CLS Bank v. Alice Corp

Fed Cir. En banc判決 

May 10, 2013

CAFCAlice特許(ビジネス手法、記憶媒体、システム)の101条適格性を否定(しかし多数判決得られず、6つの意見、判事混乱)

Summarized by Tatsuo YABE

May 30, 2013

 

 

この度(2013510日)に、長らく待たれたCLS bank判決(CAFCの大法廷判決)が出た。 10人の判事による大法廷判決は過半数による多数意見(Majority Opinion)に至らず、5人の判事を代表し、Lourie判事によって書かれた意見がPer Curium(今回の大法廷判決とする)の判決となった。 今回問題となった4つのAlice特許の明細書はその内容がほぼ同一である。 即ち、当事者間の取引において契約の締結時と実際の履行時がずれることに起因するリスクを、第3者を介在させることで緩和するというビジネス手法に関するもので、その方法、記憶媒体、及び、システムをクレームしている。Lourie判事の意見(5人の意見)は101条の文言から説明するも、結局のところがMayo判決(2012年最高裁判決)の判決文の中で頻出する「自然法則の利用に着眼する方法クレームにおいて、当該クレームの自然法則以外の他の特徴、或いは、その組み合わせによって自然法則自身を遥かに超えたものに特許がなっていることを101条の要件とする」という箇所、あるいは、それに類似する箇所を引用し、

 

(*1) And they insist that a process that focuses upon the use of a natural law also contain other elements or a combination of elements, sometimes referred to as an “inventive concept,” sufficient to ensure that the patent in practice amounts to significantly more than a patent upon the natural law itself. (Mayo v. Prometheus Lab: Supreme Court Decision, March 20, 2012, Opinion page 3) 

 

まずは、方法クレームの101条保護適格性を検討するにあたり、特許保護適格性の例外として@自然法則、A自然現象、B抽象的なアイデアを示し、Alice特許方法クレームは抽象的なアイデア(商取引において第3者を介在させてリスクを軽減する)を基礎とするものであって、当該抽象的なアイデアを顕著に超える(significantly more than)ための他の特徴が方法クレームに規定されていないという理由で101条の適格性を否定した。記憶媒体及びシステムクレームに対しても、保護適格性を否定した方法クレームと実の内容部分が同じであるとし、且つ、クレームドラフティングの上手な人によれば方法クレームを基に記憶媒体形式或いはシステム形式のクレームに書き換えることは容易であるという理由で、それら記憶媒体およびシステムクレームの保護適格性をも否定した。 問題となったシステムクレームはコンピューターおよびメモリーユニットなどとも結合し、Lourie判事に代表される5人の判事以外は特許保護適格性を認めている。 

 

これだけ大法廷判決で判事の意見が分かれた判決は筆者の記憶にはない。 仮に本判決の裁量上訴が認められ最高裁で審理がなされたとしても、明白なガイドラインが出される可能性はあまり高くないであろう。 その理由は、そもそも今回の大法廷判決が混乱した根本の原因が特に昨今のBilski合衆国判決であり、最も顕著なのはMayo合衆国最高裁判決による判示にある「significantly more than …自然法則に追加されたクレームの特徴によってクレームが自然法則を顕著に超えたものになる)」であり、さらに、発明概念(inventive concept)を101条の解釈に盛り込んだことである。 そもそも発明概念(inventive concept)という用語は、1978年のFlook合衆国最高裁判決で101条の解釈に関して初めて引用された文言であり、わざわざこのような用語を合衆国最高裁はMayo判決で引用した。最高裁及び今回の5人判示(Lourie判示)の意見において101条判断基準と102103条判断基準とは明瞭に識別されるものであると述べてはいるが、我々実務家にとってはまったく釈然としない。

 

筆者の意見としては、Rader判事長の嘆き(Additional Reflectionという題で5ページの意見にまとめられている)を参照するのが最善であると考える。 即ち、101条の条文に戻ること。 

 

