AmericanAxle & Manf’g v. Neapco Holdings 訟務長官が最高裁へ上告受理を推奨 Solicitor General’s Amicus Brief 2022年5月24日 Summarized by Tatsuo YABE – 2022-06-26 |
2010年Bilski最高裁判決に端を発し、2012年のMayo最高裁判決以降に101条の特許保護適格性の判断が困難となった。2014年のAlice最高裁判決によってMayo最高裁判決で判示された2パートテストを再確認したので当該テスト(判断基準)は不動のものとなった。現実問題として、Mayo/Aliceのパート2(パート1の判断すら不確定であるが・・)をどのように判断するべきかを米国特許の実務者で明瞭に説明できる人はいない。その最たる理由は最高裁(Mayo判決とAlice判決において)がパート2の判断に「発明概念」の存在を要件としたからである。「発明概念」の存在はそもそも103条で規定する非自明性の領域であり101条の判断領域ではない。2019年に当時のPTO長官Andrei-Iancu氏はそのような状況の中でも、何とかPTOでの審査品質レベルの安定性を図るべくガイダンスを出した。しかし当該ガイダンスにおいてもMayo/Aliceのパート2に関して言及しているものの妥協案しかだせなかった。従って、実務者はやがて最高裁が101条の案件を取り上げ何らかの指針を示すか、或いは、この混乱は司法での解決は無理で連邦議会が法改正を行うことがより妥当な解決策ではないかと考えた。さりとて、ここ数年の間は立法府における法改正の動きに顕著なものはなく、コロナ禍において望みの一つは本事件の上告が受理されることだ。
去る5月24日に米国訟務長官(政府側として最高裁に助言する機関)が最高裁に対して上告受理を推奨する意見書が提出された。以下に上告受理を推奨するに至った経緯(地裁判決とCAFC判決)と上告受理を推奨する意見書の概要をまとめた。
本事件に関わる技術はメカの分野で、車両の駆動軸の内側にライナーを挿入する構造であり、当該ライナーの質量と剛性度合いを調整し駆動軸に生じる2種類の振動モードを減衰するという内容である。技術分野の垣根を越えて理解しうる技術内容と思う。しかし本事件においてフックの法則が利用されているという理由だけで(全てのメカ関係の発明には自然現象、及び、自然法則が何らかの形で利用されている)、Mayo/Alice判決の2パートテストを適用したこと自体が混乱のもとになっていると筆者は考える。地裁もCAFC(多数意見)もMayo/Alice判決においても101条を満たさないと判断した主たる理由は、クレームが実現したい結果のみを規定しており、どのように実現するのかが理解できるような構成要素(特徴)が記載されていないということだ。「実現したい結果のみを規定しているので101条を満たさない」という根拠が、CAFC(多数意見)が基礎とする判決、Parker v. Flook (1978): Mackay Radio & Telegraph v. Radio Corp (1939): O’Reilly v. Morse (1853): Le Roy v Tatham (1852): Corning v. Burden (1853)に明示されているのであれば、敢えて、Mayo/Aliceの2パートテストを適用する必要はなかったのではないかと思料する。
依って、仮に、本件を最高裁が受理することになれば、Mayo/Aliceの2パートテストの内容を分かり易く解説することにはならず、上記最高裁判決の法理「希望する結果のみを記載するクレームは適格性無」と実施可能要件違反の観点で破棄差戻となるかもしれない。しかし、本事件の上告が受理され最高裁が自身の判示したテストに対して何らかの解説或いはガイダンスを与えることを期待したい。それが叶わない場合には法改正しかない。(以上筆者)
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■ 特許権者:American Axle & Manufacturing
Inc., (AAM)
■ 被疑侵害者:Neapco Holdings
■ 関連特許:USP 7,774,911 (以下911特許)
出願日:2006年2月27日
特許日:2010年8月17日
■ 特許発明の概要:
当該特許は広義には車両のドライブラインシステムのドライブシャフト(駆動軸)200に使用されるライナー204に関する。当該ドライブシャフト(中空)内部にライナー204を挿入し、当該ライナー204はシャフト部材200に生じる種々の振動を低減するように調整されている。代表的な独立クレーム22では当該調整に関して、シャフト200に生じるシェルモードの振動を2%以上低減するように設定され、且つ、捻じりモードにおける当該システムの自然周波数の±20%以内となるように調整されていることを特徴とすることが規定されている。
Claim 22 |
クレーム22 |
