21st Century USPTO Strategic Planの内容

Summarized by Tatsuo YABE

on September 2002

2002年7月5日にUSPTOのHome Page<http://www.uspto.gov/web/offices/com/strat2001/index.htm>で既に公開されておりましたが内容が盛りだくさんなので整理に時間がかかりました。

特に出願関連費用の増大に関しては米国知的財産協会、特許弁護士協会、知的財産権所有者の会の全てが反対しており、正式に書面で意義を唱えております。 過剰な政府費用の増大は結果的には出願件数を減らすことになるでしょうし、審査官がサーチ(先行技術調査)をメインの業務としてしなくなるというのは非常に理不尽な改正提案であり(出願人自らが外部の調査機関を利用することによって審査の品質がどうやって維持され、改善されるのでしょうか)、審査請求期間を優先日より18ヶ月にすることによるメリットがどれだけあるのか不明であるし(審査請求制度を導入するということだけで10%くらい審査をしなくてすむようになると予想しているようです)、個人発明家を保護するために1999年のAIPIにおいて非公開請求制度を残存させたにかかわらず、これを全く廃止するとは庁の都合のみが優先されているようです。

共和党Bush政権に変わり任命されたUSPTOのディレクターであるRogan氏(前職はカリフォルニア州共和党議員)は知的財産権に関わる業歴が0なので、このような大胆な改革案を出せるのでしょうが、米国特許商標庁ディレクタの椅子も後1、2年の期間となることも十分に予想されます。 従って、Rogan氏にとっては特許商標庁の後の自分の出世のためにかなり強硬に本法案をBush政権中に成立にもっていこうとするでしょう。

従って、今後の知的財産権関係の法案成立状況をWatching要であります。

内容

米国特許庁による提案内容

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Increasing Fees

 

出願審査費用増加

現行

提案

Patent Large Entity

 

出願費用

$740

$300

審査請求費用

$0

$1250

特許発行費

$1,280

$1660

Maintenance 1st

$880

$900

Maintenance 2nd

$2,020

$3000

Maintenance 3rd

$3,100

$5000

合計(※)

$8,020

$12,110

EPでは$53125 JPでは$24,078と米国特許庁は主張する。

出願費用

  • 意匠出願、植物特許出願を除く特許出願の出願費用: 300ドル

但し、明細書(或いは図面)が50ページを超える場合には超過費用

― 出願時の追加費用  独立クレーム(3個を超える場合)

  • 4つ目の独立クレーム:160ドル
  • 5つ目の独立クレーム:320ドル
  • 6つ目の独立クレーム:640ドル
  • 7つ目の独立クレーム:800ドル
  • 8つ目の独立クレーム:1000ドル
  • N個目の独立クレーム: 640 x (1.25)**(N-6)

― 出願時の追加費用  従属クレーム(20個を超える場合)

  • 21-25個(従属クレーム1個当り: 80ドル)
  • 26-30個(従属クレーム1個当り: 160ドル)
  • 31-35個(従属クレーム1個当り: 320ドル)
  • 36-40個(従属クレーム1個当り: 640ドル)
  • 41-45個(従属クレーム1個当り: 800ドル)

審査請求費用

  • 1250ドル

発行発行費用

  • 1660ドル

アピール (審判請求)

  • Notice of Appeal520ドル
  • Appeal Brief: 1730ドル

期限延長

  • 1ヶ月:140ドル
  • 2ヶ月:520ドル
  • 3ヶ月:1200ドル

特許維持費

  • 35年目:900ドル
  • 75年目:3000ドル
  • 115年目:5000ドル

Four-Track Examination Process

 

4系統の審査プロセス

Track 1

出願人が米国特許庁に認可された調査機関に依頼し、ISSR(国際出願形式のサーチレポート)を作成する。 ISSRはクレーム毎に、関連性の深さに応じてXYAマークを付記する。

Track 2

PCT国際出願で米国指定、即ち、ISA(国際調査機関)によるサーチ実施し、出願人が当該サーチ結果をUSPTOに提出する。

Track 3

外国出願を実施し、優先権を主張し米国出願をする場合:

2国間協定を結んだ外国特許庁(日本、EP、ドイツ、英国、カナダ、オーストラリア等)の調査結果を活用する。 出願人は外国特許庁で早期審査を請求し、米国出願審査遅滞を請求をする。 当該外国特許庁の調査結果に基づき独自に審査した結果、許可可能と判断される場合には、USPTO審査官は補足サーチを実施し、主任審査官の承認を得る。

Track 4

米国特許庁による調査と審査。

マイクロエンティティ(個人出願人)にのみ有効。

但し、調査は外注とする予定。 外部調査機関による調査結果に基づき審査し、許可と判断される場合にはUSPTO審査官は補足的サーチを実施し、主任審査官の承認を得る。

 

Deferred Examination

 

審査開始を延期する。

出願と審査請求を分離し、審査請求期限を優先日より18ヶ月とする。

この方式を採用することによって約10%位の特許出願は審査をすることなく放棄されると予想される。 

⇒ 即ち、10%程度の無駄な審査を省ける。

 

Elimination of Non-Publication Exception

米国出願-全公開(非公開の例外なし)

 

米国ONLY出願においてのみ適用される「出願非公開申請」の制度を廃止する。

 

Post-Grant Review of Patent Claims

 

権利化後のクレーム有効性判断をするための手続き手法

現行米国特許法の基では、(インターフェランスを除いて)第3者が、当事者系で参画し、司法判断を後に得る権利を留保した状態で、米国特許庁に対して特許クレームの有効性判断を求める手法が存在しない。 従って、権利化後の有効性判断手続きを推奨する。 