CAFCの大法廷による意見がここまで混乱した以上は、実務家及び審査官に理解できる101条判断基準(審査ガイドライン)をPTOが作成することが殆ど無理になるであろう。 予想されるシナリオとしては、PTOCAFCが無理やりにでも最高裁判決に従うように判決文を作成したように、PTOにおいても今回の大法廷判決(Lourie判事の意見)に従う文言でMPEPを加筆・修正すると思われる。

 

従って、ビジネスモデル以外の通常の技術発明を扱う実務家はあまり今回の大法廷判決を気にせずにクレームドラフティングをすることが妥当と考える。 万が一、101条拒絶を受けた場合には、一番要(かなめ)になる反論は、Mayo判決後にInterim審査ガイドラインで述べられたように「自然法則」を利用するクレームにおいて「自然法則」以外の他の特徴をクレームに追加したことによって、「自然法則」自身を遥かに超えたクレームになっており、「自然法則」自身に排他権を望むものでは決してないという筋で反論するのが効果的と考える。 注意:「自然法則」を「自然現象」あるいは「抽象的なアイデア」に置換することで同様の反論が可能。

 

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(以下判決文の抜粋)

 

この度(2013510日)に、長らく待たれたCLS bank判決(CAFCの大法廷判決)が出た。 10人の判事による大法廷判決は過半数による多数意見(Majority Opinion)に至らず、5人の判事を代表し、Lourie判事によって書かれた意見がPer Curium(今回の大法廷判決とする)の判決となった。 

 

特許権者はAlice Corporationで、未来に起こるであろう特定の出来事に対するリスクを管理するという方法をクレームした2つの特許(US5970479:以下479特許;& US6912510: 以下510特許)と、当該リスクマネージメントに関するデータ処理システムをクレームしたUS7149720(以下720特許)と、当該データ処理システムと記憶媒体をクレームしたUS7725375 (以下375特許)を所有していた。 2007524日、CLS銀行はAlice社を相手にそれら特許の非侵害と無効を確認するべくDJアクションを起こした。Alice社はCLS銀行相手に反訴した。 DC連邦地裁は、Alice特許4件は全て101条の特許保護適格性を満たさないと判断し、今回CAFC5人判決において地裁判決を全面的に支持した。 即ち、Alice特許(4)の、方法クレーム、記憶媒体クレーム、及び、システムクレームは全て101条の要件を満たさないので無効と判断した。

 

CAFCの多数意見としては、Alice特許の方法クレームおよび記憶媒体クレームの無効(101条の要件を認めない)に合意するも、システムクレームの101条適合性に関しては多数の合意に至らなかった。

 

    Lourie判事によるPer Curium意見:

適応する法律としては米国特許法第101条の文言に始まり、Diamond v Chakrabarty(1980年最高裁判決)およびそこで引用された連邦議会の立法趣旨(議事録)としての「人間の創意工夫は寛大に助長されるべきである・・・」を引用し、101条で規定される特許保護適格性の広範さから説明し、判例によって101条適格性の例外として、自然法則、自然現象、及び、抽象的なアイデアがあると述べた。 

 

さらに、101条が重要な争点となった過去の最高裁判決を列記した、即ち、Benson判決(1972年:コンピューターを利用し、2進数に変換する手法)、Parker v Flook1978年:数学の公式を利用し、測定・調整を継続し、炭化水素の化学変換に対するアラームを生成する手法)、Diamond v. Diehr1980年:Arrheniusという数式を用い、合成ゴムを加硫するための温度と時間を適正化する手法に関する。 101条適格性を満たすと判断した)、さらに、昨今の有名な最高裁判決として、2010年のBilski判決(エネルギー商品市場における取引のリスクを軽減する手法に関するクレーム)及び2012年のMayo v Prometheus判決(患者に適切なThiopurineの摂取量を判断するために当該薬を投与し、thiopurine metaboliteの血中濃度を測定し、その度合いによって当該薬の投与量を増減するという手法に関する特許)を引用した。

 

上記の条文と判例を引用し、101条の適合性(特許保護適格性)に関して、以下のように述べた。 

 

