John Squires氏がUSPTO の長官に就任

2025923


2025年9月23日、John Squires氏がUSPTOの長官(60人目)に就任された。本年3月にトランプ大統領に指名され(商務長官ラトニック氏の推薦による)、その後上院司法委員会で承認を勧告し、918日の上院本会議では5147の僅差で承認された。2000年に就任された元IBM副社長のKappos氏の時は上院本会議で満場一致で承認されたのと較べると、日本人として疑問が沸くのはさけられない。しかし、この事実はSquires氏のUSPTOの長官としての資質に対する疑問を反映しているのではなく、寧ろ米国の政治的な分断(民主党と共和党)によるものだ。

大学時代の専攻は化学であり、弁護士となった後は化学、バイオの技術分野の知財を経験した後はGoldman Sacksの知財責任者として主にFINTECHFinancial Technology)の分野を経験し、2017 年以降はDilworth Paxson LLPIP と新興企業(Emerging Companies)実務部門のチェアを務めた。 400件以上のFINTECH関連の特許の発明者でもある現商務長官ラトニック氏とも親交が厚い。

就任直後に、米国特許に対する信頼性の回復(PTABにおける高い無効化率により信頼性を失った)、101条判断基準を明確化(最高裁の関与により不明確となった)、審査のバックログ(トランプ2次政権となり新規雇用を一時停止、離職率増加による)等の喫緊の課題に取り組むことになると思います。

Summarized by Tatsuo YABE
2025-09-29

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Squires氏はUSPTOの長官に就任するまでの経緯

202531011
トランプ大統領がSquires氏を新USPTO長官に指名。

2025521
上院司法委員会で公聴会。

2025918
上院本会議にて、他のトランプ政権人事48名と一括採決され、5147 で承認。

2025922
USPTO
が「Squires長官を歓迎する」との公式発表を行い、この日が事実上の着任初日。

2025923
USPTO
本部で 就任宣誓式のスピーチ を実施。

略歴 https://www.uspto.gov/about-us/john-squires

項目

内容

大学

Bucknell University にて化学を専攻(有機化学を含む)取得

ロースクール

University of Pittsburgh School of Law

企業インハウス知財部門

Gold­man Sachs にて 2000 年~2009 年まで Chief Intellectual Property Counsel(最高知財責任者)を務め、同社のグローバル知財業務を統括。

USPTOの前

- 2017 年以降、Dilworth Paxson LLP において、IP と新興企業(Emerging Companies)実務部門のチェアを務める。その間、特許取得、ライセンス、取引(M&A・資産売買)、訴訟、リスク管理、規制対応などを包括的に手がけてきた。

上院 質問回答/政策優先事項

- 上院司法委員会提出資料において、特許庁のバックログ解消、公平性・質の担保、PTABIPR制度の運用改善、AI 技術を審査支援に活用する方針などを優先課題として挙げている。上院司法委員会

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USPTO本部で 就任宣誓式のスピーチ

主要テーマとメッセージ

USPTOのビジョン

Ø  強力で広範かつ強靭な知的財産制度が米国経済の基盤である。

Ø  USPTOは単なる行政機関ではなく、「イノベーションの中央銀行」であり、国家経済政策の戦略的な一翼を担う存在である。

Ø  特許や商標の一件一件が、新しいビジネスや雇用、競争力、さらには経済全体の成長に直結する。

審査官の役割

Ø  特許審査官・商標審査官は「品質の守護者」であり、「イノベーションとアイデンティティの門番」である。

Ø  精緻さと誇り、そして意欲を持って職務を遂行できるよう、必要なツール・訓練・支援を提供する重要性を訴えた。

Ø  特許の「クレーム」を、市場における需要と供給の間での「価格」の決定に例え、先行技術と発明概念との境界を見出す作業であると説明。(Squires氏が2000 年~2009 年までGoldman Sacksで知財責任者としての勤務時代にFINTECHfinancial technology」を多く扱った経験による面白い喩え)

 

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(1) US_Patent Related 

(2) Case Laws 

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