当該手続きによると公衆は特許発行後1年以内であればクレームのキャンセルを嘆願することができる。 また、侵害訴訟提起の警告を受けた者は、当該警告を受けて4ヶ月以内であれば当該有効性判断手続きを請求できる。 当該有効性判断の手続きは Board of Patent Adjudicationと改名される米国特許庁審判部によって実行される。

当該手続きは連邦地裁での特許訴訟に代わる安価な代替手続きとして機能するとともに、特許の品質管理機能としても有効である。 

現行の当事者系再審査手続きを廃止し、査定系再審査制度を維持することを提案する。

 

Mandatory Information Disclosure Statements

 

先行技術のクレームに対する関連性を記載する要求

出願審査において最良の先行技術が審査官に提示されることが重要であり、出願人が20個以上の先行技術を提出する場合には、各先行技術文献と最も広いクレームとの関連性を記載することが要求される。 しかし現行の37CFR1.56では出願人はそれが周知する先行技術の全てを提出することを助長するのみである。

  • 従って、37CFR1.56を改訂し、「騙す意図」が明瞭に無い場合には、サーチ、サーチ結果、及び、関連性に対する記載事項は誠実に実行されたと見なすことを明記することが必要である。
  • 37CFR1.971.98を改訂し、出願人がクレームに対する関連性を含むIDSの提出を義務づけることが必要。
 

Simplification of PTA

特許期間延長システムを簡略化する。

1999年のAIPA (American Inventor's Protection Act)による現行の14−4−4−4ルールは米国特許庁及び出願人側に数多い日時のチェックを余儀なくさせる。

これを米国特許庁の瑕疵によって審査請求実施日より3年以内に特許証を発行できない場合に限定してはどうか?

 

Enhance the Reviewable Record

経過書類の記録内容をより詳細に残す。

出願審査において審査官は数多くの推論をベースにして審査を実施することがあるが、これら推論は経過書類には一切記録として残らない場合が多い。 従って、審査官が理解するクレームの範囲、インタビュー内容、拒絶を解消した理由、特許性に関する理由などがある。 しかしこれらは権利化された後に権利範囲を解釈するうえで非常に重要となるので、特許を許可するに至らしめたアクションの理由をより明瞭に説明することを目的とする。

 

Improved Patent E-Filing

N/A at a moment, to be summarized in short………………! 

 

Periodic Re-certification For Registered Practitioners

米国特許弁護士或いは米国特許代理人に特許法、規則、実務手続に対して定期的にテストを実施し、その能力を検証する。

 

Re-certification of Primary Examiners, Passage of Patent Bar Examination for Promotion to GS-13

  • 主任審査官 “primary examiner” の能力を定期的に再評価(検証)するシステムの構築を提案している。
  • GS-13に昇進するには米国特許代理人の試験に合格することを要件とする。
 

Assignee May Make a Patent Application, File a Broadening Reissue Application, and Sign the Oath or Declaration

  • 特許出願時に発明者が署名する代わりに出願人(譲渡人)が宣誓書に書面することを許容する。
  • 発明者の署名なしに譲渡人による(発行後2年以内に実行可能な権利範囲を拡張する再発行出願)再発行出願を許可する。
 

Restriction Practice For Markush And Sequence Claims

N/A….to be summarized shortly after….!

 

Accelerated Examination

 

早期審査手続き

従来”Petition to Make Special (37CFR1.102(c) / (d)”なる早期審査の代用手法があったがあまり利用されていなかった。その理由としては保証される審査期間が設定されていなかったことと許可された後は通常のプロセスに基づき特許証の発行となっていた。 今回提案されている早期審査では出願Pendingの期間を12ヶ月以内とするものである。

出願人は:

  • 電子出願する(必要費用全て引落とし権限を委任する)
  • 予備審査サーチを実施し、結果を提出する。
  • 予想される発明のクラスを提示する。
  • IDSを提出する(最も関連深い先行技術文献と各クレームとの関連性を説明する)
  • 出願明細書において独立クレームは3個以内で合計クレームは20個以内とする。
  • 発明の単一性があること。
  • 1回目のOAには2ヶ月以内に応答すること(期限延長は不可)。
  • 追加の応答書は提出できない。
  • 特許庁への応答書類はFAX或いは電子メイルで実施すること。
  • 最終拒絶通知に対して2ヶ月以内に応答する。
  • 最終拒絶に対する応答で許可とならない場合には早期審査手続きは中止となる。
 
     

 

 独立クレーム超過費用

個数

N個目の独立クレーム費用

独立クレーム超過費用合計

1

$ -

$ -

2

$ -

$ -

3

$ -

$ -

4

$ 160

$ 160

5

$ 320

$ 480

6

$ 640

$ 1,120

7

$ 800

$ 1,920

8

$ 1,000

$ 2,920

9

$ 1,250

$ 4,170

10

$ 1,563

$ 5,733

11

$ 1,953

$ 7,686

12

$ 2,441

$ 10,127

13

$ 3,052

$ 13,179

14

$ 3,815

$ 16,993

15

$ 4,768

$ 21,762

16

$ 5,960

$ 27,722

17

$ 7,451

$ 35,173

18

$ 9,313

$ 44,486

19

$ 11,642

$ 56,128

20

$ 14,552

$ 70,680

21

$ 18,190

$ 88,869

22

$ 22,737

$ 111,607

23

$ 28,422

$ 140,029

24

$ 35,527

$ 175,556

25

$ 44,409

$ 219,965

26

$ 55,511

$ 275,476

27

$ 69,389

$ 344,865

28

$ 86,736

$ 431,601

29

$ 108,420

$ 540,021

30

$ 135,525

$ 675,546

40

$ 1,262,177

$ 6,308,807

50

$ 11,754,944

$ 58,772,638