特許は少なくともその本質において排他権である。 但し、特許によって抜本的な原理自体の使用に排他権が及んでしまうことには注意が必要である。 特許保護の適格性を得るためには自然法則、自然現象、又は抽象的なアイデアに対して顕著な特徴が付加されており、保護対象(排他権が及び範囲)としては自然法則、現象、又は抽象的なアイデアに対して顕著に狭いものでなければならない(Mayo判決)。 次に、特許保護適格性の判断は、過度にルール化されてはならない(Flook判決)。依って、101条適格性の判断基準としては、将来起こりうる予期できない技術の進歩にも対応ができる柔軟で、且つ、現実味のあるアプローチが必要である。

 

拠って、まずは101条で規定する4つのカテゴリーの何れに属するかを判断する。 そして裁判所で確定した例外項目(自然法則、自然現象、抽象的なアイデア)に該当しないかを判断する。 次に、保護範囲の排他の度合いを判断する。即ち、追加された特徴(構成要件)により、保護範囲が実体的に限定され、明確にされ、抽象的なアイデア自身を保護しないということをチェックしなければならない。ここでいう実質的なクレームの限定事項(追加された特徴)とは、Mayo判決においては発明概念(inventive concept)という用語で説明されている。 最高裁はFlook判決においてこの用語を始めて用いた。 この用語、「発明概念 (inventive concept)」とは102条あるいは103条に基づき新規性あるいは自明性(進歩性)を判断する概念とは識別しうるものである。

 

即ち、101条における「発明概念(inventive concept)」とはクレームされた発明主題に真に人が貢献したという意味であり、この人の貢献の度合いは抽象的なアイデアに些細な添え物であってはならない。Mayo判決にあるように、追加されるステップ(方法クレーム)は当業者が通常理解するルーチン、或いは、一般的な行為を超えるものでなければならない。また、単に使用される分野(領域)を限定するものでは不十分である(Bilski判決、Flook判決、Diehr判決)。 然るに、101条に対するこのような判断基準は102条或いは103条の判断基準と混同を生じるものではない。(この時点で混同を生じないということが理解できない。今回のCAFC大法廷判決がここまで判事の意見が分かれた最大の理由は、Mayo v Prometheus判決における最高裁判決が原因であると考える。要は、合衆国最高裁はMayo判決において、自然法則を利用する方法クレームにおいて、自然法則に追加される特徴によって、significantly more than自然法則自体になっていること(自然法則自身をはるかに超えるものになっていること)を自然法則を利用する方法クレームの101条の特許保護適格性の要件と判示した。See (*1) below - 筆者注)  言い換えると、自然法則、自然現象、或いは、抽象的なアイデアに追加されるステップが些細なもので、ごく一般的で、又は、通例のものであって、結果として問題となるクレームが自然法則、自然現象、抽象的アイデア自体を実質的に包括するものではいけないということである。

 

(*1) And they insist that a process that focuses upon the use of a natural law also contain other elements or a combination of elements, sometimes referred to as an “inventive concept,” sufficient to ensure that the patent in practice amounts to significantly more than a patent upon the natural law itself. (Mayo v. Prometheus Lab: Supreme Court Decision, March 20, 2012, Opinion page 3)

 

2点注記すべきことがある、第1点は、102条或いは103条の判断を先にすることによってクレームの有効性の判断を効率よくできる場合には101条判断を省いても良い。 第2点は、成立した米国特許には282条で規定されるように有効性が推定されるので102条、103条の判断と同様(Microsoft  v i4i2011年最高裁判決)、101条の判断に対しても有効性が推定される。

 

上記を踏まえて、Alice社の問題となる特許クレームの有効性を判断する。 Alice社の4つの特許の明細書は略同じであり、金融取引における当事者(1者と第2)間の義務を履行することに起因する(例:契約の締結と実際に履行するタイミングのずれに起因する)リスクを、第3者(例:監督者)を介在させることで軽減することに関するコンピューターを活用した方法、記憶媒体、及び、システムに対するクレームを開示している。

 

