USPTO Issued Revised
Patent Eligibility Guidance Published 2019-01-07: Summarized by Tatsuo YABE –
2019-01-06 |
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2019年1月7日、USPTOの長官Iancu氏(昨年2月に就任)が予てより懸案事項であった101条審査に対する審査ガイダンス(改訂)を発表した。特にAliceパート1(USPTOのテストではステップ2A)においクレームされた発明がjudicial
exceptionに”directed to”しているのか否かという判断基準に統一性を持たせるべくPTOとしての審査基準を改訂した。
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即ち、PTOのステップ2A(Aliceパート1)でクレームされた発明がjudicial exceptionに”directed to”しているのか否かの判断を2分割し、Prong
1(クレームに法定例外が規定”recite”されているか)とProng 2(規定されている場合には当該judicial
exceptionが統合され実用的に適用されているか)で判断する。[注意:この改訂は昨年9月24日、及び、11月26日にIancu氏が演説した内容と同じである。] 尚、ステップ2Aにおいてはクレームの他の構成要素が当業者にとって周知、習慣、標準的(well-understood,
routine, conventional)であるか否かは判断しない、その判断はステップ2Bで行うとした。
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Aliceパート1 PTOのステップ2A
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PTOの101条審査ガイダンス(改訂) |
「クレームがJudicial Exceptionに”directed to”しているか否か」 Whether claim is “directed to”
a Judicial Exception? |
Prong ONE: クレームにJudicial
Exceptionが規定(recites)されているか? Judicial Exceptionとは[i] law of nature; [ii] natural
phenomenon; [iii] abstract idea; 尚、Abstract
Ideaは以下の3つのカテゴリーに分類される: [i] 数学の概念; [ii] 人の相互作用を体系化する手法; [iii] 思考のプロセス; |
Prong TWO: 上でYESの場合には、クレームがJudicial Exceptionを統合し実用的に応用しているかを判断する。 [Ask whether claim integrates the judicial exception into a practical
application?] Judicial Exceptionを実用的に応用している場合にはクレームはJudicial
Exceptionに”directed
to”していないと判断し、101条のEligibilityを満たす。 |
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要は、英単語の”recite”と”directed to”の意味合いに着眼し、”recite”はJudicial Exception(法定例外)がクレームに規定されているという意味で、”directed to”はクレームがJudicial
Exception(法定例外)に照準を合わせている・・という意味であることを明瞭にしたと理解できる。言い換えると、2014年のAlice判決後、クレームに数式(abstract
idea)が存在するだけでPTOステップ2Aにおいてクレームがabstract
ideaにdirected toしていると判断するような審査も多発していた(昨今少しは落着いてきていると思料する)。今回の改訂でそのような判断は間違いであることが明白になった。
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本改訂は審査官を拘束するが法的効力はない。然しながら、本改訂によってステップ2Aの判断基準が2段階となり、且つ、ステップ2B判断との違いも明瞭となったので、PTOでの審査段階及びPTAB審理において、今後101条拒絶は徐々に減るだろう。 さらに、101条拒絶に反論する手法(クレーム補正・反論のポイント)も比較的明瞭になったので出願人にはメリットのある改訂であると思料する。とは言え、101条審査においてステップ2Bにおいて「発明概念」という文言が最高裁(Mayo/Alice判決)で出された以上は、今後司法(最高裁)において自明性(進歩性)との混同がクリアにされる(101条で云う発明概念”inventive
concept”と103条で云う非自明性”inventiveness”との相違)ことは難しく、立法府において101条の条文の改訂が成される日までは今回のような折衷案(Iancu氏はPTOの権限として為しえるベストの対応)で乗り切るのが実務家にとってベストの対応であろう。
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Effective Date:
2019年1月7日をもって有効
2019年1月7日以前或いは以降に出願されたすべての出願審査及び権利化されたすべての特許に適用する。
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以上筆者
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2019年1月7日、PTO長官Iancu氏(昨年2月に就任)が予てより懸案事項であった101条審査に対する審査ガイダンス(改訂)を発表した。特にAliceパート1(PTOのテストではステップ2A)においクレームされた発明がjudicial
exceptionにdirected toしているのか否かという判断基準に統一性を持たせるべくPTOとしての審査基準を改訂している。
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尚、本改訂によって、現行MPEP2106.04(II)のステップ2Aの判断でreciteとdirected
toの意味合いを混同している箇所は参照不可。MPEPの他の箇所でも同様の混同がある箇所は今後参照不可。さらにEligibility