22. A method for manufacturing a shaft assembly of a driveline system, the driveline system further including a first driveline component and a second driveline component, the shaft assembly being adapted to transmit torque between the first driveline component and the second driveline component, the method comprising: providing a hollow shaft member; tuning a mass and a stiffness of at least one liner; and inserting the at least one liner into the shaft member; wherein the at least one liner is a tuned resistive absorber for attenuating shell mode vibrations and wherein the at least one liner is a tuned reactive absorber for attenuating bending mode vibrations. |
ドライブラインシステムのシャフトAssyの製造方法であって、前記システムは第1ドライブライン部材と第2ドライブライン部材を含み、前記シャフトAssyは前記第1ドライブライン部材と前記第2ドライブライン部材との間でトルクを伝達し、前記製造方法は以下を含む: 中空のシャフト部材を準備する; 少なくとも一つのライナーの質量と剛性を調整する;及び、 前記ライナーを前記シャフトに挿入する; ここで、 前記ライナーはシェルモードの振動(複数)を減衰するために調整された抵抗吸収体であり、且つ、 前記ライナーは曲げモードの振動を減衰するために調整された反動吸収体である。
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■ 地裁の判断:
AAMのクレーム22は特許保護適格性を欠くので無効(当該判決に至った理由の要約は以下)。
Aliceステップ1:
当該クレーム22で規定する発明は、フックの法則を適用しているにすぎないのでAliceテストのPart 1を満たす(claim is directed to judicial exception)。異なる振動モードを目標値まで低減し、且つ、目標とする周波数を達成するためにフックの法則を適用しているだけで、ライナー及びシャフトをどのように構成するかを規定していないのでAlice最高裁判決(及びMayo判決)に鑑み特許保護適格性がないと判断している。
ここで言うフックの法則とは対象物の質量、剛性、と当該対象物が振動するときの周波数との関係を説明した数式である。
Aliceステップ2:
クレーム22において他の構成要素において当然のごとく理解され、ルーチンで、一般的な行為を規定しているのみでクレーム全体とし各々の特徴を単純に組み合わせることを顕著に超えるものではない。
■ CAFCの判断(多数意見:2:1)
地裁判決を支持する。
Aliceパート1:
クレーム22は所定の振動(複数)を減衰(低減)するようにフックの法則を適用しライナーを調整することを規定している。当該クレーム22は自然法則(フックの法則)の使用に照準を合わせている。
さらにクレーム22は発明が達成したい目標を規定しているにすぎない。即ち、ライナーの質量と剛性を調整し目標とする周波数を得るということである。即ち、フックの法則(質量、剛性と周波数との関係式)を活用するということである。また、如何なる手法によってもクレームで規定する振動モードを減衰できたならばそれはクレーム22の権利範囲に入ることになる。このようにクレーム22はその文面通り望まれる結果を規定しているにすぎない。AAMは2種類の異なる振動モードを減衰(低減)するだけでも非常に困難であると主張し、クレームで規定することを実現するライナーを設計するには広範囲にわたるコンピューター解析、有限要素法による分析、及び、モデル実験による実証が必要となると主張している。然しながら、クレーム22はクレームされた目標値を達成するためにライナーに施された特別の構成、或いは、ライナーに対する特定の調整方法を規定しているわけでない。
クレームにおいて目的とする結果を実現するための特定の手法を規定することなく、自然法則を適用し当該結果のみをクレームすることは、最高裁(特許保護適格性が争点となった最高裁判決において)が何度も指摘した問題に正面から向き合うことになる。Parker v. Flook (1978): Mackay Radio & Telegraph v. Radio Corp (1939): O’Reilly v. Morse (1853) このように最高裁は解決手法を規定することなく目的(所望する結果)のみを規定するクレームは保護適格性がないと判断してきた。Le Roy v Tatham (1852): Corning v. Burden (1853)
