以内の複数の特許出願(或いは特許出願と成立した特許)が存在する場合には、出願人は特許出願の日(国際出願の場合には米国国内段階への移行日)から4ヶ月以内に上記条件を満たす他の特許出願(或いは特許)を特定すること;
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規則1.78(f)(2) |
1. 78(f)(2) 少なくとも発明者の一人が共通で、同一人に所有或いは所有されることになっている複数の特許出願(或いは特許出願と成立特許)が同一出願日(或いは優先日)に実施されている場合には、これら複数の特許出願(或いは特許出願と特許)には少なくとも一つ互いに特許性を識別できないクレームが存在しているという『推定』が成立する。 1.78(f)(2)(i) 上記『推定』に反駁するには出願人は複数の特許出願(或いは特許出願と特許)には互いに特許性を識別可能なクレームのみが存在していることを特許庁に対して説明しなければならない。 1.78(f)(3) もし上記推定に反駁できない場合には特許性を識別できないクレームを互いの出願クレームから削除することを要求されるであろう。 もし上記推定に反駁できない場合には特許性を識別できないクレームを互いの出願クレームから削除することを要求されるであろう。 |
規則1.114 (継続審査)
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1.114 Request for continued examination (RCE):
1.114(a) 出願の審査が終了したる場合(例:最終拒絶)に、出願人は一回の継続審査を費用(規則1.17(e))の支払いをすることで実施できる(但し、所定の条件を満たす場合); 1.114(f) 出願人は規則1.17(f)に基づく費用(400ドル)を含む請願書を伴った上で、現クレーム補正、特許性の議論、或いは、特許性に係わる証拠を、前回の審査終了時点(前回の審査における最終拒絶)までに提示できなかった理由を特許庁に対し説明できない場合には、出願人は2回目以降の継続審査を請求することはできない。(分割出願を除く継続出願の場合には特許庁に対して上記説明ができない場合には一回の継続審査請求も認められない。) 出願人は規則1.17(f)に基づく費用(400ドル)を含む請願書を伴った上で、現クレーム補正、特許性の議論、或いは、特許性に係わる証拠を、前回の審査終了時点(前回の審査における最終拒絶)までに提示できなかった理由を特許庁に対し説明できない場合には、出願人は2回目以降の継続審査を請求することはできない。(分割出願を除く継続出願の場合には特許庁に対して上記説明ができない場合には一回の継続審査請求も認められない。) |
上記提案補正に対するコメントの提出期限:
2006年5月3日 AB93Comments@uspto.govまでメイルのこと。