479特許の方法クレームは商取引におけるリスクを軽減するために第3者(スーパーバイザー:監督者)を介在させるという抽象的なアイデアに関し、クレームの残りの部分において、クレーム全体としてこの抽象的なアイデアにsignificantly more(顕著に抽象的なアイデア自身を超えるか?)となるかということを判断する。 コンピューターを利用することが規定されているが、コンピューターによって処理速度或いは効率を上げるということだけでは、抽象的なアイデアに意味のある限定(特徴)を追加することにはならない。 コンピューターは人間より早くメンタルステップを処理するための所詮は計算機に過ぎない。 依って、クレームの構成要素で利用するコンピューターが計算処理能力を加速するという目的以外で使用されていない場合には、コンピューターを活用するステップはクレーム全体に特許保護適格性を与えることはない。           結論として、479特許の方法クレームは当該抽象的なアイデアに顕著な特徴を追加するものではない(significantly more than the underlying abstract idea for purpose of 101)。

 

本意見に参加していない2人の判事も「方法クレーム」に関しては若干異なる理由ではあるが同意見である。

 

次に、375特許のBeauregardクレーム(記憶媒体形式のクレーム)を検討する。 Beauregard形式のクレームは確かに101条の製造物の範疇にはいる。しかし当該形式のクレームの実質の構成要素が何であるかを検討するに上述した方法クレームのステップで規定した内容である。 少し腕のある者(‘claim drafter’)にかかると抽象的なアイデアをBeauregard形式のクレームに書き換えることは比較的容易なことであり、最高裁はそのようなクレームのドラフティング・テクニックによって抽象的なアイデアをあたかも保護適格性があるかのように書き換えることに警告を発している。

 

次に残りのデータ処理システム(720特許)に関するクレームを検討する。 当該クレームは確かにコンピューターを活用し、連続するステップを実行するシステムを開示している。 然しながら、当該システムクレームで実行されるステップはAlice社の方法クレームのステップと実質的に同じである。 システムクレームで規定されている実質的なステップとAliceの方法クレームで規定されているステップは略同じであり、当該システムの構成要素として具体的な(有形の)コンピューター、あるいは、記憶媒体(メモリーユニット)を含むが、これらは抽象的なアイデアを規定したステップに保護適格性を満たしうる実体物を追加するものではない。 勿論、コンピューターがこの世に登場したときには、コンピューターのハード自身が特許保護適格性を有していたことに疑問の余地はない。 しかし現在において当該システムクレームで利用されるコンピューターは特殊なタイプのものではなく、ごく一般的なものでしかなく特許保護適格性を備えたものではない。 抽象的なアイデアに通常のコンピューターを適用することによって、抽象的なアイデアが保護適格性を持つものに変換されるわけではない。 我々がここで、検討しているクレームは抽象的なアイデアに対する方法と当該方法を実行するためのコンピューターに関連づけたというものであり、この抽象的なアイデアにコンピューターの衣を着せても101条の要件(特許保護適格性の要件)を満たすものにはならない

 

結論:地裁判決を支持する。問題となるAlice特許の方法クレーム、コンピューター可読記憶媒体クレーム、及び、システムクレームは特許保護適格性を備えていない(101条の要件を満たしていない)。依って、479特許、510特許、720特許、及び、375特許は無効である。

 

 

    Chief Judge Raderの意見(概要)

システムクレームは特許保護適格性がある。今回の大法廷判決は特許保護適格性(101条要件)に対する新たな例外を認めたことになる。 問題となるクレームが具体的、明白、且つ、有形な発明を規定しているということを無視し抽象化を探索してはならない。 抽象的なアイデアに意味のある限定事項を連携することで具体的な事象に適用されているか、あるいは、現実への適用となるかを判断することが重要である。 101条における「発明概念(inventive concept)」を特許の有効性の原理と混同するべきではない。101条における「発明概念(inventive concept)」と進歩性あるいは創造性と混同するべきではない。 人ができないことをコンピューターが実行しているか否かを101条の要件と解釈すると、コンピューターによって実行される発明が101条の要件を満たすことはない。 処理速度を上げるということだけでも十分に意味のあるクレームの限定事項 “meaningful limitation”(構成要件)となる。