より最近では、最高裁は Parker v. Flook (1978)事件で、触媒変換プロセス中におけるアラーム制限の更新に関して特許保護適格性を検討した。しかし問題となった特許クレームにおいて初期の温度測定、公式を使って更新されたアラーム制限を算出し、更新された値にアラーム制限を調整するステップを規定しているのみで、どのような変数があり、どのように変数を制御するのかが規定されていない。Flook事件において最高裁はクレームされた方法は適格性がないと判断した。公式を使用することは適格性を否定することにはならないが、公式を使用するにあたり発明性が要求されると判示した。
Diehr事件におけるクレームではモールドされたゴムの硬化状態を予想するためにArrhenius(アレニウス)の式を利用する手法が規定された。最高裁は数式(Arrhenius公式)自身を特許することはできないが問題となったクレームにおいて自然法則を占有する可能性に制限を掛ける詳細なステップが規定されている。従って、問題となるプロセスを特許性のある公式の適用に変換したと判断した。
AAMのクレーム22はFlook事件のクレームと類似しており、当該クレームは自然法則に照準を合わせている。Flook事件では変数をどのように測定するのか、或いは、アラームシステムがどのように機能するのかを規定していない、同様にクレーム22においてどのようにして目標となる周波数を決定するのか、どのようにしてライナーが2つの異なる周波数モードを同時に減衰できるのか、どのようにしてライナーが曲げモードの振動を減衰できるのかが規定されていない。
Aliceパート2:
クレーム22のどの箇所にも、自然法則を保護適格性のある主題に変換する「発明概念」が規定されていない。AAMはクレーム22には過去には周知ではなく、一般的ではなかった多くの発明概念が規定されていると主張しているが、AAMの主張は言い換えると自身の911特許以前にはライナーをシャフトの振動を減衰するように使われたことが無いということを意味する。さらに言うならばクレーム22で規定している所望する結果自身が進歩(発明)であるということになる。しかし上記したようにクレーム22は達成するべき結果を規定しているのみであり、保護適格性はない。クレーム22の何れの箇所にも発明概念に相当する記載はない。本発明における発明概念とは目標となる2つの異なる振動モードを同時に低減するためにどのようにライナーを設計するかである。
依って、クレーム22は特許保護適格性を満たさない(地裁判決を支持する)。
■ 米国訟務長官の意見(合衆国最高裁に上告受理を推奨)2022年5月
以下の2点に関して最高裁での審理を推奨している:
QUESTIONS PRESENTED
Section 101 of the Patent Act of 1952, 35 U.S.C. 1 et seq., provides that “any new and useful process, ma-chine, manufacture, or composition of matter, or any new and useful improvement thereof,” is eligible for a patent. 35 U.S.C. 101. The questions presented are as follows:
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Q1: Whether claim 22 of petitioner’s patent, which claims a process for manufacturing an automobile driveshaft that simultaneously reduces two types of driveshaft vibration, is patent-eligible under Section 101. |
質問1: 2種類の振動を同時に低減(減衰)する車両用駆動軸の製造方法を規定したクレーム22が特許法101条の特許保護適格性を満たすか否か? |
Q2: Whether patent-eligibility under Section 101 is a question of law for the court based on the scope of the claims or a question of fact for the jury based on the state of the art at the time of the patent.