Quick Reference Sheet Identifying Abstract Ideas(2015年7月に初版が出て最近では2018年7月に更新)は全面的に使用不可。さらに、2018年1月以前に公開されたMPEPのEligibilityに関する記載は今後参照不可。しかし以前の審査ガイダンスでEligibility有り(保護適格性有)と判断されたクレームは本改訂版においても保護適格性はあると理解する。
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本改訂審査ガイダンスの概要は以下の通り:
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Section 1:
Abstract Ideaをグループ分け
特許保護を受けられない主題(Judicial
Exception:以下「法定例外」と称する)は米国特許法の条文には規定されていないが、裁判において確立した。それらは自然法則(a
law of nature)、自然現象(natural phenomena)、抽象的なアイデア(abstract
idea)である。自然界に存在するものはnatural
phenomenaに属する。これら法定例外は科学・技術分野の開発業務における基礎ツールであり、これら法定例外に特許を認めることはできない。本改訂版においてAlice判決後に集積された判例を基に、特に抽象的なアイデアとは何かを明瞭にするべく以下の3つにグループ分けをする:
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[a] 数学の概念(Mathematical Concepts)
[b] 人の行動(活動)を体系化する手法(certain
methods of organizing human activity);
[c] 思考のプロセス(mental
processes)
詳細はreferenceの[A]参照。
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特段の事情を除いて、クレームにAbstract
Ideaが規定(recite)されているか否かの判断において上記3つのグループの何れにも該当しない場合にはAbstract
Ideaが規定(recite)されていないと判断する。
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Section 2:
“Directed
to”の解釈(法定例外にdirected toしているか否かの判断基準)
クレームされた発明が法定例外にdirected
toしているか否かを以下のように段階的に判断すること。
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Prong 1:クレームに「法定例外」が規定(recited)されているか否か?
Evaluate whether the Claim Recites a
Judicial Exception
Prong 1で、例えば、Abstract ideaを規定ているか否かを判断する場合、上記Section
1で分類された3つのグループのいずれにも該当しない場合にはAbstractアイデアを規定していないと判断し、クレームは101条の適格性を満たすと判断する。
Prong 2: クレームに「法定例外」が規定されている場合、クレームが当該「法定例外」を統合し実用的に応用しているか?
If the Claim Recites a Judicial
Exception, Evaluate whether the Judicial Exception is integrated into a
Practical Application
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上記Prong
1でYesの場合(即ち、クレームに法定例外が規定されている)にクレームが当該法定例外を統合し実用的に応用しているかを判断する。例外規定を統合し実用的に適用しているクレームとは、例えば、法定例外を適用、依存、或いは、活用することで法定例外に意味のある(重要な)限定を課すものであって、恰も法定例外を独占するような小賢しくドラフティングされたものではない。
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実用的に適用する統合(integrates
into a practical application)を満たす例としては:
· クレームの他の構成要素が、コンピューターの機能を向上させる、或いは、他の技術又は技術分野に向上をもたらす。
· クレームの他の構成要素によって法定例外を利用し特定の治療を可能にする。
· クレームの他の構成要素が法定例外を特定の機械、製造物に統合する。
· クレームの他の構成要素が特定のものを性質の異なる形態に変換する。
· クレームの他の構成要素によって法定例外を適用、依存、或いは、活用し、一般的なレベルを超えて法定例外を特定の技術分野に実体的に関連付けることで、恰も法定例外を独占するような小賢しくドラフティングされたクレームを超えている。
注意:上記はあくまで例示であってその他も含む。
詳細はreferenceの[B]参照。
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逆に以下のような場合には、integrates
into a practical applicationと解釈されない:
· クレームの他の構成要素が法定例外に対し”Apply
it”というような用語である場合、単に法定例外をコンピューター上で実行する指示である場合、又は、法定例外を実行するために単にコンピューターを活用する場合。
· クレームの他の構成要素が法定例外に対する有意でない(とるにたらない)extra
solution activityにすぎない場合。
· クレームの他の構成要素が法定例外を特定の技術分野に一般的に関連付けるにすぎない場合。
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尚、今回の改訂ステップ2Aにおいてはクレームの他の構成要素が当業者にとって周知、ルーチン(習慣的)、標準的なもの(well-understood,
routine, conventional activity)であるか否かを判断しない。
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Section 3:
上記ステップ2Aにおいてクレームが法定例外にdirected
to(照準を合わせている)していると判断される場合に、ステップ2Bでクレームの他の構成要素(或いは他の構成要素との組み合わせ:筆者追加)が法定例外を顕著に超えているか否かを判断する。本ステップ2Bにおいてクレームが法定例外を顕著に超えていないと判断される場合にはクレームは101条の保護適格性を満たさないとして拒絶する。
