特許出願クレームの審査に係わる規則改定案

 

 

200613USPTO Websiteで公開

http://www.uspto.gov/web/offices/com/speeches/06-01.htm

 

Summarized by Tatsuo YABE

on Jan 15, 2006

 

 

 

規則改定の目的:

 

特許庁の審査のバックログを低減し、全体的に特許出願審査経過期間を短縮する。 出願人が審査を希望するクレームが所定数(10個)を超える場合には審査官の初期審査の多大な負担を軽減するべく出願人側にも協力を要請するという審査の負荷を特許庁と出願人側とでシェアする審査システムを構築する。

 

筆者注:

本改定案が成立したとしても、一般的な機械・電気・材料関係の米国特許出願クレームドラフティング自体には大きな影響はないと考えますが、出願時には審査の対象とする独立クレームと従属クレームを合わせて10個以内に抑えることが必要になる(或いは望ましい)と考えます。 即ち、クレームは現状の通り出願基本手数料内の20個程度構築しても問題はないですが、その中で独立クレームは自動的に審査の対象となり、従属クレームに関しては出願人が審査を希望するものを特定し、審査の対象となる独立クレームと従属クレームとの合計数を10個以内にすることが必要となります。 何故なら、審査を希望するクレームの合計数が10を超える場合に発生する出願人の負担(規則1.261に基づく審査補助書類の要件を満たすための出願人の負担)が余りにも多大であるからです。 即ち、以下に提案されている規則1.261(a)の項目(1)から項目(6)を満たすべく審査補助書類を作成する作業にどれだけの時間と費用が必要となるかという点(実態的には出願人が審査官以上の仕事をし、審査官がそれを確認するような形式になります)に加えて、先行技術文献と各クレームとの係わりをどこが公知でどこが新規であるかを説明するという記録が後々禁反言として、或いは、虚偽開示という特許有効性の攻撃材料として使用されることになります。 

 

特許庁は53日までのコメント受入れ期間を設けていますので、規則1.261に基づく審査補助書類の要件がどの程度まで緩和されるかが一つの注目点であると思料します。

 

改定案の概要:

 

規則1.75 (b)(1)(i) & (ii)

出願人は以下の場合には規則1.261に基づき出願人が初期審査を希望する独立クレーム及び従属クレームの各々に対し審査を補助する書類(Examination Support Document)を提出すること:

 

(i)                 独立クレームが10個を超えるとき;或いは

(ii)               独立クレームと出願人が審査を希望する従属クレームの合計が10を超えるとき;

 

規則1.104(c)(1)

 

Nature of examination

(c) Rejection of claims

(1) 独立クレーム及び出願人が審査を希望する従属クレームに特許性が見出せない場合には拒絶とする;

 

規則1.261(a)

 

Examination Support Document (審査を援助する書類)

 

本規則において審査を援助する書類とは以下の書類を意味する;

 

(1)    出願審査前に調査を実施したという宣言文(調査の範囲を特定するUSクラス及びサブクラスを含む)

(2)    独立クレーム及び出願人が審査を希望する従属クレームの各々に対して最も関連性があると思われる公知技術(規則1.98に基づくIDS)の情報公開;

(3)    上記公知技術に開示されている各独立クレームの構成要素と審査を希望する各従属クレームの構成要素を特定する(クレーム毎にどの特徴が公知で新規かを特定する:実態的にはJepson形式にするということ:筆者注);

(4)    各独立クレーム及び審査を希望する各従属クレームが規則1.111(b)で要求される先行技術に対して特許性を備えているかを詳述する;

(5)    各独立クレームの有用性に関する簡潔な説明;及び

(6)    各独立クレーム及び審査を希望する従属クレームの各々の構成要素が明細書のどこにサポート(112条第1パラグラフに基づくサポート)があるかを示す;

 

規則1.261(b)

 

上記規則1.261(a)に基づく審査前の調査は、出願人が特定する先行技術以上に関連性があるものが見つからないであろうということを妥当な確証性の基に証明できない場合には、米国特許・米国特許出願公開公報・外国特許公報・非特許文献を含むこと;

 

規則1.261(c)

 

審査を援助する書類を提出する必要があるに拘らず、審査を補助する書類或いは審査前調査が不十分であると判断される場合には、出願人はその旨を通告され、1ヶ月(理由なく期限延長不可)以内に必要書類を補正するか、または、追加の書類を提出することが要求される。 同処理を1ヶ月以内に完了できない場合には出願放棄となる。

 

規則1.704(c)

 

上記規則1.75(b)で要求される審査補助書面の提出が不十分と判断された場合には、規則1.261を満たす書類の提出が必要になった日或いは出願日より4ヶ月の何れか遅いほうの日から、同審査補助書類が前記規則1.261の要件を満たすまで(クレーム補正・選択・限定要求によって審査補助書面の提出の必要性がなくなる日まで)の間の日数がPTA(特許有効期限延長日数)より差し引かれる。

 

 

 

上記改定案に対するコメントの提出期限:

200653日 AB94Comments@uspto.govまでメイルのこと。