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質問2: 101条の適格性判断は、クレームの権利範囲に基づく裁判官による法律事項か、それとも特許された時点における技術をもとに陪審の判断事項か? |
最高裁に上告受理を勧めるにあたり最高裁が過去に下した101条(適格性)の判決を列記しその要約を記載している。発明というものは101条以外の要件を満たす場合があるが101条を満たさないものもある。例えば、不動産の売買の新たな仕組みは新規で且つ非自明かもしれない、しかし、特許法の歴史に鑑みると101条で言うところの”Useful Arts”ではないという理由で保護適格性がない。確かにニュートンが発見した重力或いはアインシュタインの見つけた自然界の法則 E=mc**2は特許で保護することはできない。或いは、グラハムベルの発明した電話は101条を満たす、然し、今日であれば新規性欠如という理由で特許できないであろう。さらに最高裁は非特許主題として自然法則、自然現象、及び、抽象的なアイデアの3つのカテゴリーは101条の保護対象外であると判示し、司法による101条の例外規定として理解され、101条の文言にはない(それを必要としない)。
その後いくつかの重要な判決がくだされ101条の保護範囲は広がる方向にあった。しかし2010年のBilski判決から雲行きが変わってきた。特に2012年のMayo判決(2014年のAlice判決で再確認)において、上記のような101条保護範囲外とされた司法例外の適用の仕方に対しても101条保護が及ばない範囲を判示した。Mayo/Alice判決によって、「第1に、」特許しようとするクレームが司法例外に照準を合わせているのかを判断し、「第2に、」もし、そうである場合にはクレームの他の構成要素によってクレーム全体として特許保護可能な主題に変換されているかを判断すると判示した。
911特許は曲げモード及びシェルモードによる振動を低減(減衰)する動力伝達軸の製造方法に関する発明を開示している。その製造方法は問題となったクレーム22で規定している通りで、以下のように規定されている:
- 中空のシャフト部材を準備する;
- 少なくとも一つのライナーの質量と剛性を調整する;及び、
- 前記ライナーを前記シャフトに挿入する;
ここで、
- 前記ライナーはシェルモードの振動(複数)を減衰するために調整された抵抗吸収体であり、且つ、
- 前記ライナーは曲げモードの振動を減衰するために調整された反動吸収体である。
上記クレームの101条保護適格性に対する地裁及びCAFCの判断(多数意見2:1)は前記の通りである。合衆国政府として地裁とCAFCの多数意見には賛同できない。その主たる理由はMayo/Aliceで判示された判断基準を実務者がどのように運用したらよいのかが明瞭ではない:
Mayo/Alice最高裁判決での判断基準:
「第1に、」特許しようとするクレームが司法例外に照準を合わせているのかを判断し、
「第2に、」もし、そうである場合にはクレームの他の構成要素によってクレーム全体として特許保護可能な主題に変換されているか?
1.911特許のクレーム22は駆動軸に生じる複数種の振動を同時に減衰する車両用駆動軸の製造方法に関する。クレーム22ではそれを実現するための複数のステップを明確に規定している。歴史的にみてもクレーム22で規定するような工業的な製造方法は特許保護の対象となっている。
2.そもそもMayo/Alice最高裁判決の判断基準「第1」、「第2」をどのように実務で適用するのかが不確実であるが、過去に最高裁は以下4点で示すようにガイダンスを与えていると思われる:
2A: 最高裁は人の「英知の基礎となるブロック(building blocks)」と「それらブロックを統合しブロック自身を超え(those that integrate the building blocks into something more)保護適格性を有するものに変換したもの」とを明瞭に区別している。自然法則、自然現象、或いは、抽象的なアイデア自身は特許保護の対象とはならない、然し、それら概念を新規で且つ有用に適用したものは保護適格性を満たす。Arrhenius式は数式であって保護対象とはならない、しかし、Diehr事件にあるようにArrhenius式を活用する工業的な製法は保護対象となると判断した。即ち、Diehr事件において特許はArrhenius式を保護対象とするのではなく合成ゴムの硬化プロセスを対象とすると述べた。
2B: 全ての発明は、自然法則、自然現象、又は、抽象的なアイデアを幾分かは利用、反映、構成要素の一部に盛り込む、又は、適用していることを最高裁は過去に繰り返し認識してきた。従って、クレームが司法例外に関連するからという理由で保護対象外になるわけではない。