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101条審査の多くはステップ2Aで完結すると予想されるが、審査官はステップ2Bを以下の観点で判断すること:
クレームの他の構成要素或いは組み合わせによって:
· 当業者にとって、周知、習慣的、或いは、標準的ではない特定の限定事項が規定され、クレームに「発明概念」が存在することが理解できるのか、それとも
· 当業者にとって、周知、習慣的、或いは、標準的な限定事項が規定され、クレームに「発明概念」が欠落していると理解できる。
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例:クレームに数式(Abstract
アイデア)が規定されており、当該数式に入力するのに必要なデータを集積するステップが規定されている場合、当該クレームは当該数式を統合し実用的に適用するものではないとし、クレームはAbstractアイデアに照準を合わせた(directed
to an abstract idea)ものと審査官が判断するかもしれない(ステップ2AでYES)。しかし、ステップ2Bにおいて審査官はデータの集積方法は当業者にとって異例な手法であると判断し、クレームに「発明概念」があるとし101条を満たすと判断するかもしれない。この例のようにステップ2Aにおいてクレームは法定例外を実用的に適用するものではないと判断しても、ステップ2Bにおいてクレームのある構成要素が当業者にとって異例なものでクレームに発明概念をもたらすと判断される場合もある。
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Effective Date:
本審査ガイダンスは2019年1月7日をもって有効
2019年1月7日以前或いは以降に出願されたすべての出願審査及び権利化されたすべての特許に適用する。
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References:
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[A]
a) Mathematical concepts – mathematical relationships,
mathematical formulas or equations, mathematical calculations;
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b) Certain methods of organizing human activity – fundamental
economic principles or practices (including hedging, insurance, mitigating
risk); commercial or legal interactions (including agreements in the form of
contracts; legal
obligations; advertising, marketing or sales activities or behaviors;
business relations); managing personal behavior or relationships or interactions
between people (including social activities, teaching, and following rules or
instructions);13
and
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c) Mental processes – concepts performed in the human mind14 (including
an observation, evaluation, judgment, opinion).
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[B]
In the context of revised Step 2A, the following exemplary considerations
are indicative that an
· additional element (or combination of elements)24 may
have integrated the exception into a practical application:
· an additional element reflects an improvement in the
functioning of a computer, or an improvement to other technology or technical
field;25
· an additional element that applies or uses a judicial
exception to effect a particular treatment or prophylaxis for a disease or
medical condition;26
· an additional element implements a judicial exception
with, or uses a judicial exception in conjunction with, a particular machine or
manufacture that is integral to the claim;27
· an additional element effects a transformation or
reduction of a particular article to a different state or thing;28 and
· an additional element applies or uses the judicial
exception in some other meaningful way beyond generally linking the use of the
judicial exception to a particular technological environment, such that the
claim as a whole is more than a drafting effort designed to monopolize the
exception.29
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(5) LINKS |