 

    Judge Mooreの意見(概要)

今回のCAFC101条の理解(Lourie判事による判決)は特許制度の根幹を覆すことになる。今回CAFCは最高裁の方法クレームに関する判決を記憶媒体およびシステムクレームにまで拡大適用し、本来は狭いはずの101条の例外規定に多大な幅を与えた。今回問題となったクレームに特許保護適格性がないとするとこれまでの何万もの特許(ビジネス手法、金融システム、及び、ソフトウエア関連特許、及び、コンピューター実行型、及び、テレコミュニケーション関連特許)が無効になるであろう。Lourie判事の意見は最高裁で言及された「発明概念(inventive concept)」という用語を間違って解釈し、適用した。 最高裁が一切疑義を唱えていないAlappat判決(最高裁判決)をLourie判示の意見は真っ向から否定したことになる。システムクレームの全てが抽象的なアイデアではないとはいわないが、本事件で問題となったシステムクレームは具体的な構造体と連携しているので、方法クレームを単にシステム形式に書き換えたものではない。 システムクレームが101条の要件を満たすか否か(単なる抽象的なアイデアを規定したものか否か)を判断するには、クレームを個別にその全体として判断しなければならない。

 

    Judge Newmanの意見(概要)

今回の大法廷での審理は、そもそもは101条の特許保護適格性に対する不確定さを少しでも緩和することが目的であったが、複数の判事グループが互いに整合性のない意見を出すことになってしまった。 司法(最高裁を意味していると考える(筆者))においてこの混乱を早期に解消することが必要である。少なくとも次の3点に関する明確な司法判断を希望する:(1)101条の条文に「保護適格性」が規定されているのか?(101条の条文のみで、そもそも保護適格性を判断したら良いのか?)(2)クレームの形式(方法、媒体、システム)によって101条適格性の判断基準が変わらないということを確認する;(3)実験使用は特許侵害を構成しないことを再確認する。Diamond v Diehr判決を引用し、”…the system of patents embraces “anything under the sun that is made by man”であり、コンピューター実行形式で記載されたクレームがどれだけ広範な範囲をクレームしているか否かで判断するのではない。 クレームの範囲の妥当性に関しては102条、103条、或いは、112条によって決定されるのである。今回問題となる方法クレーム、媒体クレーム、及び、システムクレームの全ては101条の保護適格性を有する。

 

    Judge Linnの意見(概要)

方法クレーム、媒体クレーム、及び、システムクレームの全ては保護適格性を有するか否かという判断となるであろう。 しかしその理由は、Lourie判事が言うように同じ抽象的なアイデアという保護適格性を欠く構成要素を含んでいるからではない。これらクレームの全ては特許保護適格性を備えていると判断する。但し、粗悪なソフトウエア特許に関しては司法判断ではなく、有効期間を限定するか、その権利範囲を明細書に記載された形態に減縮解釈するとかいうように対応策を連邦議会にその検討を期待したい。

 

    Chief Judge Raderの嘆き(Additional Reflection:

最後にRader判事長は今回の大法廷判決(大法廷が合意に至らなかったことに)に対する嘆きを5ページの追加コメントとしてまとめています。特に自分よりもシニアの判示(Lourie判事とNewman判事)が101条の解釈に関してここまでつまずいていることに驚きを隠せないと述べています。また、Diamond v Diehr(1981年最高裁判決)で引用された1952年の特許法の立法趣旨(議事録)の有名な句である「anything under the sun that is made by man」を引用し、ソフトウエア自身に対しても保護適格性を与えている欧州と日本の特許事情を述べています。 一言で言うならば、これだけ101条の解釈に混乱が生じているので、今回の事情を解消するには、条文に戻ろうということです。 101条の条文は”any”という用語を使用しており、また特許法第282条で規定している裁判における侵害者の防御(“defense”)としての特許の要件(‘condition for patentability’)101条の特許保護適格性は含まれない。 Rader判事長は今年で25年の判事の経験を踏まえて上記を述べるとともに、未来に今回のコメントをプラスに思い起こすことを期待すると括っています。