2C: 101条の適格性判断に関して最高裁は過去150年の裁判の歴史をガイドとし判断してきた。その歴史的な判断に鑑みクレーム22で規定する工業的な製造方法が特許保護の対象外となるのは理解し難い。
2D: 最高裁は特許発明が司法例外を占有するということを危惧してきた。即ち、クレームドラフティングのテクニックによって自然法則自身が保護対象となるのではなく、あくまで自然法則を利用したプロセスが対象となることが重要であると述べた。Diehr判決にあるように、最高裁はArrheinus式の使用を占有するのではなく、当該数式をクレームされた他のステップとの兼ね合いで利用することのみに権利を求めたものであると述べた。
3.CAFCは本事件において上記最高裁で判示・言及された法理論の適用を誤った。
3A: クレーム22はそもそもMayo判決或いはAlice判決において保護対象外となったクレームとは異種のものである。クレーム22は特定の車両部材を製造する物理的なプロセスを規定している。クレーム22はフックの法則を活用することになるが、それは全ての機械系の発明がそうである。クレーム22はDiehr判決で保護対象とされたクレーム(Arrheinus式を利用した合成ゴムの硬化方法)と同じくフックの法則を利用した工業的な製造方法である。クレーム22はフックの法則をクレームドラフティングテクニックで占有しようとするものではない。
3B:CAFCの多数意見はクレーム22はフックの法則を利用し駆動軸に発生する振動を減衰すると規定しているが、どのようにその結果(効果)を得るのをクレームは言及していないと述べた。同多数意見の言う通り、もしクレームが目的とする結果(ゴール)のみを規定する場合には保護対象とはならない。O’Reilly判決にはその法理論を明示していない。しかし長年の特許法の解釈において101条で言うプロセスとはステップであって結果のみではないと理解されている。クレーム22は複数の振動モードを減衰させるという結果(効果)を顕著に超えたステップを記載している。さらに、多数意見は101条と112条の実施可能要件との違いを認識するも101条の適格性を判断するうえにおいてこれら条文の適用に混乱を生じていると理解される。
3C: Mayo/Aliceのステップ2の判断基準をどのように実務で運用するのかが特に分かりにくい!
多数意見はクレーム22に「発明概念」が欠落していると述べているが、その主たる理由は、多数意見はクレーム22は所望される結果のみを規定していると理解しているからである。多数意見は、クレーム22のステップでは、一般的で、且つ、解決前後のステップを規定しているのみである。Mayo/Aliceのステップ2では(ステップ1でYESの場合)クレームは当然のごとく理解され、ルーチンで、一般的な行為を超える特徴を含まなければならないと判示している。第2ステップにおいて、クレームをその全体として判断する場合に、個々の構成要素がそれ単体では一般的であるか否かを考慮せずに判断するアプローチ(クレーム解釈)と矛盾する。最高裁の150年にも及ぶ適格性に対する判決を検討すると、Mayo/Aliceのステップ2において、個々には先行技術に開示された構成要素であったとしても組み合わせることで保護対象となるという長年の米国特許法の原理原則に基づき判断されなければならない。
4.本事件は最も近時の101条関連のCAFCの判決において満場一致とならなかったものである。
101条の適格性を判断するうえで特に医療診断の技術分野において明確な判断基準が求められており、この問題は他の技術分野にも広がっていることは明々白々である。2019年に米国特許庁は審査官に対して101条判断のガイダンスを出したが、そのガイダンスにおいても101条の判断を最高裁の判決と整合性を維持することが困難であることを注記しており、米国特許における不確実な部分となり、米国特許実務者及び関係者に信頼性および予見可能な保護適格性の判断を示すことが困難な状況となっている。
5.本事件は上記疑問(101条の判断基準)に指針を与える良い機会である。ソフトウェア・ライフサイエンスの技術分野において最高裁が判断するのも良いかもしれない。しかし、それら技術分野よりも遥かに長い歴史を持つ伝統的な工業製品の製造方法(本事件)をもとに判断することで、最高裁はより明白な指針を出せるはずであり、その指針を他の技術分野に応用できることになる。
6. 質問2(以下)に関してはまず101条の判断基準が明瞭となってからとする。
「101条の適格性判断は、クレームの権利範囲に基づく裁判官による法律事項か、それとも特許された時点における技術をもとに陪審の判断事項か?」
結び:
上記質問1に対して上告受理を推奨する。宜しく頼みます。
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